MTG Just Now! vol.47 -ニッサの誓い etc.-

晴れる屋メディアチーム



 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【グランプリ・ミネアポリス2016が開催される】

 先週末には【グランプリ・ミネアポリス2016】が開催された。


※画像は【MAGIC: THE GATHERING英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。

 スタンダードで開催された本グランプリを制したのは緑白トークンを操るAlex Johnson!

 Hareruya Prosからも齋藤 友晴・八十岡 翔太・金川 俊哉の3名が参加し、八十岡はトップ16に入賞。齋藤もトップ32に入賞し、オリジナルの「青赤飛行ビートダウン」は【デッキテク】に取り上げられている。また、金川もプロポイント獲得と好成績を残した。

 3人のより詳細な成績は【Hareruya Prosページ】から確認できるので、ぜひご確認いただきたい。



【『エターナルマスターズ』の全カードリストが公開される】

 先週末には『エターナルマスターズ』の全収録カードリストが公開された。




 エターナル環境で活躍しているカードを中心に構成されたカードリストは非常に豪華な内容となっており、マジックファンならカードリストを眺めているだけでも楽しめるだろう。

 晴れる屋でも『エターナルマスターズ』発売記念イベントを複数開催する予定だ。参加して『エターナルマスターズ』を手に入れよう! 6月に予定されている大会の詳細は【こちら】からご確認いただける。



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《ニッサの誓い》

 緑白トークンに《炎呼び、チャンドラ》が2枚。そんなありえないデッキが、【グランプリ・マンチェスター2016】でトップ8に入賞していた。


ニッサの誓い


 そのありえないデッキ構築を可能にしているのが《ニッサの誓い》だ。



Raphael Levy「緑白トークン」
グランプリ・マンチェスター2016(優勝)

4 《要塞化した村》
4 《梢の眺望》
3 《ウェストヴェイルの修道院》
7 《森》
7 《平地》

-土地 (25)-

4 《搭載歩行機械》
4 《森の代言者》
2 《ラムホルトの平和主義者》
4 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (14)-
4 《ドロモカの命令》
4 《ニッサの誓い》
1 《進化の飛躍》
2 《停滞の罠》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (21)-
3 《棲み家の防御者》
2 《翼切り》
2 《神聖なる月光》
2 《次元の激高》
2 《悲劇的な傲慢》
1 《石の宣告》
1 《天使の粛清》
1 《進化の飛躍》
1 《絹包み》

-サイドボード (15)-
hareruya



 この緑白トークンを組み上げたのはマジック・プロツアー殿堂入りプレイヤーのRaphael Levy(フランス)だ。彼は先日Hareruya Prosに加入したJeremy Dezaniの師匠でもある。(【※参考】)


炎呼び、チャンドラ


 緑白トークンというデッキ名ながら、合計で10枚採用されたプレインズウォーカーの存在からも分かる通りスーパーフレンズ的なプレインズウォーカーミッドレンジとしての要素も強く、そういった特性から全体除去とフィニッシャーを兼ねられる《炎呼び、チャンドラ》はデッキの方向性と非常にマッチしている。

 《炎呼び、チャンドラ》のために色を足すという選択肢もあるが、Raphael Levyは《ニッサの誓い》によって問題解決を試みている。ダブルシンボルのカードが多いため、下手に赤を足すよりもこの方が安定して運用できるということなのだろう。驚くべき構築である。



2. 《ジェイスの聖域》

 【グランプリ・マンチェスター2016】では他にも変わったデッキが見られた。


ジェイスの聖域


 世にも奇妙な青単《ジェイスの聖域》だ。



Martin Muller「青単《ジェイスの聖域》」
グランプリ・マンチェスター2016(25位)

24 《島》

-土地 (24)-


-クリーチャー (0)-
4 《収まらぬ思い》
4 《予期》
4 《水撃》
3 《一日のやり直し》
4 《岸の飲み込み》
4 《熟読》
4 《水の帳の分離》
1 《潮からの蘇生》
4 《ジェイスの聖域》
4 《プリズムの指輪》

-呪文 (36)-
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《氷の中の存在》
4 《否認》
2 《侵襲手術》
1 《変位の波》

-サイドボード (15)-
hareruya



 《ジェイスの聖域》や《プリズムの指輪》(※2016年5月31日修正)で呪文のコストを軽減し、インスタント・ソーサリーを連打して《潮からの蘇生》《水の帳の分離》に繋いで勝利するというデッキ。眉唾モノだが、25位という好成績を残していることもあり、ただのイロモノデッキではなさそうだ。


潮からの蘇生水の帳の分離


 ちなみに、これにかなり似た発想のデッキである「Tide Walk」という【問題作(?)を世に送り出した】伊藤 敦ことまつがん曰く「してやられた!!!」とのことである。

 対戦相手があっと驚くようなデッキを使ってみたい! という方にはぜひオススメのデッキだ。



3. 《黄金夜の懲罰者》

 上の項でもご紹介させていただいた齋藤 友晴の「青赤飛行ビートダウン」は今、世界的に注目を浴びている新デッキの一つだ。


黄金夜の懲罰者


 そのデッキには、これまで一部のジョニー(独創的なデッキを好むプレイヤーの俗称)の間でしか話題に上がることのなかった《黄金夜の懲罰者》が4枚採用されていた。



齋藤 友晴「青赤飛行ビートダウン」
グランプリ・ミネアポリス2016(17位)

9 《山》
7 《島》
4 《さまよう噴気孔》
4 《シヴの浅瀬》

-土地 (24)-

4 《次元潜入者》
4 《鎖鳴らし》
4 《層雲の踊り手》
4 《黄金夜の懲罰者》

-クリーチャー (16)-
4 《極上の炎技》
4 《焦熱の衝動》
4 《意思の激突》
4 《呪文萎れ》
4 《熱病の幻視》

-呪文 (20)-
4 《ゴブリンの闇住まい》
4 《否認》
4 《焙り焼き》
3 《大地の断裂》

-サイドボード (15)-
hareruya



 まず目を引くのはメインボードのすべてのカードが4枚以上採用されているというデッキリストの美しさだ。デッキリストのビジュアルにこだわりたいプレイヤーにも大満足のリストである。

 カンパニー系のデッキやBG《謎の石の儀式》、緑白トークンなどのデッキが多い現環境ではとにかく地上クリーチャーが止まりやすいので、飛行クリーチャーで急襲しようというこのデッキのコンセプトは非常に環境にもマッチしていると言えるだろう。

 《黄金夜の懲罰者》はデメリット能力もやや気になるが、止まらない飛行クロックで優勢にダメージレースを進めやすいこのデッキであれば大きな問題はない。空から一気に4点を奪い去るのは得も言えぬ快感だろう。




 ちなみに、このデッキを公開した本人のツイートに添付された写真がすさまじくきれいに撮れており話題を呼んでいる。ぜひ拡大して確かめてみてほしい。






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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