MTG Just Now! vol.54 -蔵の開放 etc.-

晴れる屋メディアチーム



 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【モダンシーズン開幕】

 7月16日()にはPPTQモダンシーズン……もとい、【プロツアー『霊気紛争』予備予選】(PPTQ)が開幕した。晴れる屋でも7月18日(月・祝)にさっそく173名もの参加者が集まる大規模な(かなり過酷な)PPTQが開催され、【カバレージ】も公開されている。




 夢の舞台・プロツアーへの第一歩であり、普段の店舗大会よりもさらにハイレベルなゲームを楽しめるPPTQ。【こちら】でイベントスケジュールを確認できるので、ぜひみなさんも奮ってご参加いただきたい。

 また、9月16-17日(金-土)にはモダンフォーマットで【ワールド・マジック・カップ2016名古屋予選】も開催される。ハイレベルなモダンが遊べる機会であり、著名なプレイヤーも多く参加する日本代表の座が懸かった大舞台である。ぜひ挑戦されたし。

 どんなデッキがあるのか分からない、これからモダンを始めてみたい、といった入門プレイヤーの方には「モダンデッキ案内」がオススメだ。今後も紹介するデッキは増えていく予定なので、ぜひご覧いただきたい。






 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《蔵の開放》

 知る人ぞ知る名物プレイヤー(?)、【グランプリ・北九州09】の優勝者である“マンモスさん”こと石井 泰介が【PPTQ】に持ち込んでいたのは、決してメジャーとは言えないアーキタイプだった。


蔵の開放


 もはや石井の代名詞ともいえる、《蔵の開放》デッキである。



石井 泰介「蔵の開放」
プロツアー『霊気紛争』予備予選(スイスラウンド7位)

3 《島》
2 《平地》
4 《アダーカー荒原》
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《ダークスティールの城塞》
2 《アカデミーの廃墟》
1 《幽霊街》

-土地 (20)-

2 《猿人の指導霊》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (3)-
2 《差し戻し》
1 《加工》
3 《信仰の見返り》
3 《蔵の開放》
4 《オパールのモックス》
4 《彩色の星》
3 《テラリオン》
1 《写本裁断機》
4 《予言のプリズム》
4 《胆液の水源》
2 《飛行機械の鋳造所》
1 《弱者の剣》
4 《クラーク族の鉄工所》
1 《求道者テゼレット》

-呪文 (37)-
4 《アーティファクトの魂込め》
3 《僧院の導師》
3 《残響する真実》
3 《神聖の力線》
2 《仕組まれた爆薬》

-サイドボード (15)-
hareruya



 挙動は(2年前の記事ではあるが)【津村 健志によって解説】されているとおり、《クラーク族の鉄工所》《蔵の開放》によって大量のマナを生み出して《引き裂かれし永劫、エムラクール》へと繋げるデッキである。


クラーク族の鉄工所蔵の開放引き裂かれし永劫、エムラクール


 かつて入っていたウルザランドを排し、青白の2色で組まれたこのデッキは最近解禁された《弱者の剣》が採用されている。

 これと《飛行機械の鋳造所》とのコンボでイージーウィンできることはもちろんだが、《飛行機械の鋳造所》は単体でもライフゲインおよびトークン生成エンジンになり、バーンや親和といったスピーディーなデッキへの耐性もつけてくれる上に、《胆液の水源》を生け贄に捧げるエンジンにもなる。


弱者の剣飛行機械の鋳造所


 《求道者テゼレット》はこれらのパーツをサーチしたり、《オパールのモックス》《ダークスティールの城塞》といったアーティファクトをアンタップすることでマナ加速として使用することもできる。

 【第7期モダン神挑戦者決定戦】でもトップ16に進出していた石井。プレイヤーの実力ももちろんだが、このアベレージの高さはデッキ自体が真に強力であることを物語っているだろう。群雄割拠のモダン環境に《弱者の剣》入りのこのデッキが切り込むときがきたのかもしれない。



2. 《不屈の追跡者》

 モダンの顔とも言えるメジャーなアーキタイプにも変化が起きている。


不屈の追跡者


 最近、ジャンドのメインボードにちらほらと顔を見せている《不屈の追跡者》だ。

 ジャンドといえば一般的には手札破壊や除去で消耗戦に持ち込みつつ、《コラガンの命令》《闇の腹心》でカードアドバンテージを得て、《タルモゴイフ》《怒り狂う山峡》といったタフなクリーチャーで素早くクロックを刻むデッキだ。


稲妻闇の腹心タルモゴイフ


 このうち、「カードアドバンテージを得る」「タフなクリーチャーで素早くクロックを刻む」という2つの要請を満たす《不屈の追跡者》はまさしくジャンドにぴったりな逸材だったと言える。

 実際に《不屈の追跡者》を採用したジャンドが【PPTQ】でも優勝を収めている。



堀内 真「ジャンド」
プロツアー『霊気紛争』予備予選(優勝)

2 《沼》
1 《森》
2 《草むした墓》
1 《血の墓所》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《新緑の地下墓地》
1 《樹木茂る山麓》
4 《黒割れの崖》
4 《怒り狂う山峡》

-土地 (24)-

4 《闇の腹心》
4 《タルモゴイフ》
3 《漁る軟泥》
1 《不屈の追跡者》
1 《オリヴィア・ヴォルダーレン》

-クリーチャー (13)-
4 《稲妻》
4 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
3 《終止》
3 《突然の衰微》
2 《コラガンの命令》
4 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (23)-
4 《大爆発の魔道士》
2 《渋面の溶岩使い》
2 《強情なベイロス》
2 《部族養い》
2 《神々の憤怒》
2 《虚無の呪文爆弾》
1 《コラガンの命令》

-サイドボード (15)-
hareruya



 このデッキリストでは1枚のみの採用だが、【WMCQ東京2016】ではプラチナレベル・プロの玉田 遼一もジャンドのメインボードに2枚採用し、トップ8入賞を収めている。

 《高原の狩りの達人》《ゲトの裏切り者、カリタス》《オリヴィア・ヴォルダーレン》といったやや重めのクリーチャーと交換されている枠だが、《闇の腹心》で捲れたときのペイライフも若干軽減することができ、絶妙なチョイスである。


高原の狩りの達人ゲトの裏切り者、カリタスオリヴィア・ヴォルダーレン


 アドバンテージ獲得までのタイムラグやテンポロスに関しては若干気になるものの、そんな弱点を補って余りある魅力あるクリーチャーだ。フェッチランドとの組み合わせで莫大なアドバンテージ獲得も夢ではないこのクリーチャーを、ぜひみなさんも試してみてはいかがだろうか?






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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