MTG Just Now! vol.59 -完成態の講師-

晴れる屋メディアチーム



 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【『コンスピラシー:王位争奪』の全カードリストが公開される】

 昨日、待望の『コンスピラシー:王位争奪』全カードリストが公開された。




 新しいプレインズウォーカーの「ケイヤ」や、2度目の登場となる「ダレッティ」を初めとして数々の注目カードが登場した本セットは、再録カードも非常に熱い! 多くのプレイヤーが待ち望んだ《実物提示教育》《Berserk》といった強力カードも、このたびめでたく『コンスピラシー:王位奪還』にて再録されたのである。




 ちなみにこれらの強力な再録カードに隠れがちだが、地味に《解呪》が新枠カードとして収録されている。


解呪


 『コールドスナップ』のテーマデッキである「キイェルドー計略/Kjeldoran Cunning」でしか手に入らなかった新枠の《解呪》は地味にレアな存在で、マニアにとっては垂涎の貴重な1枚だった(《褒賞プログラム》も新枠だったが扱いとしてはやや特殊な上にレア物であることに変わりはない)

 こだわり派のプレイヤーはぜひお見逃しなく!



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



《完成態の講師》

 本記事ではおなじみのSCG Openだが、先週末はモダンフォーマットで非常に興味深いカードが活躍していたのでご紹介したい。


完成態の講師


 《秘密を掘り下げる者》の成れの果て。《完成態の講師》である。

 さっそくこれが採用されていたデッキ、最新版ブルームーンのデッキリストを見ていこう。



Benjamin Nikolich「ブルームーン」
SCG Open Modern New Jersey(6位)

8 《島》
2 《山》
2 《蒸気孔》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
2 《硫黄の滝》
1 《僻地の灯台》

-土地 (23)-

4 《瞬唱の魔道士》
1 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
2 《完成態の講師》

-クリーチャー (7)-
4 《稲妻》
4 《血清の幻視》
2 《呪文嵌め》
1 《炎の斬りつけ》
3 《差し戻し》
2 《マナ漏出》
1 《熟慮》
1 《収穫の火》
1 《イゼットの魔除け》
2 《電解》
1 《神々の憤怒》
2 《謎めいた命令》
4 《血染めの月》
2 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (30)-
2 《広がりゆく海》
2 《大祖始の遺産》
1 《イゼットの静電術師》
1 《嵐の神、ケラノス》
1 《払拭》
1 《汚損破》
1 《否認》
1 《神々の憤怒》
1 《対抗変転》
1 《コジレックの帰還》
1 《塵への崩壊》
1 《殴打頭蓋》
1 《思考を築く者、ジェイス》

-サイドボード (15)-
hareruya



 《完成態の講師》はインスタント、もしくはソーサリーを唱えるたびに《脱走魔術師》同様1/1の人間・ウィザードトークンを戦場に追加する。


完成態の講師脱走魔術師


 これだけだとやや重くて使いにくい《若き紅蓮術士》だが、戦場にウィザードが3体並べばウィザードを統べる異形のエルドラージへと「変身」し、《吸血鬼の夜侯》のごとくウィザードたちに「+2/+1」修正と飛行を与える(イラストを見るに、《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》を量産しているというフレイバーなのだろう)

 インスタントとソーサリーが合計で24枚も採用されているこのデッキであれば、これを「変身」させることは造作もないだろう。「変身」の条件はウィザードが3体戦場にいることなので、《瞬唱の魔道士》+何か適当な呪文を「フラッシュバック」するだけでも一気に2体のウィザードが戦場に現れることになり、フィニッシュへと大きく近づくことになる。裏返れば当然《瞬唱の魔道士》自身も飛ぶ。


瞬唱の魔道士


 また、メインボード・サイドボードともに1枚挿しの多いデッキリストからはプレイヤーの調整の跡が垣間見える。1枚挿しの《熟慮》などはオタクポイント(無論いい意味で)が高く、“専用機”感が漂う。リストをコピーする際には、自分の身近なコミュニティなどに合わせて数枚のスロットを入れ替えて使用したい。


 これだけ重めのコントロールの形をしていながら《祖先の幻視》が入っていないのもおもしろい。


祖先の幻視


 ひとたび解決されれば圧倒的なアドバンテージを稼ぎ出すカードではあるが、中盤以降に引くと「待機4」のタイムラグが気になる《祖先の幻視》。性質上初手に欲しいので、採用する際には必然的に3~4枚を採ることになるが、このデッキではそのスロットを他の呪文にすることでデッキの安定感が増し、《完成態の講師》が「変身」しやすくなっている。


 最近ではあまり見られなくなった《血染めの月》だが、その破壊力はいまだ健在だ。特に今流行りの「ドレッジ」などはほとんど基本地形が入っていないので、《血染めの月》を設置したうえで盤面に出てきた生物を捌ききることができれば完封勝利もありえるだろう。


血染めの月


 《秘密を掘り下げる者》《逸脱した研究者》《完成態》、そして《完成態の講師》


秘密を掘り下げる者逸脱した研究者完成態完成態の講師


 伝説のクリーチャーでもないのに3枚ものカードでその物語が語られたカードもそう多くはない。マジックの歴史に名を刻む1マナクリーチャーとして多くのプレイヤーから愛されてきた彼は、今後はその最終形態《完成態の講師》ともども下の環境で活躍を見せてくれるのだろう。






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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