皆さんこんにちは。
今年もSCG Tourの結果を中心に、モダンの情報をお届けしていきたいと思うので、よろしくお願いいたします。
今週末には、いよいよプロツアー『イクサランの相克』がモダンで開催されます。世界のトッププレイヤーのプレイングを観戦できるので楽しみです。さて、今回の連載ではSCGO Columbus、SCGO Dallas、SCGO Philadelphia、SCG Classics Philadelphiaの入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCGO Columbus
~古典的な青いコントロールが、2018年初のモダンオープンを制する~
2018年1月6-7日
- 1位 Jeskai Control
- 2位 Jeskai Control
- 3位 UR Gift Storm
- 4位 Grixis Death’s Shadow
- 5位 GW Company
- 6位 UR Kiki Moon
- 7位 Humans
- 8位 Skred Red
Benjamin Nikolich
トップ8のデッキリストはこちら
年明け早々にアメリカオハイオ州、Columbusで開催されたモダンオープンを制したのは、メインの勝ち手段を《天界の列柱》、《奔流の機械巨人》、《瞬唱の魔道士》に絞り、残りはドロースペル、除去、カウンターでまとめた古典的なJeskai Controlがワンツーフィニッシュを決めました。
他にも定番のGrixis Death’s ShadowやHumansをはじめ、UR Kiki MoonやSkred Redといった《血染めの月》デッキも結果を残しています。Tronなど土地コンボを含めてGrixis Death’s ShadowやHumans、Jeskai Controlなど、環境に存在する多くのデッキが多色で特殊地形に依存しているので、《血染めの月》は最も強力なカードの1枚となります。
SCGO Columbus デッキ紹介
「Jeskai Control」「UR Kiki Moon」
Jeskai Control
1 《平地》
2 《神聖なる泉》
2 《蒸気孔》
1 《聖なる鋳造所》
4 《沸騰する小湖》
4 《溢れかえる岸辺》
3 《天界の列柱》
2 《氷河の城砦》
1 《尖塔断の運河》
1 《硫黄の滝》
-土地(24)- 3 《瞬唱の魔道士》
1 《奔流の機械巨人》
-クリーチャー(4)-
4 《血清の幻視》
3 《稲妻》
1 《荒野の確保》
1 《呪文嵌め》
3 《稲妻のらせん》
3 《論理の結び目》
1 《否認》
2 《電解》
1 《スフィンクスの啓示》
4 《謎めいた命令》
2 《至高の評決》
2 《アズカンタの探索》
1 《先駆ける者、ナヒリ》
-呪文(32)-
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《天界の粛清》
2 《ルーンの光輪》
1 《否認》
1 《至高の評決》
1 《摩耗+損耗》
1 《拘留の宝球》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《太陽の勇者、エルズペス》
-サイドボード(15)-
最近では、Jeskaiと言えば《聖トラフトの霊》や《呪文捕らえ》を採用したテンポ寄りの構成がポピュラーでしたが、《アズカンタの探索》が『イクサラン』から加入したことで、スペルに比重を置いたヘビーコントロールも見られるようになりました。
Jeskai Control自体はモダン環境に古くから存在するデッキで、デッキの強さや使用率は時期によって変動しますが、プロツアー『神々の軍勢』でも優勝するほどのポテンシャルを持っています。
SCG Invitational Season2でも、同様のリストで入賞していたBenjamin Nikolichは、デッキをシェアしたJeskaiのエキスパートであるKevin Jonesと共に決勝戦まで勝ち残りました。結果は、デッキの製作者であるBenjaminが経験値で勝り、見事に優勝を果たしました。
☆注目ポイント
《アズカンタの探索》は、青いコントロールデッキにとって、手軽にアドバンテージを稼ぐ手段として、《熟慮》の代わりに採用され始めました。序盤に必要な土地や《至高の評決》、《謎めいた命令》などを、マッチアップや状況に応じて引き当てる助けになり、変身することでカードアドバンテージを稼ぎだし相手を引き離します。《スフィンクスの啓示》や《荒野の確保》といったゲームを決定付けるカードが手に入りやすくなり、ゲームを掌握しても決定力不足により勝ち切れないといった展開を減らしてくれます。
《スフィンクスの啓示》は、ゲーム中盤以降カードアドバンテージによって相手を大きく引き離し、ライフゲインによって時間を稼ぐことが可能になるので、稼いだアドバンテージを活用しやすくなります。
《荒野の確保》は、序盤はブロッカーを用意することで時間を稼ぐことに貢献し、中盤以降はフィニッシャーとして機能します。インスタントスピードなのもこのカードの強みで、自分のターンにタップアウトしなくても済むので、コンボデッキなどに隙を見せることなくクロックを展開することも可能になります。
《ルーンの光輪》はサイドに採用されているカードの中で、最も興味深いカードです。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》や《現実を砕くもの》、《難題の予見者》、《ぶどう弾》、《秘蔵の縫合体》など、様々なデッキ相手に活躍します。
Jeskai Controlは軽い除去に加えてスイーパーの《至高の評決》もメインから採用しているので、Jeskai Tempoよりもさらにクリーチャーデッキとの相性が良くなっており、現在のようなメタで真価を発揮するデッキです。
UR Kiki Moon
《欠片の双子》が禁止カードに指定されて以来、その代用として《鏡割りのキキジキ》も試されましたが、4マナと5マナの差は大きく、《詐欺師の総督》や《やっかい児》を使ったコンボは衰退しました。しかし、《血染めの月》をメインから採用した青赤コントロールである、Blue Moonとハイブリットすることで活路を見出しました。
土地コンボやHumans、Grixis Death’s Shadowなど、現環境は特殊地形に依存したデッキが多数存在するので、《血染めの月》によって機能不全に陥らせることが可能です。これ1枚で勝利は確定しませんが、コンボを決めるまでの時間稼ぎになります。
UR Twinのときと同様に、《稲妻》と《瞬唱の魔道士》による組み合わせが強力で、Affinityなどに対して有利が付きます。
☆注目ポイント
『イクサラン』で再録された《選択》は、このタイプのデッキにとって待望のインスタントドロースペルで、コンボパーツを探し出すのに貢献します。《瞬唱の魔道士》+《選択》によって、クロックを展開しつつドローを進めていくことも可能になり、インスタントスピードなので隙も小さく、《詐欺師の総督》(《やっかい児》)以外にも取れるアクションが増えたのは収穫です。
《詐欺師の総督》(《やっかい児》)と《鏡割りのキキジキ》のコンボは、決定力に欠けた青赤コントロールにとっては《欠片の双子》には敵わないものの、《血染めの月》でスローダウンさせた後に速やかにゲームを終わらせる手段として、十分に機能します。
青赤双子時代のように、コンボが対策される傾向にあるサイド後は、《ヴィダルケンの枷》や《ピア・ナラーとキラン・ナラー》、《嵐の神、ケラノス》など追加の勝ち手段を用意しています。
SCGO Dallas
~アグロデッキが大活躍~
2018年1月20-21日
- 1位 Humans
- 2位 Bant Company
- 3位 Grixis Death’s Shadow
- 4位 Burn
- 5位 Burn
- 6位 Ironworks Combo
- 7位 Scapeshift
- 8位 Jeskai Control
John/King/Rosum
トップ8のデッキリストはこちら
チーム戦で競われたSCGO Dallasのモダンは、HumansやBurnといったアグレッシブな戦略を採用していたチームが多く勝ち残っていました。
Jeskai Controlなどフェアデッキの台頭したことにより、Tronなども増加傾向にあるので、HumansやBurnといったアグロデッキが勝ちやすい環境のようです。
SCGO Dallas デッキ紹介
「Humans」「Burn」
Humans
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《地平線の梢》
4 《手付かずの領土》
2 《金属海の沿岸》
-土地(19)- 4 《教区の勇者》
4 《貴族の教主》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《翻弄する魔道士》
4 《幻影の像》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
4 《サリアの副官》
4 《カマキリの乗り手》
4 《反射魔道士》
1 《ケッシグの不満分子》
-クリーチャー(37)-
2 《イゼットの静電術師》
2 《ミラディンの十字軍》
2 《ヴィティアの背教者》
2 《四肢切断》
2 《墓掘りの檻》
1 《ケッシグの不満分子》
1 《ザスリッドの屍術師》
-サイドボード(15)-
Jonathan Rosumuは、Jeskai TempoのエキスパートとしてSCG Tourを中心にコンスタントに結果を残し続けていましたが、今年に入ってからはHumansにデッキを変更し、SCGO Columbusでもトップ8に入賞しているなど、異なるスタイルのデッキを使いこなしています。
SCG Tourの強豪プレイヤーで、チームLotus Boxの一員であるCollins Mullenが、昨年のSCGO Cincinnatiで優勝を果たしたことによって広く知れ渡ったHumans。比較的新しいデッキですが、デッキの大半が妨害能力を持ったクリーチャーで、うまく使うことで相手のプランに干渉することが可能です。多色でありながら《古代の聖塔》、《魂の洞窟》、《手付かずの領土》といった土地に恵まれているため、動きも安定しています。
☆注目ポイント
土地と《霊気の薬瓶》など一部を除いて、デッキ内の全てのカードが人間クリーチャーで纏められています。《教区の勇者》はこのデッキの理想的な1マナ域で、除去されずに生き残れば強力なクロックとして機能します。
このデッキが使われ始めてからしばらく経っていることもあり、リストも洗練されてきています。《アヴァブルックの町長》や《異端聖戦士、サリア》といったクリーチャーが抜け、その枠が《ケッシグの不満分子》と《幻影の像》に差し替えられています。
《ケッシグの不満分子》は、デッキ内のクリーチャーの全てが人間クリーチャーなので、直接火力として十分に機能し、Jeskai Controlなどに対して最後の一押しとして活躍します。
《幻影の像》は、《帆凧の掠め盗り》や《反射魔道士》をコピーすることで追加の妨害手段として機能し、《サリアの副官》をコピーすることでクロックを強化し爆発力の強化にも貢献します。
サイドにはBurn、Jeskai Control、UR Gift Stormなど、スペルを多用するデッキに対してアドバンテージが取れる、《罪の収集者》が採用され始めています。SCGO Cincinnatiの時点で不採用だったのが不思議なくらい優秀な人間クリーチャーです。このデッキで数少ないスペルである《四肢切断》は、色マナを必要としない軽い追加の除去として採用されています。
Burn
相性の良いTronなどの土地コンボや、フェッチランドやショックランドを多用するデッキが多いので、Burnはトップメタではないものの大きなイベントでは必ず見られるデッキの一つです。
立ち上がりが遅い戦略や状況に付け込みやすく、このデッキにとって相性が悪いとされているBogglesやSoul Sisters、《むかつき》コンボなどが比較的少数なのも、このデッキにとっては追い風です。
☆注目ポイント
《大歓楽の幻霊》は、UR Gift Stormなど軽いスペルを多用するデッキ全般に有効で、Grixis Death’s ShadowやJeskaiなどにとってはマスト除去となります。メインに1枚だけ採用されている《渋面の溶岩使い》は息切れ防止になり、クリーチャーデッキ全般に有効で、1マナと軽いのも採用される理由です。
サイドの《大祖始の遺産》は、《タルモゴイフ》や《漁る軟泥》、《瞬唱の魔道士》など様々なカードに有効で、墓地対策をされるとUR Gift Stormもコンボを決めるのは困難を極めます。
《溶鉄の雨》は、Tronを始めとした特殊地形を多用するデッキに対してサイドインされるカードで、直接火力にもなるため効率的です。このカードがサイドインされるマッチアップは、Tron、Titan Shift、Jeskai Controlなどクリーチャーが少なめで《焼尽の猛火》があまり役に立たないことが多いので、サイドのインアウトもスムーズにいきます。
《灼熱の血》は、クリーチャーデッキに対する追加の除去兼火力です。バーンスペルをクリーチャーに使うということはそれだけ本体に入るダメージが減るため、実質相手にとってはライフゲインしているようなものです。なので《焼尽の猛火》と同様に、相手のクリーチャーを除去しつつ本体にもダメージが入るのは非常に効率的です。
SCGO Philadelphia
~Dredgeが優勝。Bant Spiritなど珍しいデッキも入賞~
2018年1月27-28日
- 1位 Dredge
- 2位 Bant Spirit
- 3位 GR Madcap Moon
- 4位 Grixis Death’s Shadow
- 5位 BG Tron
- 6位 Humans
- 7位 Jeskai Control
- 8位 Burn
Lo/Michaels/Henry
トップ8のデッキリストはこちら
SCGO Dallasと同様にチーム戦で競われたSCGO Philadelphiaは、最近好調のHumansやJeskai Control、Burnに混ざってBant SpiritやGR Madcap Moonなど、珍しいデッキが結果を残していました。
優勝を果たしたのはDredgeで、デッキの数が多いモダンでは墓地対策にサイドのスペースを割くのは難しいので、マークが薄いときには無類の強さを発揮するデッキです。
Tronも結果を残しており、SCGO Columbusでも優勝するなど、最近はJeskai Controlがトップメタの一角として活躍しているので、土地コンボもなかなか良いポジションにあります。
SCGO Philadelphia
プレイヤーインタビュー Brenden Mccarley
今大会見事にプレイオフ入賞を果たしたBrenden Mccarleyは、まだ17歳と若いプレイヤーですが、昨年開催されたSCG Invitational Seaons2トップ16入賞や、過去に開催されたSCGOでも入賞経験のある強豪プレイヤーです。今大会で彼が使用していたBG Tronについてお話を聞くことができました。
--「まず最初になぜBG Tronを使うことに決めたのか聞かせてくれる?」
Brenden「BG Tronを使うことに決めた理由は、SCG Invitational Season2が開催される一週間前にBG Tronがこの環境で最高のデッキだということに気が付いたからさ。このデッキを使うようになってから毎週結果を出し続けているよ。」
--「確かに、ジェスカイのようなデッキが勝ち残るようになってきたから、トロンはポジション的にもよさそうだね。Tronと言っても緑赤などバリエーションがいくつかあるけど、その中で黒緑バージョンを選んだ理由はなんだい?」
Brenden「黒緑バージョンは、除去に加えてハンデスもメインから使えるフレキシブルさが強みで、特にサイドの《思考囲い》は、多くのマッチアップに有効な素晴らしいカードだ。サイドのインアウトも簡単になるし、コンボやコントロールとのマッチアップで妨害するのに使える。」
--「黒緑バージョンは、本来トロンが苦手とするコンボやアグロとの相性が改善されているみたいだね。」
Brenden「そうだね。緑赤バージョンは、小型クリーチャーの多いアグロデッキとの相性が少し良くなっている代わりに、コンボとの相性は悪くなる。黒緑バージョンは除去もあるからクリーチャーデッキとも勝負になると同時に、コンボデッキに勝つのにベストな型になるね。」
--「Burnとのマッチアップを考えると、《集団的蛮行》にアクセスできるのは黒緑のアドバンテージになりそうだね。」
Brenden「その通り。HumansやAffinityとのマッチアップも《致命的な一押し》で時間を稼げるし、ソーサリースピードの《紅蓮地獄》より強いこともあって、《紅蓮地獄》では仕留めきれない《カマキリの乗り手》のようなクリーチャーも除去できる。」
--「メインの《地平線の梢》はドローのために入れているの?」
Brenden「そうだね。多くのマッチアップで《探検の地図》や《森の占術》以外にも、《解放された者、カーン》や《精霊龍、ウギン》のような脅威を安定して引き当てる必要がある。《探検の地図》や《森の占術》でサーチできることも覚えておこう。Grixis Death’s Shadowのように、ハンデスを多用してくるデッキとのマッチアップでは、《地平線の梢》を相手のエンド時に起動してドローすることで、重要なカードをハンデスされる心配なく自分のターンでキャストできる。あと《世界のるつぼ》との組み合わせもナイスだね。」
--「なるほど。《世界のるつぼ》とのシナジーによるアドバンテージと、『紛争』を任意に誘発させるのは良さそうだね。」
Brenden「まあ、『紛争』を誘発させる手段は、《彩色の宝球》や《彩色の星》があるからあまり困らないけどね。」
サイドボードについて
Brenden「サイドボードは、なるべく簡単にインアウトができるように力を注いだ。」
対 「Humans」
対 「Grixis Death’s Shadow」
対 「Burn」
Brenden「《自然の要求》は《大歓楽の幻霊》に対する回答になり、《破壊的な享楽》をフィズらせることもできる。もちろん、自分のアーティファクトを割ってライフゲインすることも可能だ。」
対 「Jeskai Control」
対 「Eldrazi Tron」
対 「Tron」
Brenden「このマッチは基本先手ゲー。ダイスロールで勝つこと。」
Brenden「アグロ相手にはなるべくライフを高く保つことが重要で、《解放された者、カーン》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》のように重いコストのスペルを減らすけど、《ウギンの聖域》でサーチ用に1枚は残しておく。」
--「なるほど。あとサイドボードのインアウトを見ていて気が付いたけど、《自然の要求》は色々なマッチアップでサイドインされているね。《血染めの月》や《広がりゆく海》、Affinityに対する追加の対策になって、Burnに対しても自分のアーティファクトを対象に取ってライフゲインしたりできるから便利なスペルだね。」
Brenden「あと《石のような静寂》もね!《広がりゆく海》デッキに対しては、他に対象になる置物がない場合はサイドインしないけどね。青白コントロールは、《拘留の宝球》、《石のような静寂》、《アズカンタの探索》のように対象になるカードが多いから入れるけど、他に対象になる物が《霊気の薬瓶》ぐらいしかないMerfolkには入らない。」
Brenden「《広がりゆく海》とかでトロンが揃うのを封じてくるデッキに対しては、、フェアなマジックで勝負することもあるね。《スラーグ牙》や《ワームとぐろエンジン》を、普通に土地を5~6枚並べてプレイすることも結構ある。」
--「確かに《スラーグ牙》や《ワームとぐろエンジン》は、マナコストがトロン抜きでキャストするのに現実的なコストで、普通に出しても強いクリーチャーだから理に適ってるね。」
Brenden「流石に土地10枚をタップして《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を出すことはあまりないけどね(笑)」
--「今回の75枚から何か変更を加えたいところはある?」
Brenden「今回の75枚には満足していたけど、変えるとすればサイドに1枚だけ採用されていた《世界のるつぼ》かな。追加の《自然の要求》と入れ替えるかもしれないね。《世界のるつぼ》をサイドインすることがあまりなくて、これ1枚だけで相性の悪いマッチアップを改善できる訳でもないし。あと《約束された終末、エムラクール》も試してみたいと思っているけどどのカードを抜くのかがまだ分からない。」
--「最後に、これからBG Tronをトライしてみたいと考えているプレイヤーに、何かアドバイスをお願いできる?」
Brenden「今回のサイドボードガイドを参考にすれば、多くのマッチアップの勝率が上がるよ。そしてなによりマリガンすることを恐れないこと。僕はダブル、トリプルマリガンした多くのゲームで勝利してきた。あとトロンはスキルを必要としないデッキで、使っているプレイヤーはあまり強くない。ただ勝ちたいだけといった汚名を着せられているかもしれないけど、そういったことは気にしないで。」
Brenden「デッキの性質上ゲームの決着も速いから、チーム戦のように仲間に助言できるフォーマットではメリットが大きくて、今回も隣のレガシーでMiraclesを担当していたチームメイトのヘルプに回りやすかった。」
--「チーム戦ならではのメリットだね。確かにチームメイトに助言することが許されているチーム戦では、モダンを担当したプレイヤーがこういった決着を付けるのが速いデッキを使うのも戦略の一つとなりそうだね。(モダンを担当するプレイヤーは、現時点の構築のチーム戦では真ん中の席に座るので、スタンダードとレガシーを担当するプレイヤーの観察がしやすい)今回はインタビューに協力してくれてありがとう。改めてトップ8入賞おめでとう!」
SCG Classics Philadelphia
~Humans強し~
2018年1月27-28日
- 1位 Humans
- 2位 Goryo’s As Foretold
- 3位 Counters Company
- 4位 UR Gifts Storm
- 5位 Affinity
- 6位 Mono Red Prison
- 7位 Dredge
- 8位 Eldrazi Tron
Ross Merriam
トップ8のデッキリストはこちら
本大会ではGoryo’s As Foretoldなどローグデッキも入賞していましたが、優勝を果たしたのは、SCGO Dallasでも優勝していたHumansでした。昨年登場した当時はローグ扱いでしたが、現在では大きなイベントでは必ずと言ってよいほど見られる定番デッキに昇格し、リストも洗練されてきています。
UR Gift StormやCounters Companyといったコンボデッキも勝ち残っており、Jeskai ControlやGrixis Death’s Shadowは上位には不在でした。
SCG Classics Philadelphia デッキ紹介
「Affinity」
Affinity
3 《産業の塔》
1 《空僻地》
4 《ダークスティールの城塞》
4 《墨蛾の生息地》
3 《ちらつき蛾の生息地》
-土地(16)- 4 《羽ばたき飛行機械》
2 《メムナイト》
4 《信号の邪魔者》
1 《ギラプールの希望》
4 《電結の荒廃者》
3 《鋼の監視者》
3 《大霊堂のスカージ》
2 《刻まれた勇者》
2 《エーテリウムの達人》
-クリーチャー(25)-
モダン設立当初から活躍し続けているAffinityは、環境のほとんどのデッキが何かしらの対策を採っているのにもかかわらず、上位でよく見られるデッキの一つです。
《ダークスティールの城塞》以外のアーティファクト・土地は禁止カードに指定されていますが、《オパールのモックス》、《羽ばたき飛行機械》、《メムナイト》といった0マナのアーティファクトを多数展開し、《頭蓋囲い》で強化して相手のライフを削ります。
《頭蓋囲い》がキーカードの1枚なので、必然的にクリーチャーも《大霊堂のスカージ》、《羽ばたき飛行機械》、《信号の邪魔者》といった軽い回避能力持ちのアーティファクト・クリーチャーが主力となります。
☆注目ポイント
《溶接の壺》は0マナなので、《稲妻》や《致命的な一押し》が主要な除去として使われている現環境では、単体除去対策として非常に有効で、《頭蓋囲い》なども除去から守れるのは加点の対象となります。
メインに1枚だけ採用されている《ギラプールの希望》は、ダメージを通す必要がありますが、上手く使えば疑似《Time Walk》のように使うことが可能で、1マナと軽く飛行持ちなのでダメージも比較的通しやすくなっています。
メイン、サイドに合わせて4枚採用されている《刻まれた勇者》は、それ単体では平凡な性能ですが、「金属術」の条件を満たしていれば、単体除去が中心のフェアデッキにとっては対処が難しく、メインから多めに採用したいクリーチャーではないものの、サイド後に追加することでJeskaiのように除去を多用するデッキ相手との勝率が上がります。
《石のような静寂》のように、アーティファクト対策が追加されるサイド後のゲームに備えて、《ギラプールの霊気格子》や追加の妨害の《思考囲い》などがサイドインされます。
《血染めの月》は、自分の《墨蛾の生息地》や《ちらつき蛾の生息地》もシャットアウトしてしまうのが難点ですが、TronやTitan Shift、Jeskaiなどに対しては相手の方が被害が大きくなります。赤緑Tronの場合は《紅蓮地獄》などを使ってきますが、最近は黒緑かEldraziが主流なので、それらのバージョン相手には高い効果が期待できます。
《苦花》はJeskai Controlなど除去を多用する相手に有効なサイドカードで、《ギラプールの霊気格子》と同様に《石のような静寂》対策になり、《至高の評決》などスイーパーにも耐性ができます。毎ターントークンを生み出すのでアドバンテージで差を付けることが可能です。
総括
マジックの構築フォーマット史上、最高のフォーマットと多くのプレイヤーから評されているモダンは、様々なデッキが活躍する群雄割拠な環境で、アメリカでは高い人気を維持しています。
今回はプロツアー『イクサランの相克』直前ということで、ローグデッキよりも定番のデッキを多めにご紹介していきましたが、観戦する際に参考になれば幸いです。
以上USA Modern Express vol.11でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!