あなたの隣のプレインズウォーカー ~第51回 今からでも間に合うカラデシュ概論 世界編~

若月 繭子



 こんにちは、遅くなりました若月です。まずは宣伝を。

マナバーン2017


 「マナバーン2017」にていつもどおりに記事を書かせて頂いております。今回は『Planechase Anthology』に合わせましてマジックの物語の舞台となる様々な次元を「次元カード」の美麗なアートと共に解説しました。 晴れる屋通販でもお求め頂けますので、読んで下さると嬉しいです。

 さて今回の内容は? この前、テゼレットは取り上げたけれどまだまともに『カラデシュ』の物語を扱っていない! というわけで「世界観紹介回」とでも言いましょうか、『霊気紛争』プレビューが始まる前にカラデシュ世界のあれこれをおさらいしましょう!







1. カラデシュの第一印象


カラデシュの火、チャンドラ


 創造性と発明が形作る華やかな次元、カラデシュ。初出は2015年の『マジック・オリジン』です。このセットでは収録プレインズウォーカー(=現ゲートウォッチ)の「故郷の次元と最初に渡った次元」がフィーチャーされたのですが、唯一の完全新規次元でした(ジェイスの故郷ヴリンは『プレインチェイス(2012年版)』に登場)。そのように『マジック・オリジン』では多くの次元が取り上げられていた都合上、一つに割り当てられたカード枚数は決して多くはなかったのですが、カラデシュは主に青・赤・アーティファクトだったことから「アーティファクト技術の発展した世界」として、それも今までにマジックで見てきたものとは明白に異なる「繊細で優美な曲線形のアーティファクトが満ちる世界」として私達の目に映りました。


搭載歩行機械結束した構築物領事の鋳造所
飛行機械トークン1飛行機械トークン2


 スタンダードで活躍した《搭載歩行機械》の印象は大きかったですね。そしてこの飛行機械トークン。「時代や次元や種族にかかわらず、発展途上の工匠というものは必ず羽ばたき飛行機械を発明するものだ」とは《羽ばたき飛行機械》(M11)のフレイバーテキストですが、様々な次元や時代に存在する飛行機械の中でもカラデシュのそれは際立って優雅なデザインです。

 そして「繊細で優美な曲線形」を描いているのはアーティファクトだけではありません。


亢進するアイベックス亢進するサイシャイラ専有地の賢者


 動物の角や表皮の模様、植物が伸びる形状。


島沼


 生物だけでなく水や雲の流れにも。その次元の風景を最もわかりやすい姿で見せてくれるのは基本土地、とは過去にも書いてきましたが、カラデシュの基本土地もまた例外なく美しく、次元の普遍的な姿を見せてくれます。カラデシュはアーティファクト技術の発展した次元、ですが決して冷たく機械的なものでなく、自然と違和感なく調和しています。そのように自然物・人工物問わずカラデシュを特徴づけるのが「優美な曲線形」。そしてそれを作り上げているのがこの世界を動かすエネルギー源であり、カラデシュとは切っても切り離せないもの。「霊気/Aether」です。


2. カラデシュと霊気

 カラデシュ世界に普遍的に満ち、あらゆるものを動かす霊気。「霊気/Aether」の用語がカードに初めて登場したのは《上天の嵐》、それからしばらくは《上天の嵐》《上天のしみ》など「上天」という訳語が充てられていました。霊気はあらゆる次元に存在するとともに、次元世界の空隙である「久遠の闇」を満たすものです。プレインズウォーカーの灯を持つ者や久遠の闇生まれのエルドラージといった極一部の生命だけがその「生の霊気」の中でも生き延び、移動することが可能とされています。

 また気が付いている人も多いかと思いますが、『カラデシュ』以前、Aetherの頭文字にはAとEが繋がった「Æ」の文字が使用されていました。ですが「利点よりも問題の方が多い(特に翻訳上)」(英語公式ページ、Daily Magic Updateより)とのことで文字が分割されて今に至ります。


霊気の薬瓶霊気の薬瓶
ビフォーアフター


 これまで私達にとって霊気は「なんかそういう物質というかエネルギーというかよくわからないもの」といった程度の認識だったかと思います。ですがカラデシュ世界においては空気や水のように普遍的な存在であり、収集・精製技術を用いてエネルギー源として用いられています。それだけでなく霊気を食する生物や、霊気から生まれる生命体すら存在します。

 カラデシュにおける霊気については公式記事にわかりやすい説明がありました。引用しましょう。


「プレインズウォーカーのための『カラデシュ』案内」より抜粋
 「霊気」という神秘的な青色の物質がカラデシュ世界を輝かせています。霊気は多元宇宙のあらゆる次元に存在しますが、カラデシュにおいては見て、触れて、貪ることすらできる明白なものです。

 カラデシュのほとんどの霊気は霊気圏の高層に、未精製の状態で存在します。通常の条件下では、その鮮やかな青色の物質が下方の世界へと流下します。霊気に触れると自然は反応します。突風から多くの力を受け止めるべく、木々の幹は水平方向に螺旋を形成します。花は籠型に開き、霊気の雨を受け止めようとします。山々は眩しく輝く霊気の宝石がスコールによって山腹に叩きつけられ、あばた模様になります。そして上空での季節ごとの霊気潮流の満ち引きに合わせ、水流は大地に曲線を描きます。


 「霊気圏/Aethersphere」とはたぶん上空高く、我々の次元でいう成層圏みたいなものだと思います。霊気の多くは飛空船や高山から収集して精製され、都市に運ばれて利用されています。利用された霊気はどうなるのか? それは「霊気循環」というエコシステムで循環し、再び世界へと戻っていくのだそうです。


予言のプリズム


《予言のプリズム》フレイバーテキスト
カラデシュを知るためには、大きな霊気循環の中で霊気と発明がどのように流通するのかを、まず理解する必要がある。


 この霊気循環はカラデシュ世界内における霊気の物理的な動きというだけではなく、カラデシュの各種族やその生き方、概念と密接に関わり合うものです。エルフが自然から技術を「発想」し、進歩を追求するヴィダルケンが「革新」し、高品質の創造物を誇るドワーフが「建造」し、霊気への飽くなき食欲に駆られたグレムリンが「解放」し、霊基体がその儚い身から霊気を自然へと「回収」し、そしてその五段階を人間が一つの循環として「統合」する――それが霊気循環です。


豪華の王、ゴンティ縄張り持ちの大喰らい


 霊基体は初登場の種族。グレムリンは過去に2枚だけ存在、しかも姿は全く異なりました。そのためこの二つは実にカラデシュ次元を特徴づける種族となっています。



ぬいぐるみまで発売されました。かわいいよグレムリン。


 そして霊気という無尽蔵のクリーンエネルギーがもたらすのは、革新と創造性の爆発です。カラデシュ次元の人々は突き動かされるように日々発明と技術革新を追求しています。科学技術の進歩具合はこれまでにマジックで登場した次元の中でもトップクラスでしょう。だって列車に巨大ロボにヘリコプターだよ!?


アラダラ急行激変の機械巨人密輸人の回転翼機


 また、霊気というエネルギーのクリーンさと進歩の気風を表すように、『カラデシュ』のカードはとにかく雰囲気が明るい! 一つ前の『イニストラードを覆う影』『異界月』の不気味な雰囲気とは正反対です(そっちはそっちでとても良いのですが!)。何度でも言いますがこのメリハリがマジックの背景世界の醍醐味ですよね


鼓舞する突撃試験飛行士独創の火花


 ところで、実はカラデシュ以外にも「霊気に満ちた」次元が一つ確認されています。物語で取り上げられたことはまだ無いのですが、《ナルコメーバ》の故郷Iquatana(イクァターナ)。


ナルコメーバ


 『プレインチェイス(2009年版)』当時の記事からこの次元の説明を訳します。

イクァターナ、霊気筒
 イクァターナの大気はほぼ純粋な霊気からなる。霊気は生態系へと奇妙な影響を及ぼしており、生物は歪んで揺らぎ、異なる有機体へと変身する。この世界の大地は煙突と陥没孔であり、プラズマ的な霊気を吹き上げ、下層の蒸気流にはおぼろげに瞬く生物が乗っている。

 大規模な召喚呪文を試みるために、もしくは煙突上に浮かぶ多くの《ナルコメーバ》を創造した聡明なるイクァティを研究するためにこの次元を訪れるプレインズウォーカーも存在する。ナルコメーバは生ける記憶装置として創造されたのだが、イクァティの系統的記憶は過去の知られざる出来事によって散り散りになってしまった。


 カラデシュとはだいぶ異なりますね。この次元が(というか《ナルコメーバ》が)登場した『未来予知』からまもなく十年になります。これまでにどんな「未来」が来たのか、そしてまだ来ていないのか。そのうち探りたいなと思っています。


\来てねえよ!!!/
蒸気打ちの親分



3. 領事府と改革派

 霊気で動く、明るく楽観的な世界カラデシュ。ですがそんな世界にも争いは存在します。この次元最大の行政組織である「領事府/Consulate」とそれに反発する「改革派/Renegades」。『カラデシュ』ブロックの物語は今のところ、この二勢力の対立構造を軸として展開しています。



■ 領事府


領事補佐官配分の領事、カンバール領事の旗艦、スカイソブリン


 繰り返しますがカラデシュ世界では「霊気」によって動いており、進んだアーティファクト技術と高度な文明が築かれています。それこそ霊気は我々の次元で言うところの電気やガスのように使われています。カラデシュにおいて現在のストーリーから六十年前、霊気の精製方法が確立されました。それまでにも霊気の力は知られていましたが、安全に利用する技術がありませんでした。そして領事府が霊気の大量生産と配分方法を確立したことで世界全体に技術革新がもたらされます。我々の次元で言うところの(今回この言い回し多いな!)産業革命のようなものでしょう。

 それとここで重要なのが、カラデシュでは「魔法がほとんど存在しない」ということです。魔法を使える者は稀であり、そしてそういったものに対しては厳しい規制と監視がされています。そのため、他の次元では魔法で行っていることが、カラデシュでは霊気を用いた装置によるものとなっています。わかりやすいのがこちら。


燻蒸


 いわゆる「全体除去」呪文も、ここカラデシュでは「薬剤散布による害獣駆除」というフレイバーです。カラデシュでは多くの発明家、職人、技術者、様々な人々が関わってアーティファクト技術を発展させ、生活を便利にして世界をより良いものに発展させている。そしてその全てを領事府が管理・統制しています。どのような規格を採用し、どのような製品をどれほど生産するか。さらにどうやら領事府は一つの中央集権として統治を行い、あらゆる行政業務を一手に担っているようです。文明が進んだ他の次元、例えばラヴニカでは各ギルドが分担して各種行政業務を請け負っています。ボロスは街の警察組織でもありますし、イゼットは都市のインフラを維持管理を担い、オルゾフは金融や司法、等々。その一方で領事府は人々の生活のあらゆる面を統括して管理しています。話中でもゲートウォッチを訪ねた《ドビン・バーン》が比較して言及していました。


公式記事「郷愁」より引用
「我々の領事府はその対極に位置します。実力主義から成る単一の中央集権です。あらゆる資源は管理され、法のもとに等しく適切に配布されます。我々は誰も『求めなくて良い』社会を達成しております」


 「誰も『求めなくて良い』社会」、とはいえそれはあくまで領事府が管理する範囲での話……ということ。そしてそんな管理社会に誰しもが賛同するわけではない、というのはどこの世界でも同じなのでしょう。



■ 改革派


ピア・ナラー軽業の妙技改革派の戦術


 領事府に反抗する者は昔から(わかっている範囲では、チャンドラが子供の頃から)存在しました。ですが領事府によって家族を奪われた《ピア・ナラー》が人々を集め、一つの組織として成長させたものが「改革派」です。領事府が強制する霊気配分や発明品の規格化は締め付けであり創造の自由を奪うもの、それが改革派の主張です。その規制の様子はフレイバーテキストでも知ることができます。


領事の権限査問長官特権剥奪



《領事の権限》フレイバーテキスト
市民にはしたいことをする自由がある。領事府の法が許す範囲で、だが。

《査問長官》フレイバーテキスト
「この研究は領事府の法に抵触する。」

《特権剥奪》フレイバーテキスト
「市民、領事府指令482号により、あなたを拘束します。」


 そのため霊気の「窃盗」や「密輸」を行って領事府に反抗するとともに、同じく規制をこころよく思わない発明家の力になる、というのが改革派の主な活動です。チャンドラの両親も発明と密輸を兼業していました。とはいえ締め付けがどのような範囲に及ぶのか、どれほど厳しいものなのか、規定の霊気配分量で例えばどれほどの生活ができるのか、カラデシュ人でない私達は想像するしかないのですけどね。

※画像は公式記事「改革派の長」より引用しました。


気ままな芸術家


 《気ままな芸術家》のアートに描かれているマークが改革派のシンボル、漏霊塔です。領事府のシンボルをひっくり返して霊気を溢れさせた意匠です。

 今回『カラデシュ』で語られた「発明博覧会」の開催と共に領事府は圧力を増し、霊気の配分制限や規制を強めたことで改革派に賛同する者も増えました。そして領事府と改革派の対立が表面化・活発化してゆくのですが、果たしてこれは一つの世界における政府と反乱勢力との争いというだけで済むのか否か……というのを、私達は見ているわけでして。


4. 注目の物語

 かつて、まあつまりウェザーライト・サーガ時代には「物語のワンシーン」が描かれたカードが非常に沢山存在しました。今では1セットに数枚程度です。少なくなった理由の一つが「プレイヤーは物語の順番通りにカードを見るわけではない」。物語をカードで表現するという所までは良かったものの意図したとおりに受け手へと伝えることができなかった、のでしょう。そのように『アポカリプス』以降は数こそ減りましたが、物語の一場面が描かれたカードは確かに存在し続けてきました。この連載でも色々取り上げてきました、《最高の時》《臨死体験》《ゼンディカーの復興者》……。


揺るぎないサルカン


 ちなみにタルキールブロックの「ラストシーン」を表すカードは明確に存在しないとは思うのですが、私の中では《揺るぎないサルカン》以外にないなと。「自分達は今、真に望んだ世界にいる」。この辿り着いたサルカンこそがトゥルーエンド、そう思いません?

 話がそれました。『カラデシュ』からはカードで物語を伝える新たな試みとして「注目のストーリー」というものが導入されています。具体的にどういうものなのか、公式記事「こぼれ話:『カラデシュ』 その2」から説明を引用しましょう。


 これらのカードは、アートで物語の流れを伝え、多くの場合はフレイバー・テキストでも物語のポイントを強調している。注目のストーリー・カードを順番に見ると、セットの基本的なプロットの大枠がつかめるのだ。『マジック・オリジン』以降、ストーリーの要素をカードに入れる量を増やしているが、注目のストーリーはカードからストーリーをつかめるようにする最新の方法なのだ。


 そしてカード左下に「注目のストーリー」として通し番号がふられて順序がわかるようになっています。イベントでこんなクイズも。


 それではどのくらい物語がわかりやすくなったのでしょう? 五枚の「注目のストーリー」と、それ以外でも明白に物語のワンシーンを描いているカードをメインに据えて『カラデシュ』の物語を辿ってみましょう。


1 《発明博覧会》(「注目のストーリー」1/5)

発明博覧会


 イニストラードでの出来事から三か月。ラヴニカに落ち着いたゲートウォッチを、カラデシュ領事府からの使者ドビン・バーンが訪ねてきた。誰にも言ったことはなかったが、その次元はチャンドラの故郷。両親を失い、プレインズウォーカーとして覚醒してから一度も帰っていない場所。自分から両親を奪った領事府が、今また誰かを弾圧しようとしている。具体的に何をしたいのか、それもわからないままチャンドラは衝動的に故郷へ向かった。そこは発明と創造の祝祭、輝かしい発明博覧会の只中だった。


2 《魔性の教示者》


魔性の教示者


フレイバーテキスト
「あなたの炎がどれほど熱いか思い知らせてやるのよ。」
――リリアナ・ヴェスからチャンドラ・ナラーへ


 チャンドラを追いかけてリリアナもやって来た。賑わう博覧会と街並みを見下ろしながら、迷いを打ち明けるチャンドラへとリリアナは告げる。かつて自分を痛めつけた者達に、その報いを受けさせてやれと。方針は決まった、とは言え改革派に接触しようとするも、伝手も何もないのだった。


3 《領事府による拘禁》(「注目のストーリー」2/5)


領事府による拘禁


フレイバーテキスト
「これはこれは。悪名高いピア・ナラーではないか。」
――テゼレット


 改革派の妨害活動に遭遇する二人。そして混乱に陥る街中、偶然発見した怪しい人物を追跡する。だが改革派と思われたその人物はかつてリリアナと深い因縁を持つプレインズウォーカー、テゼレットだった。そして彼を「審判長」と呼び対峙している改革派の女性は、チャンドラの母であるピア・ナラーだった。互いに十年以上前に死んでしまったと思っていた相手との再会に驚く二人、だが領事府に包囲されてしまう。ピアは娘をかばって領事府へと投降し、チャンドラとリリアナは追い付いてきたニッサと合流して逃走。テゼレットの存在を知ったリリアナは一旦カラデシュを離れ、チャンドラとニッサはかつてのナラー一家の友人であり改革派の仲間、パースリー夫人と再会してピアを解放する方法を探る。


4 《行き詰まりの罠》(「注目のストーリー」3/5)


行き詰まりの罠


 三人は霊基体の紳士ヤヘンニに接触し、ピアはドゥーンド監獄に収監されているとの情報を得る。苦労の末に進入路を見つけるも、それはチャンドラと因縁を持つ領事府の高官バラルの罠だった。かつてチャンドラの紅蓮術によって顔を焼かれた彼は魔法を無力化する牢に三人を捕え、毒ガスを流してゆっくりと殺害しようとする。チャンドラとニッサには勿論、逃げる手段はあった――プレインズウォーカーなのだから。だがパースリー夫人を置いてはいけなかった。


5 《絶妙なタイミング》


絶妙なタイミング


フレイバーテキスト
バラルがチャンドラを捕らえる罠を準備したときには、双頭の斧を持った巨大なレオニンの登場など、想定していなかった。


 ゲートウォッチとは別に、とあるプレインズウォーカーがカラデシュにて活動していた。テゼレットを追うアジャニは以前から改革派と接触していたのだった。カラデシュ次元にレオニンはいないためフード付きの外套と義手でその身体を隠しながら、捕われたピア・ナラーを救い出すべく領事府の監獄へと潜入する。そしてピアは見つからずとも、死に瀕していたチャンドラ達を救い出した。


6 《宿命の決着》(「注目のストーリー」4/5)


宿命の決着


フレイバーテキスト
今宵、大展示場にて、審判長テゼレットと悪名高い改革派ピア・ナラーの対決をご覧ください。

 リリアナからの報告を受け、ジェイスとギデオンもカラデシュへとやって来た。テゼレットが関わっているというのであればゲートウォッチが介入すべき案件だった。ドゥーンドから脱出してきたチャンドラ達と無事合流し、同時に街に流れるアナウンスが彼らの耳に入る。発明博覧会のクライマックスを飾るべく、悪名高き改革派の長ピア・ナラーと発明博覧会審判長テゼレットの対決が催されるというのだ。


7 《劇的な逆転》


劇的な逆転


フレイバーテキスト
「あんたたちの手助けなんて頼んでないわよ、ジェイス。でも、ありがと。」
――チャンドラ・ナラー


 チャンドラ達は大展示へ向かい、ピアとテゼレットの戦いに乱入する。ジェイスの精神魔法でテゼレットの真意を探るのがもう一つの目的だったが、彼はそれを察していたのか防御を張っていた。それでもテゼレットが繰り出す機械兵をゲートウォッチは一体一体と破壊していく。


8 《安堵の再会》


安堵の再会


フレイバーテキスト
長い年月も世界の隔たりも、抱き合う二人にとって障害にはならなかった。


 テゼレットは発明博覧会の閉会を告げ、《領事の旗艦、スカイソブリン》で撤退した。困惑と混乱に陥る観客、だがチャンドラとピアにとってはどうでも良かった。死んだとずっと思っていた家族と、十年以上の時と異なる世界を隔てて再会できたのだから。


9 《慮外な押収》(「注目のストーリー」5/5)


慮外な押収


フレイバーテキスト
「市民の皆さん、抵抗はお止めください。あなた方の安全のためです。テゼレット審判長の命により発明品を押収します。直ちにです。」


 一方その頃、闘技場外では別の混乱が起こっていた。領事府の命令により博覧会への展示品を含むあらゆる発明品が押収されていた。闘技場での戦いを見ていた《サヒーリ・ライ》はゲートウォッチに接触し、友人の発明家《永遠の造り手、ラシュミ》が領事府に連れ去られたと伝える。それを聞いてアジャニが静かに呟いた。「テゼレットは、何かを建造している」と……

 以上です。……すげー。すげーわかりやすいし説明しやすい。書いてみて実感しましたが物語の大筋が、あくまで大筋ですが、これまでにない程わかりやすくなっています。素晴らしいです。


5. 今年もありがとうございました

 この月イチ連載、2016年は今回がラストとなります。相変わらず「マジックで強くなるためには全く役に立たない」ことでは他の追随を許さない連載を続けさせて頂いて本当ありがたい……来年もきちんと続けて行きたいですね。「リマスター」シリーズの方もいいかげん続きを書かなければ。このままのペースだと『アポカリプス』まで5年くらいかかる計算なのでもうちょっとペース上げるべきなんでしょうけれど。果たしてそこまで連載は続いているのか? 私もわからない。


 さて次回は「人物編」としてプレインズウォーカーや現地の人々、それらを物語と絡めて解説したいと思っております。

 ゲートウォッチ!


ゼンディカーの同盟者、ギデオン秘密の解明者、ジェイス最後の望み、リリアナ
反逆の先導者、チャンドラ生命の力、ニッサ


 現地組!


ドビン・バーンサヒーリ・ライ


 審判長&ねこさん!




 以上9人! 物語に関わるプレインズウォーカーがこんなにいるとは。前代未聞の(それこそナイン・タイタンズ以来くらいの)大所帯です。


 それでは良いお年を!

 (終)



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