皆さんこんにちは。
アメリカでは今週末にSCGO Minneapolis、来週末には全米各地でRegional Championshipsが開催されます。さらに再来週はSCG Invitational Season One、そして6月14-17日にはグランプリ・ラスベガス2018が開催されるなど、モダンファンにとっては充実した1ヶ月になりそうです。
さて、今回の連載ではSCGO Baltimore 、SCG Classics Baltimore 、SCGO Louisville、グランプリ・トロント2018の入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCGO Baltimore
Humansがチームの優勝に貢献
2018年05月05-06日
- 1位 Humans
- 2位 Elves
- 3位 GW Company
- 4位 UW Control
- 5位 Jeskai Control
- 6位 BR Hollow One
- 7位 Goryo’s As Foretold
- 8位 UW Control
James Lu, Roshen Eapen, Alexander Ferzola
トップ8のデッキリストはこちら
人気のフォーマットであるチーム構築戦で競われたSCGO Baltimoreは、予想どおり環境のトップメタであるHumansを選択していたチームが多く、Affinityと並んで最多の2日目進出率を記録し、優勝したのもHumansでした。
HumansやAffinityといったアグロデッキが幅を利かせている環境に対抗するかのように、スイーパーや除去を多数採用したUW Control系も復権してきており、特に『ドミナリア』の新カードである《ドミナリアの英雄、テフェリー》を採用したJeskai Controlは要注目です。
SCGO Baltimore デッキ紹介
「UW Control」
3 《平地》
2 《神聖なる泉》
4 《溢れかえる岸辺》
1 《汚染された三角州》
4 《天界の列柱》
1 《氷河の城砦》
1 《秘教の門》
4 《廃墟の地》
-土地 (25)- 3 《瞬唱の魔道士》
-クリーチャー (3)-
3 《血清の幻視》
2 《選択》
1 《糾弾》
3 《マナ漏出》
1 《神聖な協力》
1 《論理の結び目》
1 《スフィンクスの啓示》
3 《謎めいた命令》
4 《終末》
1 《アズカンタの探索》
2 《拘留の宝球》
2 《試練に臨むギデオン》
3 《精神を刻む者、ジェイス》
1 《ギデオン・ジュラ》
-呪文 (32)-
Andrew Davisのリストは現環境でよく見られるUW Controlと少し異なっています。相手のマナ基盤を妨害しつつドローする《広がりゆく海》が不採用で、除去が多く、Humansのようなアグレッシブなデッキをメタった構成です。
スイーパーも《至高の評決》ではなく《終末》が採用されており、モダン版のMiraclesのようです。
☆注目ポイント
メインからフル搭載されている《終末》は、さすがに《渦まく知識》や《思案》が使えるレガシーのようにはなりませんが、《選択》、《アズカンタの探索》、《血清の幻視》、そして最近解禁された《精神を刻む者、ジェイス》の恩恵でモダンでも「奇跡」を誘発させやすくなっているようです。
《至高の評決》よりも優先されている理由として、「奇跡」を仕込んでインスタントタイミングに1マナでキャストすることができる、という点はもちろんですが、BR Hollow Oneのように《炎跡のフェニックス》や《恐血鬼》といった墓地から復活してくるクリーチャーを採用したデッキが流行っていることも挙げられます。HumansもUW Controlと見れば《翻弄する魔道士》で《至高の評決》を指定してくることも考えられますし、《カマキリの乗り手》のような速攻クリーチャーに対応できるのもポイントです。
《神聖な協力》や《糾弾》といった軽いインスタントの除去も採用されているので、速いクリーチャーデッキに対してはさらに有利になります。
《広がりゆく海》が不採用なので、サイドに《減衰球》が採用されてはいますが、Tronとのマッチアップはきつくなりそうです。
HumansやBR Hollow One、Affinityといった速いアグロデッキが多い現環境に合わせて構築されており、コントロールのお手本のようなリストです。
SCG Classics Baltimore
Humansが圧倒的な強さを見せる
2018年05月05-06日
- 1位 Humans
- 2位 Affinity
- 3位 Titan Shift
- 4位 GR Tron
- 5位 Affinity
- 6位 BR Hollow One
- 7位 Titan Shift
- 8位 Humans
Roger Carroll
トップ16のデッキリストはこちら
SCGO Baltimoreと併催されたSCG Classics Baltimoreでは、MOCS Playoffが開催された後ということもあり、優勝したHumansのリストはPlay OffでHareruya Prosの津村 健志選手が使用し、見事に優勝を果たしたリストを参考にしたようで、サイドに採用された2枚の《戦争の報い、禍汰奇》、《オーリオックのチャンピオン》、《イゼットの静電術師》、《再利用の賢者》といったカードが見られます。
他にはTitan ShiftやTronといった土地コンボも、色を足すなどの工夫をしており、復権の兆候が見られます。
SCG Classics Baltimore デッキ紹介
「GR Tron」
4 《燃え柳の木立ち》
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《ウルザの塔》
1 《ウギンの聖域》
-土地 (19)- 3 《ワームとぐろエンジン》
1 《世界を壊すもの》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
-クリーチャー (6)-
モダンのメタは現在Humans、Affinity、BR Hollow Oneといったアグロデッキが幅を利かせており、それに対抗するために除去を大量に採用したJeskaiのようなコントロールデッキも見られるようになりました。
Jeskai、Jundといったトップメタに位置するクリーチャーデッキを狙ったデッキに対して相性が良いのは、Tronを始めとした土地コンボが挙げられます。このタイプのデッキは少ないターンでマナを大量に出し、《解放された者、カーン》のようなパワーカードを高速展開するので、他のデッキと軸が異なります。《稲妻》を始めとする軽い単体除去の効果が薄く、カウンター呪文も《世界を壊すもの》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といったキャストした際に能力が誘発するエルドラージスペルの前ではあまり意味を持ちません。
☆注目ポイント
今大会でトップ4入賞を果たしたDan McCaulleyのリストは、他のリストでは見られないイノベーションがいくつか見られました。まず目を引くのは、メインから採用されている《真髄の針》と《自然の要求》です。
Humansの《霊気の薬瓶》、Affinityの《頭蓋囲い》、各種ミシュラランド、プレインズウォーカーといったように、環境に存在する多くのデッキは何かしらの起動型能力を持つカードを採用しているので、《真髄の針》は腐りにくいカードです。《自然の要求》も《霊気の薬瓶》、Affinity、UW Controlの《広がりゆく海》、《アズカンタの探索》、MarduやBlue Moonでメインから採用されている《血染めの月》、GW Hexproofなど、対象に困ることは少なく、Burnのようにライフを攻めてくる相手に対しても自分の《彩色の星》といったカードを割ることでライフゲインできるので、メイン採用も納得です。
赤をタッチすることで、メインの《コジレックの帰還》、サイドの《稲妻》が使用可能です。軽い除去やスイーパーを使えるようになり、苦手なアグロデッキとの相性が緩和されています。《血染めの太陽》はTronのマナ基盤を破壊せずに《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》やフェッチランドを対策できるエンチャントで、キャントリップも付いているので使いやすく、《コジレックの帰還》などと同じく、赤を足すメリットの1つです。
クリーチャーのETB能力を封じる《倦怠の宝珠》によって、Humansの妨害要素である《帆凧の掠め盗り》や全体強化の《サリアの副官》はただの小型のクリーチャーと化し、これ1枚でデッキ全体を著しく減速させ、動きを封じることに貢献します。
SCGO Louisville
ミッドレンジフェアデッキの隆盛
2018年05月19-20日
- 1位 Mardu Pyromancer
- 2位 Jeskai Control
- 3位 GW Hexproof
- 4位 Jeskai Control
- 5位 Humans
- 6位 UR Gifts Storm
- 7位 Jund
- 8位 Jund
Marshall Arthurs
トップ16のデッキリストはこちら
ここ最近のSCG TourやMOCS Playoffで猛威を振るったHumansに対抗するかのように、Jund、Mardu、Jeskaiといった軽い除去やスイーパーを多数積んだミッドレンジ、コントロールデッキが増加しました。特にJeskai Controlは惜しくも優勝こそ逃したものの、今大会でもっとも優秀な成績を収めたデッキの1つです。
単体除去に耐性があるGW HexproofはHumansとの相性が悪くなく、今大会のようにHumansや各種ミッドレンジが中心のメタでは有力な選択肢の1つとなります。
SCGO Louisville デッキ紹介
「Mardu Pyromancer」「Jeskai Control」
プロツアー『イクサランの相克』でGerry Thompsonが準優勝という好成績を残し、一気に知名度を上げたMardu Pyromancer。その後はたまに見かける程度でしたが、元々Humansと相性が良いとされていたアーキタイプで、Jund、Jeskaiのような他のミッドレンジやコントロールに対しても《未練ある魂》、《騒乱の歓楽者》といったカードによるアドバンテージで有利なため、再評価されたアーキタイプです。
ミッドレンジにとって相性が悪いマッチとされているTronに対しても、メインから《血染めの月》を採用しているので絶望的な相性にはならず、苦手なBurnもメインから採用された《集団的蛮行》のおかげで良い勝負になります。
☆注目ポイント
Jundと似たミッドレンジとしてカテゴライズされているMarduですが、黒緑系のミッドレンジにはないアドバンテージエンジンが含まれています。
《信仰無き物あさり》は本来ならカードアドバンテージを失う手札交換ですが、《騒乱の歓楽者》のコストダウンのために墓地を肥やします。
「フラッシュバック」を持つ《未練ある魂》もあるので、無駄なカードを有効碑に変換することができ、このデッキでは優秀なドロースペルとして扱えます。除去と妨害スペルで1対1交換をしつつ、《信仰無き物あさり》で手札を整え、《騒乱の歓楽者》でアドバンテージの差を広げることが理想の動きとなります。
《稲妻》や《致命的な一押し》といった軽い除去に恵まれているのも赤黒を使うメリットで、《コラガンの命令》のようにアーテイファクトに触る手段もあります。《コラガンの命令》は《若き紅蓮術士》や《騒乱の歓楽者》を使い回すことで、さらにアドバンテージを稼ぎます。
このデッキでは、墓地のスペルカウントのために除去を積極的に使っていくことが重要であり、Burnのように《稲妻》を相手本体に撃つ、という選択肢も十分あり得ます。墓地を肥やすことで《騒乱の歓楽者》をキャストしやすくなってアドバンテージも取り返せますし、《若き紅蓮術士》が居れば横にも並ぶので、相手にとってはかなりのプレッシャーとなります。
Humansに採用された《スレイベンの守護者、サリア》との相性を考慮したようで、墓地を肥やしつつデッキの回りをスムーズにする役割であった《魔力変》の採用は見送られています。数は減らしたもののTronを始めとした土地コンボや、今大会で活躍していたJeskaiのように多色の特殊地形に頼ったデッキに効果的な《血染めの月》もメインから採用されています。
このデッキにとって絶望的なまでに相性の悪いGW Hexproofに対抗するため、サイドに《罠の橋》が採用されています。このデッキでアタッカーを務めるトークンのパワーは低めなので、自分が受ける影響は少なく、GW Hexproofはアーテイファクト対策カードを引くまで何もできなくなります。コンボデッキも苦手なマッチアップとなるので、《配分の領事、カンバール》や墓地対策も兼ねた《外科的摘出》がそれぞれ3枚ずつと多めに採用されています。
インタビュー: Jonathan Hobbs – Jeskai Control
今大会で期待の新カードである《ドミナリアの英雄、テフェリー》を採用したJeskai Controlを使用し、見事に準優勝したJonathan Hobbsにお話しを伺うことができました。
――「なぜ、Jeskai Controlを使うことにしたのか聞かせてくれる?」
Jonathan「Jeskaiは使い慣れているデッキなんだ。特にHumansに強いから、現在はメタ的にも有利なポジションにあると思って、今回使うことにしたんだよ」
――「なるほど。たしかにJeskaiはクリーチャーデッキに強いから、HumansやAffinityが多い環境ではポジション的にも良さそうだね。『ドミナリア』がリリースされてから《ドミナリアの英雄、テフェリー》を採用したリストを良く見かけるようになったけど、使ってみた感想を聞かせてくれる?」
Jonathan「《ドミナリアの英雄、テフェリー》はすごく強かったね。Jeskaiは《血染めの月》のようなエンチャントをうっかり通してしまって負けることがあったんだけど、《ドミナリアの英雄、テフェリー》はそういった置物に対する解答にもなる。ゲームをコントロールしてから勝ちにいくまでの時間を短縮してくれるんだ。土地をアンタップすることでマナ・アドバンテージが得られるから、相手にとってはこのプレインズウォーカーを対策することが難しい。カードアドバンテージを稼ぎつつ、カウンターや除去のためにマナを立てて、最終的に奥義を発動すればほぼ勝ちだよ。能力を起動した返しに《大渦の脈動》などであっさり退場させられる《精神を刻む者、ジェイス》よりもずっと強いプレインズウォーカーだね」
――「あの《精神を刻む者、ジェイス》を超えるプレインズウォーカーが現れるとは思わなかったけど、たしかに《精神を刻む者、ジェイス》は速すぎるモダンの環境には合わなくて、ドローしつつ土地も起きるから構えやすく厄介なパーマネント対策になる《ドミナリアの英雄、テフェリー》の方が使いやすそうだね。3枚目の《アズカンタの探索》の枠に採用されている追加のプレインズウォーカー、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は使ってみてどうだった?」
Jonathan「《アズカンタの探索》を3枚採用するのは少し多すぎると感じていたんだ。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を追加のプレインズウォーカーに選んだ理由は、盤面に影響を与えるカードが欲しいと思ったからだよ。コストに見合った働きをしてくれたね。Tronに対しては追加のクロックを展開できるし、Boglesに対しても役に立ったね」
――「追加のプレッシャーを用意できるのは、Tronに対しては特に重要だね。トークンを生成して自分を含めたプレインズウォーカーを守れる《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は、たしかに理に適った選択だと思うよ。Tron対策として話題になっていた《減衰球》についてはどう思うか聞かせてくれる?」
Jonathan「《減衰球》を不採用にしたことについては色々な人から質問されたよ。試してみた結果、《アズカンタの探索》という対象があるから、Tron側は《自然の要求》をサイドインしてくる。だから、Tronに対しては言われているほど強くなくて、仮に2ターン目に置けたとしても、クロックが遅いJeskaiでは減速させる能力を活かし切るのは難しい。Tronはマナ加速がなくてもパワーカードを普通にキャストしてくるから、序盤からプレッシャーをかけられる《瞬唱の魔道士》と《ヴェンディリオン三人衆》の方が重要なカードなんだ」
――「そういった意味では、他のマッチでも使える《軽蔑的な一撃》が使いやすそうだね」
Jonathan「そうだね。あまり対象は多くないけど、重要なスペルを打ち消せるからミラーマッチでも使えるよ」
――「決勝で対戦したMarduとのマッチアップについて教えてもらえる?」
Jonathan「優勝したMarshall Arthursには、スイスラウンドでも負けているんだ。《血染めの月》や《未練ある魂》のようにこのデッキにとってキツイカードが多く、様々な角度から攻めて来るから相性はかなり悪いと思う。今のところこれといった対策は思いつかないんだけど、トークンを対策できる《イゼットの静電術師》ぐらいかな?」
――「なるほど。では、最後の質問だ。今回のデッキリストで変更したい箇所はある?」
Jonathan「《残骸の漂着》と《悪斬の天使》あまり強くなかったから、今後ミラーマッチが増えるなら《聖トラフトの霊》を採用したいね。《悪斬の天使》はサイド後に除去を減らしてくる相手には強かったけど、最近は相手もそれを見越して除去を残してくるようになった。例えばTodd Stevensとのマッチアップでは、彼は《流刑への道》を残していた。もし今後追加のフィニッシャーを採用するなら、《血染めの月》を張られてもキャストできる《嵐の息吹のドラゴン》、《雷口のヘルカイト》、《栄光をもたらすもの》あたりが候補かな」
――「スピリット・トークンを一掃できて、速攻も付いている《雷口のヘルカイト》はMarduにも強そうだね」
Jonathan「そうだね。それぞれ一長一短があるけど、《雷口のヘルカイト》の優先順位は高い方だよ」
――「なるほどね。今回はインタビューに協力してくれてありがとう!」
あの《精神を刻む者、ジェイス》よりも優先して採用された《ドミナリアの英雄、テフェリー》の強さは予想以上で、筆者は5マナという重いコストに気を取られて『ドミナリア』のカードの評価では見事に外してしまいましたが、カードアドバンテージとマナアドバンテージを得られるプレインズウォーカーは、Jeskaiが最も欲しかった逸材と言えるでしょう。今回インタビューに協力してくれたJonathanのトーナメントレポートとサイドボードガイドが、後日、Card Knock Lifeで掲載される予定とのことなので、気になる方はぜひチェックしてください。
グランプリ・トロント2018
安定のHumans
2018年05月19-20日
- 1位 Humans
- 2位 Jeskai Control
- 3位 Mardu Pyromancer
- 4位 BR Hollow One
Lucas Siow, Chris Harabas, Morgan McLaughlin
トップ4のデッキリストはこちら
SCGO Louisvilleと同様に、環境のトップメタのHumansと、除去を大量に搭載したJeskaiやMarduのようなミッドレンジ、コントロールが勝ち残っていました。
《精神を刻む者、ジェイス》を超える逸材と噂されていた《ドミナリアの英雄、テフェリー》の強さは、トッププロであるSeth Manfieldも認めています。グランプリで結果を残したことから、今後のモダンの青いフェアデッキの主力として活躍することが予想されます。
マークが厳しくなってきたものの、最後まで勝ち残ったのはやはりHumansでした。妨害要素を持ち合わせたクリーチャーによるクロックは生半可な対策では容易に突破されてしまうので、Jeskaiのように軽い除去とスイーパーを多数採用するか、《罠の橋》のようにクリーチャーを無力化する手段を用意するのが得策です。
グランプリ・トロント2018 デッキ紹介
「Humans」
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《手付かずの領土》
4 《地平線の梢》
2 《金属海の沿岸》
-土地 (19)- 4 《教区の勇者》
4 《貴族の教主》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《サリアの副官》
4 《翻弄する魔道士》
4 《幻影の像》
4 《反射魔道士》
3 《スレイベンの守護者、サリア》
4 《カマキリの乗り手》
1 《ケッシグの不満分子》
1 《修復の天使》
-クリーチャー (37)-
2 《凶兆艦隊の向こう見ず》
2 《戦争の報い、禍汰奇》
2 《イゼットの静電術師》
2 《再利用の賢者》
2 《罪の収集者》
2 《はらわた撃ち》
1 《四肢切断》
-サイドボード (15)-
人間の部族シナジーを利用した強化や、《スレイベンの守護者、サリア》、《帆凧の掠め盗り》、《翻弄する魔道士》といった妨害要素を内蔵したクリーチャーも豊富で、ほぼクリーチャーオンリーの部族アグロとは思えないほどの干渉力を持ちます。ストームやコンボとのマッチアップは、ハンデスと妨害スペルを多数搭載したJundよりも有利に感じられるほどです。シナジーに頼らずとも《カマキリの乗り手》は3/3、飛行、警戒と単体でも十分に強く、《幻影の像》でコピーすれば、さらにクロックを強化することができます。
JeskaiやMarduといった軽い除去や、スイーパーを多数搭載したミッドレンジとコントロールも増加傾向にあり、Humans対策は厳しくなっていますが、SCG TourやMOCS Play Offでも結果を残し続けながら今大会でも優勝を果たし、安定した強さを見せています。圧倒的な速度と豊富な妨害手段が、環境のベストデッキとされている理由です。
☆注目ポイント
《修復の天使》はJeskaiなどの単体除去を多用するデッキ対策になり、追加の回避能力を持ったクロックとしても優秀で、《翻弄する魔道士》を対象にすることで指定を変更したり、《反射魔道士》や《サリアの副官》の能力を再利用したりと、4マナと少し重いながらも優秀なクリーチャーです。
サイドの《はらわた撃ち》は、ミラーマッチで相手の《貴族の教主》を除去して減速させることが可能で、Affinityに対しても効果的な除去になります。ファイレクシア・マナはライフでも支払えるので、マナを用意する必要がなく、クリーチャー以外のスペルをキャストするのが難しいこのデッキでも無理なく運用できる、数少ない除去スペルです。
《オーリオックのチャンピオン》は(赤)と(黒)の「プロテクション」を持つので、《稲妻》、《致命的な一押し》、《終止》、《稲妻のらせん》、《大渦の脈動》、《戦慄掘り》といった環境に存在する多くの除去に耐性があり、《グルマグのアンコウ》も止められるので、フェアデッキ全般に強いクリーチャーです。
Affinityだけでなく、最近はLantern ControlやIronworks Comboのようなアーティファクトを使ったコンボデッキやコントロールも見られるようになったので、《戦争の報い、禍汰奇》が2枚と多めに採用されるようになりました。最近は《ヴィティアの背教者》よりも、エンチャントに触ることができる《再利用の賢者》が優先されており、GW Hexproofとの相性もわずかながらに緩和されています。
総括
Humansはすべてのモダンの大規模な大会で入賞しており、グランプリやMOCS Playoffのようなハイレベルな大会でも優勝していることから、環境のベストデッキと見て間違いないでしょう。
HumansだけでなくAffinityのような速いアグロデッキが強い環境なので、現環境では軽い除去が欠かせません。MarduやJeskaiといったデッキはHumansに強いデッキですが、そこまで大きな差はないので、除去の枚数は削らない方が良さそうです。
Humansのような明確なベストデッキが存在する環境ですが、「エルドラージの冬」のように支配的というわけではなく、様々なデッキにチャンスがあるフォーマットであることは変わらないようです。
以上、USA Modern Express vol.15でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!