あなたの隣のプレインズウォーカー ~第62回 その名はアゾール~

若月 繭子

小説『Ravnica: City of Guilds』(発行:2005年9月) チャプター2より抜粋・訳

「一つの契約を。集団の自主性とその独立した領分を尊ぶ単純明快な制度を――それぞれに、望むままの王国を。そして各集団がこの新たな、一つのラヴニカの存続に必要不可欠なものを担おう。私、アゾールはこの終わりなき戦の両軍とともに、ただの文書に留まらぬものを制定した。我らパルン、指導者らが血の署名を交わしたなら、その魔法はラヴニカが続く限りの平和を確かとする。我が友よ、敵よ、これがギルドパクト」

スフィンクスの命令

 ………ようやく会えましたね!

 こんにちは、若月です。今年もよろしくお願い致します。

 物語で「何だかこいつの気配があるぞ……」というキャラクターが次のセットで華々しくカード化、という展開はこれまでにも数度ありました。記憶に新しいところではタルキールでのウギンイニストラードでのエムラクールですが、これはいつもわくわくする演出です。また、今でこそ「過去の小説や設定のみに登場していたキャラクターがカード化」というのは珍しくなくなりましたが、だいたい『統率者』シリーズに限られていました。それが今回は通常セットに登場! そして過去の情報を引っ張り出して語らずにはいられないのが私なのです。こういうのを掘り下げるのは本当楽しくてね!

 というわけで。今回は初登場から12年少々の時を経て『イクサランの相克』でカード化、アゾールの歴史を辿りつつ、私がいかに「やられた」かを解説します。

1. 旧ラヴニカのアゾール

 冒頭に紹介した台詞、実はアゾール本人のものではありません。小説『Ravnica: City of Guilds』序盤にて「ギルドパクト成立という歴史的事件を再現する演劇」が上演されており、その場面からの抜粋になります。以前にも書いたようにラヴニカではそういった史実を元にした演劇がポピュラーな娯楽のようで、《演劇の舞台》はまさにそれを表現していると思われます。

演劇の舞台

 こちらでは『ラヴニカ:ギルドの都』のクライマックスである《ウォジェクの古参兵、アグルス・コス》《秘密の王、ザデック》の対決が上演されています。フレイバーテキストによればこれは「悲劇に書き換えられた」のだそうだけど、我々の次元で言う歴史小説やドラマのように様々な解釈で語られているのでしょうね。つい最近《Amateur Auteur》なんてカードも登場、これは『ドラゴンの迷路』クライマックスが早くも劇になってるんだな……と思ったら絵違いで他の次元の劇もあるって。ラヴニカ次元のカードってわけじゃないのね?

Amateur Auteur

 銀枠については深く考えない方が良いのは確か。けれど「ラヴニカの劇」ということで最初の印象がすごくしっくりはまりすぎたのでどうしても追及したくなってしまいます。あと何で能力が完全に黒枠仕様なのかも謎。

 いきなり話が逸れてすみません。そしてギルドパクト成立の演劇において、アゾールは年老いた人間男性として登場していました。少なくとも人間の役者が演じていました。この連載第20回、『ラヴニカへの回帰』ブロックまとめにてアゾールについて説明した際に「人間の男性」と書いたのはここからです。

あなたの隣のプレインズウォーカー 第20回より抜粋

■「暗黙の迷路」を仕組んだアゾール一世とは何者だったの?

アゾリウス評議会の創設者、最高判事アゾール一世。その名前だけは旧ラヴニカブロックから出ていました。一万年前、ギルド間不戦協定魔法であるギルドパクトのほとんどを記した人間の男性です。この魔法によってラヴニカの十のギルドは時に小競り合いをしながらも、おおむね悠久の平和を享受してきました。

 ちなみにカードでは《アゾリウスの霊気魔道士》フレイバーテキストにアゾールの名が言及されていました。

アゾリウスの霊気魔道士

《アゾリウスの霊気魔道士》フレイバーテキスト

彼女の魔力球のひとつの中には、アゾールの時代からのあらゆる霊気の扱いの記録が縛り付けられている。

 そして第60回で書いたように、アゾールは「ラヴニカの外の世界やそこから来る者」の存在を知っており、それを後継者へと伝えていました。ですが当時この事実は特に注目されなかったように記憶しています。今でこそこう説明されればプレインズウォーカーの影がちらつきますが、『ラヴニカ:ギルドの都』ブロックは2005-2006年。プレインズウォーカーのカード化はまだ先のことであり、今ほど物語中で強く意識される存在ではありませんでした。当時は大修復前、彼らは不老不死にして全能の力を振るっていた時代です。あまりに万能すぎるキャラクターは逆に動かしづらいもの。『インベイジョン』ブロックで語られたファイレクシアの侵略にこそ多くのプレインズウォーカーが関わり、また多くが死亡しました。ですがそれ以降の物語へと積極的に関わらせるには力が大きすぎたのだと思います。

 さて、ラヴニカの十のギルドにはそれぞれ創設者がおり、「パルン」と呼ばれています。《パルンズの柱》《パルンズの剣》パルンズ/Parunsとはつまりパルン/Parunの複数形。

パルンズの柱パルンズの剣

《パルンズの柱》フレイバーテキスト

その塔は、かの十名がギルドパクトに署名したその地に立てられ、過去の記念碑であると共に、現在の権力の所有者を示す役割を担っている。

 ギルドパクト成立は一万年前、ですが今も生き続けている長命のパルンもわずかに存在します。『ラヴニカへの回帰』時点ではラクドス(ラクドス教団)ニヴ=ミゼット(イゼット団)、旧作ではラジア(ボロス軍)ザデック(ディミーア家)も存命でした。物語に深く関わっている者もいれば、名前が言及されていただけというパルンもいます。アゾールの登場は上述した演劇の場面でのみ、そして旧作小説各章の冒頭に時々ギルドパクトの実際の文章が載っていたくらいでしょうか。少なくとも旧作ではそれほど大きな存在感はなかった……と思います。

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2. ラヴニカ回帰のアゾール

小説「Dragon’s Maze: The Secretist, Part Three」より抜粋・訳

「アゾールこそ法の体現、私よりも遥かに。その判決を不服とするなかれ」

 これは「回帰」ブロックでのアゾリウスのギルドマスター、イスペリアの言葉です。旧ラヴニカから名前だけは出ていたアゾールですが、その存在が強く意識されるようになったのは「回帰」からでした。一部は第20回とかぶる内容ですがもう一度説明させて下さい。

 ギルドパクト、魔法であり文書であり契約であるそれが崩壊したことで各ギルドの事情や構成も大なり小なり変化しつつ、それでも十のギルドがラヴニカを動かす時代。いつしかラヴニカ第十地区(中心街)各所に謎めいた印が現れているのが発見されました。それはマナの力線となって三次元的に伸び、全ギルドの支配地区を通ってアゾールの公会広場にて終わっていました。そこは全ギルドの中立地帯、活気溢れる広場です。

発掘された道しるべ迷路の終わり

 その謎を巡るのはジェイス、イゼット団、ディミーア家。そこにセレズニアやラクドスといったギルドの思惑も絡み合います。やがてその力線の流れは「暗黙の迷路」と呼ばれるようになりました。これは何のために現れたのでしょうか? そこは物語中盤を過ぎたあたりでニヴ=ミゼットとラル・ザレックが読者にもわかりやすく説明してくれていました。

小説「Gatecrash: The Secretist, Part Two」より抜粋・訳

「うむ、だがイゼットのように考えるでない。製作者のように考えるのだ。我等は迷路の秘密を調査し、多くの経路を試みた。だが何もなかった。何故ならば迷路は我等の探究、実験、才を試すためのものではないからだ。それを作り上げた者は、我等のようにそういったものに価値をおかなかった。迷路は、他の何かを試すものなのだ」

直観の稲妻がラルの脳裏に走った。ニヴ=ミゼットの言葉が真実ならば、暗黙の迷路はラヴニカ最高の魔道士やギルドを称えるためのものではない。そしてそれは、ただ適切な時に発見されるために設置されていた。

「今、私達が迷路の兆候を発見した理由は一つ。それはギルドパクトに関係しているからです。ギルドパクトが消失した際に出現するように作られた。つまり……迷路はある意味、装置です。ギルドパクトの途絶によって起動する、安全装置なんです」

ドラゴンは誇らしく胸を膨らませた。「いかにも。我が結論も同じだ」

「では……迷路はギルドパクトと同様に古いものに違いありません。創設者の頃にまで遡るほどに」

「そなたが発見した暗号によれば、アゾリウス評議会の創設者アゾールだ」

アゾリウス。法と論理のギルド。法こそ秩序の基盤となる、そう信じる者。そして迷路はアゾールの公会広場にて終わっていた。

「アゾリウスによって作られたのであれば……迷路は我等の才を査定するためのものではない。真に解明するには、別の何かを試す必要があろう。アゾールが重きをおくであろう何かを」

勿論、古のアゾール、アゾリウス評議会の創設者は、平和的協調の雰囲気を育もうとしたのだろう。

竜英傑、ニヴ=ミゼットラル・ザレック

 この後、ニヴ=ミゼットは全ギルドへ向けた演説を行い、「迷路レース」の開催を宣言します。この場面がまたかっこよかったのですよ……ラクドスとセレズニアとグルールとボロスが一触即発の空気、そこに現れて全てを黙らせるドラゴンの映像、有無を言わせぬ存在感と熱い演説。ちなみにラルがその魔法的プロジェクター機器を操作していました。しかしよく考えてみると、ニヴ=ミゼットはアゾールと面識があるはずなんですよね。一万年前にギルドパクトへと署名をしたのですから。「暗黙の迷路」の存在を知った段階ですぐ心当たりに行きついたのでは? まあ推測ですけれど。

 そしてこの少し後、ジェイスはアゾールの公会広場にて迷路の管理人らしき存在、アゾールが残した思念体的なものと接触して情報を得ました。走者全員が完走し、全員が勝利したならば最も相応しい者がギルドパクトを起動する、ただし以前のそれとは異なる形で。そして達成できなければ、「アゾールの至高の評決」が下される。そこに秘められたものは深く大きい、次元規模の力だとジェイスは感じました。

至高の評決

 カード名は《至高の評決》ですが「アゾールの至高の評決/Supreme Verdict of Azor」が物語での正式名称のようです。この評決が下されたなら何が起こるのか、というのはこのときは語られていませんでした。ですがカードを知る我々にその恐ろしさは一目瞭然、これは上手い表現ですよね。

 ついでに、このフレイバーテキストに登場しているレオノスという人物についてはあまり知られていないので少し説明しましょう。彼は《アウグスティン四世大判事》《至高の審判者、イスペリア》の間にアゾリウスのギルドマスターを務めていた人物です。そして公式ウェブサイトのコラム「Card of the Day」2013年8月分に追加情報がありました。ページ中央付近、《至高の評決》の項目を翻訳します。

「Card of the Day」2013年8月分より引用

レオノス、別名オビーズ・マルゼディ、前ギルドマスターにしてアゾリウス最後の大判事は七十歳程の人間男性です。その権力がアウグスティン四世のような腐敗を招いたとして、彼は長命の存在へと地位の譲渡を試みました。その努力の甲斐あって、イスペリアは最高判事の座に就くことに同意したのです。

 これを初めて読んだときはひっくり返りました。知ってる、私その人知ってるよ! 小説『Dissension』で幽霊のアグルス・コスに身体を貸していたアゾリウスの役人さんだよ!! そんな偉くなってたの!!! 小説のみに登場の割と脇役キャラクターがこんなところに、と心底驚きました。

 さて『ドラゴンの迷路』終盤のこと。走者全員が迷路を駆け終え、辿り着いたアゾールの公会広場。走者全員が他のギルドを憎み争うその様子を見た迷路の管理人は、「至高の評決」の力を全員へと与えました。街を破壊し尽くす力を……そして全員がその力を振るおうとしていました。その様子を見たジェイスは、直ちにやるべきことを悟りました。止めるには、全員が互いの声を聞き、理解し合わなければいけない、だがそのとき彼らの誰一人として聞く耳は持っていませんでした。ジェイスはその精神魔術を拡張し、走者全員の心を繋ぎ、自身を橋として全員の魂の奥底を見せ、希望と信念からなる一つの輪を作り上げました。そしてこの行いが迷路に認められ、ジェイスはギルドパクトの体現となったのでした。

小説『Dragon’s Maze; the Secretist part three』より抜粋・訳

「君、ジェイス・ベレレンは、ギルド間の契約の生ける顕現となった。君がギルドパクトなのだ」

「どういうことです?」

「君は十のギルドの視点を理解し、調停者としての力を示した。かくして、かつてのようにギルドが対立したときには法の規定がそれを調停する。かつてと違うのは、君がその法だということだ」

「無理ですよ」

「無理ではない、君がそうなのだ」

「でも俺は……俺はこの世界の者じゃないんです」

「アゾールもそうだった。だがあの方の査定においてそれは重要ではない」

 そして管理人がさらっと言ってくれたこれ。初めて読んだときには「そういうことかよ!!!」ってなりました。でも冷静になってよくよく考えてみよう、アゾール一世は、

 そしてラヴニカ出身ではない……こんな人はもう、いわゆる旧世代プレインズウォーカーなのでは? もちろん、旧作当時から設定されていたのかどうかは判りません。プレインズウォーカーだと断定されたわけでもありませんでした。それでも「凄く納得がいった」のは事実でした。

 その後、アゾールについてはMagic Story内でも時々言及がありました。生けるギルドパクトとしてラヴニカで働きながら、ジェイスはその影響や力を感じていたのでしょう。中でも熱いのは『ゲートウォッチの誓い』の物語にて、ウラモグとコジレックを倒す作戦を仲間に語る直前に祈った言葉。

公式記事「滅亡の瀬戸際に」より引用

『アゾール、力を貸してくれ』『俺はこの英雄達と、契約を交わしたんだ』

 まるで……契約の神様へと加護を願うかのように。ギルドパクトという契約魔法の体現となったジェイスは「誓いを立てる」ことがいかに重く大切かを実感しており、だからこそもう戻れない道を進む前にこう願ったのだと思います。

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3. イクサランのアゾール

この先には2018年1月初旬発売の書籍『The Art of Magic: the Gathering: Ixalan』(以下「イクサランアートブック」と表記します)を資料とする「ネタバレ」が含まれていることをご了承下さい。

 そして時は流れてMagic Story『イクサラン』編 第1話「孤独のジェイス」。記憶喪失になったジェイスが無人島でサバイバル、というおもしろさしかない展開の中、一つの謎めいた事実が明らかになりました。イクサランからはプレインズウォークでの脱出がどうやら不可能である、と。

イクサランの束縛アゾリウスの印鑑

 この、《イクサランの束縛》に描かれた円と三角形の紋様はアゾリウスのギルドシンボルに似ているような? とは当初から多くの人が気付いていました。ここで引っかかったのは、過去の情報を探ると関係ありそうな要素がいくつも出てくるという点でした。

 ……これはちょっと、偶然と考えるには心当たりがありすぎやしないか? と、世界中で「背景世界ガチ勢」の多くがアゾールの存在に行きついていました。私も第60回でかなり真面目に考察しました。繰り返しますが書いた当時は本当に知らなかったんですよ! 一方、メインキャラクターはラヴニカと縁が深いので何か言及してくれるかと思いきや、記憶を失っていたジェイスは当然わかるはずもなく、またヴラスカが気付いたかどうかは話中での記述はありませんでした。まあ我々はアゾールの背景を知っていたからこその心当たりであって、知らなければわかりませんものね。

 そして2017年10月末にストアチャンピオンシップの賞品についての記事が公開されると、話題に上ったのは優勝賞品であるイクサラン大陸の地図プレイマットよりもむしろ、トップ8に配布されるデッキボックスの方だったかもしれません。

 スフィンクス。数こそ少ないながら、決して珍しい種族ではありません。ですが少なくとも『イクサラン』にスフィンクス・クリーチャーは存在しませんでした。また薄暮の軍団の伝承で「不滅の太陽」を持ち去った「翼ある獣」、そして川守りに不滅の太陽を託した「最後の守護者」、これは同一存在だと明言がありました。翼ある獣……スフィンクスという種族が知られていないのであればそう呼ばれるのは理にかなっています(ちなみにボーラスは約60年前まで死亡していたため早々と候補から外れていました)。それだけではなく、最近のプレイヤーにとってスフィンクスと言えば何といっても《スフィンクスの啓示》……アゾリウスの呪文。このスフィンクスの胸には見覚えのある三角と円、そして青と白を基調として円形の宝玉が据えられた重量感のある金属鎧はまさしくアゾリウスのデザインに思えました。

プラーフの聖騎士アゾリウスの拘引者第10管区のラヴィニア

 で、当然私も思ったのですよ。ちょっと待てこれアゾールだとしたら人間のはずじゃ?

 ……………………。

 そうだ。

 旧世代プレインズウォーカーだと仮定していた。

 旧世代プレインズウォーカーなら外見はどうとでもなる (※参考) じゃないか!!

 長年マジックの背景世界を追いながら、様々な設定を考察してきました。ですが今回ここまで思考が至ったときの「ちくしょうやられた!!!」感は近年随一でしたよ! この《イクサランの束縛》にしろスフィンクスにしろ、伏線の張り方というか、受け取る側の「心当たり」をつついてくる展開が本当うまくて私たちはああだこうだ議論を交わすわけです。この踊らされている感が悔しくも楽しくってたまらない!

 そんなふうだったので、私は『イクサランの相克』であのスフィンクスの正体が判明する日を心待ちにしていました。まあ最も気になっていた(いる)のはジェイスとヴラスカの行く末なのですが。そうしましたら先行して《スフィンクスの命令》、そしてまもなく本人も!

法をもたらす者、アゾール

 プレインズウォーカーじゃない! とはいえ実際にカード画像を見たときは、あまりの「アゾリウスっぽさ」に笑いました。2色ダブルシンボルはラヴニカギルドマスターの証、そして《スフィンクスの啓示》誘発て! よくよく考えるにマナコストでその世界の個性を主張する、って凄いことですよね。五色のマナは多元宇宙の普遍法則なのに。

 そしてプレインズウォーカーと思いきやそうでなかった理由は、イクサラン次元概略ページから「伝説のクリーチャー」の項目で説明されました。そのまま引用します。

法をもたらす者、アゾール

ラヴニカ次元において、アゾールは最高判事アゾール一世として伝わっています。彼はその都市次元における十のギルドの平和と均衡を維持する法規を確立し、文書としてのギルドパクトを記しました。ですがアゾールはプレインズウォーカーだったのです。その行いはラヴニカだけに留まらず、多元宇宙の広範囲に渡るものでした。多くの異なる次元、その古代文明に「法をもたらす者」の伝説があり、しばしば翼を持ち、神やそれに近い存在としてみなされています。そしてそういった伝説の多くにはアゾールの影響が現れているのです。そして、イクサラン次元において、アゾールは自らの灯を犠牲に「不滅の太陽」を創造しました。

不滅の太陽

 幾つもの勢力が奪い合う秘宝だけあって、確かにこれは強いわ。同じ「旧世代プレインズウォーカーが創造したアーティファクト」繋がりで《ミラーリ》やその影響が現れた《ミラーリの目覚め》が思い出されます。そしてこの三角と円の形状、一番上の能力から《イクサランの束縛》の元凶はこれなのだろうとわかります。ちなみに最初からアゾリウスを想起した人はどのくらいいたのだろう、と思いまして例によってアンケートを取ってみました。

 ほぼ半々でした。決して少数派の意見ではなかったのね。

 問題は、何故アゾールがそこまでして不滅の太陽を創造したのかということ。イクサランアートブックには「イクサランについての知識を外へ持ち出させないため」とありましたが、その知識とは何か、までは記述されていません。ちなみにアゾールの種族についてもアートブックに説明されていました。この書籍、かなり最初の方に不滅の太陽とアゾールについての頁がありまして。これ発売されたのプレビュー開始と同日なのにいいのか。要約しますと、「アゾールについての記憶と伝承は曖昧かつ断片的なもので、彼はスフィンクスであるという事実も忘れられてしまった。とはいえギルド内でスフィンクスは今も重要視されている」とのこと。

 ここで一つ引っかかるのは「人間と思わせて実はスフィンクスでした」という展開は『マジック・オリジン』でやっているんですよね。

高位調停者、アルハマレットスフィンクスの後見

 しかもまたもやジェイス絡みだ。何か意味があるのか否か……。

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4. そして続く

 今回はほとんど触れませんでしたがメインストーリーはどうなるのか。四勢力によるオラーズカ争奪戦もだけど、ジェイスとヴラスカぁぁぁ! 私もまだわからない!!

想起横溢誘導記憶喪失首謀者の収得

 ……「注目のストーリー」からはバッドエンドしか見えない。けれど思い出そう、これまでの幾つもの結末を。この絶望から行きつけるとは信じられなかった《ゼンディカーの復興者》。「結局こうなるのかよ」と思いきやとんでもなかった《月への封印》。時にカードで見えるそのままに物語はやって来ない……今回ばかりは、その裏切りを心から願ってしまいます。果たしてこの先、私は「イクサランストーリーまとめ」をどんな気分で書くのでしょう。

 それではまた!

(終)

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この記事内で掲載されたカード

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