コマンダー塚本の統率者最前線! vol.40 -ゼロと無限の狭間-

塚本 樹詩

 シナジーに注目すれば、楽しくてそれなりに強いデッキができる。

 そう思っていた。信じていた。

 しかし、今回のテーマに沿ったカードを集めていくうちに、自分の中の常識が崩れていくのが分かった。

 手元に集まったカードたちは手を取り合うことなく、別々にこちらを見ていた。

 それでも、折角手元に集めてしまったのだから何とかなるのでは?そんな淡い希望を捨てきれず、気が付いたら戻れないところまで来ていた。

■1. 発端

マナキン人形ミリキン人形

 マナ基盤となりえるクリーチャーながらに、何かしらの繋りが見えるこの2枚を見て思った。

 もしかして“人形”って何かシナジっているのでは?

 そう思って僕は“人形”と書かれたカードをかき集めた。

 その結果、それらのクリーチャーは手を取り合うことなく、別々にこちらを見ていた。

 しかし、そんなクリーチャーたちを束ねる存在が……!?

マリオネットの達人

 そうそう、このクリーチャーを使えばデッキにしこたま入れた“人形”たちが……!?

 って、クリーチャーならなんでもいいんかーーーーーい!!!

 いや、まだだ、他にもあるはずだ。

人形遣い

 “人形”関係ないんかーーーーい!!

操り人形の評決

 クリーチャー並べるの否定するんかーーーい!!

その場しのぎの人形

 いや、他のクリーチャーの役割を“人形”に変えるとデッキのメッセージややこしくなってしまうやーーーん!!

 結論:MTGの“人形”は別にシナジっていない。

 そして、これらの“人形”はよく見なくても種族すらバラバラで、どうやってデッキを組めばいいのか全く想像がつかない。

 だからこそ、何とかしてデッキにしてみようと逆に燃えてきた。

 そう、これが“人形”デッキの発端なのである。

■2. 座礁からの希望

 僕はまず、“人形”それぞれのテキストを読み、1枚1枚に対して「まきますか まきませんか」を決めていきました。

 その中で、ゲームに勝てる可能性のある数少ない「まきます」寄りのカードたちにスポットを当ててデッキを組むことにしました。

青銅の爆弾人形

 まずは《青銅の爆弾人形》

 誘発条件が厳しいものの、《マリオネットの達人》と同様に“人形”の中では数少ないダメージソースなので注目することに。相手に押し付けて爆発する“人形”というフレーバーを想像するとゾクゾクしますね。

呪いの人形

 次は《呪いの人形》

 このテキストこそ、まさにイメージ通りの呪いの“人形”!!

 このカードを使って不気味な笑みを浮かべながらプレイヤーを敗北に導けたのなら、ただの敗北以外のトラウマを植え付けられそう!これは使うしかない!!

ぬいぐるみ人形

 そして、お馴染みの《ぬいぐるみ人形》

 “人形”といえばこのカードを思い浮かべるプレイヤーも多いのではないでしょうか?

 破壊不能なので安心してコンボパーツにすることができそうですね。

 こうして、材料は揃ったのでいつも通り肉付けをしていけばデッキに……。

 ここで気づいたことが一つ。そう、何を肉付けしていけばいいのかわからないのです!!

 上記の3体のクリーチャー、共通して言えるのは1枚では勝てないので、まずはそれぞれを増やす仕組みを探すことに。

歯車組立工下僕の反射鏡鏡操り

 単体のカードのスペックはともかく、要望を満たすカードは見つかりました。

 こうなったら意地でも“人形”で勝つために、禁断の力に手を染めましょう。

パラドックス装置パンハモニコン

 問答無用のパワーカードを使うことによって何かしらの無限を形成すれば、きっと何とかなるはず!!なにより《パラドックス装置》《パンハモニコン》で“人形”たちがガチャガチャ動くのは不気味そのものなのではないでしょうか!?

 幸い“人形”のほとんどがアーティファクトであることから、とことんアーティファクトと相性の良いカードで固めれば何とかなりそうという光明が見えてきました。

 しかし、どのカードも2枚の組み合わせではコンボにはならなそうなので、何となくそれっぽいパーマネントを並べていくうちに、気が付いたらコンボになっていた!みたいな勝ち方が理想なのではないかと考えるように。今回のデッキのテーマが“人形”なので、場に並んだそれらの不気味なクリーチャーを見ているうちに気が付いたら負けていたなんて謎の力が働くかもしれない……!

 ですので、ここからはいったん“人形”は置いておいて、駆け足でアーティファクトデッキに入っていると便利そうなカードを探していくことにしました!!

作り直し発明品の唸りアーカム・ダグソン

 デッキからアーティファクトのキーカードを探すのに適したカードは、それなりに見つかりました。召喚した不気味な“人形”たちを真っ当なパワーカードに変えるのは呪術そのものっぽくていいですね!

ゴブリンの溶接工財宝発掘屑鉄の学者、ダレッティ交易所

 何かと対策の取られやすいアーティファクトですが、破壊されて墓地に落ちてもリカバリーしてくれそうなカードもきちんと用意できました!

クラーク族の鉄工所Planar Gate心なき召喚大建築家

 折角の《パラドックス装置》《パンハモニコン》も元となるリソースがないと真価を発揮しないので、召喚するマナを減らしたり、そもそものマナを増やしたりといった手段も欠かせませんね!

雲石の工芸品釣り合い祖先の像

 ここまで来たら、後は無限に何かを出し入れできる置物が欲しいところですが、今回はアーティファクト・クリーチャーがメインのデッキなので《雲石の工芸品》は使えません!なのでここでは代わりに《釣り合い》《祖先の像》を使うことに。これで《下僕の反射鏡》《鏡操り》が活きてきて、無限マナや無限コピーが実現しやすくなりましたね!!

■3. 破滅のとき

 こうして、統率者戦の顔といっても過言ではない《パラドックス装置》を始めとした定番パワーカードを使って“人形”を活躍させる下準備ができたと言えましょう。

 後は、先に挙げた3体の“人形”でどう勝つのかだけですね。

青銅の爆弾人形世界混ぜ

 まずは適当なアーティファクトで雑に無限マナを形成しましょう。したらば《歯車組立工》で無限にコピー・トークンを生成しましょう!それらのトークンには速攻があるので、これで無限体による無限パンチ……。ではなく!!《世界混ぜ》で無限体のコピー・トークンを対戦相手に押し付けて爆破!!

 想像してみてください、爆弾を抱えた“人形”が無限に増殖して対戦相手の懐に潜り込み連鎖爆破!!!

 そしてここで際立つのは無限マナと《歯車組立工》の相性の良さ!!

 《歯車組立工》が無い場合でも無限マナ《下僕の反射鏡》《鏡操り》《釣り合い》《祖先の像》の組み合わせで《青銅の爆弾人形》のコピー・トークンを無限生成できます!!

呪いの人形

 そして、無限マナ、無限コピー・トークン生成ができるのならば《呪いの人形》で勝つのも簡単ですね!このカード自体がクリーチャーではないので無限にコピー・トークンを作っても攻撃に参加できないので、都合よく?ではありますが無限に《呪いの人形》に針を刺して1人ずつゆっくりと、プレイヤーを敗北させることができますね。ぶ……不気味!!

 《青銅の爆弾人形》のパターンとは少し違って《下僕の反射鏡》がコンボパーツにならないのだけ注意しましょう!!

ぬいぐるみ人形

 《ぬいぐるみ人形》も都合よく?パワーが0なので《青銅の爆弾人形》のように無限体でのアタックで勝てないので、自身のタップ能力で相手を呪うことしかできませんね!

マリオネットの達人クラーク族の鉄工所

 そして、無限にアーティファクトのコピー・トークンを生成できそうなので《マリオネットの達人》《クラーク族の鉄工所》のコンボに適当な“人形”を組み合わせれば、このデッキで一番やりたかった勝ち方ができることも発見!!

■4. いざ形成!

 こうして、無事?デッキの内容も固まってきたのでリスト化してみました!!

《反体制魔道士、ケス》
-統率者(1)- 2 《島》
2 《山》
《沼》
《Badlands》
《Volcanic Island》
《Underground Sea》
《血の墓所》
《蒸気孔》
《湿った墓》
《溢れかえる岸辺》
《汚染された三角州》
《血染めのぬかるみ》
《樹木茂る山麓》
《乾燥台地》
《沸騰する小湖》
《湿地の干潟》
《新緑の地下墓地》
《霧深い雨林》
《竜髑髏の山頂》
《水没した地下墓地》
《硫黄の滝》
《滝の断崖》
《沈んだ廃墟》
《シヴの浅瀬》
《硫黄泉》
《地底の大河》
《マナの合流点》
《真鍮の都》
《統率の塔》
《産業の塔》
《水辺の学舎、水面院》
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
《古えの墳墓》
《アカデミーの廃墟》
《ヴォルラスの要塞》
《僻地の灯台》
-土地(38)- 《ゴブリンの溶接工》
《時間人形》
《屑山の人形》
《マイアの回収者》
《操り骸骨人形》
《マナキン人形》
《ミリキン人形》
《わら人形の兵士》
《大建築家》
《ピョンピョン自動人形》
《ガチャガチャ自動人形》
《作業場の助手》
《ガラクタ潜り》
《祖先の像》
《アーカム・ダグソン》
《歯車組立工》
《操り人形のヒモ》
《青銅の爆弾人形》
《愚鈍な自動人形》
《複雑な自動人形》
《ぬいぐるみ人形》
《不気味な人形》
《棺の操り人形》
《映し身人形》
《呪いの人形》
《紐人形》
《マリオネットの達人》
《死面の映し身人形》
-クリーチャー(28)-

 まずは今までは注目しなかったであろう各種“人形”たちにカーソルを合わせて、こんなクリーチャーがいたんだ!全くシナジってねぇ!!と共感してくれれば幸いです!!

屑山の人形愚鈍な自動人形時間人形

 「まきます」寄りのカードの追加として、墓地のカードの追放がたまには役立ちそうな《屑山の人形》!!

 無限にコピー・トークン生成モードが無限ドローに変換され、勝ち手段を探しに行ける《愚鈍な自動人形》!!

 新たな勝ち手段!無限パワーも夢じゃない《時間人形》!!

 この3体以外の“人形”も、対戦相手に得体の知れないプレッシャーを与えることができるので、召喚するときだけは意味ありげに振舞うのがおススメです。

反体制魔道士、ケス

 デッキの大半が“人形”とアーティファクトのコンボパーツになったので思ったよりも手札が増えにくく、貴重なリソース源であるインスタントやソーサリーを再利用できるということで統率者は《反体制魔道士、ケス》にしてみましたが、青黒赤の組み合わせの統率者は強力なものが多いので、他のクリーチャーに差し替えても問題はないと思います!

 そして、デッキを組んでみてわかったのですが“人形”の部分を別のテーマに差し替えると、また違ったデッキとして楽しめることが判明!!

マイアのタービン巨大戦車

 ちゃんと種族のシナジーもありアーティファクト・クリーチャーでデッキを固められるマイアや“人形”に負けず劣らずのマイナー種族の《巨大戦車》を始め、君だけのテーマデッキが作れるパッケージのサンプルができたと思うので是非とも流用して欲しいですね!

下僕の反射鏡鏡操り

 本当にこのデッキでやりたかったこと。

 それは《下僕の反射鏡》《鏡操り》これらの鏡をモチーフとしたカードと“人形”……。

 そう、これが本当の……

 鏡の中のマリオネット

 今回はここまで。また次回!!

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