皆さんこんにちは。
先週末はグランプリ・京都2018が開催されましたが、皆さん楽しまれたでしょうか?
《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁されてから、モダンのSCGやグランプリも各地で開催され、環境の研究も進んできました。果たしてこの2枚のパワーカードを解禁したことで環境にどのような影響を与えたのか、今回の連載では禁止改定後に開催された2017 Magic Online Championship、SCGO Dallas、グランプリ・フェニックス2018、SCGO Cincinnati、グランプリ・京都2018の入賞デッキを見ていきます。
2017 Magic Online Championship
MOの強豪プレイヤーBUTAKOVが栄冠
2018年03月2-4日
- 1位 Bogles
- 2位 Jund
- 3位 Jund
- 4位 Grixis Control
Dmitriy Butakov
MOCS参加者のデッキリストはこちら
MOで開催された厳しい予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できる大会で、必然的に参加人数は少数ながらレベルの高い大会になります。
禁止改定直後に開催されたモダンのイベントということで注目が集まりました。予想通り多くのプレイヤーは《血編み髪のエルフ》の解禁により、大幅に強化されたJundを選択していました。
Jundは動きに一貫性があり、ミッドレンジデッキらしくプレイングによって差が表れるデッキなのもトッププロが選択する理由となります。優勝を果たしたのはBoglesで、Jundを始めとしたフェアデッキは単体除去が中心でスイーパーが少なく、呪禁クリーチャーを強化してアタックするという戦略は、《血編み髪のエルフ》や《精神を刻む者、ジェイス》によるアドバンテージ差を無視して戦うことができるため、デッキ選択としては大当たりでした。
2017 Magic Online Championship デッキ紹介
「Bogles」
Bogles
強豪プレイヤー達が、《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》の解禁に伴い、Jundや青いフェアデッキを選択してくることが予想されていました。《精神を刻む者、ジェイス》に耐性があり、単体除去が中心でスイーパーが少ない環境では、Boglesは無類の強さを発揮します。
デッキの動きは至ってシンプルで、《ぬめるボーグル》など呪禁持ちのクリーチャーに《夜明けの宝冠》や《天上の鎧》などクリーチャーを強化するオーラを付けて殴るという戦略です。その性質上、《致命的な一押し》や《流刑への道》といった単体除去に耐性があり、《神の怒り》のようなスイーパーをメインから採用したデッキが少ない現環境では、最高の選択肢となり得ます。
☆注目ポイント
《ドライアドの東屋》は、今大会で人気があったJundの数少ない対抗手段である《ヴェールのリリアナ》対策になります。布告系の除去を使用してくるデッキに対しては、《森》をサーチできるフェッチを切らずに温存するというプレイングも重要となります。
メインから採用されている《神聖の力線》も、《ヴェールのリリアナ》の「-2」能力対策になると同時にハンデスや火力もシャットアウトし、妨害要素が少ないこのデッキが苦手とするコンボデッキに対してもいくらか耐性が付きます。
メインは呪禁クリーチャーにオーラを付けて殴り倒すという戦略にフォーカスしていますが、サイドには《ガドック・ティーグ》、《石のような静寂》、《安らかなる眠り》など苦手なコンボとのマッチアップ用に最低限の備えが設けられています。《ガドック・ティーグ》は、《滅び》や《至高の評決》、《仕組まれた爆薬》といった対策カードもシャットアウトするので、それらのカードがサイドインされそうなフェアデッキとのマッチでも活躍します。
《原基の印章》は、《虚空の杯》、《崇拝》、《罠の橋》などこのデッキにとって厄介な置物対策になります。Boglesは決してベストデッキでは無いものの、今大会のように対策が薄いメタでは圧倒的な強さを発揮し、大きな大会でも優勝するほどの力もあります。
SCGO Dallas
《血編み髪のエルフ》強し
2018年3月10-11日
- 1位 Ponza
- 2位 UR Gifts Storm
- 3位 UR Gifts Storm
- 4位 Infect
- 5位 Jund
- 6位 UW Control
- 7位 GB Tron
- 8位 Eldrazi Tron
Andrew Wolbers
トップ8のデッキリストはこちら
予想通りJundは人気のアーキタイプでしたが、二日目進出人数はUR Gift Stormが最多でした。
《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁されて以来、環境のバランスを懸念する声も挙がっていました。しかし、蓋を開けてみれば特定のアーキタイプに偏ることはなくBurn、UW Control、Tron、Ponzaなど、異なるアーキタイプが見られ旧環境から引き続いて多様性のある環境のようです。
SCGO Dallas デッキ紹介
「Ponza」「Jund」
Ponza
1 《山》
3 《踏み鳴らされる地》
4 《樹木茂る山麓》
3 《吹きさらしの荒野》
2 《霧深い雨林》
1 《ケッシグの狼の地》
-土地 (21)- 4 《東屋のエルフ》
2 《極楽鳥》
4 《不屈の追跡者》
1 《クルフィックスの狩猟者》
4 《血編み髪のエルフ》
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
3 《業火のタイタン》
-クリーチャー (20)-
2 《漁る軟泥》
2 《台所の嫌がらせ屋》
2 《古えの遺恨》
2 《三なる宝球》
1 《強情なベイロス》
1 《最後のトロール、スラーン》
1 《粉砕の嵐》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
-サイドボード (15)-
マナ加速から《石の雨》などの土地破壊スペルで相手のマナ基盤を攻撃する赤緑のPonzaは、旧環境から存在しましたが、《血編み髪のエルフ》の解禁により大幅に強化されました。
デッキの性質上Tronなど土地コンボに強く、特殊地形に頼った多色ミッドレンジやコントロールに対しても相性が良く、Affinityのように横に並ぶ速いアグロや《霊気の薬瓶》を使うデッキは苦手なマッチとなります。
☆注目ポイント
Ponzaと呼ばれていますが、このデッキは《血染めの月》デッキのバリエーションの一つでTronやTitan Shiftといった土地コンボに対して特に刺さり、残った基本地形も《溶鉄の雨》や《石の雨》など土地破壊スペルで破壊することで相手をロックしていきます。
このデッキの理想的な回りは、《血編み髪のエルフ》の「続唱」から《石の雨》や《血染めの月》が捲れたときで、相手のマナ基盤を破壊しつつ3/2速攻というクロックを同時に展開する動きは強力です。
2ターン目からランデスをするために、《東屋のエルフ》や《極楽鳥》といったマナクリーチャー以外にも《楽園の拡散》も採用されています。マナクリーチャーよりも除去耐性があり、《東屋のエルフ》と組み合わせることによってマナを更に加速させることができるので、《楽園の拡散》はこのデッキの最高のマナクリーチャーとなります。
このデッキのフィニッシャーである《業火のタイタン》は、ランデスを乗り越えてキャストされた小型クリーチャーを一掃し、パンプアップもできるので除去されなければゲームを速やかに終わらせてくれます。《反逆の先導者、チャンドラ》は、カードアドバンテージ源やクリーチャー除去にもなり、《業火のタイタン》をキャストするためのマナも生成したりと、このデッキにとって必要な物がすべて揃っています。
《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》も軽く使いやすいプレインズウォーカーで、《血編み髪のエルフ》から捲れて嬉しいカードの一枚です。アグロデッキに対してはブロッカーを生成するので《業火のタイタン》などをキャストするまでの時間を稼ぎ、全体強化能力によりマナクリーチャーや《ピア・ナラーとキラン・ナラー》のトークンを強化することでプレッシャーをかけられます。
サイドの《三なる宝球》は、このデッキにとって苦手なマッチアップになるUR Gift Stormなどコンボデッキに有効なカードで、《三なる宝球》を除去しない限りゲームに勝つことが難しくなります。サイドに1枚だけ採用されている《強情なベイロス》は、最近流行りの《虚ろな者》デッキにも有効なクリーチャーです。相手の《燃え立つ調査》を利用することで、運が良ければ1ターン目からライフゲインしつつ4/4が展開できます。JundやBurnにも強いカードなのでお勧めです。
Jund
1 《森》
2 《草むした墓》
1 《血の墓所》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《新緑の地下墓地》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《樹木茂る山麓》
4 《黒割れの崖》
3 《樹上の村》
2 《怒り狂う山峡》
1 《黄昏のぬかるみ》
-土地 (25)- 4 《闇の腹心》
4 《タルモゴイフ》
2 《漁る軟泥》
4 《血編み髪のエルフ》
-クリーチャー (14)-
3 《稲妻》
2 《思考囲い》
2 《致命的な一押し》
2 《突然の衰微》
2 《大渦の脈動》
1 《コラガンの命令》
4 《ヴェールのリリアナ》
1 《最後の望み、リリアナ》
-呪文 (21)-
2 《集団的蛮行》
2 《虚無の呪文爆弾》
1 《漁る軟泥》
1 《台所の嫌がらせ屋》
1 《リリアナの敗北》
1 《ゴルガリの魔除け》
1 《コラガンの命令》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《墓掘りの檻》
1 《最後の望み、リリアナ》
-サイドボード (15)-
《血編み髪のエルフ》の解禁により復権したモダンを代表するミッドレンジデッキで、新環境に入ってから筆者もよく使っているデッキの一つです。デッキリストもそれに応じて調整が施されています。
Tronなどの土地コンボや、先ほどご紹介したPonza以外の環境の多くのデッキと渡り合えるのがこのデッキの魅力で、除去の多さと《血編み髪のエルフ》によるアドバンテージの恩恵で、HumansやAffinityなどクリーチャーデッキに対して相性が良いマッチアップとなります。Jeskaiなどコントロールとのマッチアップも「続唱」からのアドバンテージによって有利なマッチになりました。
☆注目ポイント
《血編み髪のエルフ》の加入により、4マナ域が増加したので土地も25枚と多めです。フラッド防止のためにミシュラランドも5枚採られています。《樹上の村》の方が多めに採用されていますが、起動コストが《怒り狂う山峡》よりも軽いため、《精神を刻む者、ジェイス》や《ヴェールのリリアナ》を攻撃した後もアクションが取りやすくなるのが主な理由となります。
《山》も不採用で、マナ基盤を考慮して《コラガンの命令》もわずかにメイン1枚となっています。自由枠には追加の《突然の衰微》と《大渦の脈動》が優先され、《終止》も採用が見送られているなど全体的に赤が薄くなっています。
《血編み髪のエルフ》の「続唱」によるバリューを最大限に活かすため、3マナ域のスペルが多めに採用されており、《闇の腹心》によってライフを失うリスクが大きくなっているので、今まで以上にライフトータルには気を遣います。
サイドには、追加のハンデスである《集団的蛮行》や、墓地コンボやカンパニー系用に《墓掘りの檻》、トークンや置物対策の《仕組まれた爆薬》が採用されています。それ以外は、《台所の嫌がらせ屋》や追加の《コラガンの命令》、《最後の望み、リリアナ》といった追加の3マナ域のスペルが多数積まれています。「続唱」からのアドバンテージを最大限に活かせるように調整されていることが分かります。
グランプリ・フェニックス2018
禁止改定後も多種多様なデッキが活躍
2018年3月17-18日
- 1位 Humans
- 2位 Jund
- 3位 Ironworks Combo
- 4位 Bant Knightfall
- 5位 Scapeshift
- 6位 GW Hatebears
- 7位 Mono-Green Tron
- 8位 RG Eldrazi
Steve Locke
トップ8のデッキリストはこちら
《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁されて初めて開催された個人戦のモダングランプリは、プレイオフに進出した全てのデッキが異なるアーキタイプという結果で、旧環境からお馴染みのアグロデッキであるHumansの優勝で幕を閉じました。
Ironworks Comboのようにモダンらしくユニークなコンボデッキも見られ、環境が変わっても多種多様な戦略が活躍するチャンスがあるようです。
グランプリ・フェニックス2018 デッキ紹介
「Humans」「Ironworks Combo」
Humans
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《地平線の梢》
4 《手付かずの領土》
2 《金属海の沿岸》
-土地 (19)- 4 《教区の勇者》
4 《貴族の教主》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《翻弄する魔道士》
4 《サリアの副官》
3 《スレイベンの守護者、サリア》
3 《幻影の像》
1 《闇の腹心》
1 《凶兆艦隊の向こう見ず》
4 《カマキリの乗り手》
4 《反射魔道士》
1 《ミラディンの十字軍》
-クリーチャー (37)-
2 《戦争の報い、禍汰奇》
2 《罪の収集者》
2 《ザスリッドの屍術師》
2 《四肢切断》
2 《墓掘りの檻》
1 《凶兆艦隊の向こう見ず》
1 《ミラディンの十字軍》
1 《人質取り》
-サイドボード (15)-
禁止改定直後は、ミッドレンジやコントロールが中心になると考えられ、Humansにとって不利な環境になると思われていました。しかし、軽い除去を多用する《精神を刻む者、ジェイス》デッキの代表格の一つとされていたJeskaiは、TronやPonza、Boglesなど苦手なマッチも多くなったことで振るわず、Humansは再びトップメタに返り咲きました。
今大会直前に開催されたMagic Online ChampionshipやSCGOなどの結果から、Humansが少なく警戒が薄かったのも今大会の勝因の一つです。
クリーチャーのみの構成ですが、妨害能力を内蔵したクリーチャーが多くクロックも速いのでTronやPonza、BR Hollow One、UR Gift Stormなど多くのデッキと互角以上の勝負になります。
☆注目ポイント
メイン、サイド共にほとんどがクリーチャーですが、《帆凧の掠め盗り》や《翻弄する魔道士》、《反射魔道士》といった妨害能力を持ったクリーチャーが多く、回避能力持ちの《カマキリの乗り手》や全体強化能力を持つ《サリアの副官》、それらをコピーすることでデッキの爆発力を支える《幻影の像》と動きが一貫しています。
リストはオーソドックスですが、1枚挿しのクリーチャーのチョイスが目を引きます。《闇の腹心》は、軽いカードが多いこのデッキではライフロスもそれほど痛手にならず、息切れ防止になり相手にとってはマスト除去になります。
《凶兆艦隊の向こう見ず》は、Jundなど除去を多用するミッドレンジに対して最高のクリーチャーの一体で、ほぼ確実に2-1交換になるので消耗戦において有利になり、《コラガンの命令》のような強力なスペルを再利用することができれば多くのアドバンテージを得ることができます。《ミラディンの十字軍》はプロテクションによってJundやDeath’s Shadowとのマッチアップで無類の強さを見せます。《貴族の教主》から最速2ターン目に展開する動きが黒いミッドレンジにとっては脅威となります。
サイドの《人質取り》は、4マナとコストは少し重くなりますがアーティファクトにも触れるのでJund、Affinity、Tronなど多くのマッチアップで活躍するクリーチャーです。
Ironworks Combo
4 《ダークスティールの城塞》
4 《燃え柳の木立ち》
3 《霊気拠点》
3 《発明博覧会》
2 《埋没した廃墟》
-土地 (18)- 1 《搭載歩行機械》
2 《マイアの回収者》
4 《屑鉄さらい》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》
-クリーチャー (8)-
4 《オパールのモックス》
2 《仕組まれた爆薬》
1 《ミシュラのガラクタ》
4 《彩色の星》
4 《テラリオン》
2 《彩色の宝球》
1 《黄鉄の呪文爆弾》
4 《胆液の水源》
4 《精神石》
4 《クラーク族の鉄工所》
-呪文 (34)-
《クラーク族の鉄工所》を軸にしたコンボデッキで、マナ加速を利用することで最速2ターン目にコンボを決めることができます。
《クラーク族の鉄工所》と墓地に落ちたアーティファクトを回収する能力を持つ《屑鉄さらい》とのコンボによって、《胆液の水源》をサクリファイスすることでドローを進めつつ《彩色の星》などキャントリップアーティファクトを使い回すことで大量のマナを生み出し、最終的に《引き裂かれし永劫、エムラクール》にまで繋げてゲームを終わらせます。
キャントリップやサーチスペルによってデッキの動きも安定しており、デッキの値段的にも《オパールのモックス》と《引き裂かれし永劫、エムラクール》以外はそれほど高額なカードが採用されていないので組みやすいのも魅力です。
☆注目ポイント
《発明博覧会》と《古きものの活性》は、デッキに必要なパーツをサーチします。《古きものの活性》は、《彩色の星》などから《クラーク族の鉄工所》によってマナを増やしつつ必要なパーツをサーチすることでチェインコンボに移行することも可能にします。
《彩色の星》、《テラリオン》、《胆液の水源》といったキャントリップアーティファクトは、《クラーク族の鉄工所》を探す助けになり、《クラーク族の鉄工所》でサクリファイスすることでドローを進めつつマナを増やすことができます。《オパールのモックス》は説明するまでもなく、AffinityやLantern Controlといったアーティファクトを軸にしたデッキにとって最高のマナ加速として、モダンで最も壊れているカードの1枚とされています。《精神石》は、《屑鉄さらい》の能力によって《彩色の宝球》、《彩色の星》、《テラリオン》を回収することもできます。
《黄鉄の呪文爆弾》は、《翻弄する魔道士》や《スレイベンの守護者、サリア》といったヘイトベアーを対策しつつコンボ発動の際は、キャントリップアーティファクトとしても機能するフレキシブルさが魅力です。
サイドにはアンチカウンタースペルの《防御の光網》や《耳障りな反応》、《石のような静寂》や《安らかなる眠り》といった対策カードに備えた《ギラプールの霊気格子》や《自然の要求》が中心です。《ワームとぐろエンジン》はJundなどに有効な追加の勝ち手段で、追放系の除去に対してもレスポンスして《クラーク族の鉄工所》でサクリファイスすることも可能です。
《集団的蛮行》は、相手のカウンターなど妨害スペル対策に加えて、追加のヘイトベアー対策としても機能するフレキシブルなスペルです。グランプリで結果を残したことにより、今後は対策が少し厳しくなりそうですが、動きが面白いデッキなのでコンボが好きな方はトライしてみてはいかがでしょうか。
SCGO Cincinnati
コンボが大活躍
2018年3月24-25日
- 1位 UR Gift Storm
- 2位 Burn
- 3位 UR Gift Storm
- 4位 Amulet Titan
- 5位 Blue Moon
- 6位 Ad Nauseam
- 7位 Jund
- 8位 Humans
Bernal/Hoey/Tenjum
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モダンらしく多種多様なデッキが見られます。JundやHumansといったグランプリでも結果を残していたデッキが入賞している中、今大会でチームを優勝に導いたStormを含めてAmulet Titan、Ad Nauseamといったコンボデッキも多く見られました。
現環境の青いコントロールは、Blue Moonが結果を残しており、土地コンボを始めとした特殊地形に頼ったデッキに強いコントロールになっています。
SCGO Cincinnati デッキ紹介
「Blue Moon」
Blue Moon
青赤の2色のコントロールデッキで、《血染めの月》をメインから採用することで青いコントロールの中ではTronなど特殊地形に頼ったデッキに対して有利が取れる構成になっています。
《精神を刻む者、ジェイス》の解禁によって大幅に強化されたデッキの一つで、解禁前は決定力不足を補うために《白金の帝像》+《向こう見ずな実験》や《裂け目の突破》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》のコンボを採用したバージョンも見られましたが、《精神を刻む者、ジェイス》というコントロールにとって最高のフィニッシャーを得たので、最近はRoss Merriamのリストのようなコントロール型の方も見られるようになりました。
軽いカウンターが多数採用されているので他のコントロールに強く、《血染めの月》の効果が薄いBurnやハンデスや火力で対処が難しい《タルモゴイフ》、「続唱」によるアドバンテージが取れる《血編み髪のエルフ》を採用したJundなどは苦手なマッチとなります。
☆注目ポイント
3ターン目に《血染めの月》という動きは、TronやScapeshiftといった土地コンボを始めとした特殊地形を多用するデッキに強く、デメリットは《僻地の灯台》が使えなくなることと、《精神を刻む者、ジェイス》で戻した不要牌をフェッチランドでシャッフルできなくなるぐらいで、大抵は相手の被害の方が圧倒的に大きくなります。
このデッキに採用されている数少ないクリーチャーの《ピア・ナラーとキラン・ナラー》は、単体除去に耐性があり飛行機械・トークンは《精神を刻む者、ジェイス》を守る手段にもなります。
《収穫の火》は墓地が肥えていることが条件となりますが、青赤で《タルモゴイフ》 、《虚ろな者》、エルドラージクリーチャーといった高タフネスのクリーチャーをわずか2マナで処理できる貴重なスペルです。
《血染めの月》と《精神を刻む者、ジェイス》で相手をロックすることを目標とするこのデッキでは、序盤を凌ぐことが重要になる《差し戻し》は軽くキャントリップも付いているので最適なカウンターです。
サイドには追加の高タフネスクリーチャー対策の《焙り焼き》、墓地対策の《大祖始の遺産》、スイーパーや追加の勝ち手段が見られます。《大祖始の遺産》は、BR Hollow Oneの最速の動きに対しては少し遅くなりますが、コストが軽く最悪ドローができるのもあり、このタイプのデッキのサイドでよく見かけます。
メインがほぼノンクリーチャーなので、相手が除去を減らしてくるサイド後の《渋面の溶岩使い》は、対策されにくい再利用可能な除去として機能します。《嵐の神、ケラノス》は、Jundや他の青いデッキなどロングゲームになりやすいマッチアップでサイドインされるカードで、対策もされ難いので追加の勝ち手段としては申し分ない性能です。
グランプリ・京都2018
チーム戦でも多種多様なデッキが入賞
2018年3月24-25日
- 1位 Affinity
- 2位 Humans
- 3位 Eternal Blue
- 4位 UW Control
髙村 和貴、松原 雄介、山本 涼一
トップ4のデッキリストはこちら
ある程度まで選択するデッキが決まっているスタンダードとレガシーと異なり、モダンはそれぞれが使い慣れたデッキを使っていたプレイヤーが多かったようでEternal Blueのような比較的マイナーなデッキもあり、トップ4すべてが異なるデッキでした。
グランプリ・フェニックス2018でも優勝していたHumansは、今大会でも準優勝と好成績を残し続けており、現環境のトップメタと見て間違いなさそうです。
グランプリ・京都2018 デッキ紹介
「Eternal Blue」
Eternal Blue
2 《窪み渓谷》
1 《湿った墓》
3 《溢れかえる岸辺》
3 《沸騰する小湖》
1 《水没した地下墓地》
1 《宝石の洞窟》
1 《墨蛾の生息地》
1 《海の中心、御心》
1 《涙の川》
-土地 (23)- 2 《瞬唱の魔道士》
-クリーチャー (2)-
2 《致命的な一押し》
2 《万の眠り》
2 《差し戻し》
2 《疲労困憊》
1 《ブーメラン》
2 《謎めいた命令》
4 《時間のねじれ》
4 《水の帳の分離》
3 《時間の熟達》
1 《アズカンタの探索》
4 《クルフィックスの指図》
1 《吠えたける鉱山》
3 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (35)-
《精神を刻む者、ジェイス》が解禁されたことで強化されたデッキで、今大会で結果を残したことによりマイナーなローグデッキから競技レベルのデッキとして注目が集まりそうです。
デッキの動きは序盤を凌ぎつつ《クルフィックスの指図》などで追加のドローをしていき、追加のターンを得るスペルを連打して相手をロックしていきます。
MOで結果を残しているバージョンは青単色ですが、今大会入賞を果たしたウエモト タカヒロ選手は、序盤を凌ぐためにクリーチャー除去にアクセスできる黒を足しています。
☆注目ポイント
黒を足したことにより、クリーチャー除去の《致命的な一押し》と《集団的蛮行》にアクセスできるようになりました。追加ターンスペルをキャストするために序盤を凌ぐことはこのデッキにとっては重要で、《吠えたける鉱山》系のカードによって手札が余りやすいこのデッキでは《集団的蛮行》も「増呪」しやすくなり、かなり時間を稼ぐことができます。
《致命的な一押し》、《万の眠り》や《疲労困憊》、《差し戻し》、《謎めいた命令》といったスペルで時間を稼ぎ、《クルフィックスの指図》を置いてドローを進めて《時間のねじれ》系のスペルに繋げます。《精神を刻む者、ジェイス》はこのデッキのフィニッシャーで、追加のターンを得るスペルをチェーンして忠誠度カウンターを増やしていけば勝利は目前です。《渦まく知識》能力によって手札に来てしまった《時間の熟達》をライブラリートップに戻し「奇跡」を仕込むことができるようになったのも大きく、追加ターンスペルとしての信頼性が増しています。
サイドの《氷の中の存在》は、クリーチャーデッキに対してブロッカー兼追加の勝ち手段としてサイドインされそうです。《徴用》は、相手のスペルを奪い取るスペルでダブルピッチスペルですが《クルフィックスの指図》によって追加のドローをするこのデッキではあまり負担にならなそうです。
総括
JundやPonza、Titan Shift、各種青いコントロールデッキ、Eternal Blueなど、《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁されたことによって強化され、競技レベルに復権したデッキも多数存在し、コントロールやミッドレンジのように遅いデッキの復権により有利なポジションとなり相対的に強化されたBoglesなども見られるようになりました。
今回は一度に5つの異なるイベントの結果を見ていきましたが、《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁された後も、以前と変わらず開かれた環境のようです。
以上USA Modern Express vol.13でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!