皆さんこんにちは。
先週末にはグランプリ・ラスベガス2018が開催されました。参加者2779名とモダンが人気なアメリカのGPらしく盛り上がっていたようです。
さて、今回の連載ではSCG Invitational Season One、SCG Classics Roanoke、グランプリ・ラスベガス2018の入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCG Invitational Season One
~若きInfectの名手がInvitationalのチャンピオンに~
2018年06月08-10日
- 1位 Infect
- 2位 Ironworks Combo
- 3位 Mardu Hollow One
- 4位 Affinity
- 5位 Mardu Pyromancer
- 6位 GW Hexproof
- 7位 Jeskai Control
- 8位 Mono-Green Devotion
Aaron Barich
トップ8のデッキリストはこちら
SCG Invitational Season Oneの予選ラウンドは、スタンダードとモダンの混合フォーマット、プレイオフはモダンで競われました。多くのプレイヤーはモダンでは各々が使い慣れたデッキを選択していましたが、高い2日目進出率を出していたのは、『ドミナリア』から《ドミナリアの英雄、テフェリー》が加入して以来、安定した成績を残し続けているJeskaiでした。その次点で環境最高のデッキの一つとして上位では必ずと言って良いほど見られるHumansと、定番のデッキの一つであるAffinityが並んでいました。
モダン部門で7-1以上の成績を残していたのは、今大会を制したAaron BarichのInfectをはじめとして、同じくプレイオフ進出を果たしたMichael HamiltonのHollow One、Joe StempoのMardu Pyromancerなど、上位まで勝ち残ったプレイヤーの多くはモダン部門で優秀な成績を残していました。
今大会最大勢力であったJeskaiは母数の多さもあり7-1以上の成績に2名と好成績を残していましたが、注目すべきデッキはMono-Green TronとMardu Pyromancerで、7-1以上に2名ずつと勝率は良かったようです 。
Jeskai、Humansといったフェアデッキが多く、Jundなどミッドレンジもそれなりの数がいたので、ほかのフェアデッキに強いミッドレンジであるMardu Pyromancerやミッドレンジ、コントロール全般に無類の強さを発揮するTronは今大会では有力な選択だったようです。
SCG Invitational Season One デッキ紹介
「Infect」「Mardu Pyromancer」
Infect
2 《繁殖池》
1 《寺院の庭》
3 《新緑の地下墓地》
2 《霧深い雨林》
2 《吹きさらしの荒野》
2 《樹木茂る山麓》
4 《墨蛾の生息地》
2 《ペンデルヘイヴン》
1 《ドライアドの東屋》
-土地(21)- 4 《貴族の教主》
4 《ぎらつかせのエルフ》
4 《荒廃の工作員》
1 《呪文滑り》
-クリーチャー(13)-
レガシーでも猛威を振るっている《ギタクシア派の調査》がモダンで禁止カードに指定される前は、トップメタの一角として幅を利かせていましたが、禁止後は《致命的な一押し》という新たな1マナの低マナ除去も加わったのもあり、軽い妨害要素とクロックを搭載したDeath’s ShadowやJeskai Controlなど軽い除去を多数搭載したフェアデッキの増加が原因で、一部を除いて見かけることは少なくなりました。
今大会を制したAaron BarichはレガシーでもInfectを愛用しているプレイヤーで、モダンでももちろんInfectを使い続けておりデッキの理解度も高く、今大会ではこのデッキにとって不利とされているJeskaiなどが人気だったのにも関わらずモダン部門で全勝していました。
☆注目ポイント
現環境の除去は《稲妻》が主なため、対策として《呪文滑り》がメインから採用されており、クリーチャーが並ぶことにより、《ヴェールのリリアナ》対策にもなります。《流刑への道》や《致命的な一押し》といった1マナのインスタントスピードの確定除去からクロックを保護するためのスペルが《顕在的防御》、《巨森の蔦》、《使徒の祝福》です。状況次第では《呪文貫き》も保護スペルとしての役割を果たします。
サイドの《形成師の聖域》は単体除去を多数搭載したJeskaiやJund、Marduなどに有効で、1マナと軽いので使いやすく、エンチャントなので対策されづらいのがメリットです。これによりサイド後は相性を5分以上に持っていくことも可能になりました。
このデッキ相手には、《至高の評決》のような重いスイーパーは減らして来ることが予想され、ライフをあまり気にする必要がないと考えている相手に刺さるのが、サイドにフル搭載されている《聖トラフトの霊》です。単体除去が効かず、このクリーチャー自身をスペルでバックアップすることで弱点であるブロッカーを乗り越えていきます。
Mardu Pyromancer/インタビュー: Joe Stempo
2 《山》
2 《血の墓所》
2 《聖なる鋳造所》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《湿地の干潟》
4 《黒割れの崖》
-土地(20)- 4 《若き紅蓮術士》
4 《騒乱の歓楽者》
-クリーチャー(8)-
4 《稲妻》
4 《思考囲い》
3 《コジレックの審問》
2 《致命的な一押し》
3 《集団的蛮行》
1 《戦慄掘り》
1 《終止》
4 《未練ある魂》
3 《コラガンの命令》
3 《血染めの月》
-呪文(32)-
3 《虚空の力線》
2 《配分の領事、カンバール》
2 《摩耗+損耗》
2 《仕組まれた爆薬》
1 《熱烈の神ハゾレト》
1 《苦渋の破棄》
1 《最後の望み、リリアナ》
-サイドボード(15)-
SCG Invitational Season Oneでモダン部門で7-1という好成績で終えて見事にプレイオフ進出を果たしたJoe Stempoは、過去の連載でもインタビューに協力してくれたプレイヤーで以前はJeskaiを愛用していましたが、最近はMardu Pyromancerを使っています。
今回の連載のためにお話を伺うことができました。フェアデッキの中でも比較的新しいアーキタイプのMardu Pyromancerです。
--「プレイオフ進出おめでとう。まず最初になぜ今大会でMardu Pyromancerを使うことにしたのか教えてもらえる?」
Joe: 「ここ数か月間このデッキを使い続けていて、HumansやAffinity、Jeskaiなどと相性が良くて、ポジション的にも有利だと思った。《信仰無き物あさり》や《騒乱の歓楽者》、《未練ある魂》のようなカードでアドバンテージが取れて、ほかのミッドレンジよりもロングゲームに強くて除去も多いから、アグロデッキとのマッチアップがとても良いのも使っている理由だ」
--「なるほど。確かにアドバンテージを取る手段が豊富なMarduは、フェアデッキが多いメタでは強そうだね。どんなデッキが相性が悪いマッチアップなのかも教えてもらえる?」
Joe: 「このデッキにとって相性の悪いマッチになるのは、スペルベースのコンボデッキや土地コンボだ。サイド後はStormやKCIなどコンボに対しては大分改善される。特にKCIとのサイド後は有利になる。Tronはとても難しいマッチになるけど《血染めの月》がメインから入っているから、ほかのミッドレンジよりはマシなゲームになる」
Joe: 「そのほかに相性が悪いマッチは、DredgeやHollow Oneのように墓地を利用したデッキで、Hollow Oneは相手の引きによっては良い勝負になるけど、爆発力のある動きをされると付いていくことは難しくなる。Dredgeはメイン戦はほぼ負けで、サイド後の《虚空の力線》頼みになる」
--「Tronに対しては、サイドの《溶鉄の雨》が良さそうだね」
Joe: 「《溶鉄の雨》は主にTronとのマッチアップ用に採用していたけど、Titan Shiftにも強い。Burnなど、ほかにサイドインしたいカードが少ないマッチアップでもサイドインできるスペルで、《溶鉄の雨》は土地の少ない相手に対して刺さるし、《信仰無き物あさり》などで墓地に捨てても、《騒乱の歓楽者》のコストダウンにも貢献する」
--「今大会で当たったデッキは、フェアデッキが多かったの?」
Joe: 「そうだね。特にJeskaiとは3回当たって1ゲームも落とさなかった。モダン部門の最後のマッチアップでは、相性の良いInfectとのマッチアップでミスって1ゲーム目を落として、3ゲーム目ではInfect側のサイドボード戦略に完敗した。対戦相手がサイドに《聖トラフトの霊》を採用していたのは知っていたけど、ハンデスしたときには持っていなかったんだ」Joe: 「Gerry Thompsonがポッドキャストで『2日目に残ったTronの人数はわずか6人ほどで、Jeskaiは20人もいたのに俺はTronと2連続で当たった』と話していたから、ペアリングの運もあったと思う」
--「今後同じデッキをプレイするとして何か変更したい点はある?」
Joe: 「《罠の橋》はGW Hexproofやエルドラージ、DredgeやHollow Oneのようにこのデッキにとってキツイマッチで使えるから、サイドの《苦渋の破棄》と2枚の《仕組まれた爆薬》を入れ替えようかと考えている。メインのハンデスが多いから《集団的蛮行》をメインから1枚抜こうと考えたこともあったけど、Burnと当たる度にそれは間違いだということに気が付く(笑)」
--「確かにBurnと当たったときは一番引きたいカードだから分かるよ。やっぱり《罠の橋》はアグロデッキをシャットアウトできるし、結構な数のマッチアップをカバーできるから手堅い選択になりそうだね。最後に現環境の人気のデッキとのマッチアップのサイドボードの仕方も教えてもらえる?」
Joe: 「もちろん」
VS Humans
In
Out
Joe: 「メインのほとんどのカードが、このマッチではとても良く機能する。《仕組まれた爆薬》と《最後の望み、リリアナ》はこのマッチでは決定打になる。《血染めの月》は相手の土地をロックできるけど、これには二つの問題がある」
Joe: 「一つは《霊気の薬瓶》と《貴族の教主》いう土地以外でも手札のクリーチャーを展開する手段があることで、ほかの特殊地形を多数採用したデッキと比べると効果が薄い。二つ目はほかのカード、例えばインスタントやソーサリーをサイドアウトすることで、《騒乱の歓楽者》をキャストするのが難しくなるリスクがある。《血染めの月》は特に後手では遅すぎるのもサイドアウトされる理由だ。先手の場合は、3枚目の《血染めの月》の代わりに《コラガンの命令》をサイドアウトするのもありだ」
VS Jeskai Control
In
Out
Joe: 「Jeskaiとのマッチアップは、長期戦を見据えたプランを立てる。メイン戦は《血染めの月》によるイージーウィンもあるけど、サイド後は相手も対策を用意してくるから《血染めの月》1枚で勝つことは難しくなる。それでも《天界の列柱》と《アズカンタの探索》をシャットアウトすることは重要で、相手がケアして基本地形をサーチしてきても《血染めの月》が着地してしまえば青青青や白白を出すことは難しくなる」
Joe: 「《摩耗+損耗》は《アズカンタの探索》を割る手段で、《ルーンの光輪》のようなカードにも対応できる。クリーチャー除去は基本的にあまり役に立たなくて《稲妻》はプレインズウォーカーを牽制できるから悪くないカードだけど、ほかにサイドインされるカードの方がベターだ」
Joe: 「《天界の列柱》とたまにサイドインされる《悪斬の天使》対策として《終止》を残しておくようにしている。このマッチでは基本的に脅威を1枚ずつ出していって相手に対処を迫る。《残骸の漂着》をケアしていくのと、《熱烈の神ハゾレト》を《流刑への道》されないように気を付ける」
VS Tron
In
Out
Joe: 「スペルをサイドアウトしてクリーチャーが多めにサイドインされるから、《騒乱の歓楽者》も少し減らす。《騒乱の歓楽者》は少し遅い上に相手は《大祖始の遺産》で墓地を対策してくる。《稲妻》はあまり強いカードじゃないけどライフを削る手段になるし、たまに相手が《解放された者、カーン》のマイナス能力を欲張って使った場合、撃ち落とすこともできる。基本的にトロンを揃えるのを妨害しつつ、クロックを展開していくことになる。《配分の領事、カンバール》はトロン側はキャントリップやサーチスペルを多用するから強力なクロックとなる」
VS Affinity
In
Out
Joe: 「《集団的蛮行》はこのマッチでは弱いと思うけど、色々なプレイヤーと話してみたら残しているプレイヤーの方が多くて驚いた。サイド後に追加するプレイヤーもいるらしいけど、はっきり言ってこのカードはこのマッチでは弱いからサイドアウトすることを強く勧める。《血染めの月》もこのマッチではそこまで強くない。《墨蛾の生息地》と《ちらつき蛾の生息地》対策は《未練ある魂》があるし、サイド後は《溶鉄の雨》も入るからあまり問題にならない」
Joe: 《騒乱の歓楽者》のコストダウンにも貢献するし、相手のあまり良くないドローに対しても刺さる。《戦慄掘り》はソーサリースピードで、このデッキに対しては少し遅い。もし相手が《ウルザの後継、カーン》を採用しているなら、代わりに《若き紅蓮術士》を1枚サイドアウトしても良い。Affinityの脅威の多くは回避能力持ちだから、1/1のエレメンタルはあまり役に立たない。《刻まれた勇者》はこのデッキにとっても厄介になるから、《罠の橋》の採用を考えている理由の一つだね」
VS Hollow One
In
Out
Joe: 「《血染めの月》は、相手が基本地形の《沼》をサーチしなかった場合を除くと基本的にこのマッチではあまり強くない。相手の墓地をシャットアウトする《虚空の力線》は、このカードのために積極的にマリガンをすることはないけど、このマッチアップでは強いカードだ。圧倒的に不利な状況でなければ、4ターン目に普通に出しても十分に活躍するカードになる。相手も墓地対策を用意してくることを想定して、《騒乱の歓楽者》1枚を《熱烈の神ハゾレト》と入れ替える」
Joe: 「《虚ろな者》や《虚空の力線》などを対策できる《摩耗+損耗》はこのマッチでも活躍する。もし3ターン目まで待てるなら『融合』して《虚ろな者》と《虚空の力線》を同時に割ってアドも取れる。《配分の領事、カンバール》は試験的にサイドインしているけど《恐血鬼》のブロッカーになりつつ、Hollow One側も《信仰無き物あさり》などスペルを多用するからクロックにもなる。でもあまり決定的になるサイドプランとは思えないから、《罠の橋》を採用することを考えている。あとサイド後は相手の《渋面の溶岩使い》に注意することだ」
--「詳しく解説してくれてありがとう。改めてトップ8入賞おめでとう」
ほかのミッドレンジやJeskai Controlなどフェアデッキに強いMarduは、ミッドレンジが好きな方に特にオススメです。
SCG Classics Roanoke
~フェア、コンボの混戦~
2018年06月08-10日
- 1位 Jund
- 2位 UR Gifts Storm
- 3位 WB Eldrazi & Taxes
- 4位 Counters Company
- 5位 Goryo’s Vengeance
- 6位 Humans
- 7位 GW Hexproof
- 8位 UR Breech
Joslyn Lambaria
トップ8のデッキリストはこちら
フェアデッキが多数を占めていたInvitational本選と異なり、自由参加の併催イベントであるClassicsはフェア、コンボなど様々なデッキが見られ、モダンらしい結果となりました。
SCG Classics Roanoke デッキ紹介
「Goryo’s Vengeance」
Goryo’s Vengeance
3 《山》
1 《血の墓所》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《悪意の神殿》
2 《黒割れの崖》
-土地(19)- 4 《猿人の指導霊》
2 《怒れる腹音鳴らし》
4 《グリセルブランド》
4 《世界棘のワーム》
-クリーチャー(14)-
1 《稲妻の斧》
4 《御霊の復讐》
4 《夜の囁き》
4 《滋養の群れ》
2 《安堵の再会》
2 《捨て身の儀式》
1 《集団的蛮行》
1 《魔力変》
4 《裂け目の突破》
-呪文(27)-
3 《血染めの月》
2 《バントゥ最後の算段》
1 《渋面の溶岩使い》
1 《破壊放題》
1 《集団的蛮行》
1 《紅蓮地獄》
1 《ラクドスの魔除け》
1 《神々の憤怒》
1 《仕組まれた爆薬》
-サイドボード(15)-
グランプリ・トロント2018でもプレイオフ進出を果たしていたJonathan Zhangは、今大会でもモダン版のReanimateコンボであるGoryo’s Vengeanceでプレイオフにまで勝ち残っていました。
基本的にこのデッキは、《グリセルブランド》や《世界棘のワーム》、《怒れる腹音鳴らし》などファッテイのコストを踏み倒すことを目的としており、マナブーストから《裂け目の突破》をプレイしたり、《御霊の復讐》で墓地から釣るのが主な手段となります。
☆注目ポイント
《御霊の復讐》は軽いコストが魅力ですが、事前に墓地を肥やすことが必要で、特にサイド後は墓地対策されるリスクがあります。《裂け目の突破》はコストは重くなりますがインスタントで《捨て身の儀式》など儀式スペルからキャストすることが可能で、奇襲性があるのが魅力です。
《信仰無き物あさり》や《安堵の再会》はキーカードを探しつつ墓地も肥えるので《御霊の復讐》のセットアップにも一役買います。《稲妻の斧》や《集団的蛮行》は墓地を肥やしつつ相手のクロックや妨害を対策します。特に《集団的蛮行》のフレキシブルさは魅力です。
赤がメインのデッキであることを活かし、多色のフェアデッキやTronなど土地コンボとのマッチアップ用にサイドに《血染めの月》が採用されています。墓地対策されても、《血染めの月》で相手の行動を制限して《裂け目の突破》からのコンボで一気に決めてしまうプランです。
グランプリ・ラスベガス2018
~KCIマスターがGP Hartfordから引き続いて優勝トロフィーを手にする~
2018年06月15-16日
- 1位 Ironworks
- 2位 Mono Green Tron
- 3位 Humans
- 4位 Grixis Death’s Shadow
- 5位 Counters Company
- 6位 Ironworks
- 7位 Mono Grenn Tron
- 8位 Jeskai Control
Matt Nass
トップ8のデッキリストはこちら
すっかり夏の祭典として定着しているグランプリ・ラスベガス2018のモダンの部は、アメリカで一番人気の構築フォーマットだけあって参加者2779名と大規模なイベントだったようです。
プレイオフまで勝ち残ったデッキは、最近流行りのMardu PyromancerやJeskai Controlといったフェアデッキに強いTronや《クラーク族の鉄工所》から大量にマナを出すコンボデッキであるIronworks 、トップメタの一角であるHumansやJeskai Controlの他にもGrixis Death’s ShadowやCounters Companyといった少数ながら根強い人気があるアーキタイプが中心でした。
特にTronはトップ16まで見渡すと6名と高い勝率を出しており、SCG Invitationalと同様に勝ち組だったようです。
グランプリ・ラスベガス2018 デッキ紹介
「Ironworks」「Grixis Death’s Shadow」
Ironworks
《クラーク族の鉄工所》 と《屑鉄さらい》を軸にしたコンボデッキ。《クラーク族の鉄工所》 によってマナを大量に生み出し、《彩色の星》や《胆液の水源》といった墓地に落ちた際にキャントリップが付くアーティファクトや、それらのアーティファクトを墓地から手札に戻す《屑鉄さらい》を利用することでループしていきます。
最終的に《黄鉄の呪文爆弾》の再利用を繰り返して、相手のライフを削ります。
モダンらしく直線的なデッキで、一見するとハンデスやカウンターといった妨害が厳しそうですが、サーチスペルの《古きものの活性》や各種キャントリップアーティファクト、墓地に落ちたアーティファクトを再利用する《マイアの回収者》や《屑鉄さらい》があるので、見た目よりも打たれ強いデッキです。
☆注目ポイント
《クラーク族の鉄工所》 と《屑鉄さらい》が揃ってしまえば、マナを生み出しつつドローを進めてループをスタートさせられます。《マイアの回収者》はハンデスなど、妨害スペルで落とされたキーカードを回収するクリーチャーで地味ながらこのデッキの強さを支えています。
キャントリップの他にも、このデッキには2種類のサーチカードが搭載されています。《古きものの活性》は《屑鉄さらい》など、コンボに必要なパーツをわずか1マナで集めることを可能にします。《発明博覧会》も《クラーク族の鉄工所》 や《屑鉄さらい》などキーカードをサーチしますが、同時に土地でもあるので序盤はマナ基盤として、中盤以降はサーチカードとして使えるフレキシブルさが魅力です。
メインのフィニッシャーは《黄鉄の呪文爆弾》のみですが、サイドには追加の勝ち手段として《ワームとぐろエンジン》、除去としても機能する《ギラプールの霊気格子》、《稲妻》が採用されています。特に《ギラプールの霊気格子》は、このタイプのデッキに対して有効とされている《石のような静寂》対策にもなります。
《石のような静寂》、《安らかなる眠り》といったエンチャント対策として《自然の要求》もフルに採用されています。《自然の要求》は自軍のアーティファクトも対象に取れることも覚えておきたいところです。Burnなどライフを攻めて来るデッキに対しては、ライフゲインによって時間を稼ぐことが可能で《胆液の水源》などを割ることでキャントリップのようにも使えます。《耳障りな反応》と《防御の光網》は、常に一定数存在するJeskaiなどカウンターを採用したデッキ対策になります。
Grixis Death’s Shadow
1 《沼》
2 《血の墓所》
2 《湿った墓》
1 《蒸気孔》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》
2 《沸騰する小湖》
-土地(17)- 4 《死の影》
4 《瞬唱の魔道士》
4 《通りの悪霊》
4 《グルマグのアンコウ》
-クリーチャー(16)-
4 《思考掃き》
4 《思考囲い》
3 《稲妻》
3 《頑固な否認》
2 《信仰無き物あさり》
2 《コジレックの審問》
1 《致命的な一押し》
2 《四肢切断》
2 《ティムールの激闘》
-呪文(27)-
一時期はトップメタの一角として猛威を振るっていましたが、現在はこのデッキにとって相性の良かったStormなどコンボデッキも数を減らし、HumansやJeskai、Tronといった相性の悪いデッキが幅を利かせているので、ベストなポジションとは言えません。
しかし、《死の影》や《グルマグのアンコウ》といったクロックを《頑固な否認》やハンデスによってバックアップしていき、《ティムールの激闘》によるコンボ勝ちも狙えるのは強力です。
☆注目ポイント
キャントリップの定番として採用されていた《選択》と《血清の幻視》に代わって、《ミシュラのガラクタ》と《信仰無き物あさり》が採用されています。《ミシュラのガラクタ》はスロートリップですが、キャストするのにマナがかからず、《信仰無き物あさり》とともに墓地を高速で肥やすことができるので《グルマグのアンコウ》もキャストしやすくなります。
《死の影》と《グルマグのアンコウ》を可能な限り早い段階から展開することを重視しているので、《致命的な一押し》や《終止》よりも《稲妻》と《四肢切断》が優先されています。《稲妻》は墓地を肥やすために積極的にキャストしていくことが重要で、《死の影》を強化するために自分を対象にすることもあります。《四肢切断》も1マナでライフを減らしつつ、環境の大抵のクリーチャーを除去します。
メインはスピードを重視しているので、《コラガンの命令》もサイドに落とされています。《渋面の溶岩使い》はAffinityやHumansなど、追加のクリーチャー除去が必要になるマッチアップで「探査」クリーチャー数体と入れ替わります。
総括
メタが変化し続けているモダンでは、特定のデッキが長い間環境を支配することがありません。実際、Humansが強かった先月と比べると、SCG Invitational Season OneではJeskai ControlやMarduといったフェアデッキが活躍しており、グランプリ・ラスベガス2018ではフェアデッキに強いTronが復権してきました。
Jeskai Controlは、SCG Invitational Season Oneでも2日目最大勢力でプレイオフにも進出し、グランプリ・ラスベガス2018でもトップ8入賞と、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を採用し始めて以来常に安定した成績を残し続けています。
以上USA Modern Express vol.16でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!
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