みなさんこんにちは。
新セットの『ラヴニカのギルド』もリリースされ、モダンも新環境に突入しました。アメリカでは『ラヴニカのギルド』がリリースされて早々にSCGのイベントが開催されています。
今回の連載では、先週末に開催されたSCGO Columbusの入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCGO Columbus
『ラヴニカのギルド』のカードが多数
2018年10月7日
- 1位 Humans
- 2位 Burn
- 3位 Jeskai
- 4位 Mono-Green Tron
- 5位 Elves
- 6位 Mardu Pyromancer
- 7位 Jeskai
- 8位 Hollow One
Logan/Parson/Shoopman
トップ8のデッキリストはこちら
『ラヴニカのギルド』がリリースされた翌日に開催されたSCGO Columbusはチーム構築戦だったので、『ラヴニカのギルド』加入後のスタンダード、モダン、レガシーの三つの異なるフォーマットを観戦することができました。
モダンでは旧環境から安定した強さを見せていたHumansや青白系のコントロールが引き続き活躍する中、最近復権してきたBurnも見られました。トップメタのHumansなど環境の複数のデッキに対して強かったことで上位入賞を果たしたようです。
プレビュー時点から話題になっていた《暗殺者の戦利品》という万能除去を得たことで受けの広さが増したGolgari Midrangeや、《暗殺者の戦利品》に加えて《這い寄る恐怖》という新戦力を得たDredgeも見られるなど、予想通り『ラヴニカのギルド』が環境に与えた影響は大きかったようです。
SCGO Columbus
「Humans」「Burn」「Dredge」「Golgari Midrange」
Humans
1 《平地》
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《地平線の梢》
4 《手付かずの領土》
1 《金属海の沿岸》
-土地 (19)- 4 《教区の勇者》
4 《貴族の教主》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《翻弄する魔道士》
4 《幻影の像》
4 《サリアの副官》
3 《スレイベンの守護者、サリア》
4 《カマキリの乗り手》
4 《反射魔道士》
1 《ケッシグの不満分子》
1 《軍勢の切先、タージク》
-クリーチャー (37)-
2 《ガドック・ティーグ》
2 《秋の騎士》
2 《イゼットの静電術師》
1 《オーリオックのチャンピオン》
1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
1 《つむじ風のならず者》
1 《墓掘りの檻》
1 《減衰球》
1 《四肢切断》
-サイドボード (15)-
トップメタの一角として常に上位で見かけるHumansは、新環境になってもチームを優勝に貢献するなど安定した強さを見せていました。
近年は新しいセットがリリースされる度に優秀なHumansクリーチャーが登場する傾向にあり、『ラヴニカのギルド』からも《軍勢の切先、タージク》とHumansクリーチャーではありませんが《秋の騎士》いう新戦力を獲得しました。
☆注目ポイント
『基本セット2019』リリース後は3マナ枠のクリーチャーにはアドバンテージが取れる《民兵のラッパ手》が採用されていましたが、Lukas Parsonのリストでは《ケッシグの不満分子》と《軍勢の切先、タージク》に差し替えられており、カードアドバンテージによってロングゲームを制するよりもアグレッシブに押し切ることを重視しているようです。
『ラヴニカのギルド』から加入したHumansクリーチャーの《軍勢の切先、タージク》は速攻持ちで、《稲妻》などの火力スペルから他のクリーチャーを保護する能力はJeskai Controlなどとのマッチアップでは特に重要となります。マナ基盤の関係で先制攻撃を付ける能力が起動できないのは残念なところですが、それでも十分な性能です。
《秋の騎士》は《再利用の賢者》と比べると多色になった分だけキャストはしにくくなりましたが、対象となる置物が戦場になくても3マナ4/3となり、3番目のモードを選ぶことによりライフゲインすることも可能です。最近またよく見られるようになったBurnとのマッチアップで重宝します。
Burn
前環境でも復権の兆しを見せていたBurnは、Tronに強くHumansやBant Spiritとの相性も悪くなく、UW Controlに対しても微有利とポジションに恵まれており、グランプリでも結果を残すなどコンスタントに結果を残し続けてメタの上位にまで上り詰めています。
《暗殺者の戦利品》が登場したことにより増加傾向にあるGolgari Midrangeなど《集団的蛮行》を使うデッキも増えてきており、UW Controlも《稲妻のらせん》にアクセスできるJeskaiにシフトしてきているため立ち位置は徐々に厳しくなってきそうですが、今大会ではそれらを押して上位に複数勝ち残っていました。
☆注目ポイント
《怒鳴りつけ》と同様、ドローかダメージの選択を強いる《危険因子》が採用されています。《怒鳴りつけ》と比べるとダメージが減った代わりにインスタントになって「再活」も付くなど使いやすくなっており、構築レベルの懲罰者スペルとしてプレビュー段階から話題になっていました。
環境の速度が速いモダンでは3マナの《危険因子》は少し重く、クリーチャーを対象に取れないのでHumansなどアグレッシブなデッキや各種コンボデッキに対してはやや悠長なこともありサイドに落とされていますが、UW Controlなど遅いデッキとのマッチアップでは少し話が違ってきます。「再活」によって息切れを防止できる上に8点火力になる可能性があり、なるべくライフを高い水準で保ちつつゲームをコントロールしていきたい青白側にとっては脅威となります。
Dredge
2 《血の墓所》
2 《踏み鳴らされる地》
2 《乾燥台地》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《樹木茂る山麓》
3 《銅線の地溝》
2 《黒割れの崖》
1 《宝石鉱山》
1 《ダクムーアの回収場》
-土地 (19)- 4 《恐血鬼》
2 《ゴルガリの凶漢》
4 《ナルコメーバ》
4 《秘蔵の縫合体》
4 《臭い草のインプ》
-クリーチャー (18)-
墓地をリソースとするコンボデッキのDredgeも『ラヴニカのギルド』から収穫があり、同週末に開催されていたModern Challengeでも結果を残していました。
《壌土からの生命》や《臭い草のインプ》といった「発掘」持ちのカードによってライブラリーを墓地に送り、《恐血鬼》、《ナルコメーバ》、《秘蔵の縫合体》といったクリーチャーをマナコストを支払うことなく展開してライフを削ります。
このように他のデッキと異なる軸で勝負する戦略なので、《流刑への道》など一部を除いてメインからこのデッキを対策する手段は限られており、メイン戦では多くのデッキに対して有利が付きます。また、《信仰無き物あさり》や《安堵の再会》といったドロースペルのおかげで挙動が安定しているのもデッキの強みです。
ただし、《安らかなる眠り》や《虚空の力線》といった墓地対策が投入されるサイド後のゲームは苦戦を強いられるので何かしらの置物対策は必須です。
☆注目ポイント
『ラヴニカのギルド』の新カードの《這い寄る恐怖》は4マナ3点ドレインと極めて平凡な効果のスペルですが、ライブラリーから落ちた際にはマナを支払わずに3点ドレインできます。Burnなどライフを攻めてくるデッキに対して時間を稼ぐことが可能で、相手のライフを削ることで《恐血鬼》に速攻を付けることにも貢献します。
『ラヴニカのギルド』の話題の万能除去《暗殺者の戦利品》はこのデッキでもサイドに採られています。相手がサイド後に投入してくるであろう《安らかなる眠り》や《虚空の力線》といった厄介な置物を対策できる1枚で、《突然の衰微》と比べると《虚空の力線》にも触れるので信頼性が増しており、《自然の要求》よりも受けが広いので前評判通りの活躍をしているようです。
Golgari Midrange
2 《森》
2 《草むした墓》
4 《新緑の地下墓地》
4 《花盛りの湿地》
3 《風切る泥沼》
2 《樹上の村》
3 《廃墟の地》
-土地 (25)- 4 《タルモゴイフ》
3 《漁る軟泥》
4 《不屈の追跡者》
2 《黄金牙、タシグル》
-クリーチャー (13)-
3 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
4 《暗殺者の戦利品》
2 《集団的蛮行》
1 《突然の衰微》
3 《ヴェールのリリアナ》
2 《最後の望み、リリアナ》
-呪文 (22)-
『ラヴニカのギルド』のプレビュー段階でも環境に大きな影響を与えるカードとして注目を集めていた《暗殺者の戦利品》をフル搭載したGolgari Midrange。わずか2マナであらゆるパーマネントを処理できるインスタントは緑黒系のミッドレンジが最も欲しかったタイプのスペルの一つです。今大会でもトップ16という好成績を残し、MOで毎週開催されているModern Challengeでもこのリストとほぼ同様のリストが優勝していることから、要注目のデッキです。
《グルマグのアンコウ》など《致命的な一押し》が効かないクリーチャーを除去するために何かと制限が多かった《四肢切断》や《喉首狙い》といった除去に頼る必要もなくなり、色を足して《流刑への道》や《終止》を採用する必要も薄れました。
逆に緑黒の2色に絞ることで基本地形を多く採用することができるようになっており、無理なく《廃墟の地》も採用することができるので緑黒の2色も有効な選択肢となりつつあります。《血染めの月》などアンチ特殊地形カードにも耐性が付き、このタイプのデッキが苦手としていたTronなど土地コンボデッキとの相性も緩和されそうです。
☆注目ポイント
《暗殺者の戦利品》はプレインズウォーカーやクリーチャーなども対策できるので、メインボードから無理なくトロンランドを対策する手段になります。《解放された者、カーン》や《精霊龍、ウギン》といったプレインズウォーカーも対策できることも重要で、いつ手札に来ても活躍するという所が《大爆発の魔道士》や《塵への崩壊》など土地のみを対象にできるカードとの明確な違いです。
Tronとのマッチアップだけでなく、現環境のトップメタの一角である青白系のコントロールの《天界の列柱》、《精神を刻む者、ジェイス》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《悪斬の天使》にも対処ができるようになったので相性が改善されています。
Jundなど緑黒系のミッドレンジで定番の《闇の腹心》が不採用で、アドバンテージを稼げるクリーチャーとして《不屈の追跡者》が採用されています。《闇の腹心》の方がコストは軽いですが、多くの場合カードアドバンテージを得る前に《稲妻》や《致命的な一押し》などで即退場となります。逆に《不屈の追跡者》はキャストするタイミングにさえ気を付ければ例え除去されたとしても確実にアドバンテージが得られ、生き残ればフェッチランドなどによってハンドアドバンテージを稼ぎながらサイズも向上していくので、アドバンテージエンジンとしてもフィニッシャーとしても活躍する優秀なクリーチャーです。
また、《闇の腹心》が抜けたことで高コストのカードが捲れてうっかり負けてしまう心配がなくなり、《黄金牙、タシグル》のような「探査」クリーチャーも採用しやすくなるなどデッキ構築面の自由度も増しています。《黄金牙、タシグル》は《タルモゴイフ》と並ぶこのデッキのフィニッシャーで、起動能力もミッドレンジにありがちなマナフラッド防止になります。
サイドにはモダンではあまり見られないカードも採用されています。《生命の力、ニッサ》はUW(Jeskai) Controlや緑黒系のミッドレンジ同型などフェアデッキとのマッチアップで追加のフィニッシャー兼アドバンテージ獲得手段となり、自軍の土地1枚を5/5速攻にする「+1」能力は相手のプレインズウォーカー対策としても機能します。
スイーパーはBant Spiritの《無私の霊魂》など破壊不能クリーチャー対策なのか、《滅び》よりも《衰滅》が優先されています。このデッキのフィニッシャーの一つである《黄金牙、タシグル》を巻き込まずに済むのもポイントで、《生命の力、ニッサ》との相性も良く、うまく使えば相手側だけ一方的に更地にすることも可能です。
総括
緑黒系のミッドレンジなどフェアデッキだけでなく、Dredgeのようなアンフェアデッキのサイドボードでも使われるなど《暗殺者の戦利品》はプレビュー段階からの評価の通り活躍していました。
『ラヴニカのギルド』のリリース直後ということで新カードを採用したデッキを中心に見ていきましたが、新環境になってもモダンは多種多様なデッキが活躍するおもしろいフォーマットなので、ぜひプレイしてみることをお勧めします。デッキのパーツの中には高価なものもありますが、今回ご紹介したデッキの中ではBurnがデッキの動きも分かりやすくデッキのお値段もモダンの中では比較的リーズナブルなのでお勧めです。
以上USA Modern Express vol.21でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!
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