週刊デッキウォッチング vol.39 -ジャンドアリストクラッツ etc.-

伊藤 敦


 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: ローグ



Furujou Takashi「ローグ」
PWC – PPTQ併設午後からGPT神戸(トップ8)

5 《沼》
3 《山》
1 《森》
4 《燻る湿地》
2 《燃えがらの林間地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《樹木茂る山麓》

-土地(23)-

4 《搭載歩行機械》
4 《血に染まりし勇者》
4 《捕らわれの宿主》
4 《ズーラポートの殺し屋》
4 《ナントゥーコの鞘虫》
3 《地下墓地の選別者》
2 《息詰まる忌まわしきもの》
1 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》

-クリーチャー(26)-
2 《骨の粉砕》
3 《軍族童の突発》
2 《残忍な切断》
4 《衝撃の震え》

-呪文(11)-
3 《強迫》
3 《穢れた療法》
2 《棲み家の防御者》
2 《コラガンの命令》
1 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
1 《骨の粉砕》
1 《アタルカの命令》
1 《軍族童の突発》
1 《戦線突破》

-サイドボード(15)-
hareruya



搭載歩行機械ナントゥーコの鞘虫衝撃の震え



 「ジャンドアリストクラッツ」という発想自体は【KenjiWayfinder】の段階で示唆されていたところではあるが、このデッキはそのコンセプトを「ダメージ勝ち」の方向へさらに洗練させたものとなっている。

 鍵となるのは《衝撃の震え》。これが《ズーラポートの殺し屋》の5~8枚目として機能することにより、《血に染まりし勇者》の「強襲」能力や《搭載歩行機械》のトークン生成能力をフィニッシュブローにまで高めることに成功している。

 このアーキタイプではとにかく競合しがちな3マナ圏に《異端の癒し手、リリアナ》ではなく《軍族童の突発》を採用している点も興味深い。《衝撃の震え》との相性もあり、より瞬間の爆発力を追求しているのだろう。

 サイドボードの《戦線突破》《ナントゥーコの鞘虫》を「速攻」で走らせることもでき、青黒アリストクラッツにはない赤の利点と言えよう。


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■ モダン: ローグ



Hiyama Kenji「ローグ」
休日モダン20時の部(3-0)

4 《沼》
4 《魂の洞窟》
4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
4 《エルドラージの寺院》
4 《幽霊街》
4 《ウギンの目》

-土地(24)-

4 《果てしなきもの》
4 《威圧ドローン》
4 《コジレックの媒介者》
4 《忘却蒔き》
1 《真実の解体者、コジレック》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー(18)-
4 《思考囲い》
2 《四肢切断》
4 《全ては塵》
4 《探検の地図》
2 《幽霊火の刃》
2 《大祖始の遺産》

-呪文(18)-
3 《呪文滑り》
3 《大爆発の魔道士》
2 《外科的摘出》
2 《墓掘りの檻》
2 《虚無の呪文爆弾》
1 《虚空の選別者》
1 《四肢切断》
1 《大祖始の遺産》

-サイドボード(15)-
hareruya



ウギンの目果てしなきもの威圧ドローン



 【vol.36】でも紹介した「黒単エルドラージ」だが、このデッキはマナベースこそほとんど同じなものの、デッキコンセプトは全くの別物となっている。

 すなわち、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の連打を目的としたコントロールから、より《全ては塵》をアグレッシブに使うミッドレンジへと進化を遂げたのだ。

 何といっても《ウギンの目》がある状況では《果てしなきもの》は0マナ2/2、1マナ3/3、2マナ4/4ととてつもないマナレシオのバニラクリーチャーへと変貌する。また、《威圧ドローン》は1マナ3/2で (脇にクリーチャーがいれば) 出たときに2点ルーズと、スーパー《野生のナカティル》と言って差し支えない性能だ。

 さらに《全ては塵》《エルドラージの寺院》《ウギンの目》でかなり早いターンにキャストできる上に自陣に一切被害が出ないので、十分な量のクロックさえあれば相手の場だけを壊滅させて一瞬で勝てたりもする。エルドラージ呪文好き (?) にはたまらないデッキだろう。


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■ レガシー: 黒緑アグロ



Ikegami Akira「黒緑アグロ」
平日レガシー17時の部(3-0)

2 《森》
1 《沼》
2 《Bayou》
2 《草むした墓》
3 《新緑の地下墓地》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《樹木茂る山麓》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
1 《亡骸のぬかるみ》
2 《不毛の大地》

-土地(18)-

4 《死儀礼のシャーマン》
3 《死の影》
1 《ウルヴェンワルドの足跡追い》
4 《タルモゴイフ》
3 《朽ちゆくヒル》
2 《棲み家の防御者》
1 《首を狩る者》
3 《漆黒の刃の死神》
3 《死霧の猛禽》
1 《冷酷な軍族》
1 《異端の癒し手、リリアナ》
1 《縞痕のヴァロルズ》

-クリーチャー(27)-
4 《突然の衰微》
1 《四肢切断》
3 《集合した中隊》
3 《森の知恵》
4 《金属モックス》
1 《稲妻のすね当て》

-呪文(16)-
4 《思考囲い》
2 《インプの悪戯》
2 《真髄の針》
1 《苛性イモムシ》
1 《再利用の賢者》
1 《見栄え損ない》
1 《ゴルガリの魔除け》
1 《毒の濁流》
1 《夜の戦慄》
1 《墓掘りの檻》

-サイドボード(15)-
hareruya



死の影漆黒の刃の死神集合した中隊



 「†漆黒の刃の死神†」と書くとすさまじく中二なハンドルネームに見えてしまうが、《漆黒の刃の死神》はれっきとした実在するカードである。

 本来は裏向きでプレイし、攻撃が通ったところで表向きにしてライフ半分の大ダメージでわーいやったね!というデザインであろうこのカードを、しかしあえて《集合した中隊》で表向きで出した上で《死の影》でデメリットをメリットに転換するという大胆な手法で活用した製作者の発想力は本当に素晴らしい。

 他にも《草むした墓》《朽ちゆくヒル》《森の知恵》など自然にライフを支払えるカードも数多く搭載しており、《死の影》は安定したフィニッシャーとして機能するし、《縞痕のヴァロルズ》とのコンボも見逃せない。またサイドボードの《インプの悪戯》《Hymn to Tourach》《突然の衰微》に対する強烈なカウンターとして機能しそうだ。

 レガシーで「変異」など出そうものなら対戦相手は不思議がること請け合いだし、ましてそれが《漆黒の刃の死神》ならなおさらだ。《Force of Will》《渦まく知識》を無視して「わからん殺し」したいという方は、このデッキを使ってみるといいかもしれない。


【「黒緑アグロ」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、是非色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



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