週刊デッキウォッチング vol.43 -最後の審判 etc.-

伊藤 敦

伊藤 敦


 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: エルドラージランプ



Pavel Matousek「エルドラージランプ」
グランプリ・神戸2015 (トップ8)

8 《森》
3 《島》
1 《大草原の川》
3 《吹きさらしの荒野》
4 《伐採地の滝》
4 《見捨てられた神々の神殿》

-土地(23)-

4 《葉光らせ》
4 《爪鳴らしの神秘家》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー(14)-
3 《ニッサの巡礼》
4 《爆発的植生》
4 《ニッサの復興》
4 《水の帳の分離》
2 《時を越えた探索》
2 《深海の主、キオーラ》
4 《精霊龍、ウギン》

-呪文(23)-
4 《ジャディの横枝》
4 《カル・シスマの風》
3 《払拭》
2 《破滅の伝導者》
1 《虚空の選別者》
1 《ウギンの聖域》

-サイドボード(15)-
hareruya



深海の主、キオーラ水の帳の分離絶え間ない飢餓、ウラモグ



 アタルカレッドの優勝に終わった【グランプリ・神戸2015】だが、トップ8には実に7種類ものデッキが入賞し、「スタンダードはアブザンアグロ一強」という言説に疑義を抱かせるには十分な結果となった。

 その中でもこの青緑ランプは、ランプというアーキタイプの定型に革命を起こしたと言っても過言ではないほどに洗練されたリストで、とりわけ3マナのマナブーストを《ニッサの巡礼》3枚のみに絞って代わりに《深海の主、キオーラ》を採用している点や《ニッサの復興》《水の帳の分離》を4枚ずつ積んでいる点など、随所に入念な調整の痕跡が見られる。

 《森の占術》も不採用で代わりに8枚のマナクリーチャーを採用し、「2→4→6→8 or 10」という動きをどこまでも追求している。

 サイドボードも相性が悪いアタルカレッドに対し《ジャディの横枝》《カル・シスマの風》をしっかり4枚ずつ搭載しており、これからはこの形がエルドラージランプのスタンダードとして定着していくかもしれない。


【「エルドラージランプ」でデッキを検索】





■ モダン: ローグ



Endou Tadashi「ローグ」
休日モダン20時の部 (3-0)

2 《平地》
4 《空僻地》
4 《マナの合流点》
2 《宝石鉱山》
4 《金属海の沿岸》

-土地(16)-

4 《純鋼の聖騎士》
2 《僧院の導師》

-クリーチャー(6)-
4 《撤収》
2 《ギタクシア派の調査》
2 《血清の幻視》
1 《精霊への挑戦》
2 《ハーキルの召還術》
1 《ぶどう弾》
1 《残響する真実》
4 《神話実現》
4 《蜘蛛糸の網》
4 《カイトシールド》
4 《調和者隊の盾》
4 《極楽のマントル》
4 《オパールのモックス》
1 《骨の鋸》

-呪文(38)-
3 《ぶどう弾》
3 《神聖の力線》
2 《呪文滑り》
1 《白鳥の歌》
1 《流刑への道》
1 《摩耗+損耗》
1 《古えの遺恨》
1 《残響する真実》
1 《安らかなる眠り》
1 《真髄の針》

-サイドボード(15)-
hareruya



純鋼の聖騎士撤収神話実現



 《純鋼の聖騎士》と大量の0マナ装備品から《撤収》につなげ、ストームを稼いで《ぶどう弾》でフィニッシュする「純鋼ストーム」は、4枚の《純鋼の聖騎士》を必ず引かなければならないという不安定さが弱点だった。

 しかしこのデッキでは《神話実現》《僧院の導師》を採用し、キープ基準の大幅な緩和に成功している。1ターン目《神話実現》なら、0マナ装備品や《オパールのモックス》連打からの《撤収》につなげればあっという間に7個くらいカウンターは乗りそうだし、《僧院の導師》をプレイして2体くらいトークンを出しておけば、次のターンには山ほどの「果敢」が誘発して強烈な一撃をお見舞いできる。

 もちろん《純鋼の聖騎士》がうっかり手札に来ようものならチェイン・コンボの本領発揮である。《カイトシールド》《蜘蛛糸の網》《調和者隊の盾》《極楽のマントル》……0マナのよくわからない装備品たちが戦場に山と並ぶ様は、対戦相手にしたらたまったものではないだろうが、想像するだけで圧巻だ。

 このデッキに限らず、まだまだモダンには様々な可能性が眠っている。3日後に迫った【第5期モダン神挑戦者決定戦】では一体どんなデッキが出てくるのか、今から楽しみだ。


【「ローグ」でデッキを検索】





■ レガシー: 最後の審判



Paul Agyekum「最後の審判」
晴れる屋レガシー杯 (5-1)

2 《島》
1 《沼》
2 《Underground Sea》
2 《Volcanic Island》
1 《Tundra》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》

-土地(16)-

1 《研究室の偏執狂》

-クリーチャー(1)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《暗黒の儀式》
4 《強迫》
3 《陰謀団式療法》
1 《汚物の雨》
4 《燃え立つ願い》
1 《留まらぬ発想》
3 《最後の審判》
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》
2 《水蓮の花びら》
4 《師範の占い独楽》
1 《彩色の宝球》

-呪文(25)-
4 《僧院の導師》
2 《沈黙》
2 《虐殺》
1 《虚空の罠》
1 《陰謀団式療法》
1 《最後の審判》
1 《残酷な取り引き》
1 《巣穴からの総出》
1 《苦悶の触手》
1 《平地》

-サイドボード(15)-
hareruya



燃え立つ願い最後の審判師範の占い独楽



 マジックの初心者にとってストーム系コンボは「何やらよくわからない難しいもの」だ。それ故にレガシー初心者にとってANTは鬼門だが、実はそれ以上に難しいデッキが存在する。それがこの《最後の審判》だ。

 《最後の審判》はプレイするとライブラリーが好きな順番で積まれた5枚になる。要は「その状況でどうやって勝つか」を考えるだけなのだが、そこに対戦相手という変数が加わると方程式は一気に複雑になる。詳細は (私にもよくわからないので) 措くが、対戦相手のライフなどのシチュエーションに応じて10種類以上の積み込みパターンがあるらしい。

 「そんなに難しいならANTを使えばいいじゃん」と思うかもしれないが、ANTとの対戦に慣れた相手であっても《最後の審判》との対戦に慣れた相手はそうはいない。他にも、キーパーツが限られておりANTよりも少ない手札で勝てるのは魅力と言える。

 また、サイドボードの《僧院の導師》《師範の占い独楽》が4枚入ったこのデッキならアグレッシブ・サイドボードとして極めて効果的に働きそうだ。《狼狽の嵐》を構えた相手を気持ちよく殴りきろう。


【「最後の審判」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



この記事内で掲載されたカード


Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事

このシリーズの過去記事