週刊デッキウォッチング vol.42 -Kiki Bring etc.-

伊藤 敦


 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: ローグ



Yamakawa Hiroaki「ローグ」
平日スタンダード14時の部 (3-0)

3 《森》
1 《島》
1 《沼》
1 《燃えがらの林間地》
1 《大草原の川》
1 《窪み渓谷》
1 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《樹木茂る山麓》
1 《ラノワールの荒原》

-土地(26)-

4 《鎌豹》
4 《噛み付きナーリッド》
4 《爪鳴らしの神秘家》
2 《地下墓地の選別者》
4 《血の暴君、シディシ》
3 《放浪する森林》
1 《嵐の憤怒、コラガン》

-クリーチャー(22)-
4 《自傷疵》
4 《残忍な切断》
4 《影響力の行使》

-呪文(12)-
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《強迫》
3 《精神背信》
3 《光輝の炎》
2 《地下墓地の選別者》

-サイドボード(15)-
hareruya



鎌豹血の暴君、シディシ影響力の行使



 《エレボスの鞭》を失うと同時にほとんど活躍を目にしなくなった《血の暴君、シディシ》だが、カードパワーが相当なものであることはやはり疑いようもなく、したがって適切なデッキさえ用意してあげれば、再びスタンダードのトップメタに返り咲くことも夢ではないはずである。

 このスゥルタイアグロは、アブザンアグロに似たマナカーブながらも少し重めの構造をとっており、アブザンを強烈に意識していることが窺える。メインから採用された《自傷疵》はアブザンの初動を挫くのに最適な上に、流行りのエスパードラゴン相手にも腐らない。

 そして何より4枚フル投入された《影響力の行使》《爪鳴らしの神秘家》からプレイすれば、頭を悩ませる《包囲サイ》も可愛いペットに早変わりだ。

 アブザンアグロばかりと言われるスタンダードにおいて、《血の暴君、シディシ》を使っても工夫次第でアブザンを乗り越えられる可能性があることを示してくれた素晴らしいデッキと言えるだろう。


【「ローグ」でデッキを検索】





■ モダン: 多色ビートダウン



Kakuta Taisuke「多色ビートダウン」
晴れる屋モダン杯 (4-2)

1 《森》
1 《島》
1 《山》
1 《平地》
1 《沼》
1 《燃えがらの林間地》
1 《大草原の川》
1 《燻る湿地》
1 《窪み渓谷》
1 《寺院の庭》
4 《湿地の干潟》
4 《霧深い雨林》
4 《新緑の地下墓地》
3 《乾燥台地》

-土地(25)-

4 《極楽鳥》
4 《タルモゴイフ》
4 《復活の声》
2 《刃の接合者》
1 《永遠の証人》
1 《台所の嫌がらせ屋》
4 《包囲サイ》
4 《修復の天使》
2 《鏡割りのキキジキ》

-クリーチャー(26)-
4 《流刑への道》
4 《白日の下に》
1 《堀葬の儀式》

-呪文(15)-
4 《亡霊の牢獄》
3 《原基の印章》
1 《呪文滑り》
1 《悪斬の天使》
1 《嵐の神、ケラノス》
1 《鷺群れのシガルダ》
1 《塵への崩壊》
1 《殺戮遊戯》
1 《引き裂く突風》
1 《消えないこだま》

-サイドボード(15)-
hareruya



大草原の川鏡割りのキキジキ白日の下に



 《出産の殻》を失った「Kiki Pod」は《召喚の調べ》を代用品にした「Kiki Chord」へと変化したが、《鏡割りのキキジキ》が持ってこれるなら《白日の下に》でもいいのでは?」というアイデアに大胆に挑戦したのがこの「Kiki Bring」だ。

 《召喚の調べ》よりも勝っている点として、《白日の下に》はインスタント/ソーサリーもプレイできるため、地味にサイドボードの選択肢が広いことが挙げられる。そしてそれはデッキの種類が豊富なモダンにおいては決定的な違いとなりうるのだ。《引き裂く突風》《殺戮遊戯》といったクリティカルなサイドカードを5枚ずつデッキに入れられるなら、誰だって入れるに決まっているだろう。

 さらにこのデッキで特筆すべき点として、「バトルランドの採用」が挙げられる。確かに「《森》《平地》《窪み渓谷》 or 《燻る湿地》」というアブザンアグロのマナベースは、特にバーンが幅を利かせているモダンにおいては、ライフリソースの維持という観点でショックランドを採用するよりも合理的とも考えうる。

 5色のデッキだけにまだまだ研究の余地がありそうなこのデッキ、来週の【第5期モダン神挑戦者決定戦】に向けて調整してみてもいいかもしれない。


【「多色ビートダウン」でデッキを検索】





■ レガシー: 土地単



Kaneko Yasuki「土地単」
晴れる屋レガシー杯 (4-2)

1 《森》
2 《Taiga》
1 《吹きさらしの荒野》
1 《樹木茂る山麓》
1 《霧深い雨林》
4 《燃え柳の木立ち》
1 《地平線の梢》
1 《平穏な茂み》
1 《Karakas》
1 《ボジューカの沼》
1 《亡骸のぬかるみ》
4 《演劇の舞台》
4 《不毛の大地》
3 《リシャーダの港》
1 《幽霊街》
3 《暗黒の深部》
3 《Maze of Ith》
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》

-土地(34)-

1 《アルゴスの庇護者、ティタニア》

-クリーチャー(1)-
4 《輪作》
4 《ギャンブル》
4 《壌土からの生命》
4 《罰する火》
4 《踏査》
1 《芽ぐみ》
4 《モックス・ダイアモンド》

-呪文(25)-
4 《クローサの掌握》
4 《虚空の杯》
4 《抵抗の宝球》
1 《アメジストのとげ》
1 《三なる宝球》
1 《暗黒の深部》

-サイドボード(15)-
hareruya



アルゴスの庇護者、ティタニア芽ぐみ亡骸のぬかるみ



 最新のレガシーグランプリである【グランプリ・シアトル・タコマ2015】の頂点に立ったのは【土地単】だった。《実物提示教育》系のデッキがトップメタだった間はあまり活躍できていなかったが、これからは【白青奇跡】に次ぐレガシーのコントロールとして、数を増やしていくことも考えられる。

 となれば使う側にも一工夫が求められるようになる。土地単は替えがきかない強力なカードが多いため固定スロットがデッキの大部分を占めるデッキだが、全く遊びの余地がないわけでもない。このデッキは通常《Glacial Chasm》《マナ結合》が入っている部分を《アルゴスの庇護者、ティタニア》《芽ぐみ》に置き換えている。

 《アルゴスの庇護者、ティタニア》はこのデッキではエレメンタルトークンを量産して速やかにゲームを終わらせることができる。《亡骸のぬかるみ》を入れておけば、何度《稲妻》されても安心だ。《芽ぐみ》は正直このデッキを見るまで存在を知らなかったが、5枚目の《踏査》として《マナ結合》とどちらが優秀か、一長一短といったところだろう。

 土地に関するカードならば何でも採用候補となるため、他にも意外なカードがデッキに入るかもしれない。【統率者2015】のカードなどもチェックしておいた方がいいだろう。


【「土地単」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



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