みなさんこんにちは!
アメリカではPhiladelphiaでEternal Weekendがありました。メインのイベントの一つとして【Legacy Championship 2015】が開催され、参加者744名と大盛況で幕を閉じました。
さて、今回の記事では【Legacy Championship 2015】と【SCG Premier IQ Charlotte】の結果を見ていきたいと思います。
Legacy Championship 2015 トップ8
~Delver系が多数入賞、4C DelverがOmni-tellを破って優勝~
2015年8月23日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 4C Delver/青黒赤ジャンク
2位 Omni-tell/実物提示教育
3位 Grixis Delver/青黒赤ジャンク
4位 Lands/土地単
5位 Grixis Delver/青黒赤ジャンク
6位 Splinter Twin/ローグコンボ
7位 Merfolk/マーフォーク
8位 4C Delver/多色ビートダウン
744名もの参加者が集まった【Legacy Championship 2015】はスイスラウンド11回戦という長丁場でした。
トップ8にはDelver系が多く勝ち残りましたが、Delver系やOmni-tellといったトップメタ以外にも、最近大きなトーナメントで結果を残し続けているLandsや部族デッキのMerfolk、そしてモダンで一線級の活躍を見せるTwinがレガシー向けに調整されて上位に入賞しています。
Legacy Championship 2015 デッキ紹介
「4C Delver」「Merfolk」「Splinter Twin」
3 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 1 《Tropical Island》 4 《沸騰する小湖》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《若き紅蓮術士》 2 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(14)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 1 《二股の稲妻》 1 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 -呪文(28)- |
4 《陰謀団式療法》 3 《紅蓮破》 2 《外科的摘出》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《イゼットの静電術師》 1 《古えの遺恨》 1 《四肢切断》 1 《夜の戦慄》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
Sultai DelverやUR DelverなどDelver系を好んで使っているBob Huangは、今大会では4C Delverを持ち込み見事に優勝を収めました。
4Cとは言っても基本的にGrixisカラーのDelverで、《死儀礼のシャーマン》のために緑がタッチされています。
☆注目ポイント
《Karakas》でバウンスされる心配がないため《黄金牙、タシグル》よりも《グルマグのアンコウ》の方が優先されています。
土地がわずか18枚で《不毛の大地》や《目くらまし》を使うこのデッキでは土地が並ぶことも少なく能力の起動をする機会もあまりないので順当な選択と言えます。
パワーが5というのも攻撃的な構成のこのデッキでは重要なファクターの一つです。
《若き紅蓮術士》+《陰謀団式療法》はレガシーでも最も強力なシナジーの一つで、Omni-tellやANTなどのコンボやコントロールデッキとのマッチアップで劇的な効果が望めます。《ギタクシア派の調査》からのスタートが基本です。
サイドの《外科的摘出》は多くのデッキで見かけるようになった墓地対策カードで、ReanimatorやDredgeなど墓地を活用するデッキとのマッチアップでサイドインされるのはもちろん、Omni-tellやANTなどとのマッチアップでも墓地に落とした相手のコンボパーツを根こそぎ取り除くことが可能です。
相手のハンドの状況も把握することができるので、その後のプランも立てやすくなり、見かけ以上に多くのマッチアップでサイドインされます。
《夜の戦慄》と《イゼットの静電術師》はこのデッキにとって厄介な《スレイベンの守護者、サリア》などを多数採用したDeath and Taxes対策になり、特に《イゼットの静電術師》はElvesやInfect、Stormコンボ(《巣穴からの総出》プランや《ザンティッドの大群》対策)としても使えます。
2 《Tropical Island》 2 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《汚染された三角州》 3 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《タルモゴイフ》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 2 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 3 《突然の衰微》 4 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 1 《森の知恵》 -呪文(28)- |
2 《ゴルガリの魔除け》 2 《墓掘りの檻》 1 《漁る軟泥》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《方向転換》 1 《狼狽の嵐》 1 《二股の稲妻》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《古えの遺恨》 1 《四肢切断》 1 《コラガンの命令》 1 《夜の戦慄》 -サイドボード(15)- |
同じ4C DelverでもGrixis DelverがベースのBob Huangのリストと異なり、CharlieのリストはSultai Delverに赤をタッチした構成です。
【GP Lille】でもトップ8に入賞を収めていたデッキで、赤を足したことにより火力の《稲妻》と青対策スペルの《紅蓮破》にアクセスが可能になっています。
☆注目ポイント
『マジック・オリジン』からの新カード《ヴリンの神童、ジェイス》が目を引きます。除去されやすいのが難点ですが、生き残れば「探査」のために墓地を肥やしつつ手札の質を向上させることができます。
デッキの構成上PWに変身させるのも容易で、このデッキにとって貴重なアドバンテージ源となります。
《ギタクシア派の調査》や《若き紅蓮術士》など速度による爆発力を重視したGrixis Delverと異なり、除去の《突然の衰微》やカードアドバンテージを稼げる《森の知恵》、サイドの《コラガンの命令》などから見て取れるように、ミッドレンジ寄りの構成となっています。
他のDelver系と比べると爆発力では劣りますが安定感で勝り、ロングゲームに強い形です。
12 《島》 4 《魂の洞窟》 4 《変わり谷》 1 《不毛の大地》 -土地(21)- 4 《呪い捕らえ》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《銀エラの達人》 3 《幻影の像》 2 《潮流の先駆け》 4 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(26)- |
4 《Force of Will》 4 《虚空の杯》 4 《霊気の薬瓶》 1 《梅澤の十手》 -呪文(13)- |
2 《基本に帰れ》 2 《秘儀の研究室》 2 《不忠の糸》 2 《真髄の針》 1 《不毛の大地》 1 《金粉のドレイク》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《誤った指図》 1 《大祖始の遺産》 1 《万力鎖》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
レガシーを代表する部族デッキの一つで、「島渡り」は青いデッキが多い環境では安定してクロックが刻むことができます。
Grixis Delverなどに採用されている《若き紅蓮術士》によって生み出されたトークンの群れによるチャンプブロックも許しません。
☆注目ポイント
《虚空の杯》がメインからフル搭載されているのが特徴的です。他の青いデッキと異なり《渦まく知識》など1マナのドロースペルを採用していないので、「X=1」で戦場に出せば1マナキャントリップを多用するコンボや青いデッキをスローダウンさせることができます。
モダンのMerfolkでも活躍している『マジック・オリジン』からの新カード《潮流の先駆け》も採用されています。
サイドの《エメリアの盾、イオナ》はOmni-tell対策で《実物提示教育》に合わせて戦場に出して青と指定すれば相手をロックすることができます。
カウンターの枚数はOmni-tellの方が多いためカウンター合戦では分が悪いことが多いので、下手に付き合うよりもこういった対策の方が有効なことが多そうです。
4 《島》 1 《山》 4 《Volcanic Island》 1 《Tundra》 1 《Plateau》 4 《沸騰する小湖》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《乾燥台地》 -土地(20)- 2 《瞬唱の魔道士》 3 《詐欺師の総督》 3 《やっかい児》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 1 《呪文嵌め》 1 《紅蓮破》 2 《対抗呪文》 4 《Force of Will》 3 《時を越えた探索》 4 《欠片の双子》 1 《仕組まれた爆薬》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(30)- |
2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《硫黄の精霊》 2 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 2 《摩耗+損耗》 2 《誤った指図》 2 《大祖始の遺産》 1 《イゼットの静電術師》 -サイドボード(15)- |
《詐欺師の総督》か《やっかい児》を戦場に出し、《欠片の双子》をエンチャントして無限トークンコンボを狙うコンボデッキです。
モダンでは定番のデッキの一つですが、レガシーではあまり見かけないデッキでした。
☆注目ポイント
モダンと異なりレガシーでは《渦まく知識》や《思案》といったドロースペルが使えるのでデッキの安定性が更に向上しているようです。モダンでは禁止カードに指定されている《時を越えた探索》もレガシーでは健在です。
コンボヘイトに対抗するために《黄金牙、タシグル》や《タルモゴイフ》といったコンボとは別の勝ち手段が採用されていることも多いTwinですが、レガシーでは《精神を刻む者、ジェイス》という追加の勝ち手段兼アドバンテージ獲得手段が使えます。
《欠片の双子》は4マナと重く、比較的除去されやすいクリーチャーがコンボに必須なため《剣を鍬に》や《目くらまし》などの妨害スペルが飛び交うレガシーでは難易度が高そうに思えますが、ローグデッキとしてのアドバンテージも勝因の一つだったと思われます。
SCG Premier IQ Charlotte トップ8
~Omni-tellの強さ揺るがず~
2015年8月23日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Omni-tell/実物提示教育
2位 Esper Stoneblade/白青石鍛冶
3位 ANT/ストーム
4位 Burn/赤単
5位 Elves/エルフ
6位 Grixis Control/青黒赤ジャンク
7位 Jeskai Stoneblade/白青石鍛冶
8位 Temur Delver/カナディアン・スレッショルド
【SCGO Washington DC】の結果と同様にOmni-tellが優勝を飾りました。印象的だったのは、【SCGO Washington DC】でも準優勝を収めていたShaheen Sooraniがほぼ同様のEsper Stonebladeで決勝まで勝ち残っていたことです。
惜しくも今大会でも決勝戦でOmni-tellに敗れ準優勝でしたが、安定した成績を残し続けています。
また、デッキビルダーのGerry Thompsonも【Legacy Championship 2015】で入賞を収めた4C Delverにも採用されている《ヴリンの神童、ジェイス》を使ったコントロールデッキでトップ8入賞を収めました。
Interview With Gerry Thompson
『マジック・オリジン』からの新カード《ヴリンの神童、ジェイス》を採用したGrixis Controlで今大会トップ8入賞を収めたGerry Thompsonにお話を聞くことができました。
一般的なGrixis Controlは《グルマグのアンコウ》など「探査」クリーチャーを採用していますが、Gerryのリストは「探査」クリーチャーは不採用で「探査」ドロースペルの《時を越えた探索》が4枚採用されるなどコントロール要素が濃くなっています。
モダンのGrixis Controlでも採用されている《コラガンの命令》など、個性の光るデッキリストです。
主な戦績: PTトップ8入賞1回、GPトップ8入賞計9回。
2 《島》 4 《Volcanic Island》 3 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 1 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《若き紅蓮術士》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《悪意の大梟》 -クリーチャー(8)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《陰謀団式療法》 1 《無垢の血》 1 《紅蓮破》 1 《対抗呪文》 1 《毒の濁流》 1 《コラガンの命令》 4 《Force of Will》 4 《時を越えた探索》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(33)- |
3 《虚空の力線》 2 《紅蓮破》 2 《血染めの月》 2 《無のロッド》 1 《硫黄の精霊》 1 《イゼットの静電術師》 1 《水流破》 1 《陰謀団式療法》 1 《非業の死》 1 《ダク・フェイデン》 -サイドボード(15)- |
■ Grixis Controlを選択した理由とメインボードの構築について
Gerry: 環境に存在するコンボ(Omni-tellやANT)を倒すためにハンデスとカウンターを使った戦略が使いたかったのと、他の青いデッキとのマッチアップ用に《紅蓮破》にアクセスできるGrixisがベストなカラーコンビネーションだと思って今回のデッキを持ち込むことに決めたんだ。
Grixis ControlはRich Shay(レガシーのSCGOやSCG Premier IQで結果を残しているエターナルプレイヤー)やEli Kassis(Grixis Controlで【GP New Jersey 2014】でトップ16入賞)が使い続けていたけど、彼らのリスト(「探査」クリーチャー搭載型)と比べるとShardless Sultaiの方がしっくり来ると思った。
でも《紅蓮破》なしで《精神を刻む者、ジェイス》や《時を越えた探索》のような強力な青いスペルに対抗するのは困難を極めたね。
《コラガンの命令》はロングゲーム向けのナイスなカードだ。《ダク・フェイデン》の他にも装備品などに対抗するためにアーティファクト対策を採っておきたかったのもあって、デッキの方針にフィットしている。
《石鍛冶の神秘家》など小型のクリーチャーを除去しつつ装備品も同時に除去できる《コラガンの命令》は多くのマッチアップで活躍するよ。
《ヴリンの神童、ジェイス》は元は《瞬唱の魔道士》だった枠に入れてみたけど、結局は《瞬唱の魔道士》の方がよかったかもしれない。
たとえばトップ8では《Karakas》で《ヴリンの神童、ジェイス》がバウンスされてあまり思っていたほどの活躍ができなかった。残念ながら《ヴリンの神童、ジェイス》はPWに変身する前は伝説のクリーチャーだからね。
■ サイドのカードについて
--サイドの《虚空の力線》は「探査」を多用するデッキに対してもサイドインされるの?
Gerry: 《瞬唱の魔道士》や、《時を越えた探索》などの「探査」スペルが多く入っているデッキが相手の時はサイドインすることもある。でも《虚無の呪文爆弾》2枚と《外科的摘出》1枚に変更することも考えているよ。
--基本地形はわずか《島》2枚だけど、サイドの《血染めの月》の使い勝手は?
Gerry: 《血染めの月》はこのデッキにとって相性が悪いマッチの一つであるLandsのようなデッキに対してサイドインされるカードだ。
たしかにこちらの黒マナもシャットアウトされてしまうけど、ほとんどの黒いスペルはそれらのマッチアップではあまり役に立たないからそれほど気にならないね。
--なるほど。トップ8では《ヴリンの神童、ジェイス》があまり活躍しなくて残念だったけど、とても興味深いリストだったから色々と話が聞けてよかった。ありがとう、Gerry!
総括
【Legacy Championship 2015】では準優勝【SCG Premier IQ Charlotte】では優勝と【SCGO Washington DC】から引き続いてOmni-tellが結果を残しています。
【Legacy Championship 2015】で優勝を収めていたGrixis Delverはトップ8の半分を占めるというパフォーマンスを見せ、《時を越えた探索》を使ったデッキの強さを再確認させられる結果となりました。
また、モダンでも活躍している『マジック・オリジン』の《潮流の先駆け》や《ヴリンの神童、ジェイス》はレガシーでも通用する逸材のようです。
さて、今週末にはいよいよSCG Invitational New Jerseyが開催されます。予選ラウンドはスタンダードとレガシーで競われ、プレイオフはレガシーで行われます。
各地の厳しい予選やSCGOなどで好成績を残したプレイヤーが集うイベントなので高いレベルのゲームが期待できそうです。
以上USA Legacy Express vol.85でした。次回の記事ではSCG Invitational New Jerseyの結果を中心にカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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