週刊デッキウォッチング vol.61 -2キル単 etc.-

伊藤 敦

伊藤 敦





 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: エルドラージストンピィ



Hori Shinya「エルドラージストンピィ」
休日スタンダード20時の部(3-0)

2 《森》
1 《沼》
1 《荒地》
4 《進化する未開地》
4 《風切る泥沼》
4 《ラノワールの荒原》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《崩壊する痕跡》
3 《海門の残骸》

-土地 (25)-

3 《搭載歩行機械》
4 《森の代言者》
2 《静寂を担うもの》
1 《ズーラポートの殺し屋》
4 《作り変えるもの》
4 《地下墓地の選別者》
4 《現実を砕くもの》

-クリーチャー (22)-
1 《骨の粉砕》
4 《次元の歪曲》
1 《残忍な切断》
3 《ニッサの誓い》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》

-呪文 (13)-
4 《精神背信》
4 《歪める嘆き》
2 《狩猟の統率者、スーラク》
2 《垂直落下》
2 《究極の価格》
1 《棲み家の防御者》

-サイドボード (15)-
hareruya



地下墓地の選別者ゼンディカーの代弁者、ニッサ森の代言者



 緑黒ベースのエルドラージストンピィは【vol.54】でも紹介したが、そちらはどちらかというと黒単エルドラージタッチ《棲み家の防御者》といった感じのスペル選択で、緑の要素はかなり薄めだった。

 だがこのデッキは《ニッサの誓い》《森の代言者》《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》最序盤から緑を主軸に展開していく形をとっており、《空中生成エルドラージ》の代わりに《地下墓地の選別者》をとれている点も魅力的だ。

 (緑)(緑)はマナベースに負担をかけすぎているように見えて、《ニッサの誓い》を引けば何の問題もないし、《作り変えるもの》からめくれると嬉しいことこの上ない。2マナ土地のないスタンダードにおいてはメリットよりデメリットの方が気になる《難題の予見者》をあえて採用しない決断をしているのもポイントだ。

 『イニストラードを覆う影』が入った新環境のスタンダードにおいては、エルドラージデッキはその構成パーツの多くがそのまま残るため、有力なアーキタイプとなると思われる。現在は青ベースが主流だが、新環境ではこの緑ベースが活躍する可能性も十分ありそうだ。


【「エルドラージストンピィ」でデッキを検索】





■ モダン: ローグアグロ



Kanayama Haruki「ローグアグロ」
晴れる屋チームモダン杯(3位)

1 《山》
4 《宝石鉱山》
3 《氷の橋、天戸》
4 《黒割れの崖》
2 《宝石の洞窟》

-土地 (14)-

4 《焼身の魂喰い》
4 《窯の悪鬼》
4 《猿人の指導霊》
4 《絡み森の大長》

-クリーチャー (16)-
3 《否定の契約》
4 《ギタクシア派の調査》
4 《汚れた一撃》
4 《突撃のストロボ》
3 《ひずみの一撃》
3 《信仰無き物あさり》
4 《魔力変》
3 《使徒の祝福》
2 《ティムールの激闘》

-呪文 (30)-
4 《聖トラフトの霊》
2 《コーの火歩き》
2 《タルモゴイフ》
2 《神聖の力線》
1 《殺戮の契約》
1 《ひずみの一撃》
1 《使徒の祝福》
1 《金属海の沿岸》
1 《宝石の洞窟》

-サイドボード (15)-
hareruya



焼身の魂喰い窯の悪鬼汚れた一撃



 モダンは「3ターンキルを許さない環境」とされているが、感染デッキや【Super Crazy Zoo】など、抜け道はいくらでも存在する。そしてその抜け道を使えば、3ターンキルどころか2ターンキルさえも造作もないのだ。

 鍵となるのは《焼身の魂喰い》《窯の悪鬼》という、パワー10をも容易に超えうる2マナクリーチャーたち。この8枚を《猿人の指導霊》《絡み森の大長》の8枚で1ターン目に召喚できれば、2ターン目にパワー10のアタックに《突撃のストロボ》《汚れた一撃》のどちらかを合わせてフィニッシュとなる。

 一見不安定に見えてすべてのコンボパーツは2種類ずつとられているし、初動で詰めきれなかった場合でもブロッカーや除去を《ひずみの一撃》《使徒の祝福》《否定の契約》でかわして勝つこともできる。

 相手に単体除去などの妨害が増えるサイドボード後には《宝石の洞窟》《猿人の指導霊》から後手2ターン目に《聖トラフトの霊》を着地させ、除去呪文を抱えさせて勝つルートをとる。ここまで速度勝負を徹底させたデッキなら、ストレイト・クーガー兄貴に「速さが足りない!」と言われることもないだろう。


【「ローグアグロ」でデッキを検索】





■ レガシー: ストーム



Akiyama Tomoya「ストーム」
休日レガシー17時の部(3-0)

3 《禁忌の果樹園》

-土地 (3)-

4 《メムナイト》
4 《羽ばたき飛行機械》
4 《ファイレクシアの歩行機械》
4 《Shield Sphere》
4 《Crookshank Kobolds》
3 《Crimson Kobolds》
2 《Kobolds of Kher Keep》
2 《野生の朗詠者》
4 《Elvish Spirit Guide》

-クリーチャー (31)-
4 《召喚士の契約》
4 《ギタクシア派の調査》
4 《垣間見る自然》
4 《スケープゴート》
4 《唯々+諾々》
1 《ぶどう弾》
4 《水蓮の花びら》
1 《オパールのモックス》

-呪文 (26)-
4 《否定の契約》
3 《神聖の力線》
3 《虚空の力線》
2 《蒸気の連鎖》
1 《殺戮の契約》
1 《陰謀団式療法》
1 《予期の力線》

-サイドボード (15)-
hareruya



Crookshank Kobolds垣間見る自然スケープゴート



 メタ上位のデッキの多くに《Force of Will》が搭載されているレガシーにおいては、これまで「ベルチャー」などオールインに特化したデッキはなかなか活躍できなかったが、【第6期レガシー神挑戦者決定戦】のようにエルドラージが増えた現在のメタゲームにおいては、エルドラージを倒すためのフェアデッキも同時に増加しているため、オールインを狙うのも悪くない戦略になってきているかもしれない。

 そして古今東西の様々なカードが使えるレガシーにおいて、オールインとは「ベルチャー」の専売特許ではない。このコボルドストームも、「ベルチャー」同様に1ターンキルが可能なデッキとして、レガシーでも立派に市民権を得ているのだ。

 《垣間見る自然》《唯々+諾々》をプレイした後は、25枚も搭載された0マナクリーチャーたちが延々とチェインする。クリーチャーが尽きそうになったら《水蓮の花びら》からの《スケープゴート》で全て手札に戻せばまたチェインの再開だ。最終的にはライブラリーを引ききっての《ぶどう弾》で大ダメージを叩き込める。

 初手の噛み合いもあるので常に勝てるという類のデッキではないだろうが、先手時の爆発力は凄まじいの一言に尽きる。ダイスで勝ったら即勝利、たまにはそんな日があってもいいかもしれない。


【「ストーム」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



この記事内で掲載されたカード


Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事

このシリーズの過去記事