週刊デッキウォッチング vol.66 -調査タイムワープ etc.-

伊藤 敦





 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: ローグ



Kouyama Shinji「ローグ」
PPTQ2016#4 – 町田市民ホール(トップ4)

7 《森》
4 《島》
2 《山》
2 《燃えがらの林間地》
3 《進化する未開地》
2 《シヴの浅瀬》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《伐採地の滝》

-土地 (25)-

2 《竜使いののけ者》
4 《エルドワルの照光》
4 《森の代言者》
4 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
3 《龍王アタルカ》

-クリーチャー (19)-
4 《爆発的植生》
4 《水の帳の分離》
4 《奇妙な森》
3 《タミヨウの日誌》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (16)-
3 《否認》
3 《垂直落下》
3 《光輝の炎》
2 《棲み家の防御者》
2 《払拭》
1 《破壊行為》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-サイドボード (15)-
hareruya



不屈の追跡者水の帳の分離タミヨウの日誌



 『イニストラードを覆う影』の発売から1か月が経ったが、「調査」をメインコンセプトに据えたデッキでここまで完成度が高いものは見たことがない。

 《不屈の追跡者》《奇妙な森》が手掛かり・トークンを生み出すのを《エルドワルの照光》がバックアップし、ひとたび《タミヨウの日誌》につながったならそこからはもはやフィーバータイムである。《タミヨウの日誌》《水の帳の分離》をサーチしつつ、手掛かり・トークンを生贄に捧げて《不屈の追跡者》を成長させる。そして有り余る手掛かり・トークンを使えば追加ターンにはまた《タミヨウの日誌》が起動できることだろうから、また《水の帳の分離》をサーチし、アタック。また追加ターンに《水の帳の分離》をサーチ、そして……わからん殺しが完成するのだ。

 《竜使いののけ者》《森の代言者》《爆発的植生》《巨森の予見者、ニッサ》というマナランプのラインも採用しているので、相手が対処しなければならないパーマネントは他にもかなり多い。5ターン目に《龍王アタルカ》を出されてしまえば、返しで除去しないと普通に《水の帳の分離》をプレイされて16点で即死もありうる。その上ゲームが長引くと手掛かり・トークンによるアドバンテージ差がボディブローのように効いてくるし、《水の帳の分離》の「覚醒」も現実的になってくる。

 《竜使いののけ者》《巨森の予見者、ニッサ》《水の帳の分離》との相性の良さも見逃せない。大小様々なシナジーが盛り込まれており、楽しさと実用性のバランスをうまくとっている素晴らしいデッキと言えるだろう。


【「ローグ」でデッキを検索】





■ モダン: 発掘



Sniper「発掘」
Modern Constructed League(5-0)

2 《沼》
1 《森》
2 《血の墓所》
1 《草むした墓》
1 《踏み鳴らされる地》
3 《血染めのぬかるみ》
3 《新緑の地下墓地》
2 《樹木茂る山麓》
2 《黒割れの崖》
2 《銅線の地溝》
1 《ダクムーアの回収場》

-土地 (20)-

4 《墓所這い》
4 《傲慢な新生子》
4 《ロッテスのトロール》
4 《恐血鬼》
2 《朽ちゆくネズミ》
4 《秘蔵の縫合体》
4 《臭い草のインプ》
4 《復讐蔦》
4 《ゴルガリの墓トロール》

-クリーチャー (34)-
4 《信仰無き物あさり》
2 《壌土からの生命》

-呪文 (6)-
4 《古えの遺恨》
3 《暗黒破》
2 《ゴルガリの茶鱗》
2 《コジレックの審問》
2 《ゴルガリの魔除け》
2 《骨までの齧りつき》

-サイドボード (15)-
hareruya



墓所這い秘蔵の縫合体傲慢な新生子



 《秘蔵の縫合体》といえば【第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦】【ヴィンテージの「発掘」デッキに投入されていた】のが話題となったが、ヴィンテージで使われるくらいだから、いわんやモダンの「発掘」デッキをや、ということで今日紹介するのは《秘蔵の縫合体》入りの「発掘」デッキである。

 《秘蔵の縫合体》の素晴らしい点は、「《恐血鬼》に連動して墓地からタダで出てくるゾンビ」という点にある。《秘蔵の縫合体》のおかげで、《ロッテスのトロール》《グルマグのアンコウ》を素引きしなくても《墓所這い》を墓地からプレイできるようになったのだ。

 また最強のキープ基準である《信仰無き物あさり》と同じ赤の1マナクリーチャーでありながらいきなり手札の《ゴルガリの墓トロール》の「発掘」を開始できる《傲慢な新生子》も、『イニストラードを覆う影』からの新戦力として早くもこのデッキの定番ポジションに収まっているようだ。

 《墓所這い》《恐血鬼》《秘蔵の縫合体》《復讐蔦》と、16枚もの延々と墓地から戻ってくるクリーチャーを前に、手札破壊呪文や除去呪文、打消し呪文などほとんど効果がない。この生まれ変わった「発掘」デッキで、墓地活用の楽しさをぜひ味わってみて欲しい。


【「発掘」でデッキを検索】





■ レガシー: 白青奇跡



YaTree「白青奇跡」
Legacy Constructed League(5-0)

4 《島》
2 《平地》
3 《Tundra》
3 《Volcanic Island》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
1 《乾燥台地》

-土地 (21)-

3 《瞬唱の魔道士》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (4)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《剣を鍬に》
1 《紅蓮破》
1 《対抗呪文》
1 《天使への願い》
4 《Force of Will》
4 《終末》
4 《相殺》
1 《仕組まれた爆薬》
4 《師範の占い独楽》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
2 《先駆ける者、ナヒリ》

-呪文 (36)-
2 《僧院の導師》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《狼狽の嵐》
2 《摩耗+損耗》
2 《血染めの月》
1 《封じ込める僧侶》
1 《イゼットの静電術師》
1 《紅蓮破》
1 《外科的摘出》
1 《安らかなる眠り》

-サイドボード (15)-
hareruya



相殺先駆ける者、ナヒリ引き裂かれし永劫、エムラクール



 『イニストラードを覆う影』はレガシーに影響を与えなかったのだろうか?否、しっかりと影響を与えている。何とあのトップメタの「奇跡」デッキに、新たなバリエーションが誕生したのだ。

 その立役者は《先駆ける者、ナヒリ》。クリーチャー除去能力がコントロールに噛み合うことはもちろん、何といっても素晴らしいのは「奥義」こと「-8」能力。着地からわずか2ターン後と《精神を刻む者、ジェイス》とスピード勝負しても圧勝できるほどの「奥義」への到達速度で《引き裂かれし永劫、エムラクール》が走ってくるというのは、同型をはじめ様々なマッチアップでフィニッシュブローとして活躍しそうだ。

 他にも同型では《紅蓮破》に引っかからないことで相手の裏をかくことができるし、地味にエンチャントがメインから対処できる点なども、《相殺》《森の知恵》など強力なエンチャントが多いレガシーにおいてはありがたい性能である。

 「奇跡」は確かに強力なコンセプトだが、全く可変スロットがないというわけではない。今回の《先駆ける者、ナヒリ》だけでなく、様々なカードを試してみることで、レガシーのメタゲームを塗り替える新たな「奇跡」が生まれるかもしれない。


【「白青奇跡」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



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