『マジック・オリジン』がリリースされ、先週末には早くもSCGO Chicagoが開催されました。
日本国内でも第4期スタンダード神挑戦者決定戦が開催され、プロツアーも間近に迫っていることもあり、スタンダードは今最も注目されているフォーマットです。
さて、今回の記事ではSCGO Chicagoと第4期スタンダード神挑戦者決定戦の結果を見ていきたいと思います。
SCGO Chicago トップ8 ~Green Devotionの強さ揺るがず~
2015年7月19日
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1位 GR Devotion/緑信心
2位 WU Heroic/白青英雄
3位 GR Devotion/緑信心
4位 GR Devotion/緑信心
5位 Abzan Control/白黒緑ビートダウン
6位 Jeskai Token/ジェスカイの隆盛トークン
7位 UW Control/白青コントロール
8位 Mardu Dragons/白黒赤ビートダウン
『マジック・オリジン』リリース直後に開催されたSCGO Chicagoでは7位入賞のUW Controlなど早くも新たなアーキタイプが活躍しました。
6位入賞のJeskai Tokensも話題の新カード《ヴリンの神童、ジェイス》をフル搭載するなど新しい試みが見られ、新セットが環境に与えた影響は大きかったようです。
しかし、環境初期ということもありまだまだ試行錯誤の段階だったようで、決勝まで勝ち進んだデッキは前環境から結果を残し続けていたWU HeroicとGR Devotionでした。
SCGO Chicago デッキ解説
「GR Devotion」「Abzan Control」「UW Control」
10 《森》 2 《山》 4 《樹木茂る山麓》 4 《奔放の神殿》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 1 《精霊龍の安息地》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《爪鳴らしの神秘家》 4 《森の女人像》 2 《起源のハイドラ》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 1 《灰雲のフェニックス》 4 《囁きの森の精霊》 3 《龍王アタルカ》 1 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(31)- |
1 《精霊信者の剣》 3 《歓楽者ゼナゴス》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(5)- |
4 《ガイアの復讐者》 4 《ナイレアの信奉者》 2 《霧裂きのハイドラ》 2 《高木の巨人》 2 《石弾の弾幕》 1 《大地の断裂》 -サイドボード(15)- |
今大会でも多数のトップ8入賞者を輩出したGR Devotion。前環境でも大きな大会の上位ではほぼ毎回見かけるほど人気があり、安定した成績を残していたデッキですが、その強さは新環境になっても変わらないようです。
☆注目ポイント
前環境からそれほど変化が見られませんが、『マジック・オリジン』からの新カードも数枚見られます。
《精霊信者の剣》は装備されているクリーチャーが攻撃する度に《不屈の自然》を誘発させる装備品で、《エルフの神秘家》など中盤以降あまり強くないマナクリーチャーでもアドバンテージを稼ぐことを可能にし、シャッフル能力は地味ながらライブラリーのトップを一新させるので《クルフィックスの狩猟者》が戦場に出ているときには特に重宝します。
サイドに4枚採用されている再録カードの《ガイアの復讐者》はカウンターされず、緑以外の単体除去を受け付けないため、UB ControlやEsper Dragonsなど青いコントロールデッキ対策となります。
4 《森》 1 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《疾病の神殿》 4 《静寂の神殿》 2 《コイロスの洞窟》 2 《ラノワールの荒原》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 2 《棲み家の防御者》 4 《クルフィックスの狩猟者》 3 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《包囲サイ》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(15)- |
4 《思考囲い》 1 《究極の価格》 4 《英雄の破滅》 4 《アブザンの魔除け》 3 《衰滅》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(19)- |
3 《羊毛鬣のライオン》 2 《アラシンの僧侶》 2 《究極の価格》 2 《ドロモカの命令》 1 《強迫》 1 《完全なる終わり》 1 《命運の核心》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
前環境でも安定した強さで結果を残し続けてきたAbzan Controlは『マジック・オリジン』からも新戦力を得ており、今大会でも二日目進出率1位を記録しました。
カバレージによると今大会で見事にトップ8に入賞を収めたBruce Edelmanはスイスラウンド14回戦まで無敗(12-0-1)で勝ち進んでいたようです。
☆注目ポイント
《衰滅》はメインから無理なく入るスイーパーで、《悲哀まみれ》よりも広範囲のクリーチャーを除去することが可能な上に《命運の核心》や《対立の終結》よりも軽いのが魅力です。
タフネスが5以上のクリーチャーに対して無力なことがネックとなりますが、逆に自軍の《黄金牙、タシグル》や《包囲サイ》を残しつつ相手の場だけ平らにすることも可能です。
《巨森の予見者、ニッサ》はある程度の枚数の《森》を採用する必要がありますが、序盤は《護民官の道探し》のように4枚目の土地を確保しつつアドバンテージを得ることが可能で、土地の並ぶ中盤以降はPWに変身するので相手にとっては脅威となります。
《クルフィックスの狩猟者》とも相性がよく、序盤で除去されたとしても中盤以降に《棲み家の防御者》で墓地から拾うことも可能です。
6 《島》 2 《平地》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 4 《啓蒙の神殿》 4 《平穏な入り江》 2 《神秘の僧院》 3 《ダークスティールの城塞》 1 《光輝の泉》 -土地(27)- 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(4)- |
3 《意思の激突》 2 《勇敢な姿勢》 2 《迅速な報い》 1 《今わの際》 1 《軽蔑的な一撃》 4 《解消》 3 《工匠の天啓》 3 《対立の終結》 4 《時を越えた探索》 2 《飛行機械の諜報網》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(29)- |
3 《今わの際》 2 《層雲の踊り手》 2 《否認》 2 《変位の波》 1 《隠れたる龍殺し》 1 《急報》 1 《勇敢な姿勢》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《宿命的報復》 1 《危険な櫃》 -サイドボード(15)- |
《搭載歩行機械》と《飛行機械の諜報網》を軸にした革新的なUW Control。
新セットリリース直後のデッキとは思えないほど完成度が高く、さすがSCGの強豪でデッキビルダーのJeff Hooglandです。
☆注目ポイント
《飛行機械の諜報網》は性質上ある程度の数のアーティファクトを採用することを要求されますが、条件さえ整えば毎ターントークンを生み出し、アーティファクトクリーチャーの攻撃が通ればドローと更にアドバンテージを稼ぐことができます。
アーティファクトカウントを効率よく稼ぐために《ダークスティールの城塞》をマナベースに加えており、破壊不能を持つため安定して《飛行機械の諜報網》を機能させてくれます。
《搭載歩行機械》はマナはかかりますが、死亡した際に+1/+1カウンターの数だけトークンを戦場に残す能力があり、自身の起動能力により+1/+1カウンターを増量することが可能なので、相手からしてみたらすぐに除去したいクリーチャーです。
もちろんこれも《飛行機械の諜報網》と相性がよく、ブロッカーとして時間を稼ぐことにも貢献します。
UW ControlはUB ControlやEsper Dragonsと異なり2マナ以下の効率的なスペルが不足していたことで旧環境ではもっさりとした印象でしたが、『マジック・オリジン』から加入した《迅速な報い》と《意思の激突》の2枚のスペルが地味ながらデッキの軽量妨害スペルとして活躍したようです。
サイドの《変位の波》はトークンや「変異」「予示」された裏向きのクリーチャーに加え、『マジック・オリジン』から加入したPWに変身した両面カードもバウンスすることが可能です。
Interview With Kevin McLeskey
現在最も話題になっている新カード《ヴリンの神童、ジェイス》を4枚採用したJeskai Tokensで見事トップ8入賞を収めたKevin McLeskeyにお話を聞くことができました。
2 《島》 2 《山》 1 《平地》 3 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 4 《凱旋の神殿》 3 《戦場の鍛冶場》 3 《シヴの浅瀬》 2 《天啓の神殿》 -土地(24)- 4 《道の探求者》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 -クリーチャー(8)- |
3 《乱撃斬》 1 《荒野の確保》 3 《急報》 2 《稲妻の一撃》 1 《ドラゴンの餌》 4 《軍族童の突発》 4 《かき立てる炎》 2 《オジュタイの命令》 4 《宝船の巡航》 4 《ジェスカイの隆盛》 -呪文(28)- |
4 《軽蔑的な一撃》 3 《スフィンクスの後見》 2 《勇敢な姿勢》 2 《否認》 2 《神々の憤怒》 1 《龍王オジュタイ》 1 《焙り焼き》 -サイドボード(15)- |
■Jeskai Tokensを選択した理由
Kevin: 使い慣れていたのもあるけど《ヴリンの神童、ジェイス》を活かせそうなデッキで《オジュタイの命令》とも相性がよく、GR Devotionのようにクリーチャーを主体にしたデッキが幅を利かせているメタではいいチョイスだと思った。
--《ヴリンの神童、ジェイス》の使ってみた感想は?
Kevin: 《ヴリンの神童、ジェイス》は強かったね。デッキの方向性にもフィットしているし、《オジュタイの命令》で相手のクリーチャーをカウンターしながら《ヴリンの神童、ジェイス》を墓地から戻すアクションは最高だったよ。
■サイドに採用されている《スフィンクスの後見》について
Kevin: 《スフィンクスの後見》はコントロールとのマッチアップでサイドインされるカードで、特に《宝船の巡航》との組み合わせが強力だった。コントロールとは大会中2回しか当たってなかったけど、どちらのマッチもこのカードのおかげで勝つことが出来たよ。
■変更したい点
Kevin: 今のところ特に見当たらないね。これからも同じデッキを使い続けていこうと考えている。
--今日は質問に答えてくれてありがとう。改めてトップ8入賞おめでとう!
新カードの《ヴリンの神童、ジェイス》は表と裏両方の能力がJeskai Tokensの戦略と相性がよく、高いポテンシャルを感じられます。
第4期スタンダード神挑戦者決定戦 トップ8
~赤単ゴブリンを操る高橋優太選手が神への挑戦権を獲得~
2015年7月20日
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1位 Mono Red Goblins/赤単
2位 WR Tokens/赤白ビートダウン
3位 Rally Combo/先祖の結集コンボ
4位 BG Elves/黒緑ビートダウン
5位 Abzan Control/白黒緑コントロール
6位 Sultai Pact/青黒緑コントロール
7位 Mono Red Goblins/赤単
8位 Abzan Control/白黒緑ビートダウン
SCGO Chicagoと大きく異なり、GR Devotionはトップ8には1人も勝ち残らず、SCGO Chicagoでも人気のあったAbzan Controlや同大会で注目を集めていたRally Combo、BG ElvesやSultai Pactのように新カードを活かしたデッキなどが入賞しています。
優勝を収めたのは再録された《ゴブリンの群衆追い》によって強化されたMono Red Goblinsでした。
第4期スタンダード神挑戦者決定戦 デッキ解説
「Mono Red Goblins」「Sultai Pact」
20 《山》 -土地(20)- 4 《鋳造所通りの住人》 4 《ゴブリンの栄光追い》 4 《僧院の速槍》 2 《激情のゴブリン》 4 《ゴブリンの群衆追い》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(22)- |
4 《ドラゴンの餌》 4 《軍族童の突発》 4 《かき立てる炎》 2 《凱旋の間》 4 《ウルドのオベリスク》 -呪文(18)- |
4 《マグマのしぶき》 4 《焙り焼き》 3 《引き裂く流弾》 2 《洗い流す砂》 1 《ゴブリンの踵裂き》 1 《鍛冶の神、パーフォロス》 -サイドボード(15)- |
Hareruya Prosの一員でGP京都優勝、GPシンガポールでもトップ8入賞と今シーズン絶好調の高橋 優太選手は今大会ではMono Red Goblinsを使用し、見事に神への挑戦権を獲得しました。
☆注目ポイント
再録カードの《ゴブリンの群衆追い》はこのデッキを一気にTop Tierに押し上げたようです。残念ながら強力なパートナーであった《ゴブリンの戦長》は不在ですが、代わりにローテーションまでの短い期間ながら《ゴブリンの熟練扇動者》という新たなパートナーを獲得しました。
全体強化アーティファクトの《ウルドのオベリスク》はクリーチャーのサイズに不安が残るこのデッキをサポートします。軽いクリーチャーや《ドラゴンの餌》や《軍族童の突発》といったトークンを生み出すスペルも採用しているため、「召集」コストを払えば早い段階で戦場に出すことができます。
2 《沼》 2 《森》 1 《島》 3 《汚染された三角州》 4 《華やかな宮殿》 4 《疾病の神殿》 3 《神秘の神殿》 3 《ラノワールの荒原》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《サテュロスの道探し》 4 《棲み家の防御者》 4 《死霧の猛禽》 4 《クルフィックスの狩猟者》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(18)- |
4 《思考囲い》 4 《スゥルタイの魔除け》 4 《シルムガルの命令》 1 《残忍な切断》 4 《悪魔の契約》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(18)- |
4 《悲哀まみれ》 3 《軽蔑的な一撃》 3 《究極の価格》 2 《衰滅》 1 《光り葉の選別者》 1 《強迫》 1 《胆汁病》 -サイドボード(15)- |
新カード《悪魔の契約》を軸にしたSultaiカラーのミッドレンジデッキ。《棲み家の防御者》と《死霧の猛禽》のエンジンも搭載しているため、アドバンテージを稼ぎつつプレッシャーを与えることも可能です。
☆注目ポイント
『マジック・オリジン』からの新カードである《悪魔の契約》は長期的に見れば多大なアドバンテージを得ることができますが、機能し始めるまでにタイムラグがあるため運用には少し工夫が要るカードです。
また、タイムリミット以内に決着を付けられなかった場合ゲームに敗北してしまうため、それを避けるために《スゥルタイの魔除け》と《シルムガルの命令》がメインから4枚ずつ採用されています。
特に《シルムガルの命令》は除去やカウンターとしても使えるなどフレキシブルなところが強みです。
総括
SCGO Chicagoと第4期スタンダード神挑戦者決定戦の両大会共に、新カードを活用した戦略やデッキが多数見られました。
今週末にはアメリカではSCGO Richmondが、日本国内ではBig Magic Open Vol.4が開催され、来週はいよいよプロツアー『マジック・オリジン』が開催されます。世界のトッププレイヤー達がどのようなデッキを持ち込むのか要注目です。
以上USA Standard Express Vol.51でした。
次回の記事ではSCGO Richmond、Big Magic Open Vol.4、プロツアー『マジック・オリジン』の結果をカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php
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