みなさんこんにちは。
現環境のスタンダードも残りわずかになり、新セット『戦乱のゼンディカー』のスポイラーも続々と公開され、対抗色のミシュラランドや《Kiora, Master of the Depths》や《Ob Nixilis Reignited》などPWなども確認できます。来週末のプレリリースが楽しみですね。
さて、今回の記事では【SCG Premier IQ Cincinnati】と【SCGO Worcester】の結果を見ていきたいと思います。
SCG Premier IQ Cincinnati
~赤単がAbzanの海を渡りきる~
2015年9月6日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Mono Red Aggro/赤単
2位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
3位 Abzan Control/白黒緑コントロール
4位 Abzan Control/白黒緑コントロール
5位 UR Control/青赤コントロール
6位 Jeskai/白青赤ビートダウン
7位 Jeskai/白青赤ビートダウン
8位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
優勝こそ赤単でしたがトップ8の半数がAbzanと世界選手権と同様に《包囲サイ》を使ったデッキの強さを再確認させられる結果となりました。
しかし、5位入賞の個性的な構成のUR Controlなど環境終盤にもかかわらず新しいデッキや戦略が生み出され続けており、奥の深い環境です。
◆Interview With James Newman
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今大会でも惜しくも準々決勝でAbzan Controlに敗れたものの、個性的な青赤コントロールでスイスラウンドを6-0-2という成績でトップ8入賞を収めています。
序盤はパーミッションと軽い除去で凌ぎ《龍語りのサルカン》や《嵐の神、ケラノス》、そして『マジック・オリジン』のHuman Wizardクリーチャーの《輪の信奉者》で勝利を目指します。今回の記事のためにお話を聞くことができました。
5 《島》 3 《山》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《血染めのぬかるみ》 4 《シヴの浅瀬》 4 《急流の崖》 4 《天啓の神殿》 4 《光輝の泉》 -土地(27)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《輪の信奉者》 1 《嵐の神、ケラノス》 -クリーチャー(7)- |
4 《意思の激突》 4 《稲妻の一撃》 4 《焙り焼き》 4 《解消》 3 《神々の憤怒》 1 《圧倒的な波》 3 《ジェイスの創意》 1 《時を越えた探索》 2 《龍語りのサルカン》 -呪文(26)- |
3 《搭載歩行機械》 3 《焦熱の衝動》 3 《現実変容》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《分散》 1 《神々の憤怒》 -サイドボード(15)- |
■ このデッキを使用するに至った経緯
James: 元々はUR Mill Controlを使っていたんだけど《輪の信奉者》を見つけてこれを使ったコントロールが強そうだと思った。青赤はスペルは強力だけど決定力のあるフィニッシャーが必要だと思って、ライブラリーアウトの代わりに《輪の信奉者》をフィニッシャーにしたこのUR Controlを使うことにしたんだ。
--《輪の信奉者》を実際に使ってみてどうだった?あと、一番使った能力は?
James: 大活躍だったね。このカードを引いた多くのゲームで勝つことができた。一番使った能力はクリーチャーをタップする能力で、ボードをコントロールする時間稼ぎに貢献したよ。
■ 相性の良いマッチアップ、悪いマッチアップ
James: 赤単が一番簡単なマッチアップでAbzan系は5分5分、他のデッキには大抵5分か微有利で特に相性が悪いと感じるデッキは見られなかったよ。
■ サイドボードの《現実変容》と 《搭載歩行機械》について
James: 《現実変容》はこのデッキでは除去する手段がない《龍王ドロモカ》対策にサイドインされる。《搭載歩行機械》はアグロやAbzan系に対してサイドインされるカードだけどこれは強かったからメインでも良かったね。
--なるほど。今回はインタビューに協力してくれてありがとう。
《輪の信奉者》は『マジック・オリジン』の神話レアで、発売当時はやや地味な印象であまり注目をされていませんでしたが、今回上位入賞を収めたことで再評価されているようで、SCGのサイトでは品切れとなっています。
SCGO Worcester
~Esper Dragonsの復権~
2015年9月13日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Esper Dragons/白青黒コントロール
2位 Jeskai/白青赤ビートダウン
3位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
4位 Esper Dragons/白青黒コントロール
5位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
6位 Mono White Devotion/白単
7位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
8位 WU Control/白青コントロール
【Day2デッキ分布】によれば、Abzan Aggro、Jeskai、Abzan Controlが中心で、次点に赤単とEsper Dragonsが勝ち残っていたようです。
二日目最大勢力のAbzan Aggroが順当に勝ち残り今大会のトップ8の半数を占めました。しかし、優勝を収めたのは今大会トップ8に二人送り込む活躍を見せたEsper Dragonsでした。
SCGO Worcester デッキ解説
「Esper Dragons」「Jeskai」「Abzan Aggro」
3 《島》 2 《沼》 4 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《欺瞞の神殿》 4 《啓蒙の神殿》 4 《陰鬱な僻地》 2 《コイロスの洞窟》 2 《精霊龍の安息地》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(27)- 4 《龍王オジュタイ》 2 《漂う死、シルムガル》 -クリーチャー(6)- |
3 《思考囲い》 4 《シルムガルの嘲笑》 3 《胆汁病》 1 《究極の価格》 4 《英雄の破滅》 2 《解消》 2 《忌呪の発動》 2 《衰滅》 1 《命運の核心》 4 《時を越えた探索》 1 《悪夢の織り手、アショク》 -呪文(27)- |
3 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《黄金牙、タシグル》 2 《悲哀まみれ》 2 《龍王の大権》 1 《龍王シルムガル》 1 《強迫》 1 《思考囲い》 1 《究極の価格》 1 《命運の核心》 1 《悪夢の織り手、アショク》 -サイドボード(15)- |
3 《島》 2 《沼》 4 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《欺瞞の神殿》 4 《啓蒙の神殿》 4 《陰鬱な僻地》 2 《コイロスの洞窟》 2 《精霊龍の安息地》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(27)- 3 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《龍王オジュタイ》 1 《龍王シルムガル》 1 《漂う死、シルムガル》 -クリーチャー(8)- |
3 《思考囲い》 4 《シルムガルの嘲笑》 2 《胆汁病》 1 《究極の価格》 3 《英雄の破滅》 2 《解消》 2 《忌呪の発動》 2 《命運の核心》 4 《時を越えた探索》 1 《悪夢の織り手、アショク》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(25)- |
2 《軽蔑的な一撃》 2 《悲哀まみれ》 2 《忌呪の発動》 1 《層雲の踊り手》 1 《龍王シルムガル》 1 《思考囲い》 1 《究極の価格》 1 《衰滅》 1 《龍王の大権》 1 《危険な櫃》 1 《護法の宝珠》 1 《悪夢の織り手、アショク》 -サイドボード(15)- |
今大会ではAbzan Aggro、Jeskai、Abzan Controlに次ぐ勢力でトップ8にも2人入賞しており、最終的に優勝を飾ったEsper Dragons。
メタがミッドレンジ中心の遅い環境にシフトしていったことと、Abzan Aggroからハンデスがメインから抜けていったこと。《搭載歩行機械》をメタるために《マグマのしぶき》など、このデッキに対しては効果が薄いカードをメインから採用したデッキが多くなり、メイン戦が比較的有利なマッチが多かったことが主な勝因のようです。
また、苦手なMegamorph系のデッキが減少傾向にあることもこのデッキにとっては追い風です。
☆注目ポイント
Michael DeidoloriとMichael Hedgesは共に《ヴリンの神童、ジェイス》を採用しています。Michael Deidoloriはメインから採用することで《究極の価格》や《胆汁病》といった対象や効果が限定的な除去を有効碑に変換すると同時に、「探査」のために墓地を肥やす手段にしています。
しかし、相手の本来無駄碑になるはずのメインの除去スペルの的になってしまうリスクもあるため、Michael Hedgesはサイドに落としています。
サイド後は《乱撃斬》や《胆汁病》といった除去はサイドアウトされていると思われるので《ヴリンの神童、ジェイス》も生き残りやすくなります。また、両プレイヤー共に《命運の核心》と《衰滅》の2種類の全体除去を使い分けています。
《命運の核心》はフィニッシャーである自身のドラゴンを戦場に残しつつ、相手の場の《包囲サイ》などを一掃するという使い方が可能ですが、《衰滅》はコストが《命運の核心》よりも軽いため、アグロデッキ相手に遅れを取ることが少なくなり、4ターン目に相手の場を一掃し5ターン目に《龍王オジュタイ》という展開を可能にします。
《悪夢の織り手、アショク》は現環境のトップメタに位置するAbzan Aggroはメインから採用されている《英雄の破滅》はわずか2枚程度で、効率的に除去する手段に貧しいJeskaiにも強く、遅めの環境なのも手伝って以前よりも戦場に留まりやすくなっています。
Michael Deidoloriがサイドに採用している《護法の宝珠》はコントローラーに呪禁を持たせクリーチャーから与えられるダメージを1点軽減するアーティファクトで火力が効かなくなるため、主にMono Red Aggroに対してサイドインされるカードです。
2 《平地》 2 《島》 1 《山》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 4 《シヴの浅瀬》 3 《天啓の神殿》 3 《凱旋の神殿》 2 《戦場の鍛冶場》 -土地(25)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《魂火の大導師》 4 《カマキリの乗り手》 2 《ゴブリンの熟練扇動者》 2 《龍王オジュタイ》 -クリーチャー(15)- |
2 《乱撃斬》 1 《マグマのしぶき》 3 《勇敢な姿勢》 3 《稲妻の一撃》 1 《軍族童の突発》 1 《ジェスカイの魔除け》 4 《オジュタイの命令》 2 《かき立てる炎》 3 《時を越えた探索》 -呪文(20)- |
3 《軽蔑的な一撃》 2 《引き裂く流弾》 2 《否認》 2 《神々の憤怒》 2 《見えざるものの熟達》 1 《異端の輝き》 1 《存在の破棄》 1 《護法の宝珠》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
効率的なクリーチャーとスペル、「探査」ドローの《時を越えた探索》やフィニッシャーの《龍王オジュタイ》のおかげでアグロとしてもコントロールとしても振る舞えるオールラウンダーなJeskai。
効果が限定的な火力スペルも《ヴリンの神童、ジェイス》のルーター能力によって有効碑に代えることができるため、『マジック・オリジン』後の環境ではAbzan AggroやControlと共に常に上位で見かけるデッキになりました。
☆注目ポイント
前回紹介した【SCGO New Jersey】のリストはメインから《嵐の息吹のドラゴン》や《雷破の執政》といったドラゴンクリーチャーを多数採用した型でしたがSteven Hicksのリストは 《ゴブリンの熟練扇動者》や《軍族童の突発》などが採用されているなど普段からよく見かけるJeskai Aggroに近い軽めの構成です。
しかし4枚採用された《オジュタイの命令》と3枚と多めに採用された《時を越えた探索》、フィニッシャーの《龍王オジュタイ》とロングゲームも見据えた構成でサイド後はカウンターや《太陽の勇者、エルズペス》が追加されJeskai Controlに変形します。
GR Devotionはあまり意識していなかったようで、最近は白いデッキのサイドには必ずと言っていいほど見かける《悲劇的な傲慢》は不採用で、代わりに《見えざるものの熟達》が採用されています。今大会ではGR DevotionよりもEsper Dragonsのような青いコントロールデッキが勝ち残っており、ミラーマッチでも使えるカードなので良チョイスです。
2 《平地》 2 《森》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《静寂の神殿》 3 《疾病の神殿》 3 《コイロスの洞窟》 3 《ラノワールの荒原》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 4 《搭載歩行機械》 4 《棲み家の防御者》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 2 《風番いのロック》 -クリーチャー(22)- |
3 《ドロモカの命令》 2 《究極の価格》 3 《アブザンの魔除け》 2 《英雄の破滅》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(12)- |
3 《思考囲い》 3 《悲劇的な傲慢》 2 《責め苦の伝令》 2 《強迫》 2 《自傷疵》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《究極の価格》 -サイドボード(15)- |
【SCG Invitational Season3】から引き続いて今大会でもトップ8入賞と絶好調のErik Smith。《搭載歩行機械》を採用したAbzan Aggroは今大会でも二日目最大勢力でトップ8の半数を占めました。
☆注目ポイント
《搭載歩行機械》は現在ではAbzan Aggroでも必須クリーチャーとして定着しています。
《先頭に立つもの、アナフェンザ》や《ドロモカの命令》とのシナジーもあり、本来なら《搭載歩行機械》に対する回答とされている《神々の憤怒》や《マグマのしぶき》といった除去が高タフネスのクリーチャーを多数採用しているこのデッキ相手には使いにくいため、相手からしてみたら非常に厄介です。
同系や赤単などに対して効果が薄い《思考囲い》はサイドに落とされ《ドロモカの命令》などが優先されていますが、今大会で結果を残したEsper Dragonsに対してはメイン戦は不利が付きます。
サイド後は《思考囲い》と《自傷疵》などが追加されるものの《龍王オジュタイ》に対する回答など以前と比べると有効な妨害要素も少なめだったため準決勝で敗れています。
ローテーション後は《思考囲い》や《英雄の破滅》、主力クリーチャーの1体である《羊毛鬣のライオン》や占術ランドを失いますが、その他のデッキのパーツの多くが残ります。
また、白黒のミシュラランドの《Shambling Vent》や、ソーサリースピードの《英雄の破滅》で新メカニックでフラッド対策にもなる「覚醒」持ちの《Ruinous Path》などが加入予定なので、新環境でも問題なく使っていけそうなアーキタイプです。
総括
【SCGO Worcester】はトップメタのAbzan Aggroがトップ8の半数を占めましたが準決勝以降まで進めたのはわずか1名でした。最近あまり見かけなくなっていたEsper Dragonsが2名の入賞者を輩出し、その内1人は優勝を収めるという活躍を見せました。
Abzanなどミッドレンジが中心でAbzan Aggroも《思考囲い》などハンデスをサイドに落としているリストも多くなり《シルムガルの嘲笑》などカウンターを主な妨害手段とするEsperにとって勝ちやすい環境のようです。
今週末に開催されるSCGO Milwaukeeではそれらをメタった赤単などハイパーアグレッシブデッキが数を増やしそうです。
以上USA Standard Express vol.55でした。次回の記事では現環境最後のオープンとなるSCGO Milwaukeeの結果を中心にカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
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