USA Standard Express vol.65 -SCGO Columbus etc.-

Kenta Hiroki


(スマートフォンの方は【こちら】)


 みなさんこんにちは。

 『ゲートウォッチの誓い』(OGW)がリリースされてしばらく経ちますが、みなさん新環境のスタンダードには慣れましたか?

 さて、今回の記事では【SCGO Columbus】の入賞デッキを見ていきたいと思います。



SCGO Columbus トップ8
~4C Rallyが再び頂点に~


2016年1月30-31日

Jacob Baugh
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。


1位 4C Rally
2位 Bant Company
3位 Abzan Blue
4位 RB Dragons
5位 4C Rally
6位 BW Control
7位 Jeskai Black
8位 Mardu Tokens

トップ8のデッキリストは【こちら】

【二日目進出デッキ分布】によれば4C Rallyが二日目最大勢力で、優勝者も含めてトップ8にも二人送り込む強さを見せています。

一方、今大会の前の週に開催された【SCGO Atlanta】を制したAtarka Redはその反動からやはりメタられていたようで、二日目進出者もわずか2名となりました。



SCGO Columbus トップ8 デッキ紹介

「4C Rally」「RB Dragons」「BW Control」「Jeskai Black」「Bant Company」



Jacob Baugh「4C Rally」
SCGO Columbus(優勝)

1 《森》
1 《島》
1 《平地》
1 《沼》
3 《窪み渓谷》
2 《梢の眺望》
1 《大草原の川》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《吹きさらしの荒野》
3 《進化する未開地》

-土地(24)-

3 《シディシの信者》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《ズーラポートの殺し屋》
3 《永代巡礼者、アイリ》
2 《エルフの幻想家》
4 《反射魔道士》
3 《ナントゥーコの鞘虫》
2 《地下墓地の選別者》
2 《不気味な腸卜師》
1 《異端の癒し手、リリアナ》

-クリーチャー(28)-
4 《先祖の結集》
4 《集合した中隊》

-呪文(8)-
3 《アラシンの僧侶》
3 《強迫》
2 《肉袋の匪賊》
2 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
2 《残忍な切断》
1 《フェリダーの仔》
1 《異端の癒し手、リリアナ》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》

-サイドボード(15)-
hareruya



 前環境終盤に開催された【グランプリ・オークランド2016】の上位を支配した4C Rally。新環境でも《反射魔道士》《永代巡礼者、アイリ》という新戦力を得て、《先頭に立つもの、アナフェンザ》《ゲトの裏切り者、カリタス》《神聖なる月光》といった対策が存在するのにもかかわらずトップメタに留まり続けます。


☆注目ポイント

 『ゲートウォッチの誓い』から加入した《反射魔道士》は、《先頭に立つもの、アナフェンザ》《ゲトの裏切り者、カリタス》といった対策クリーチャーをバウンスし、返しのターンでの再キャストも許しません。タフネスも3あるので相手のパワー2の地上クリーチャーも止まります。

 《集合した中隊》との組み合わせも強力で、疑似的なインスタントスピードの除去のような使い方も可能です。このクリーチャーの加入によりメインから無理に除去スペルを入れる必要もなくなり、《集合した中隊》が空振りするリスクも下がっています。


反射魔道士永代巡礼者、アイリ集合した中隊


 一般的にこのデッキにとって相性の悪いとされるマッチアップは赤系のアグロですが、『ゲートウォッチの誓い』から加入したサクリ台の《永代巡礼者、アイリ》はライフゲイン能力を持つほか、タフネスが3なのもありブロッカーとしても優秀です。接死持ちなのでAbzan Aggroなどが相手でもかなりの時間が稼げます。

 メインから《反射魔道士》《シディシの信者》という2種類のバウンス能力持ちのクリーチャーに加え、サイドから追加の除去で《先頭に立つもの、アナフェンザ》《ゲトの裏切り者、カリタス》といった対策にも耐性ができます。カウンターや《神聖なる月光》といった妨害スペルも《強迫》で落とすことが可能なため、完璧に対策をするのは困難を極めます。ただ弱点として「飛行クリーチャーを止める手段が薄い」というのが挙げられるので、このデッキを使う際には《残忍な切断》などの除去スペルをサイドに多めに採っておきたいところです。


シディシの信者強迫残忍な切断




Tom Ross「RB Dragons」
SCGO Columbus(4位)

4 《山》
4 《沼》
3 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》
4 《樹木茂る山麓》
3 《精霊龍の安息地》

-土地(26)-

4 《搭載歩行機械》
4 《飛行機械技師》
3 《炎跡のフェニックス》
4 《雷破の執政》
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
4 《嵐の憤怒、コラガン》

-クリーチャー(21)-
2 《焦熱の衝動》
2 《強迫》
4 《龍詞の咆哮》
3 《闇の掌握》
2 《残忍な切断》

-呪文(13)-
4 《自傷疵》
4 《精神背信》
2 《コラガンの命令》
2 《コジレックの帰還》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《命運の核心》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード(15)-
hareruya



 《嵐の憤怒、コラガン》《雷破の執政》といった飛行クリーチャーで攻める赤黒ミッドレンジアグロ。Rally、Abzanなど現在のスタンダードのトップメタに位置するデッキの多くは飛行クリーチャー対策が薄いため、効率よくダメージを通す手段を持つBR Dragonsは良いチョイスになりえます。


☆注目ポイント

 《嵐の憤怒、コラガン》《雷破の執政》はサイズも大きく、現環境でよく目にする《絹包み》《焦熱の衝動》といった除去スペルでは対処されないのが強みです。2色なのでデッキの回りも安定しており、再録されたインスタントスピードの除去で色拘束が強い《闇の掌握》も無理なく運用できます。また、2種類のドラゴンを採用することで《龍詞の咆哮》も安定して軽量除去兼本体火力として機能します。


嵐の憤怒、コラガン雷破の執政龍詞の咆哮


 《飛行機械技師》はあまり見かけないクリーチャーですが、1/1の飛行クリーチャートークンを出しつつ自身は1/3というサイズで相手のパワー2以下の地上クリーチャーを受け止める役割を果たします。また地味ながら《コジレックの帰還》で流れないのも強みです。

 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》はトークンを並べられるため単体除去に強く、赤いデッキの定番クリーチャーとして定着しつつあります。

 《コジレックの帰還》《命運の核心》の2種類のスイーパーは、このデッキの主力がドラゴンクリーチャーでタフネスも高いため、うまく使えば相手側のみ一方的に一掃することができます。

 対処されにくい大型の飛行クリーチャーを主力とするこのデッキは現環境のトップメタに位置するRallyにも強いので、是非試してみることをお勧めします。


飛行機械技師ピア・ナラーとキラン・ナラーコジレックの帰還





Raja Sulaiman「BW Control」
SCGO Columbus(6位)

5 《平地》
2 《沼》
4 《コイロスの洞窟》
2 《戦場の鍛冶場》
1 《ラノワールの荒原》
4 《磨かれたやせ地》
4 《乱脈な気孔》
2 《海門の残骸》
2 《領事の鋳造所》

-土地(26)-

4 《道の探求者》
4 《作り変えるもの》

-クリーチャー(8)-
3 《荒野の確保》
2 《強迫》
1 《次元の歪曲》
4 《骨読み》
1 《破滅の道》
1 《完全なる終わり》
4 《絹包み》
3 《停滞の罠》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-呪文(26)-
3 《難題の予見者》
2 《アラシンの僧侶》
2 《神聖なる月光》
2 《頭蓋書庫》
1 《不毛の地の絞殺者》
1 《強迫》
1 《鞭打つ触手》
1 《残忍な切断》
1 《次元の激高》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード(15)-
hareruya



 白黒2色のプレインズウォーカー・コントロールデッキ。除去で1 : 1交換を取りつつ《骨読み》や各種プレインズウォーカーでアドバンテージを取っていきます。2色なのでデッキの回りも安定しています。エルドラージクリーチャーを多数採っているため、《領事の鋳造所》《海門の残骸》といった無色マナの出るユーティリティ土地を採用しています。 こういったユーティリティ土地を無理なく採用できるのも2色であることの利点です。


☆注目ポイント

 《次元の歪曲》はスタンダードでは数少ない軽いインスタントスピードの除去スペルです。黒黒よりも無色マナの方が捻出しやすいためか、《闇の掌握》よりも優先して採用されています。

 《作り変えるもの》はPIG能力によって死亡しても確実にアドバンテージを得られるクリーチャーで、《絹包み》《停滞の罠》が公開されれば相手のクリーチャーを道づれにすることもできます。

 2色のためこのタイプのデッキでは必ずと言っていいほど採用されている《苦い真理》の採用は見送られ、代わりに占術付きの《骨読み》が採用されています。


作り変えるもの絹包み骨読み


 《次元の激高》《破滅の道》といった「覚醒」持ちのスペルや《荒野の確保》《海門の残骸》など、後半の余ったマナを活用する手段も充実しており、フラッドに悩まされることも少なくなりそうです。

 メインではクリーチャーが少ないため、サイド後は相手がクリーチャー除去を減らしてくることを想定していたようで、《難題の予見者》《不毛の地の絞殺者》といった追加のクリーチャーをサイドに忍ばせています。特にEtB能力でハンデスができる《難題の予見者》は、コントロールやミッドレンジとのマッチアップにおいて活躍が期待できます。



荒野の確保海門の残骸難題の予見者




Andrew Tenjum「Jeskai Black」
SCGO Columbus(7位)

2 《山》
1 《島》
1 《平地》
1 《梢の眺望》
1 《大草原の川》
1 《燻る湿地》
1 《窪み渓谷》
4 《樹木茂る山麓》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
2 《進化する未開地》
4 《さまよう噴気孔》

-土地(26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《道の探求者》
4 《カマキリの乗り手》
2 《反射魔道士》
2 《ゴブリンの闇住まい》

-クリーチャー(16)-
4 《焦熱の衝動》
2 《払拭》
4 《はじける破滅》
4 《ジェスカイの魔除け》
2 《時を越えた探索》
2 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文(18)-
3 《魂火の大導師》
3 《自傷疵》
3 《コジレックの帰還》
2 《否認》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《焙り焼き》

-サイドボード(15)-
hareruya



 SCGOやSCG Invitationalで結果を残し続けている強豪プレイヤーのAndrew Tenjumは、今大会ではOGWからの新カードである《ゴブリンの闇住まい》をフィーチャーしたJeskai Blackを持ち込み入賞を果たしています。【前回の記事】で取り上げたGerry Thompsonのリストと異なり、飛行持ちのクロックの《カマキリの乗り手》やインスタントをカウンターする《払拭》など、Rallyを意識した構成です。


☆注目ポイント

 《ゴブリンの闇住まい》《はじける破滅》《ジェスカイの魔除け》といった強力なスペルを使い回すことを可能にし、さらに4/4で回避能力持ちと単体のスペックも悪くなく、今後もJeskaiやMarduといったミッドレンジの主力としてよく目にするクリーチャーとなりそうです。


ゴブリンの闇住まいはじける破滅ジェスカイの魔除け


 《カマキリの乗り手》《道の探求者》《僧院の導師》《魂火の大導師》よりも優先され、さらに《ジェスカイの魔除け》が採用されているなど、初期のJeskai Aggroを彷彿させるテンポ寄りの構成で、《僧院の導師》型が苦手としていたRallyやエルドラージとの相性がいくらか改善されています。

 《ゴブリンの闇住まい》の能力との相性の関係で、最近のJeskai Blackでは定番のドロースペルの《苦い真理》は不採用となっています。

 OGWから加入したプレインズウォーカーの《炎呼び、チャンドラ》は、速やかにゲームを終わらせる「+1」能力、手札入れ替え+1ドローの「+0」能力、全体除去の「-X」能力と、6マナと少し重いコストを容認できるなら様々な状況を打開する切り札として活躍が期待できる一枚となります。


カマキリの乗り手道の探求者炎呼び、チャンドラ




Andy Ferguson「Bant Company」
SCGO Columbus(2位)

3 《平地》
2 《森》
1 《島》
2 《梢の眺望》
2 《大草原の川》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《吹きさらしの荒野》
1 《樹木茂る山麓》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《伐採地の滝》

-土地(25)-

1 《始まりの木の管理人》
4 《森の代言者》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《棲み家の防御者》
4 《跳ねる混成体》
4 《死霧の猛禽》
4 《反射魔道士》

-クリーチャー(25)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
2 《オジュタイの命令》

-呪文(10)-
4 《アラシンの僧侶》
3 《払拭》
3 《軽蔑的な一撃》
2 《霜歩き》
1 《潮流の先駆け》
1 《勇敢な姿勢》
1 《絹包み》

-サイドボード(15)-
hareruya



 前回の【SCGO Atlanta】でも革新的なAbzan Companyで入賞を果たしたAndy Fergusonは、今大会でも《集合した中隊》を使ったミッドレンジデッキで準優勝と言う好成績を残しています。バントカラーになったことにより《反射魔道士》《ヴリンの神童、ジェイス》《オジュタイの命令》といったカードに加えて各種カウンターにアクセスが可能になり、JeskaiやAbzanといった他のミッドレンジデッキに強くなっています。


☆注目ポイント

 Rallyの所でも解説したように《反射魔道士》《集合した中隊》との組み合わせが強力です。相手のエンド時に《集合した中隊》から《跳ねる混成体》とともに戦場に出すことで、相手のブロッカーを退かしつつプレッシャーをかけます。


集合した中隊反射魔道士跳ねる混成体


 《跳ねる混成体》は瞬速を生かして相手がアタックしてきた際にブロッカーをアンタップしてブロックすることで、疑似的な除去のようにも使えます。《ヴリンの神童、ジェイス》をアンタップして再起動するという使い方も可能で、これまであまり見かけないカードでしたが活躍の幅が広いクリーチャーです。

 《オジュタイの命令》を構えつつ相手がクリーチャーをキャストしなかった場合は《集合した中隊》というプレイングも効果的です。特に土地が並ぶ中盤以降のゲームでは相手のクリーチャーをカウンターしつつ《森の代言者》を戦場に復活させ、返しのターンで《伐採地の滝》とともにアタックという動きも強力です。


オジュタイの命令森の代言者伐採地の滝



総括

 【SCGO Atlanta】で優勝を収めていたAtarka Redはやはり対策が厳しかったのか、今大会では勝率は芳しくなかったようです。前環境と比べるとインスタントスピードの除去も増え、以前は比較的相性が良かったとされていたRallyも現在は《ティムールの激闘》《強大化》コンボを決めようにも《集合した中隊》から出てくる《反射魔道士》にバウンスされてしまう恐れがあり、《永代巡礼者、アイリ》も加わったことにより地上を突破するのは困難を極めます。

 前環境からトップTierに位置していたRallyは《反射魔道士》《永代巡礼者、アイリ》を獲得してより強化されました。対策としては、除去やハンデスがあるので難しいところですが、飛行対策が薄いため、Tom Rossが収めていたBR Dragonsなどが有力な選択となります。

 以上USA Standard Express vol.66でした。

 それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!



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