週刊デッキウォッチング vol.89 -ギラプールは姥の仮面の夢を見るか-

伊藤 敦

伊藤 敦



 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: ローグ



Katou Shinpei「ローグ」
平日スタンダード14時の部(3-0)

19 《島》
4 《ウギンの聖域》
2 《発明博覧会》

-土地 (25)-

4 《光り物集めの鶴》
3 《金線の使い魔》
4 《老いたる深海鬼》
4 《金属製の巨像》

-クリーチャー (15)-
4 《革命的拒絶》
1 《冷たいわしづかみ》
3 《岸の飲み込み》
2 《街の鍵》
3 《拡大鏡》
2 《崩れた墓石》
4 《面晶体の記録庫》
1 《秘密の解明者、ジェイス》

-呪文 (20)-
3 《領事府の空船口》
3 《否認》
2 《儀礼的拒否》
2 《冷たいわしづかみ》
2 《月への封印》
1 《奔流の機械巨人》
1 《岸の飲み込み》
1 《秘密の解明者、ジェイス》

-サイドボード (15)-
hareruya



金属製の巨像面晶体の記録庫ウギンの聖域



 誰もが「これはさすがに使えないだろう」と思うようなカードにも活躍の可能性があるのが『カラデシュ』の良いところだ。《金属製の巨像》は、ぱっと見でのマナコストとサイズの雑さの印象からネタカードと思われがちだが、既にこのカードを使ったアーキタイプが、実は密かに人気を集めはじめている。

 《金属製の巨像》のマナコストは非クリーチャーのアーティファクトのマナコスト分だけ軽くなる。ということは、《拡大鏡》なら実質4マナ、《面晶体の記録庫》なら実質6マナ分の換算となる。11マナのカードでも、実は5ターン目のプレイで良いなら余裕で現実的なのである。

 とはいえもちろん10/10のバニラがちょっと早く出ただけで勝てるほどマジックは甘くはないが、そこに《ウギンの聖域》が置いてあるとなると話は別だ。すぐさま2体目の巨像や《老いたる深海鬼》をサーチすれば、相手の対応手段はかなり限られてくる。《街の鍵》《金属製の巨像》のマナコスト軽減にも使えつつ、《金属製の巨像》のコンバットをサポートする優秀なカードだ。

 もっとオールインに寄せた形もあるが、このデッキでは《革命的拒絶》《岸の飲み込み》、さらには《秘密の解明者、ジェイス》も採用してコントロールに寄せている。「機体」のスピード感や《霊気池の驚異》など、豪快なコンセプトが多い『カラデシュ』期のスタンダードだが、この10/10のボディを持つ《金属製の巨像》で殴り勝ったときの爽快感は、きっと何物にも勝るはずだ。


【「ローグ」でデッキを検索】





■ モダン: 白黒緑ジャンク



Satou Fumihiko「白黒緑ジャンク」
The Last Sun 2016予選(8位)

1 《森》
1 《平地》
1 《沼》
2 《草むした墓》
2 《寺院の庭》
1 《神無き祭殿》
2 《乱脈な気孔》
1 《活発な野生林》
1 《黄昏のぬかるみ》
4 《新緑の地下墓地》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《湿地の干潟》
1 《ガヴォニーの居住区》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地 (24)-

4 《残忍な剥ぎ取り》
4 《タルモゴイフ》
2 《漁る軟泥》
1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
4 《包囲サイ》
1 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー (16)-
3 《コジレックの審問》
3 《流刑への道》
2 《思考囲い》
3 《突然の衰微》
1 《集団的蛮行》
3 《未練ある魂》
2 《密輸人の回転翼機》
3 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (20)-
2 《大爆発の魔道士》
2 《安らかなる眠り》
2 《最後の望み、リリアナ》
1 《戦争の報い、禍汰奇》
1 《鷺群れのシガルダ》
1 《神聖な協力》
1 《集団的蛮行》
1 《大渦の脈動》
1 《苦い真理》
1 《滅び》
1 《石のような静寂》
1 《仕組まれた爆薬》

-サイドボード (15)-
hareruya



密輸人の回転翼機未練ある魂ヴェールのリリアナ



 【先週】は親和デッキに搭載された《密輸人の回転翼機》を紹介した。『カラデシュ』が発売してこれほど早くモダンのデッキの採用実績ができるだけでも驚きだが、さらに複数のデッキに採用されるとなると、いよいよそのカードパワーがモダン級であることについて疑う余地がなくなってくる。しかもそのデッキがアブザンジャンクともなればなおさらだ。

 だが、言われてみれば当然の採用と言えるかもしれない。カードの性質上フラッドを防げる上に《未練ある魂》や「探査」とも相性が良く、同型戦でも《ヴェールのリリアナ》の裏目を引かない2ターン目のアクションが貴重となる。

 また、ルーター能力やそのカードタイプ自体によって「昂揚」の達成にも貢献する点は見逃せない。もともと《ミシュラのガラクタ》が数枚入っていたこともあるくらいだから、まさしくうってつけのカードと言えよう。

 モダンにおいてはアーティファクトであることがデメリットとなる瞬間も考えられるが、このデッキなら他にアーティファクトはないため、相手がアーティファクト対策をサイドインすることは考えづらい。《稲妻》《流刑への道》が飛び交うモダン環境でも元気に飛び回る《密輸人の回転翼機》の姿を見る限り、モダンのメタゲームが新たな展開を迎える日はそう遠くはなさそうだ。


【「白黒緑ジャンク」でデッキを検索】





■ レガシー: スタックス



Sawada Mikoto「スタックス」
休日レガシー17時の部(3-0)

5 《平地》
4 《トロウケアの敷石》
1 《カラカス》
4 《古えの墳墓》
4 《裏切り者の都》
4 《不毛の大地》
2 《ガイアー岬の療養所》
1 《幽霊街》
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》

-土地 (26)-

3 《異端聖戦士、サリア》

-クリーチャー (3)-
3 《ハルマゲドン》
2 《戦の惨害》
3 《亡霊の牢獄》
4 《虚空の杯》
4 《モックス・ダイアモンド》
4 《三なる宝球》
3 《世界のるつぼ》
3 《ギラプールの宇宙儀》
3 《煙突》
3 《姥の仮面》

-呪文 (32)-
3 《ファイレクシアの破棄者》
3 《幕屋の大魔術師》
3 《灰燼の乗り手》
3 《虚空の力線》
3 《防御の光網》

-サイドボード (15)-
hareruya



姥の仮面ギラプールの宇宙儀ハルマゲドン



 「置いたらテキストを確認されるカード」ランキングがあったらかなり上位に入るであろうカード、《姥の仮面》を使ったデッキとして、「Uba Stax」というものがある。モダンにおける【ランタンコントロール】のような、いわゆるプリズンに分類されるアーキタイプだが、『カラデシュ』はさすがアーティファクトをコンセプトにしたセットだけあって、こんなところにまでその影響力は届いていた。

 そう、《密輸人の回転翼機》……ではない。採用されているのはこちらも置いたらテキストを確認されそうなくらい複雑な挙動をするカード、《ギラプールの宇宙儀》だ。

 何のために入っているのかというと、無色の《踏査》として《世界のるつぼ》とのシナジーを見込んだ採用となっている。対戦相手に3枚引かせてしまう心配があるのではないか?と思われるかもしれないが、2~3ターン目から《ハルマゲドン》《戦の惨害》で土地を締め上げれば、手札を使い切る余裕はとてもないだろう。

 勝ち手段は3枚の《異端聖戦士、サリア》だけといささか心もとないが、《煙突》《世界のるつぼ》《三なる宝球》《姥の仮面》といった極上の嫌がらせアイテムたちが揃った段階で、普通は対戦相手が音を上げるものと思われる。対戦相手のドローとパーマネントを吹き飛ばし、自分だけ悠々と《世界のるつぼ》ライフを楽しもう。


【「スタックス」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



この記事内で掲載されたカード


Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事

このシリーズの過去記事