みなさんこんにちは。
先週末には『イニストラードを覆う影』のプレリリースがありましたが、みなさんお目当てのカードは引けましたか?
『イニストラードを覆う影』のリリースと同時に『タルキール覇王譚』と『運命再編』がローテーションによりスタンダードを去ります。
先週はプレリリースがある関係で大規模なスタンダードの大会も開催されなかったので、今回はいつもの入賞デッキ紹介の代わりに『イニストラードを覆う影』のカードレビューと新セットのカードを使ったサンプルリストをお届けしたいと思います。
『イニストラードを覆う影』トップ5カード
■ 《大天使アヴァシン》 / 《Avacyn, the Purifier》
プレビュー以来注目を集めている両面クリーチャー。5マナ4/4瞬速、飛行、警戒に加えてターンエンドまで自軍のクリーチャーが破壊されなくなるというETB能力が付いているなど、かなりの高性能です。クリーチャーが強力な現代のマジックでは、《セラの天使》にもこれほどのおまけが付いてくるみたいです。
相手の戦闘中にブロッカーとして出すことで除去のような使い方が可能で、状況によっては相手の戦場に壊滅的な被害をもたらします。相手のブロッカーを打ち取ったあともそのターンは《破滅の道》などで除去されず、相手のエンド時に出すことで相手のPWを牽制するなど幅広い活躍が期待できます。
《Avacyn, the Purifier》に「変身」した際には6/5飛行というスペックに加えて相手のタフネス3以下のクリーチャー群を一掃しつつ本体にもダメージを与えます。単体でも普通に強力なクリーチャーですが、能動的に自軍のクリーチャーを墓地に送る手段を採用したデッキで特に強さを発揮しそうです。総じてマナコスト以上の働きをしそうなクリーチャーでセットのトップレア候補なのも頷けます。
■ 《アーリン・コード》 / 《Arlinn, Embraced by the Moon》
赤緑の両面PWで、表と裏を合わせれば合計5つの能力を持っています。
表面の「+1」能力は対象の一体までのクリーチャーに「+2/+2」の修正に加えて警戒と速攻を与え、PWを守りつつ相手にプレッシャーを与えることを可能にします。《搭載歩行機械》のようにタップ能力持ちのクリーチャーと相性が良く、攻撃しつつカウンターを乗せることができます。
「0」能力は2/2のトークンを生み出すと同時に、《Arlinn, Embraced by the Moon》に「変身」します。カードアドバンテージを稼ぐとともに自身を守るという強いPWの最低限の条件を満たしており、「変身」後の「+1」能力は特にトークン戦略と相性が良く、《搭載歩行機械》や《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》といったカードとの組み合わせが強そうです。
《稲妻》と同様の効果の「-1」能力は相手のクリーチャーやPWを除去する手段になり、徐々にアドバンテージの差が出てくるため相手からしたら非常に厄介となります。ミッドレンジやアグロまで多くのデッキで使われそうなカードです。
■ 《死の宿敵、ソリン》
6マナというやや重いコストですが、それに見合う仕事をしてくれそうなPWです。「+1」能力はライブラリーのトップから追加のカードを手札に加えつつ相手はそのカードのマナコスト分のライフを失います。メリット付きのカードドローで忠誠カウンターも増えるという破格の性能で、アドバンテージを稼ぎつつフィニッシャーとしても十分な役割を果たせそうです。
「-X」能力は対象のクリーチャーかPWにX分のダメージを与えつつ、そのダメージ分をドレインします。「-5」以下で使用するのが主な使い方となりますが、《森の代言者》、《大天使アヴァシン》、《現実を砕くもの》、《炎呼び、チャンドラ》などの強力なクリーチャーやPWを落とした後に、毎ターンアドバンテージを与えつつフィニッシャーにもなる《死の宿敵、ソリン》が戦場に残ります。
自身を守れる能力は優秀なPWの最低条件で、ライフゲインは特にコントロールデッキにとって重要です。マナコストや能力からミッドレンジやコントロールのフィニッシャーとして注目を集めています。
■ 《氷の中の存在》 / 《Awoken Horror》
軽いインスタント、ソーサリースペルを多数採用した「UR Prowess」や「マッドネス」のフィニッシャーとして期待できそうなポテンシャルで、「変身」前もコストが軽く高タフネスなことから序盤の時間稼ぎにも貢献します。一度「変身」すれば7/8というサイズに加えて、その強力なリセット能力により場を仕切り直すことでタイムアドバンテージも稼げます。
■ 《ウェストヴェイルの修道院》 / 《Ormendahl, Profane Prince》
両面土地カード。アンタップインで無色のマナが出る土地なのでEldraziデッキとも相性が良く、起動能力もマナが余る中盤以降のフラッドを軽減します。
5マナとクリーチャーを5体コストにすることで飛行、絆魂、破壊不能、速攻持ちで9/7というサイズのデーモンクリーチャーに「変身」します。そのためのコストは決して安いものではありませんが、トークンを並べるデッキでは条件を満たすのはそれほど難しいことではなく、《搭載歩行機械》などこの土地と相性の良さそうなカードが多数環境に存在するので、様々なデッキで使用されそうです。
■ 新環境のサンプルデッキリスト
「WB Midrange」「Mono-Red Eldrazi」「Atarka Tokens」
8 《沼》 6 《平地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《乱脈な気孔》 2 《放棄された聖域》 2 《ウェストヴェイルの修道院》 / 《Ormendahl, Profane Prince》 -土地 (26)- 3 《不毛の地の絞殺者》 3 《大天使アヴァシン》 / 《Avacyn, the Purifier》 -クリーチャー (6)- |
4 《精神背信》 3 《荒野の確保》 2 《闇の掌握》 4 《骨読み》 2 《苦渋の破棄》 2 《衰滅》 4 《絹包み》 1 《停滞の罠》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《死の宿敵、ソリン》 -呪文 (28)- |
《大天使アヴァシン》や《死の宿敵、ソリン》という強力な新戦力を獲得し、既存のパーツも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《荒野の確保》、白黒ミシュラランドの《乱脈な気孔》、《絹包み》や《闇の掌握》《強迫》《精神背信》といった軽い除去スペルや妨害スペルにも恵まれているので、新環境のミッドレンジの筆頭として期待できそうです。
10 《山》 4 《シヴの浅瀬》 2 《戦場の鍛冶場》 4 《ウェストヴェイルの修道院》 / 《Ormendahl, Profane Prince》 3 《領事の鋳造所》 2 《オラン=リーフの廃墟》 -土地 (25)- 4 《面晶体の這行器》 4 《搭載歩行機械》 4 《飛行機械技師》 4 《不快な集合体》 3 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 3 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 -クリーチャー (26)- |
2 《次元の歪曲》 3 《焙り焼き》 4 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文 (9)- |
【SCGO Indianapolis】でも注目を集めていたスタンダード版のEldraziは、デッキのほとんどが『マジック・オリジン』と『戦乱のゼンディカー』のカードで構成されていたため、新環境でも同じ感覚で使っていけるデッキです。すでにモダンとレガシーでは一線級のデッキとして活躍をしているEldrazi (※モダンでは《ウギンの目》が禁止カードに指定されました) は、スタンダード環境をも支配してしまうのでしょうか?
7 《山》 7 《森》 4 《燃えがらの林間地》 2 《進化する未開地》 4 《獲物道》 -土地 (24)- 4 《エルフの幻想家》 4 《搭載歩行機械》 4 《死天狗茸の栽培者》 4 《無謀な奇襲隊》 2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 -クリーチャー (18)- |
2 《多勢》 4 《ドラゴンの餌》 4 《アタルカの命令》 4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 4 《アーリン・コード》 / 《Arlinn, Embraced by the Moon》 -呪文 (18)- |
新カードの《アーリン・コード》や、前環境でも活躍していた《ピア・ナラーとキラン・ナラー》、《アタルカの命令》《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》などを採用したAtraka Tokensも新環境で使われそうです。
■ 総括
『イニストラードを覆う影』の注目カードとそれらを使った新環境のデッキを見ていきましたが、旧『イニストラード』に負けないぐらい面白いセットに仕上がっているようで新環境のスタンダードが楽しみです。
『イニストラードを覆う影』リリース直後にはSCGO Baltimore、その翌週にはSCG Invitational、その後もプロツアー、グランプリ・東京2016、グランプリ・ニューヨークシティ2016と、今月から来月にかけてスタンダードの大会が充実しています。【USA Standard Express】でもそれらの大会の結果を欠かさずカバーしていく予定です。
以上USA Standard Express vol.69でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
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