みなさんこんにちは。
いよいよ今週末には日本国内では【グランプリ・東京2016】、アメリカでも【グランプリ・ニューヨーク2016】が開催されます。【プロツアー『イニストラードを覆う影』】と【グランプリ・トロント2016】の結果も出ており、スタンダードは現在一番面白い時期です。
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】ではHareruya Prosの一員で殿堂顕彰者の八十岡 翔太選手が4位入賞を果たしました。
さて、今回の記事では【プロツアー『イニストラードを覆う影』】と【グランプリ・トロント2016】の入賞デッキを紹介していきます。
プロツアー『イニストラードを覆う影』
~歴代でも最高クラスのトップ8。8名が異なるデッキで入賞~
2016年4月22-24日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング日本語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 GW Tokens
2位 Bant Company
3位 Esper Control
4位 Esper Dragons
5位 Seasons Past Control
6位 Goggles Ramp
7位 BG Sacrifice
8位 RW Eldrazi Goggles
トップ8のデッキリストは【こちら】
Jon Finkel、Luis Scott-Vargas (以下LSV) 、八十岡 翔太選手の3名の殿堂顕彰者、【現世界王者のSeth Manfield】、イタリアチームを【ワールドカップ優勝に導いたAndrea Mengucci】、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの獲得者でプロツアー、グランプリなど輝かしい成績を残し続けているBrad Nelsonといったタレント揃いのプレイオフで、歴代最高クラスのプロツアーサンデーということで話題になっていました。また、8名とも異なるデッキで入賞を果たしていることにも注目です。
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】 デッキ紹介
「GW Tokens」「Seasons Past Control」「Goggles Ramp」「BG Sacrifice」
7 《森》 7 《平地》 4 《梢の眺望》 4 《要塞化した村》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《搭載歩行機械》 4 《森の代言者》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (16)- |
4 《ドロモカの命令》 2 《荒野の確保》 3 《ニッサの誓い》 1 《進化の飛躍》 1 《停滞の罠》 4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (19)- |
3 《石の宣告》 3 《悲劇的な傲慢》 2 《ラムホルトの平和主義者》 2 《翼切り》 1 《優雅な鷺、シガルダ》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《荒野の確保》 1 《進化の飛躍》 1 《隔離の場》 -サイドボード (15)- |
タレント揃いのプレイオフを見事に制したSteve Rubinは、今大会が初のサンデー進出となりました。これまでプロツアーでの露出は少なかったものの、【プロツアー『タルキール覇王譚』】の優勝者であるAri Laxが使用していたAbzan Controlをデザインすることに貢献した人物で、コンスタントにプロポイントを稼ぎ【世界選手権2015】にも出場経験がある実力者です。
今大会で彼の所属するチームFace to Faceが持ち込んだGW Tokensは、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》の2種類のトークンを生み出すPWを使ったミッドレンジで、緑白の2色でありながらアドバンテージを稼ぐ手段に長けています。
基本的には地上を固めて強化していくトークン戦略の王道を行くデッキですが、《大天使アヴァシン》を変身させて場を一掃するなどコントロール的な要素も持ち合わせています。
PWや瞬速クリーチャーの《大天使アヴァシン》、《荒野の確保》、《ウェストヴェイルの修道院》を駆使することで幅広い角度から攻めることが可能で、今大会の直前に開催された【SCGO Baltimore】、【SCG Invitational Columbus】で結果を出していたBant CompanyやHumansに強いデッキです。PWによるアドバンテージによってコントロールに対しても互角以上に戦えます。
☆注目ポイント
毎ターントークンを生み出す《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 と《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》の2種類のPWは、コントロールデッキにとっては非常に対処し難く、HumansやBant Companyに対してはトークンによって地上を固めつつ《大天使アヴァシン》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 によって強化された《荒野の確保》のトークンでゲームを終らせます。トークンを並べるので《ウェストヴェイルの修道院》を変身させるのも容易です。
5マナまで土地を伸ばした後は《大天使アヴァシン》や《荒野の確保》の存在をちらつかせつつ《ドロモカの命令》や《停滞の罠》でコントロールしていきます。
《搭載歩行機械》をX=0でキャストして墓地に送ることで返しの対戦相手のターンに《大天使アヴァシン》を変身させて場を一掃することも可能で、このデッキを使用していく上での基本テクニックとなります。他にクリーチャーを能動的に墓地に送る手段としてメインに一枚挿しされた《進化の飛躍》があります。
サイドの《翼切り》は《大天使アヴァシン》や各種ドラゴンクリーチャーなど、緑白が苦手とする大型の飛行クリーチャーをわずか2マナで対策することができます。
《ラムホルトの平和主義者》は2マナ3/3とマナレシオが高く、Humansなどアグロデッキとのマッチアップで地上を守り、変身後は制限なしの4/4クリーチャーとなります。タフネス3のクリーチャーが多い現環境では優秀なクリーチャーで、変身前もこのデッキなら《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》で自軍を強化することで攻撃に参加できるようになります。
今後同型やBant Companyとのマッチアップが増えるようならメイン昇格も十分に考慮に値します。
3枚ずつ採用されている《石の宣告》と《悲劇的な傲慢》をサイドインすることでコントロールデッキに変形する選択肢もあります。《石の宣告》は《搭載歩行機械》や《世界を壊すもの》といったクリーチャーを追放し、《悲劇的な傲慢》はBant Company、Humans、BG Sacrificeなどクリーチャーを並べてくるデッキに対して強力なリセットとして機能します。
12 《沼》 5 《森》 3 《進化する未開地》 4 《風切る泥沼》 2 《ラノワールの荒原》 -土地 (26)- 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 -クリーチャー (4)- |
2 《強迫》 4 《闇の掌握》 2 《究極の価格》 2 《精神背信》 4 《骨読み》 3 《破滅の道》 1 《無限の抹消》 4 《衰滅》 4 《闇の誓願》 2 《過ぎ去った季節》 1 《ニッサの復興》 1 《死の重み》 -呪文 (30)- |
3 《死の重み》 3 《帰化》 2 《強迫》 2 《悪性の疫病》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《究極の価格》 1 《翼切り》 1 《無限の抹消》 1 《護法の宝珠》 -サイドボード (15)- |
殿堂顕彰者のJon Finkelは、今大会で16回目のトップ8入賞を記録しました。初期のプロツアーから参加しているアメリカの伝説のプロが今回選択したのは、彼の所属するチームPantheonが制作した《過ぎ去った季節》を使った風変わりなコントロールでした。
構成上ほかのミッドレンジやコントロールに対して強く、Bant Companyをメタった多くのデッキと相性が良いデッキのようですが、Bant Companyとの相性はあまり良くなかったようで、プレイオフでBant Companyを操るAndrea Mengucciに敗れています。また、RG Eldrazi Rampとの相性も絶望的に悪く、メインから対策として《無限の抹消》を採用しています。
☆注目ポイント
《衰滅》はHumansを初めとした低タフネスのクリーチャーを並べるデッキが多数存在する現環境では優秀な全体除去として機能しマイナス修正なので《大天使アヴァシン》の能力で妨害されることもありません。
《闇の誓願》はこのデッキで最も重要なカードの1枚で、魔巧の条件を満たしていれば黒黒黒が戻ってくるのでサーチしたスペルのコストの支払いに充てられます。除去の《破滅の道》やスイーパーの《衰滅》をサーチしたり、特定のカード対策の《無限の抹消》や《過ぎ去った季節》で更にアドバンテージを稼ぎます。
このデッキ名にもなっている《過ぎ去った季節》は解決後にライブラリーの下に戻るので、先ほどの《闇の誓願》と相性が良く再利用することでアドバンテージを稼ぎ続けることができます。
《無限の抹消》はこのデッキにとってほぼノーチャンスのRG Eldrazi Ramp対策で、《世界を壊すもの》を追放することができれば《過ぎ去った季節》でアドバンテージを稼ぐ時間が生まれるため、いくらか相性も改善されるようです。
8 《森》 5 《山》 3 《燃えがらの林間地》 4 《獲物道》 4 《溺墓の寺院》 -土地 (24)- 3 《世界を壊すもの》 1 《龍王アタルカ》 -クリーチャー (4)- |
4 《焦熱の衝動》 3 《ウルヴェンワルド横断》 3 《マグマの洞察力》 3 《巨人の陥落》 4 《苦しめる声》 4 《ニッサの巡礼》 4 《コジレックの帰還》 2 《面晶体の記録庫》 3 《紅蓮術師のゴーグル》 2 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文 (32)- |
3 《棲み家の防御者》 3 《不屈の追跡者》 2 《ゴブリンの闇住まい》 1 《龍王アタルカ》 3 《引き裂く流弾》 2 《龍詞の咆哮》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード (15)- |
Brad Nelsonと彼の所属するチームEUrekaが今大会に向けてデザインしたデッキは、Eldrazi Rampに《紅蓮術師のゴーグル》エンジンをハイブリットしたGoggles Rampというデッキでした。
《衰滅》や《反射魔道士》の影響を受けない構成なためBant Companyやコントロールデッキに強く、PW対策が薄いのでGW Tokensなど《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を採用したデッキとは相性の悪いマッチになります。やはり《精霊龍、ウギン》の抜けた穴は大きいようです。
☆注目ポイント
以前から長期戦に強いデッキでしたが、このリストは《紅蓮術師のゴーグル》という画期的なエンジンを搭載しています。赤い除去スペルをコピーすることで一度に複数のクリーチャーを除去できるようになり、Humansなどアグロデッキとの相性が改善されています。
このデッキでは魔巧の条件を満たすのも容易で現環境にはタフネス3以下のクリーチャーが多数存在するので《焦熱の衝動》は最も効率的な除去スペルとして機能します。
《溺墓の寺院》は《マグマの洞察力》や《苦しめる声》のコストとして捨てるカードとしては最適で、能力を起動して墓地から戻すことでマナ加速になり4ターン目に《紅蓮術師のゴーグル》をキャストすることを可能にします。また、《コジレックの帰還》を捨てることで《世界を壊すもの》キャスト時に相手の土地や置物を追放しつつ相手の場を一掃することができます。
《巨人の陥落》は重いスペルですが、マナランプと《紅蓮術師のゴーグル》を使ったこのデッキではフィニッシャーとして活躍します。
サイドには追加の勝ち手段として《不屈の追跡者》などクリーチャーが多数採用されており、メインがほぼノンクリーチャーなので変形サイドボードによって相手の意表を突くと同時に、アタッカーを増やすことで苦手なPW対策も兼ねています。アドバンテージが取れる能力を持つクリーチャーが優先的に採用されており、《反射魔道士》による被害を最小限に抑えられるように構築されています。
8 《森》 4 《沼》 4 《風切る泥沼》 4 《ラノワールの荒原》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (23)- 4 《膨れ鞘》 4 《壌土のドライアド》 4 《エルフの幻想家》 4 《ズーラポートの殺し屋》 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 4 《地下墓地の選別者》 2 《異端の癒し手、リリアナ》 -クリーチャー (30)- |
4 《集合した中隊》 3 《謎の石の儀式》 -呪文 (7)- |
4 《究極の価格》 4 《精神背信》 2 《不屈の追跡者》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《ウルヴェンワルドの謎》 1 《肉袋の匪賊》 -サイドボード (15)- |
LSVを含めた多くのチームChannel Fireball、Ultra Proはサクリファイスエンジンを活用したBG Sacrificeを選択しました。《集合した中隊》デッキのバリエーションで《ナントゥーコの鞘虫》+《ズーラポートの殺し屋》のサクリファイスシナジーは前環境で猛威を振るった4 Color Rallyを彷彿させます。
Bant CompanyとGW Tokens、Humansといったクリーチャーデッキに強いデッキで、墓地に頼った構成上《ゲトの裏切り者、カリタス》はこのデッキにとって最も厄介なクリーチャーとなります。
☆注目ポイント
《集合した中隊》はこのデッキのキーとなるスペルで、このデッキを使う理由となるカードです。《集合した中隊》には敵いませんが、《薄暮見の徴募兵》もクリーチャーを多数採用したこのデッキではほぼ3マナのドローとなり、変身後は手札のクリーチャーを一気に展開していけます。この2種類のカードにより、コンボパーツを引き当てるのも容易です。
《ナントゥーコの鞘虫》はこのデッキのメインの勝ち手段で、《ズーラポートの殺し屋》との組み合わせで戦闘することなくゲームを終らせます。クリーチャーが5体以上並んでいる状態なら《ウェストヴェイルの修道院》もサクリ台として活躍します。
《謎の石の儀式》は多数引くと無駄碑になってしまうのがネックとなりますが、自軍のクリーチャーが全て《極楽鳥》になるためデッキに爆発力を与え、クリーチャーを展開しつつ《集合した中隊》や《薄暮見の徴募兵》で更にアドバンテージを稼ぐことを可能にします。
能動的にクリーチャーを墓地に送る手段が豊富なこのデッキならば《異端の癒し手、リリアナ》を変身させるのも容易で、《エルフの幻想家》、《地下墓地の選別者》、《膨れ鞘》といったクリーチャーを墓地から再利用していくことでアドバンテージを稼いだり墓地に落とされた《ナントゥーコの鞘虫》と《ズーラポートの殺し屋》を釣り上げます。
サイドの《究極の価格》はこのデッキの天敵である《ゲトの裏切り者、カリタス》や、今大会優勝を果たしたGW Tokensを初めとして多くのデッキが採用している《大天使アヴァシン》に対する解答で、多色クリーチャーが中心だった前環境よりも単色のクリーチャーが多くみられる現在のスタンダードでは価値が増してきている除去スペルです。
墓地に頼ったこのデッキの戦略をシャットアウトする《ゲトの裏切り者、カリタス》は同型ではキーとなるクリーチャーです。
【グランプリ・トロント2016】
~Esper DragonsがGW Tokensの連勝を阻止~
2016年4月30-5月1日
※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。 |
1位 Esper Dragons
2位 GW Tokens
3位 Grixis Control
4位 GW Tokens
5位 Mono-White Humans
6位 Naya Tokens
7位 BW Control
8位 BW Control
トップ8のデッキリストは【こちら】
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】からわずか一週間ということで、プロツアーを制したGW Tokensが人気があり、決勝戦で3ゲーム目にダブルマリガンという不運に見舞われ惜しくも優勝は逃したものの、今大会でも準優勝とデッキの地力の高さを見せます。
【グランプリ・トロント2016】 デッキ紹介
「Esper Dragons」「Grixis Control」
《時を越えた探索》やフェッチランドがローテション落ちしたことにより、マナベースなどに不安要素がありましたが、今大会ではEsper DragonsとGrixis Controlの2種類の青いコントロールデッキが結果を残していました。
4 《島》 4 《沼》 4 《窪み渓谷》 3 《大草原の川》 4 《詰まった河口》 2 《港町》 2 《乱脈な気孔》 3 《コイロスの洞窟》 -土地 (26)- 3 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 4 《龍王オジュタイ》 2 《龍王シルムガル》 -クリーチャー (11)- |
4 《シルムガルの嘲笑》 3 《究極の価格》 2 《闇の掌握》 2 《意思の激突》 2 《精神背信》 3 《忌呪の発動》 2 《苦い真理》 1 《骨読み》 3 《衰滅》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -呪文 (23)- |
2 《強迫》 2 《否認》 2 《悪性の疫病》 1 《目覚めし処刑者》 1 《死の重み》 1 《鞭打つ触手》 1 《無限の抹消》 1 《苦渋の破棄》 1 《闇の誓願》 1 《シルムガルの命令》 1 《龍王の大権》 1 《死の宿敵、ソリン》 -サイドボード (15)- |
Bant Companyと同様に主要パーツの多くが残るため、前環境から引き続き使われるデッキの一つとされていましたが、マナベースに不安を抱えていました。プロツアーで八十岡 翔太選手が3色デッキにとって最大の課題とされていたマナベースの問題を克服したリストを持ち込み見事にプレイオフに進出を果たしました。
今大会で優勝を収めたRobert Lombardiのリストは、一部の細かい点を除いて八十岡選手のリストとほぼ同じです。デッキの動きは基本的に前環境と一緒ですが、《時を越えた探索》が使えない分以前と比べると中盤以降にリソースを補充することが難しくなりました。
しかし、《龍王オジュタイ》の天敵であった《はじける破滅》がローテーション落ちしたことにより以前よりも対策され難く、《シルムガルの嘲笑》など優秀なカウンターのおかげでBWやGrixis、Gogglesなど他のコントロールに強いデッキです。
相性の悪いマッチは前環境と同様にRampになります。Bant CompanyやGW Tokensに対しては《龍王オジュタイ》と《龍王シルムガル》の2大フィニッシャーが対処され難く強い要素もありますが、構成やプレイングにより相性は変動します。
☆注目ポイント
GW TokensやBant Companyのように飛行クリーチャー対策に乏しく、比較的除去も薄いデッキがトップメタの現在のスタンダードでは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》など強力なPWを奪える《龍王シルムガル》が強く、3/5というサイズは《ドロモカの命令》で対処するのは困難を極めます。
《シルムガルの嘲笑》はドラゴンボーナスが付けば現在のスタンダードで最高のカウンターで、マナが少ない序盤はタップアウトすることも多いので《魔力の乱れ》として使っても十分な性能です。
フェッチランドを失ったことでマナ基盤に不安がありましたが、『イニストラードを覆う影』から加入したシャドウランドを巧く使うことで補っています。《詰まった河口》は基本土地以外にも《大草原の川》か《窪み渓谷》を見せることでもアンタップインします。
Robertのリストは《ゲトの裏切り者、カリタス》がメインから採用されているなど、よりプロアクティブな構成になっています。2/3クリーチャーや3/3クリーチャーが蔓延する現環境では3/4絆魂というスペックは強力で、《苦い真理》によってライフを失う機会の多いこのデッキにとっては重要な能力です。相手のクリーチャーを除去する度にゾンビトークンを生み出すので、アドバンテージ源にもなり《衰滅》で相手の場をスイープしつつトークンを残します。
《苦渋の破棄》はライフロスがネックとなりますが、《世界を壊すもの》や《搭載歩行機械》、各種PWや《紅蓮術師のゴーグル》などを3マナのインスタントタイミングで追放します。
《死の宿敵、ソリン》は除去兼ライフ回復手段になり、カードアドバンテージを稼ぎつつフィニッシャーにもなるPWで、サイド後に《無限の抹消》でドラゴンを追放されても勝ち手段に困ることが少なくなりそうです。
5 《沼》 1 《島》 1 《山》 4 《燻る湿地》 2 《窪み渓谷》 3 《進化する未開地》 4 《凶兆の廃墟》 3 《さまよう噴気孔》 3 《シヴの浅瀬》 -土地 (26)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《ゲトの裏切り者、カリタス》 4 《ゴブリンの闇住まい》 2 《龍王シルムガル》 -クリーチャー (14)- |
3 《焦熱の衝動》 2 《闇の掌握》 2 《究極の価格》 2 《精神背信》 3 《骨読み》 3 《破滅の道》 3 《コラガンの命令》 1 《光輝の炎》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文 (20)- |
4 《強迫》 3 《光輝の炎》 3 《熱病の幻視》 2 《竜使いののけ者》 1 《引き裂く流弾》 1 《シルムガルの命令》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
プロツアー『イニストラードを覆う影』のスタンダード部門でも8-2という優秀な成績でトップ16入賞を果たしたアメリカの新鋭のOliver Tiuは、その勢いのままにプロツアーで使用していたGrixis Controlで今大会トップ4入賞という好成績を残しています。
コントロールデッキですが《ゴブリンの闇住まい》や《ゲトの裏切り者、カリタス》といったアドバンテージを提供しつつフィニッシャーとしても十分に活躍できるスペックを持つクリーチャーに恵まれており、中盤以降に速やかにゲームを終らせられます。
Esper Dragonsと異なりカウンターがメインでは不採用で、除去とハンデスが中心のJundのようなミッドレンジ寄りの構成です。カウンターを採用したEsper Dragonsとのマッチアップはお世辞にも良いとは言えませんが、持久戦に強くBant CompanyやHumansと相性の良いデッキです。
☆注目ポイント
Esper Dragonsの項目でも挙げましたが、現在のメタは《龍王シルムガル》は除去され難く相手のPWを奪うことでアドバンテージを稼げるフィニッシャーとして活躍します。
《ズーラポートの殺し屋》や《搭載歩行機械》をシャットアウトする《ゲトの裏切り者、カリタス》は現在のメタにフィットしており、3/4絆魂はコントロールをするのに十分な猶予を与えてくれ、生き残ればこれ1体でゲームを終らせることも可能です。軽い除去を多数積んだこのデッキなら序盤から展開されるクロックを捌くのも容易で、《反射魔道士》によるテンポロスもあまり問題になりません。
《光輝の炎》はタフネス3のクリーチャーが中心の現環境では頼りになるスイーパーとなります。サイドの《竜使いののけ者》は1マナと軽く、5/5の飛行トークンは除去の少ない緑白系とのマッチアップで追加の勝ち手段として活躍します。
《熱病の幻視》はUR Controlでも、Esper DragonsやEldrazi Ramp対策として採用されていたエンチャントで毎ターン2ダメージを与える《硫黄の渦》のように機能します。
■ 総括
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】は予想通りBant Companyが最大勢力でしたが、プレイオフにまで勝ち残ったのはわずか1名でした。しかし、決勝戦まで勝ち残る強さを見せています。勝因としてはアンチBant Companyに強い代わりにBant Companyとの相性が悪いSeasons Past Controlなどが勝ち残っていたことが挙げられます。
その翌週に開催された【グランプリ・トロント2016】では、プロツアーで優勝を飾ったGW Tokensが最大勢力で優勝こそ逃したもののトップ8に2名、トップ32まで見渡してみると合計9名と勝ち組でした。
環境最初の2週間はBant Company、そしてプロツアー後はGW Tokensとまだ環境が固まり切っていないためベストデッキが大会毎に変動しています。果たしてGW Tokensは【グランプリ・東京2016】と【グランプリ・ニューヨーク2016】でも勝ち残るのでしょうか?
以上USA Standard Express vol.71でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする