週刊デッキウォッチング vol.107 -昂揚合体伝説電招白日季節コントロール-

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: 多色コントロール



Inagawa Katsuya「多色コントロール」
FNM17時の部(3-0)

2 《森》
1 《平地》
1 《島》
1 《沼》
1 《山》
1 《梢の眺望》
1 《燻る湿地》
1 《燃えがらの林間地》
3 《進化する未開地》
4 《霊気拠点》
4 《花盛りの湿地》
1 《植物の聖域》
1 《感動的な眺望所》

-土地 (22)-

1 《歩行バリスタ》
1 《巡礼者の目》
1 《折れた刃、ギセラ》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《サリアの槍騎兵》
1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《保護者、リンヴァーラ》
1 《消えゆく光、ブルーナ》

-クリーチャー (8)-
4 《致命的な一押し》
4 《ウルヴェンワルド横断》
1 《ショック》
1 《霊気との調和》
4 《蓄霊稲妻》
1 《集団的蛮行》
1 《餌食》
1 《苦渋の破棄》
1 《無許可の分解》
1 《魔性の教示者》
3 《白日の下に》
1 《燻蒸》
1 《闇の暗示》
1 《過ぎ去った季節》
2 《耕作者の荷馬車》
1 《電招の塔》
2 《先駆ける者、ナヒリ》

-呪文 (30)-
4 《不屈の追跡者》
3 《否認》
2 《光輝の炎》
1 《終止符のスフィンクス》
1 《領事の権限》
1 《グレムリン解放》
1 《精神背信》
1 《餌食》
1 《知恵の拝借》

-サイドボード (15)-
hareruya



ウルヴェンワルド横断白日の下に過ぎ去った季節


 黒緑、「機体」、サヒーリ……「三すくみ」と言われるスタンダードは、それら3つ以外のアーキタイプの介入を許さない環境とも言われている。だが、本当にそうなのだろうか?私たちはデッキビルダーたちの力を低く見積もりすぎてはいないだろうか。何せ今週紹介するのは「昂揚合体伝説電招白日季節コントロール」……圧倒的なまでの破天荒、あまりに自由すぎるデッキだからだ。

 「昂揚」状態の《ウルヴェンワルド横断》が土地とクリーチャーを、《白日の下に》がインスタントとソーサリーを、そしてそこからつながる《魔性の教示者》がアーティファクトとプレインズウォーカーをサーチできるので、デッキ内のすべてのカードがサーチ可能という恐るべきコンセプトを持ったこのデッキは、サーチカードにありがちなテンポ負けの問題の解決を、それぞれ4枚差しの《致命的な一押し》《蓄霊稲妻》によって図っている。

 押している盤面では追加のクリーチャーを、押されている盤面では解答となるスペルを、状況に応じて適宜探してこれる柔軟な対応力はやはり魅力的だ。さらに使い終わったカードはサーチカードもろとも《過ぎ去った季節》で回収できるので、互いに消耗するゲーム展開になったとしても、ふと気がついたときには莫大なアドバンテージ差が開いていることだろう。

 一見滅茶苦茶なようで意外と理に適った構成のこのデッキは、ハイランダー的構造によりゲーム毎に違った表情を見せてくれるので、そういった部分に楽しみを見出すこともできる。デッキを回す楽しさを極限に高めつつも大会で通用するレベルのデッキパワーも兼ね備えている点で、見事なチューニングと言えるだろう。

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■ モダン: ローグアグロ



Themata「ローグアグロ」
Competitive Modern Constructed League(5-0)

1 《沼》
1 《森》
2 《草むした墓》
1 《神無き祭殿》
1 《寺院の庭》
4 《新緑の地下墓地》
2 《湿地の干潟》
2 《吹きさらしの荒野》
4 《花盛りの湿地》
1 《ガヴォニーの居住区》
1 《大天使の霊堂》

-土地 (20)-

4 《搭載歩行機械》
4 《歩行バリスタ》
4 《電結の働き手》
4 《電結の荒廃者》
4 《巻きつき蛇》
3 《闇の腹心》
2 《漁る軟泥》

-クリーチャー (25)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
3 《致命的な一押し》
4 《ドロモカの命令》
4 《硬化した鱗》

-呪文 (15)-
4 《思考囲い》
4 《未練ある魂》
2 《呪文滑り》
2 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
2 《外科的摘出》
1 《真髄の針》

-サイドボード (15)-
hareruya



電結の荒廃者巻きつき蛇ドロモカの命令


 モダンにおける《硬化した鱗》の可能性は【白緑人間】などで既に見出されていたが、『霊気紛争』で《巻きつき蛇》を得たことで、同じコンセプトのカードが8枚搭載できるようになるという、新アーキタイプ誕生の条件を満たすこととなった。だが、ここまで禍々しい見た目になるとは誰が予想できただろうか?

 モダンで+1/+1カウンターを活用する実用的なクリーチャーといえば《電結の荒廃者》《硬化した鱗》《巻きつき蛇》のどちらか1枚があれば、アーティファクト1つで2個カウンターが乗るようになる上に、「接合」の威力も増加する。さらに《電結の働き手》を生け贄に捧げて自分に「接合」させると……なんと一気に4個のカウンターが乗るのだ。

 《搭載歩行機械》《漁る軟泥》の成長速度も倍。《ドロモカの命令》も適当に打っても莫大なテンポを獲得できる。さらに極め付けは《ガヴォニーの居住区》。複数枚の《硬化した鱗》《巻きつき蛇》がある状態で起動したら一体どうなってしまうのか、対戦相手の立場ではあまり考えたくないであろうこと請け合いだ。

 黒緑2色に絞ったバージョンも開発されはじめており、モダンの《巻きつき蛇》はまさしく今が旬と言える。この時期はリストを洗練させるアイデア一つで大きな差を付けられるので、流れに乗り遅れることなく、チューンアップにぜひ挑戦してみて欲しい。

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■ レガシー: エクスプローラーロック



Hamada Tomoki「エクスプローラーロック」
晴れる屋大阪店レガシー杯(3-1-1)

2 《森》
2 《平地》
2 《沼》
1 《島》
2 《Bayou》
2 《Savannah》
1 《Scrubland》
1 《Underground Sea》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《新緑の地下墓地》
1 《霧深い雨林》
1 《ファイレクシアの塔》

-土地 (22)-

4 《老練の探険者》
1 《死儀礼のシャーマン》
1 《漁る軟泥》
1 《永遠の証人》
1 《トレストの使者、レオヴォルド》
4 《包囲サイ》
1 《法務官の声、アトラクサ》
1 《太陽のタイタン》

-クリーチャー (14)-
4 《陰謀団式療法》
4 《緑の太陽の頂点》
3 《流刑への道》
3 《突然の衰微》
1 《大渦の脈動》
3 《破滅的な行為》
3 《師範の占い独楽》
1 《生命の力、ニッサ》
2 《死の宿敵、ソリン》

-呪文 (24)-
2 《外科的摘出》
2 《苦い真理》
2 《失われた遺産》
1 《エーテル宣誓会の法学者》
1 《ガドック・ティーグ》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
1 《裏切り者グリッサ》
1 《思考囲い》
1 《クローサの掌握》
1 《毒の濁流》
1 《情け知らずのガラク》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード (15)-
hareruya



老練の探険者法務官の声、アトラクサ死の宿敵、ソリン


 【vol.21】【vol.58】【vol.83】と様々な形の「Nic Fit」《老練の探険者》《陰謀団式療法》デッキを紹介してきたが、今回紹介するのは比較的オーソドックスな形と言えるかもしれない。だが、《緑の太陽の頂点》のサーチ先クリーチャーやプレインズウォーカーの選択で個性が出てくるのがこのアーキタイプでもある。

 《法務官の声、アトラクサ》は単体で《真の名の宿敵》に殴り勝てる性能を持つほか、「増殖」は地味にプレインズウォーカーの忠誠度も増やせる。

 プレインズウォーカー枠に採用されている《死の宿敵、ソリン》は相手のプレインズウォーカーに強く、《精神を刻む者、ジェイス》への対抗策となる。パーマネント回収能力のある《生命の力、ニッサ》は、強力なパーマネントが大量に入ったこのデッキにおいてはほとんどスーパー《永遠の証人》だ。

 また、《死儀礼のシャーマン》《漁る軟泥》《包囲サイ》《法務官の声、アトラクサ》《死の宿敵、ソリン》とあるので、このデッキは極めてライフコントロールに長けている。フェアデッキが跋扈し、《トレストの使者、レオヴォルド》《真の名の宿敵》の支配率が増えてきた今こそ、「Nic Fit」が最高に輝くタイミングなのかもしれない。

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■ フロンティア: ローグ



Seth Eggenburg「ローグ」
The Comic Book Store – 2/16 Weekly(3位)

9 《森》
3 《沼》
2 《島》
4 《汚染された三角州》
4 《花盛りの湿地》
2 《植物の聖域》

-土地 (24)-

4 《エルフの神秘家》
4 《爪鳴らしの神秘家》
2 《起源のハイドラ》
1 《棲み家の防御者》
1 《豪華の王、ゴンティ》
3 《囁きの森の精霊》
2 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (17)-
3 《致命的な一押し》
4 《ニッサの巡礼》
3 《悪逆な富》
1 《骨読み》
1 《スゥルタイの魔除け》
4 《爆発的植生》
1 《リシュカーの巧技》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》

-呪文 (19)-
2 《ガイアの復讐者》
2 《頑固な否認》
2 《強迫》
1 《棲み家の防御者》
1 《スズメバチの巣》
1 《再利用の賢者》
1 《害悪の機械巨人》
1 《致命的な一押し》
1 《精神背信》
1 《ニッサの復興》
1 《悪性の疫病》
1 《トーモッドの墓所》

-サイドボード (15)-
hareruya



爆発的植生約束された終末、エムラクール悪逆な富


 多種多様なビートダウンが存在するフロンティアでは、ランプデッキの構築は難しい。そもそもビートダウン相手は不利が付きがちだし、適切なフィニッシャーを選択するのが難しいからだ。だがこのデッキではベースを青黒緑にすることによって、そんな難題の克服に挑戦している。

 《致命的な一押し》は2~3ターン目のマナがカツカツなランプデッキにとっては福音と言える性能で、後手1ターン目のプレイで先手後手をまくれるのは非常に大きい。また、半端なフィニッシャーはワンアクションで返されてしまう危険が伴うところ、このデッキでは《囁きの森の精霊》《起源のハイドラ》と、1枚で2枚以上のパーマネントを用意できるカードで場持ちを良くしている点が特徴的だ。

 さらに《ニッサの巡礼》《爆発的植生》が伸ばしたマナは《悪逆な富》へと注がれる。めくれたカードのマナコストを無視できるので、《包囲サイ》でも《時を越えた探索》でも何でも唱え放題だ。

 コントロール耐性を保持しながらも対ビートダウンを意識したミッドレンジランプとも言うべきこのアーキタイプは、フロンティア環境の新たな地平を切り拓く先駆けとなりそうだ。

【「ローグ」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



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