みなさんこんにちは。
今週末にはワールドマジックカップ予選、そして来週末にはグランプリ・台北2016、グランプリ・ピッツバーグ2016が開催されます。この環境でのスタンダードはまだまだ続きます。
さて、今回の記事では【グランプリ・コスタリカ2016】と【SCGO Atlanta】の入賞デッキを見ていきたいと思います。
グランプリ・コスタリカ2016 トップ8
~GW Tokensがスタンダードを支配~
2016年6月4-5日
※画像は【MAGIC: THE GATHERING英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 GW Tokens
2位 Naya Walkers
3位 Bant Company
4位 GW Tokens
5位 Bant Company
6位 GW Tokens
7位 WB Control
8位 GW Tokens
参加者500人と小規模なGPでしたがその分非常に濃いメンツで、プレイオフにもSeth Manfield、Brian Braun-Duin、Oliver Tiuといった強豪プレイヤーが見られました。
優勝も含めてプレイオフの半数以上がGW Tokensでした。【グランプリ・ミネアポリス2016】、【グランプリ・マンチェスター2016】に続いての優勝で、間違いなく現スタンダードのベストデッキです。そしてそれを追うのがBant CompanyとWB Controlです。
グランプリ・コスタリカ2016 デッキ紹介
「Naya Walkers」「Bant Company」「WB Control」
4 《森》 4 《平地》 1 《山》 4 《梢の眺望》 1 《進化する未開地》 4 《要塞化した村》 2 《戦場の鍛冶場》 2 《獲物道》 1 《鋭い突端》 2 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (25)- 4 《搭載歩行機械》 4 《森の代言者》 2 《ラムホルトの平和主義者》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (14)- |
4 《ドロモカの命令》 2 《石の宣告》 4 《ニッサの誓い》 4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《アーリン・コード》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文 (21)- |
3 《棲み家の防御者》 2 《石の宣告》 2 《悲劇的な傲慢》 2 《進化の飛躍》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《龍王アタルカ》 1 《次元の激高》 1 《絹包み》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード (15)- |
既存のGW Tokensに《炎呼び、チャンドラ》のみを加えたバージョンが【グランプリ・マンチェスター2016】を優勝したのは記憶に新しいですが、今大会で準優勝という好成績を残したBrandon Fischerのリストは《アーリン・コード》や《龍王アタルカ》も採用されており、《鋭い突端》や《戦場の鍛冶場》、《獲物道》など赤マナが出る土地も多数採用されている3色デッキです。
☆注目ポイント
《炎呼び、チャンドラ》と《龍王アタルカ》は共に除去の少ないこのタイプのデッキにとって重宝します。フィニッシャーとしてもスイーパーとしても優秀で、特に《龍王アタルカ》はミラーマッチやBant Companyとのマッチアップで無類の強さを発揮します。
《アーリン・コード》はプレビューでは高く評価されていたものの中々活躍する機会に恵まれませんでしたが、ここに来て再評価されています。強化能力の「+1」能力は《ラムホルトの平和主義者》が攻撃に参加することを可能にし、トークンを生み出す能力はこのデッキの方向性にもマッチしています。
変身後の「-1」能力は除去の少ない緑白系のデッキにとっては貴重で《変位エルドラージ》などこのデッキにとって厄介なクリーチャーを除去します。
GW Tokensは2色であることを活かし、土地からのダメージやタップインランドによる遅れが他のデッキと比べて少ないデッキでしたが、このデッキは3色になったことによりマナベースにやや負担が掛かっているようで、GW Tokensの強みである安定性は若干落ちています。
しかしその反面、赤をタッチしたことでミラーマッチや他の緑系のミッドレンジに強くなりました。
4 《森》 3 《平地》 1 《島》 1 《荒地》 4 《大草原の川》 3 《梢の眺望》 4 《進化する未開地》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 -土地 (26)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《森の代言者》 4 《反射魔道士》 4 《不屈の追跡者》 3 《変位エルドラージ》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 -クリーチャー (25)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 1 《オジュタイの命令》 -呪文 (9)- |
4 《ラムホルトの平和主義者》 3 《否認》 2 《石の宣告》 2 《オジュタイの命令》 3 《悲劇的な傲慢》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 -サイドボード (15)- |
GW Tokensを使い続けていたBBDでしたが、今大会ではBant Companyを選択しています。Bant Companyと言えば最近はHumansとのハイブリット型のBant Humansが主流だったものの、BBDが使用したのはオーソドックスなBant Companyです。
【グランプリ・東京2016】でHareruya Prosの高橋 優太選手がトップ16に入賞していたリストと一部を除いてメインはほぼ同様で、Brad Nelsonも同様のデッキを選択しており共に初日全勝だったことからも今大会では良いチョイスだったことが伺えます。
☆注目ポイント
WB ControlやGrixis ControlよりもGW TokensやBant Humansなど除去の少ないデッキが増加傾向にあり、《ヴリンの神童、ジェイス》が生き残りやすくなりました。デッキのドローを進めると共に《集合した中隊》や、サイド後は《石の宣告》といった除去スペルを再利用することでアドバンテージが得られます。
環境初期の頃と比べるといくつか異なる点があります。まず3マナ域のクリーチャーが《跳ねる混成体》から《変位エルドラージ》に差し替えられていることです。《反射魔道士》とのコンボやトークンクリーチャー、《搭載歩行機械》に対する回答にもなり、膠着状態になった際の打開策としても有用です。
カードパワーは高いものの《集合した中隊》のヒット率の向上に貢献しない《大天使アヴァシン》も抜け、代わりに《不屈の追跡者》がフル搭載されており、よりカードアドバンテージとシナジーを重視した構成となっています。
マナ基盤にも調整が加えられており、《変位エルドラージ》の能力起動のための無色マナが出る《ヤヴィマヤの沿岸》が4枚採用され、《荒地》も採用されています。また、タップインランドの枚数が減ったことで以前よりも立ち上がりがスムーズになりました。
サイドはGW TokensやHumansに強い《ラムホルトの平和主義者》や《悲劇的な傲慢》、コントロールやGW Tokensとのマッチアップ用の《否認》、GrixisやEsper Dragonsなどのフィニッシャーをカウンターしつつアドバンテージも取れる《オジュタイの命令》、追加の除去の《石の宣告》とGW TokensやWB Control、ミラーマッチなどを意識した構成になっています。
7 《沼》 3 《平地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《放棄された聖域》 4 《乱脈な気孔》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 1 《荒廃した湿原》 -土地 (26)- -クリーチャー (0)- |
3 《荒野の確保》 3 《闇の掌握》 2 《神聖なる月光》 2 《究極の価格》 4 《骨読み》 3 《破滅の道》 3 《精神背信》 2 《苦渋の破棄》 4 《衰滅》 1 《次元の激高》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 2 《死の宿敵、ソリン》 -呪文 (35)- |
3 《ゲトの裏切り者、カリタス》 3 《強迫》 2 《難題の予見者》 2 《保護者、リンヴァーラ》 1 《大天使アヴァシン》 1 《石の宣告》 1 《精神背信》 1 《究極の価格》 1 《死の重み》 -サイドボード (15)- |
環境を代表するコントロールデッキ。タップアウト除去コントロールで、メインはノンクリーチャーで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《死の宿敵、ソリン》といったプレインズウォーカーがフィニッシャーとなります。
今大会の優勝者のSeth Manfieldが【グランプリ・ニューヨーク2016】で使っていたものと同様のデッキで《衰滅》などスイーパーや除去が豊富なので、Humansや4C Ritesといったクリーチャーデッキ全般に強いデッキです。
☆注目ポイント
基本的に《衰滅》とプレインズウォーカーが中心の除去コントロールですが、《荒野の確保》と《ウェストヴェイルの修道院》による奇襲性の高い勝ち手段も持ち合わせており、サイド後は《難題の予見者》や《ゲトの裏切り者、カリタス》といったクリーチャーが投入されるので対戦難易度が高いデッキとなります。
《神聖なる月光》はGW Tokensやミラーマッチなどの《荒野の確保》や各種Companyデッキ対策になり、キャントリップがついているので完全な無駄カードにもならないので、メイン採用も納得です。
クリーチャーの選択は他のリストと異なり《大天使アヴァシン》や《保護者、リンヴァーラ》が見られ、それぞれに長所はありますがこのデッキでは相手のプレインズウォーカーを対策しやすくする《現実を砕くもの》の方がおすすめです。
SCGO Atlanta トップ8
~アグロマスターのTom RossがWR Humansでオープンを制する~
2016年6月4-5日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 WR Humans
2位 Bant Humans
3位 GW Tokens
4位 UR Eldrazi
5位 Bant Rites
6位 UW Aggro
7位 GR Eldrazi
8位 Bant Humans
Gerry Thompsonのスイスラウンド15-0という驚異的なパフォーマンスが印象的だった【SCGO Atlanta】。優勝を収めたのはそのGerryに準決勝で勝利したアグロデッキのエキスパートのTom Rossでした。
SCGO Atlanta デッキ紹介
「WR Humans」「UW Aggro」
14 《平地》 4 《戦場の鍛冶場》 -土地 (18)- 4 《ドラゴンを狩る者》 4 《探検隊の特使》 4 《スレイベンの検査官》 4 《町のゴシップ屋》 3 《アクロスの英雄、キテオン》 2 《勇者の選定師》 4 《白蘭の騎士》 4 《サリアの副官》 2 《領事補佐官》 -クリーチャー (31)- |
4 《石の宣告》 3 《グリフの加護》 4 《永遠の見守り》 -呪文 (11)- |
4 《鋭い突端》 4 《無謀な奇襲隊》 3 《ハンウィアーの民兵隊長》 2 《停滞の罠》 1 《グリフの加護》 1 《絹包み》 -サイドボード (15)- |
SCG Invitational連覇を初めとした数々の大会で結果を残し続けている強豪プレイヤーであり、SCGのプレミアライターのTom Ross。アグロデッキを得意とし、レガシーではInfectマスターとして有名です。今大会ではHumansタッチ赤を使用し、見事に優勝を収めました。
☆注目ポイント
Humansに赤をタッチしたバージョンは【グランプリ・ミネアポリス2016】で準優勝を果たした高尾翔太選手が使用していましたが【SCG Invitational Columbus】優勝者のMax McVettyも《鋭い突端》をサイドボードに忍ばせたバージョンで入賞していました。
今大会Tom Rossが使用したリストはMaxのリストをベースに高尾選手が採用していた《無謀な奇襲隊》がサイドに加えられています。
追加の土地である《鋭い突端》をサイドにフルに採用しているにも関わらず、多くのHumansリストのサイドにスイーパー対策として採用されている《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は不採用です。
今まではHumansに対しては《衰滅》などスイーパーが有効対策でしたが、《鋭い突端》は《衰滅》された後も継続的な攻撃を可能にし、相手にインスタントスピードの除去スペルのマナを立てておくことを要求します。
現環境のスタンダードは効率的なインスタント除去が多いとはいえず、多色クリーチャーとなる《鋭い突端》には現環境で有効な除去の1枚とされている《究極の価格》が効きません。 追加の土地というよりもスペルとして扱われており、消耗戦にも強くなっています。
クリーチャーに速攻と全体強化を与える《無謀な奇襲隊》はソーサリースピードのスイーパー対策としても作用し、相手の不意を突いて一気に決着を付けることを可能にします。ミッドレンジ寄りに変形する《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》プランよりもアグロデッキのHumansらしい戦略です。
流行りのGW Tokensに対しても速さで対抗することができるので、Humansは現環境では良い立ち位置にあるといえます。
6 《島》 6 《平地》 4 《大草原の川》 3 《進化する未開地》 4 《港町》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (24)- 4 《次元潜入者》 4 《鎖鳴らし》 3 《層雲の踊り手》 4 《反射魔道士》 2 《往時の主教》 -クリーチャー (17)- |
3 《意思の激突》 2 《本質の変転》 4 《石の宣告》 4 《呪文萎れ》 2 《聖トラフトの祈祷》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (19)- |
4 《絹包み》 2 《停滞の罠》 1 《払拭》 2 《神聖なる月光》 1 《侵襲手術》 3 《否認》 2 《荒野の確保》 -サイドボード (15)- |
晴れる屋のオーナーでHareruya Prosの一員でもある齋藤 友晴選手が【グランプリ・ミネアポリス2016】で使用し、公式カバレージの【デッキテク】でも紹介されたUR Aggroに似た構成のUW Aggroです。
このデッキでは赤の代わりに白を使っており、合計11枚の2マナ2/1飛行をカウンターと除去でバックアップしていくクロックパーミッションになっています。火力にアクセス可能な赤も捨てがたいところですが、白はプレインズウォーカーの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や除去スペルの《石の宣告》などが使用可能です。
☆注目ポイント
《鎖鳴らし》は自身も瞬速2/1飛行というスペックであると同時に、メインの2枚の《往時の主教》も瞬速でキャストすることを可能にし、スピリットクリーチャーを対象にした単体除去に対してはETB能力がカウンターのように機能します。
基本戦略はクロックパーミッションらしく、クリーチャーを《意思の激突》や《呪文萎れ》といったカウンターでバックアップしていきます。《呪文萎れ》は色拘束が薄く、対象が限定されていないなど中々優秀なカウンター呪文で、打ち消した呪文は追放されるので《棲み家の防御者》や《ヴリンの神童、ジェイス》を使ってくる相手にも効果的です。
また、《層雲の踊り手》は相手にプレッシャーをかけつつクリーチャーを除去から守る手段として最適で、《集合した中隊》を打ち消すこともできます。
白を足したメリットとして《反射魔道士》を採用できるようになったことが挙げられます。テンポデッキのように振る舞うこのデッキでは《送還》能力は優秀です。また、赤の代わりに白を足したことによって《黄金夜の懲罰者》が《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に差し替えられています。
また、環境の優秀な除去である《石の宣告》にアクセスが可能になりました。《聖トラフトの祈祷》は相手の除去によってアドバンテージを失うリスクはありますが回避能力付きのクリーチャーが多く除去や飛行対策の少ないGW TokensやHumansに対してダメージレースを挑むことを可能にします。
《本質の変転》はスピリットの少ないこのデッキではボーナスを得るのは難しいですが、相手の単体除去に対する1マナの打ち消しとして扱うことができ、特に《反射魔道士》との組み合わせは相手の計算を大きく狂わせます。
総括
GP3連覇を果たしたGW Tokensは現環境のベストデッキとして見て間違いありません。かつてスタンダードの環境を支配したAffinityやCaw Bladeほどではありませんが、これほど一つのデッキが勝ち続ける環境はしばらくぶりです。
2色であることを活かした安定性とトークンや《森の代言者》、《大天使アヴァシン》によるビートダウンだけでなくプレインズウォーカーを活かしたロングゲームも得意とするため対策されにくく、個々のカードパワーの高さから環境の多くのデッキと互角以上に渡り会えることがこのデッキの強さです。
今週末にはワールドマジックカップ予選、来週末にはグランプリ・台北2016、グランプリ・ピッツバーグ2016が開催されますが、GW Tokensを使う側も対抗する側も対策はしっかりしていきたいところです。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
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