みなさんこんにちは。
新セットの【『異界月』の全カードリスト】も公開されセットの全貌が明らかになりました。今週末にはプレリリースもあるので非常に充実した週末となりそうです。
さて、今回の記事ではこの環境最後のスタンダードの大会である【SCG Classics Worcester】の結果と『異界月』のカードでスタンダードの環境に影響を与えそうなカードをご紹介していきたいと思います。
SCG Classics Worcester トップ8
~やはり強いGW Tokens~
2016年7月9-10日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 GW Tokens
2位 UW Aggro
3位 Bant Company
4位 WR Humans
5位 GW Tokens
6位 GW Tokens
7位 Bant Humans
8位 Bant Humans
トップ8のデッキリストは【こちら】
グランプリの結果と同様にGW TokensとBant Companyの2強状態です。この2つのアーキタイプは完成されており、安定性も高いことからも他のデッキで立ち向かうのは難しかったようです。
惜しくも優勝は逃したものの、準優勝という好成績を残したUW Aggroは次の環境では新戦力にも恵まれているので要注目です。
SCG Classics Worcester デッキ紹介
「UW Aggro」「Bant Humans」
13 《平地》 2 《曲がりくねる川》 4 《港町》 4 《大草原の川》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《白蘭の騎士》 4 《鎖鳴らし》 2 《族樹の精霊、アナフェンザ》 4 《空中生成エルドラージ》 4 《反射魔道士》 3 《往時の主教》 3 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (28)- |
2 《オジュタイの命令》 3 《停滞の罠》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (8)- |
3 《石の宣告》 3 《否認》 2 《荒野の確保》 1 《悟った苦行者》 1 《隠れたる龍殺し》 1 《層雲の踊り手》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《神聖なる月光》 1 《オジュタイの命令》 1 《悲劇的な傲慢》 -サイドボード (15)- |
『異界月』から優秀なスピリットクリーチャーが多数加入するということで現在注目を集めているUW Aggro。インスタントタイミングでキャストできるスペルが多数採られていますが、カウンターは不採用となっており、中堅クリーチャーを軸にしているという点でBant Companyに近い構成です。
サイドに《否認》や追加の除去、《悲劇的な傲慢》などが採用されているところもBant Companyとよく似ています。
☆ 注目ポイント
《鎖鳴らし》、《大天使アヴァシン》といった優秀な瞬速クリーチャーや《停滞の罠》や《オジュタイの命令》といったインスタントタイミングでキャスト可能なスペルを多数採用していることからも、《集合した中隊》デッキ並に対戦難易度が高いデッキとなります。
《空中生成エルドラージ》や《白蘭の騎士》は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《オジュタイの命令》をキャストするためのマナを確保します。
『異界月』からも《呪文捕らえ》など多数の優秀なスピリットクリーチャーが加入するので、新環境での活躍が期待されるアーキタイプです。
5 《平地》 3 《森》 1 《島》 1 《荒地》 2 《大草原の川》 1 《梢の眺望》 4 《進化する未開地》 4 《要塞化した村》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地 (25)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《ラムホルトの平和主義者》 4 《サリアの副官》 4 《反射魔道士》 3 《変位エルドラージ》 4 《不屈の追跡者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (27)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 -呪文 (8)- |
3 《否認》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《棲み家の防御者》 2 《石の宣告》 2 《オジュタイの命令》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《死者を冒涜するもの》 -サイドボード (15)- |
渡辺 雄也選手が【グランプリ・東京2016】でトップ16入賞を収めたことで知れ渡り以来、さまざまなトーナメントの上位で頻繁に見られるようになり、現在はトップメタのGW Tokensを追い抜いて【MOのメタゲーム上】では白緑トークンと肩を並べるほどの勢力となっています。
Bant Companyよりもアグレッシブな構成ながら《サリアの副官》によってクリーチャーのサイズを強化していくことで容易に戦場を制圧することができます。カード単体の強さに勝るBant Companyはコントロールに強い構成ですが《サリアの副官》による全体強化により爆発力があり、プレインズウォーカーに対してのアタッカーを確保しやすいBant Humansの方がトップメタのGW Tokensに有利が付きます。
ダメージ計算やプレイの順序がシビアなため、見た目以上にプレイングが難しいデッキです。
☆ 注目ポイント
《ラムホルトの平和主義者》は《サリアの副官》や《ドロモカの命令》によって容易にパワー4にまで強化できるので、このデッキでは主力クリーチャーとして活躍します。
《大天使アヴァシン》、《巨森の予見者、ニッサ》、《変位エルドラージ》以外のクリーチャーは人間クリーチャーなため《サリアの副官》の恩恵を受けやすく、GW Tokensなど他のミッドレンジとも互角以上の盤面を構築することができます。特に《集合した中隊》から複数捲れた際にはゲームの勝敗を決定付けるほどの影響力を持ちます。
《反射魔道士》はこのデッキを使う理由の一つであり、《変位エルドラージ》との組み合わせが強力です。《変位エルドラージ》の起動型能力は特にトークンや《搭載歩行機械》に対しては除去と同様の効果で、GW Tokensに対して攻撃を通しやすくします。
また、《薄暮見の徴募兵》と《不屈の追跡者》の2種類のクリーチャーによってカードアドバンテージを稼げるので、消耗戦でも息切れしにくいです。
《大天使アヴァシン》がメインから採用されており《オジュタイの命令》がサイドに落とされています。このデッキでは《大天使アヴァシン》を能動的に変身させることは難しいですが、現在トップメタのGW TokensとBant Companyに対して強いクリーチャーです。
『異界月』からも《異端聖戦士、サリア》や《実地研究者、タミヨウ》など新戦力となりそうなカードが見られるので、新環境でも引き続き見かけることになりそうです。
■ ボーナストピック:『異界月』セットレビュー
今回の記事ではおまけとして『異界月』に収録されているカードの中でスタンダードの環境に影響を与えそうなものを中心に紹介していきたいと思います。
◆ 《呪文捕らえ》
『異界月』にはあの《呪い捕らえ》を彷彿とさせる《霊廟の放浪者》など複数の高性能なスピリットクリーチャーが収録されており、新環境ではUW Spirit Tempoのようなデッキも見られそうです。その中でも《呪文捕らえ》は瞬速、2/3飛行というスペックに加え、対象の点数で見た4マナ以下のスペルを追放するというETB能力を持つ頭一つ抜けた性能です。
単体でも十分優秀な性能なので、UW Aggroに限らずBant Companyなどでも使われるかもしれません。
◆ 《異端聖戦士、サリア》
モダンやレガシーでの活躍も期待されている《異端聖戦士、サリア》。相手のクリーチャーと特殊地形がタップ状態で戦場に出るようになる常在型能力を持ったクリーチャーで、Bant Humans、Humansなど既存のデッキにもすんなり入る分かりやすい強さのクリーチャーです。
3/2先制攻撃というスペックも小型のクリーチャーとプレインズウォーカーが幅を利かせている現環境では頼りになります。
◆ 《実地研究者、タミヨウ》
Bant CompanyやBant Human Companyの新戦力となりそうなプレインズウォーカー。「-2」能力は自身を守りつつ攻撃を通しやすくします。
また、「+1」能力は警戒持ちの《大天使アヴァシン》や《森の代言者》と相性がいいことは言うまでもありませんが、相手のコントロールするクリーチャーも対象にすることが可能で、対戦相手が《実地研究者、タミヨウ》やあなたにダメージを通した際にもカードを引くことができます。
◆ 《折れた刃、ギセラ》
4マナ4/3飛行、先制攻撃、絆魂という高スペックで、《消えゆく光、ブルーナ》と合体することでさらに強力なクリーチャー、《Brisela, Voice of Nightmares》に変身します。プレインズウォーカーを守る手段としてGW Tokensなどの新戦力として期待できそうです。
◆ 《非実体化》
対象のスペルかクリーチャーをバウンスするという近年稀に見る軽く効率的なスペルで、レガシーでも使われている《造物の学者、ヴェンセール》を彷彿とさせる効果です。
さすがに《造物の学者、ヴェンセール》とまったく同様のテキストだと強すぎたのか、触れるパーマネントはクリーチャーのみになりますが、十分強力な効果で先ほど解説をしたUW Aggroやテンポデッキとしての側面もあるBant Companyなどでも使われそうなカードです。
◆ 《無害な申し出》
筆者もお気に入りの可愛らしいイラストのカードで、過去のエクステンデッドで猛威を振るったDonate Combo(《Illusions of Grandeur》+《寄付》)の片割れである《寄付》と似た効果のスペルで、自分に不利益なパーマネントを対戦相手に押し付けるのが主な使用目的となります。
スタンダードにも《悪魔の契約》というカードがあるのでそれを軸にしたコンボデッキも見られるかもしれません。
新カードを使ったデッキリストも紹介していきます。
7 《島》 7 《平地》 4 《大草原の川》 2 《進化する未開地》 4 《港町》 -土地 (24)- 4 《霊廟の放浪者》 4 《鎖鳴らし》 4 《無私の霊魂》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 1 《往時の主教》 2 《大天使アヴァシン》 2 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー (25)- |
4 《本質の変転》 2 《意思の激突》 3 《非実体化》 2 《オジュタイの命令》 -呪文 (11)- |
話題の新カードである《呪文捕らえ》を中心に構成された青白のクロックパーミッションのようなデッキで、《本質の変転》や《鎖鳴らし》などスピリットクリーチャーのシナジーにも注目です。
《老いたる深海鬼》はスピリットではありませんが、瞬速に加えて対象のパーマネント4つまでタップさせるというEtB能力を持ち、あの《霧縛りの徒党》を彷彿とさせる強力なクリーチャーで、「現出/Emerge」のコストもクリーチャーの多いこのデッキではそれほど負担にならないでしょう。使用済みの《反射魔道士》などがコストになりそうです。
飛行クリーチャーはGW TokensやBant Companyといった緑のミッドレンジにも強くGW TokensとBant Companyの2強に何処まで通用するのか要注目です。
4 《森》 3 《平地》 1 《島》 1 《荒地》 4 《大草原の川》 3 《梢の眺望》 4 《進化する未開地》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 -土地 (26)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《森の代言者》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《反射魔道士》 4 《不屈の追跡者》 2 《変位エルドラージ》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー (24)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 2 《実地研究者、タミヨウ》 -呪文 (10)- |
《実地研究者、タミヨウ》は現在でもトップメタに位置するBant Companyをさらに強化するポテンシャルを秘めています。クリーチャーが多く、警戒持ちの《森の代言者》の存在もありデッキの方向性にもマッチしていると言えるでしょう。
総括
結局最後の最後までGW TokensとBantの2強のままでしたが、新セットの『異界月』は強力なカードが多数収録されるので環境に大きな変化が訪れそうです。
新セットが発売される直前のこの時期は新しいデッキを考えるのが楽しい時期でもあり『異界月』リリース直後の週末にはSCGO Columbusが開催されます。次回の連載ではSCGO Columbusの結果をお届けしていく予定です。
以上USA Standard Express vol.77でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを! 良いプレリリースを!
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