週刊デッキウォッチング vol.101 -金属製の巨像MUD-

伊藤 敦

伊藤 敦



 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: 青黒赤コントロール



Ueno Hideto「青黒赤コントロール」
晴れる屋大阪店スタンダード杯(3-1)

5 《島》
4 《沼》
2 《山》
4 《窪み渓谷》
2 《燻る湿地》
4 《尖塔断の運河》
3 《さまよう噴気孔》

-土地 (24)-

4 《氷の中の存在》
2 《黄金夜の懲罰者》
1 《ゴブリンの闇住まい》
2 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー (9)-
4 《蓄霊稲妻》
3 《予期》
2 《否認》
1 《精神背信》
4 《風への散乱》
3 《苦い真理》
2 《無許可の分解》
2 《破滅の道》
2 《光輝の炎》
1 《本質の摘出》
2 《天才の片鱗》
1 《秘密の解明者、ジェイス》

-呪文 (27)-
3 《稲妻織り》
2 《儀礼的拒否》
2 《餌食》
2 《虚空の粉砕》
2 《即時却下》
1 《精神背信》
1 《否認》
1 《光輝の炎》
1 《死の重み》

-サイドボード (15)-
hareruya



氷の中の存在黄金夜の懲罰者苦い真理



 《密輸人の回転翼機》が禁止になったことで、スタンダードはプレインズウォーカーの復権が期待される環境になった。《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《サヒーリ・ライ》などの活躍が予想される中で、どうやってプレインズウォーカーを対策するのか?そんな難題に一つの解答を示したのがこちらのデッキだ。

 《氷の中の存在》は変身すればブロッカーを排除できる上に打点も7点と高いので、忠誠度が上がっていてもおおよそ問題ない。【プロツアー『カラデシュ』】で八十岡 翔太が使っていたときはサイドボードだったが、プレインズウォーカー環境ならばメインに移すことも考えられる。(※メインボードでした、記憶違いでした)

 さらにあまり見ないカードだが《黄金夜の懲罰者》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を返しで落とした上にプレッシャーをかけ続けることができる。《光輝の炎》で相手のクリーチャーを薙ぎ払うことができればデメリットも気にならないだろう。

 メインから《否認》《破滅の道》も搭載し、プレインズウォーカー環境への準備は万端だ。『霊気紛争』後のスタンダード環境の全体像はまだ見えていないものの、先を見据えたコンセプトということもあり、こうしたデッキが新環境で活躍する可能性も十分ありそうだ。


【「青黒赤コントロール」でデッキを検索】





■ モダン: 白赤ビートダウン



yhudiwasa5「白赤ビートダウン」
Competitive Modern Constructed League(5-0)

1 《山》
3 《聖なる鋳造所》
4 《血染めのぬかるみ》
3 《乾燥台地》
3 《感動的な眺望所》
1 《激戦の戦域》

-土地 (15)-

4 《メムナイト》
3 《羽ばたき飛行機械》
4 《ゴブリンの先達》
4 《模範的な造り手》
4 《信号の邪魔者》
4 《ゴブリンの奇襲隊》
3 《ボーマットの急使》
3 《アクロスの英雄、キテオン》
1 《軍勢の忠節者》
4 《無謀な奇襲隊》

-クリーチャー (34)-
4 《稲妻》
4 《カルドーサの再誕》
3 《オパールのモックス》

-呪文 (11)-
3 《はらわた撃ち》
3 《墓掘りの檻》
2 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《流刑への道》
2 《壊滅的な召喚》
2 《粉々》
1 《破壊放題》

-サイドボード (15)-
hareruya



カルドーサの再誕アクロスの英雄、キテオン無謀な奇襲隊



 「カルドーサレッド/ゴブナイト」といえば《アタルカの命令》の存在もあり、これまでは【赤緑型が主流】だったが、『カラデシュ』以降は赤白型という選択肢が出てきているようだ。

 《カルドーサの再誕》を打つ都合上、一定数のアーティファクトが必要になるこのデッキでは《模範的な造り手》は白い《野生のナカティル》として機能する。《アクロスの英雄、キテオン》《無謀な奇襲隊》で走らせる動きはスタンダード当時も使われていたが、プレインズウォーカーへの対処手段が少ないモダンで変身に成功したなら勝利は目前だ。

 《ボーマットの急使》【親和での採用実績がある】ほどのカードであり、あと一押しという終盤で《稲妻》や追加の《無謀な奇襲隊》《ゴブリンの奇襲隊》を探しにいけるのは頼もしい。

 また、サイドボードの強さも赤白型の強みで、これほどの速度を持つデッキが《スレイベンの守護者、サリア》を出してくるというのはコンボデッキにとって脅威となる。《ギタクシア派の調査》が禁止となり、モダン環境の速度が落ち着いたと思われる今こそ、3ターンキルも可能なこのデッキで奇襲をかけにいこう。


【「白赤ビートダウン」でデッキを検索】





■ レガシー: 茶単



Hayaki Hirokazu「茶単」
Known Magicians Clan – Invitational 8th 併設レガシー(3位)

4 《魂の洞窟》
4 《古えの墳墓》
4 《ウギンの聖域》
4 《不毛の大地》
4 《裏切り者の都》
2 《発明博覧会》

-土地 (22)-

2 《銅のノーム》
4 《磁石のゴーレム》
4 《隔離するタイタン》
4 《金属製の巨像》

-クリーチャー (14)-
4 《通電式キー》
4 《厳かなモノリス》
4 《玄武岩のモノリス》
1 《世界のるつぼ》
2 《スランの発電機》
4 《殴打頭蓋》
3 《ニンの杖》
2 《イシュ・サーの背骨》

-呪文 (24)-
3 《ファイレクシアの破棄者》
3 《虚空の杯》
2 《ワームとぐろエンジン》
2 《外科的摘出》
2 《真髄の針》
1 《銀のゴーレム、カーン》
1 《墓掘りの檻》
1 《カラカス》

-サイドボード (15)-
hareruya



金属製の巨像殴打頭蓋磁石のゴーレム



 見た瞬間えっ!?と声をあげて驚いてしまったのだが、こちらのデッキはなんとレガシーで《金属製の巨像》を使おうというのである。それだけでも十分すごいアイデアなのだが、デッキ自体の完成度もかなり高い。

 基本構造は《厳かなモノリス》《玄武岩のモノリス》《通電式キー》でマナ加速しつつアーティファクトを並べていき、《金属製の巨像》がタダでプレイできるようになったら《ウギンの聖域》ですぐに2体目をサーチ、一瞬で20点クロックを用意するという、スタンダードのバージョンとそう変わらない。そんな中において《殴打頭蓋》は、クリーチャーカウントが可能でありながら《金属製の巨像》のマナコストを5つも減らせるこのデッキのエースだ。

 《古えの墳墓》《裏切り者の都》から早いターンに出てくる《磁石のゴーレム》は自分への被害が一切なく、ほぼ確実にマストカウンターとなるので、《意志の力》を消費させることができる。もちろん《魂の洞窟》指定「ゴーレム」を絡めて着地させれば即ゲームセットもありうるし、後続の《隔離するタイタン》(ちなみにこいつも「ゴーレム」だ) の露払いにもなる。

 《イシュ・サーの背骨》は7マナの《名誉回復》だが、《実物提示教育》に合わせて場に出せば《引き裂かれし永劫、エムラクール》も対処できる。アーティファクト限定の「自分だけ《実物提示教育》」こと《銅のノーム》などというマニアックなカードも搭載しており、実に楽しそうなデッキだ。


【「茶単」でデッキを検索】





■ フロンティア: エルドラージランプ



Hokari Yuuki「エルドラージランプ」
第8期フロンティア神挑戦者決定戦(12位)

12 《森》
1 《荒地》
3 《樹木茂る山麓》
4 《見捨てられた神々の神殿》
4 《ウギンの聖域》

-土地 (24)-

4 《エルフの神秘家》
4 《爪鳴らしの神秘家》
1 《破滅の伝導者》
4 《世界を壊すもの》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (15)-
4 《ニッサの巡礼》
4 《爆発的植生》
4 《ニッサの誓い》
4 《奇妙な森》
1 《面晶体の記録庫》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
2 《精霊龍、ウギン》

-呪文 (21)-
4 《ジャディの横枝》
2 《森の代言者》
2 《不屈の追跡者》
2 《スズメバチの巣》
2 《再利用の賢者》
2 《帰化》
1 《破滅の伝導者》

-サイドボード (15)-
hareruya



エルフの神秘家世界を壊すもの精霊龍、ウギン



 フロンティアといえば《エルフの神秘家》が使えるため、1マナ→3マナの動きが可能となる。3マナでプレイするのはクリーチャーであってももちろん問題ないが、せっかく最速のマナブーストが可能ならば、ランプデッキで生かしてみるのもいいだろう。

 スタンダード当時と違って《面晶体の記録庫》を減らし、《奇妙な森》が全力で搭載されているのはそれが理由だ。《ニッサの巡礼》のほか《爪鳴らしの神秘家》の「変異」プレイも選択肢に入るため、《エルフの神秘家》スタートのときのこのデッキは手が付けられないほどのマナブーストを見せる。

 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》はその攻撃力もさることながら、2つ目の「+1」能力を使ったときの圧倒的な加速力も見逃せない。

 さらにフロンティアならではのフィニッシャー、《精霊龍、ウギン》は全てを無に帰す最終兵器だ。7枚目の土地としておもむろに《見捨てられた神々の神殿》を置いて降臨させれば、対戦相手の意表をついて展開を咎めることができるだろう。


【「エルドラージランプ」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



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