週刊デッキウォッチング vol.108 -スゥルタイマンドリルスレッショルド-

伊藤 敦

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: エルドラージ



tgnyn「ローグ」
Competitive Standard Constructed League(5-0)

5 《沼》
4 《窪み渓谷》
4 《霊気拠点》
4 《産業の塔》
4 《オラン=リーフの廃墟》
3 《海門の残骸》

-土地 (24)-

3 《歩行バリスタ》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
3 《現実を砕くもの》

-クリーチャー (18)-
4 《致命的な一押し》
4 《精神背信》
4 《闇の掌握》
3 《バラルの巧技》
3 《耕作者の荷馬車》

-呪文 (18)-
3 《不許可》
3 《ヤヘンニの巧技》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《膨らんだ意識曲げ》
2 《否認》
1 《失われた遺産》
1 《霊気圏の収集艇》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-サイドボード (15)-
hareruya



屑鉄場のたかり屋難題の予見者バラルの巧技


 『ゲートウォッチの誓い』で登場し、モダンやレガシー、果てはヴィンテージ環境でまで大暴れしている《難題の予見者》《現実を砕くもの》といったエルドラージたちだが、『霊気紛争』後のスタンダードでは《エルドラージの寺院》のようなマナ加速がない上に無色スペルの選択肢が限られるため、あまり存在感を示せていなかった。だが、これらの問題さえ解決すれば、まだ十分スタンダードでも通用するポテンシャルを持っているのだ。

 『霊気紛争』で加入した《産業の塔》は、アーティファクトさえあれば有色スペルを何不自由なくプレイできる点で《廃集落》に勝っている。《耕作者の荷馬車》は単純なマナ加速としては力不足だが、アーティファクトカウントを稼げる上に自身も色マナを供給、さらに5/5のアタッカーとしても扱えるという多機能ぶりでデッキの足回りをサポートする。

 《屑鉄場のたかり屋》の能力と環境的な《致命的な一押し》の強さもあって有色部分は黒ベースだが、青をタッチしてまで投入された《バラルの巧技》は、特に黒緑アグロに対して絶大な威力を発揮しそうだ。

 長期戦になれば能力持ちの土地である《オラン=リーフの廃墟》《海門の残骸》が対戦相手と差をつける。「機体」、黒緑、サヒーリ、《電招の塔》の4強か?とも言われているスタンダード環境だが、はたして「エルドラージ」がこれから5つ目のデッキとして勢力を伸ばしていくのか、今後の展開に注目だ。

【「エルドラージ」でデッキを検索】





■ モダン: ローグ



Tsukada Atsushi「ローグ」
休日モダン17時の部(3-0)

2 《島》
2 《沼》
1 《平地》
1 《神無き祭殿》
1 《神聖なる泉》
1 《湿った墓》
4 《汚染された三角州》
3 《血染めのぬかるみ》
1 《溢れかえる岸辺》
2 《秘密の中庭》
1 《闇滑りの岸》
1 《沈んだ廃墟》
2 《忍び寄るタール坑》
1 《乱脈な気孔》

-土地 (23)-

4 《狩り立てられた恐怖》
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《静翼のグリフ》
2 《日々を食うもの》

-クリーチャー (11)-
4 《コジレックの審問》
2 《致命的な一押し》
2 《流刑への道》
2 《頑固な否認》
1 《強迫》
1 《集団的蛮行》
4 《未練ある魂》
2 《知識の渇望》
1 《苦渋の破棄》
1 《残忍な切断》
4 《倦怠の宝珠》
1 《悪夢の織り手、アショク》
1 《真面目な訪問者、ソリン》

-呪文 (26)-
3 《けちな贈り物》
2 《外科的摘出》
2 《涙の雨》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
1 《エメリアの盾、イオナ》
1 《集団的蛮行》
1 《対抗突風》
1 《機を見た援軍》
1 《至高の評決》
1 《ヤヘンニの巧技》
1 《堀葬の儀式》

-サイドボード (15)-
hareruya



狩り立てられた恐怖倦怠の宝珠静翼のグリフ


 マジックでは昔から、《地ならし屋》《真実を覆すもの》のように、異次元のマナレシオを持つ代わりに戦場に出たとき強烈なデメリットが誘発するクリーチャーたちの一群が存在する。そして、そんなクリーチャーたちの誘発型能力を踏み倒し、規格外のスペックの恩恵だけを受け取ろうと目論むコンセプトもまた、古くから存在してきた。レガシーだと《ファイレクシアン・ドレッドノート》《もみ消し》の「スタイフルノート」が有名だが、モダンで同様のコンセプトのデッキを作るなら、2マナ7/7トランプルという圧倒的な性能を誇る《狩り立てられた恐怖》は外せないだろう。

 問題は誘発型能力の踏み倒し方法だが、《もみ消し》がなくても《倦怠の宝珠》を設置しておけばデメリットを心配する必要はない。また同じ能力を持つ《静翼のグリフ》は瞬速を持つため、通常のエスパーコントロールに擬態できる点が優秀だ。

 さらに《狩り立てられた恐怖》を上回るデメリット持ちのクリーチャーとして、《日々を食うもの》が採用されている。戦場に出たときに自分のターンを2ターン吹き飛ばすという恐ろしいデメリットを持っているが、それを無視できるなら4マナ9/8飛行トランプルはモダン環境においても間違いなく破格と言えるだろう。

 《欠片の双子》が禁止となって以降、主にその対策カードとして活躍していた《倦怠の宝珠》もあまり見かけないカードとなってしまったが、最近では《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》のコンボがモダンにも進出してきていると聞く。その点このデッキは、対戦相手の驚く顔が見られることはもちろん、メインからナチュラルにサヒーリコンボをメタれるということもあり、さらなる活躍が期待できそうだ。

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■ レガシー: 青黒緑アグロ



HJ_Kaiser「青黒緑アグロ」
Legacy Constructed League(5-0)

3 《Tropical Island》
3 《Underground Sea》
4 《汚染された三角州》
4 《新緑の地下墓地》
4 《不毛の大地》

-土地 (18)-

4 《敏捷なマングース》
4 《わめき騒ぐマンドリル》

-クリーチャー (8)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《思考掃き》
4 《もみ消し》
3 《致命的な一押し》
2 《呪文嵌め》
4 《目くらまし》
3 《突然の衰微》
1 《対抗呪文》
1 《苦い真理》
4 《意志の力》

-呪文 (34)-
3 《外科的摘出》
3 《侵襲手術》
2 《真の名の宿敵》
2 《悪魔の布告》
2 《毒の濁流》
2 《冬の宝珠》
1 《苦い真理》

-サイドボード (15)-
hareruya



敏捷なマングースわめき騒ぐマンドリル致命的な一押し


 レガシーで《敏捷なマングース》が入ったデッキといえば「カナディアン・スレッショルド」だろう。青の優秀なドローとカウンター、緑のタフなクロック、そして汎用性の高い《稲妻》という組み合わせは、一時期ほどの権勢はなくなったとはいえ、いまだに根強い人気がある。今回する紹介するデッキはそんな「カナディアン・スレッショルド」を彷彿とさせる、「スゥルタイマンドリルスレッショルド」(!?)だ。

 《稲妻》の代わりに採用されているのは《致命的な一押し》。大量のフェッチはもちろん、《不毛の大地》の起動でも「紛争」は達成できるため、「探査」クリーチャー以外のほとんどのクリーチャーは対処可能だろう。黒いカードはほかに《突然の衰微》もとられているため、《相殺》もケアできている。

 また、《タルモゴイフ》を採用しておらず、クロックの設置はほぼ常に1マナで行われるため、《もみ消し》を無理なく構えることができる。

 「探査」と「スレッショルド」は両立可能なのか?というのが最大の疑問だが、《思考掃き》を引かないときはプランに沿わない方は《渦まく知識》で山札に押し込む腹積もりなのかもしれない。《敏捷なマングース》フリークの方には、ぜひ一度試してみてもらいたいデッキだ。

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 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


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