USA Standard Express vol.78 -プロツアー『異界月』 etc.-

Kenta Hiroki



 みなさんこんにちは。

 先週末に開催された【プロツアー『異界月』】では、日本勢から行弘 賢選手と高橋 優太選手がプレイオフ進出を果たし、渡辺 雄也選手がプロツアー殿堂へ選出されました。

 今週には【第7期スタンダード神挑戦者決定戦】が開催されますが、皆さんはもう使いたいデッキは決まりましたか?

 プロツアーが終了し、メタにも大きな変化が見られます。どのようにメタが変化したのか、今回の連載ではプロツアー直前に開催された【SCGO Baltimore】【プロツアー『異界月』】の結果を見ていきたいと思います。



SCGO Baltimore
~トップ8の半数がBant Company~


2016年7月30-31日

Osyp Lebedowicz
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。


1位 GW Tokens
2位 Bant Company
3位 Bant Company
4位 Bant Company
5位 GU Crush
6位 Abzan Control
7位 Bant Company
8位 BW Control




トップ8のデッキリストは【こちら】


 【プロツアー『異界月』】直前の週末に開催されたSCG OpenはBant Companyが2日目進出デッキの40%強、トップ8の半数を占めるという結果となりました。しかし優勝を収めたのはGW Tokensで、前環境の王者もまだまだ健在だということが証明されました。



SCGO Baltimore デッキ紹介

「GW Tokens」



Osyp Lebedowicz「GW Tokens」
StarCityGames.com – Standard Open 2016/07/31 Baltimore(優勝)

9 《森》
7 《平地》
4 《梢の眺望》
4 《要塞化した村》
1 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (25)-

4 《搭載歩行機械》
4 《森の代言者》
4 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (12)-
4 《ドロモカの命令》
2 《石の宣告》
3 《悲劇的な傲慢》
4 《ニッサの誓い》
2 《進化の飛躍》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (23)-
2 《ラムホルトの平和主義者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《不屈の追跡者》
2 《保護者、リンヴァーラ》
2 《石の宣告》
2 《停滞の罠》
1 《空への斉射》
1 《翼切り》
1 《隔離の場》
-サイドボード (15)-
hareruya



 今大会で復権を果たした前環境の王者であるGW Tokensは、見事にBant Companyの海を渡り切りました。

 《呪文捕らえ》などの回避能力を持ったクリーチャーでプレインズウォーカーを攻める手段が豊富なBant Companyには苦戦を強いられましたが、Osyp Lebedowiczはメインから除去を多めに積んだコントロール寄りの構成にすることで、Bant Companyを始めとした多くのクリーチャーデッキに対する耐性を獲得しました。


☆ 注目ポイント

 メインから3枚採用された《悲劇的な傲慢》は5マナのスペルであることから《呪文捕らえ》でカウンターされず《次元の激高》と異なり《無私の霊魂》の能力で妨害されないといった要素から現環境では優秀なスイーパースペルとして活躍します。

 メイン、サイドに合計4枚採用された《石の宣告》、サイドの《停滞の罠》《隔離の場》《空への斉射》《翼切り》と除去が多めに採られており、Bant Companyを意識した構成です。特に《呪文捕らえ》《無私の霊魂》《大天使アヴァシン》といった飛行クリーチャーを対策できる《翼切り》は良チョイスです。

 GW Tokensは前環境程の勢いはありませんが、今大会は優勝、その前週に開催された【SCGO Columbus】でも上位入賞を収めているなど無視できない存在です。


悲劇的な傲慢石の宣告翼切り




プロツアー『異界月』
《最後の望み、リリアナ》《約束された終末、エムラクール》に勝利~


2016年8月5-7日

Lukas Blohon
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


1位 BW Control
2位 Temur Emerge
3位 BG Delirium
4位 Bant Company
5位 Bant Company
6位 RG Ramp
7位 RG Delirium
8位 Temur Emerge


トップ8のデッキリストは【こちら】


 直前に開催された【SCGO Columbus】【SCGO Baltimore】の結果からBant Companyオンリーのメタになることが懸念されていましたが、蓋を開けてみれば《約束された終末、エムラクール》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を活用したデッキが上位で多く見られ、Bant Companyも今大会最大勢力で2名のプレイオフ進出者を輩出する安定感を見せたものの、決勝戦まで勝ち残ったのはTemur EmergeとBW Controlでした。

 「昂揚」を活用したBG DeliriumはBant Companyに次いで最もポピュラーなアーキタイプで、SultaiカラーやJundカラーなど様々なバージョンが見られましたが、チーム「Face to Face Games」の作成した緑黒バージョンが3位入賞を収めています。

 Bant Companyについては【前回の連載】でも解説しているので、今回の連載ではTemur EmergeやBG Deliriumなど、新たに登場したデッキの解説をしていきたいと思います。



プロツアー『異界月』 デッキ紹介

「BW Control」「Temur Emerge」「BG Delirium」「RG Ramp」「RG Delirium」



Lukas Blohon「BW Control」
プロツアー『異界月』(優勝)

9 《沼》
4 《平地》
4 《コイロスの洞窟》
4 《放棄された聖域》
4 《乱脈な気孔》
1 《荒廃した湿原》

-土地 (26)-

3 《ゲトの裏切り者、カリタス》
3 《大天使アヴァシン》
1 《保護者、リンヴァーラ》

-クリーチャー (7)-
4 《闇の掌握》
2 《神聖なる月光》
2 《究極の価格》
3 《骨読み》
2 《苦渋の破棄》
2 《破滅の道》
4 《衰滅》
2 《精神背信》
3 《最後の望み、リリアナ》
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》
1 《死の宿敵、ソリン》

-呪文 (27)-
4 《強迫》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《無限の抹消》
2 《死の重み》
1 《究極の価格》
1 《苦渋の破棄》
1 《精神背信》

-サイドボード (15)-
hareruya



 チェコ共和国の強豪でチーム「Cabin Crew」の一員であるLukas Blohonは、今大会のプレイオフで唯一緑を使用していないBW Controlを使用し見事に優勝を果たしました。

 デッキ自体は前環境から存在しておりGPでも結果を残すほどの強さでしたが、GW TokensやBant Company、Humansなどと比べて安定性にやや難が見られました。異界月から加入した《最後の望み、リリアナ》という新戦力を獲得し強化されたアーキタイプのひとつです。


☆ 注目ポイント

 このデッキではほぼ必ずといっていいほどメインから見られた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》4枚全てサイドに落とされているのが特徴です。環境を定義するほどの強力なカードであることは間違いありませんが、Bant Companyとのマッチアップでは《呪文捕らえ》でカウンターされやすく、飛行クリーチャーや瞬速クリーチャー相手には分が悪く、現在のメタではあまりいい立ち位置にあるとはいえないプレインズウォーカーです。

 代わりに《ゲトの裏切り者、カリタス》《大天使アヴァシン》といったクリーチャーが採用されています。《大天使アヴァシン》《呪文捕らえ》にも引っかからず瞬速で戦場に表れて飛行クリーチャーをブロックします。クリーチャーを採用することにより《最後の望み、リリアナ》の「-2」能力の恩恵も受けられます。

 《最後の望み、リリアナ》はこのデッキにとって一番の収穫です。「+1」能力は小型のクリーチャーを多数採用しているBant Companyなどに強く、UW SpiritやHumansといったデッキが上位で見られなかったのも頷けます。

 《無限の抹消》は今大会で大活躍していた《約束された終末、エムラクール》《老いたる深海鬼》対策になり、今後も必須となりそうなカードです。

 《神聖なる月光》がメインから見られることからも、Bant Companyを相当意識していたのは明らかです。


最後の望み、リリアナゲトの裏切り者、カリタス無限の抹消




Owen Turtenwald「Temur Emerge」
プロツアー『異界月』(準優勝)

7 《森》
3 《島》
1 《山》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《獲物道》
3 《シヴの浅瀬》

-土地 (21)-

4 《節くれ木のドライアド》
3 《巡礼者の目》
2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《不憫なグリフ》
3 《老いたる深海鬼》
3 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (16)-
4 《群れの結集》
4 《過去との取り組み》
4 《コジレックの帰還》
4 《ニッサの巡礼》
4 《発生の器》
2 《崩れた墓石》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (23)-
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《失われた業の巫師》
2 《払拭》
2 《焦熱の衝動》
2 《侵襲手術》
1 《棲み家の防御者》
1 《翼切り》
1 《否認》
1 《久遠の闇からの誘引》
1 《即時却下》

-サイドボード (15)-
hareruya



 チーム「ChannelFireball: The Pantheon」の一員であるOwen Turtenwald。惜しくも初プロツアータイトルは成りませんでしたが、プロツアー殿堂選出+プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトル獲得という偉業を達成しました。

 彼が今大会に持ち込んだデッキは「昂揚」と「現出」の2種類のメカニックを活用したデッキで、今大会でその強さを存分に見せつけた《約束された終末、エムラクール》《老いたる深海鬼》によって完成したアーキタイプです。


☆ 注目ポイント

 《過去との取り組み》はインスタントで墓地を肥やしつつ必要な土地を引き当てます。《発生の器》は必要なパーマネントを探しつつエンチャントカードが墓地に落ちるので「昂揚」の条件を満たすのに貢献します。《コジレックの帰還》を墓地に落としておけば《約束された終末、エムラクール》や大型のエルドラージクリーチャーをキャストした際に、相手の戦場を更地にしつつフィニッシャーを戦場に出す動きを可能にします。

 《老いたる深海鬼》は役目を終えた《巡礼者の目》を「現出」することで4ターン目にキャスト可能です。対戦相手のアップキープにキャストし、《発生の器》などで墓地に落ちた《コジレックの帰還》で相手の戦場をスイープしつつ土地をタップアウトさせることができればゲームを大きく有利に進められます。

 《老いたる深海鬼》ほどのパワーは持ち合わせていないものの、《不憫なグリフ》はコストが1マナ軽く飛行持ち、かつキャストした時点でドローできるので「現出」分のカードを埋め合わせます。《コジレックの帰還》の誘発能力を早い段階で誘発させる手段となります。


不憫なグリフコジレックの帰還


 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は「昂揚」を達成していれば到達を持つトークンを4体引き連れてくる面展開に優れたクリーチャーです。全体的に《反射魔道士》の影響を受けづらい構成となっており、フィニッシャーもすべて5マナ以上のスペルであるため《呪文捕らえ》にも耐性があり、Bant Companyに対して有利なデッキといえます。


過去との取り組み老いたる深海鬼約束された終末、エムラクール




Samuel Pardee「BG Delirium」
プロツアー『異界月』(3位)

7 《沼》
5 《森》
4 《進化する未開地》
4 《風切る泥沼》
4 《ラノワールの荒原》

-土地 (24)-

4 《残忍な剥ぎ取り》
2 《森の代言者》
1 《棲み家の防御者》
3 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (15)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
4 《闇の掌握》
2 《究極の価格》
3 《破滅の道》
1 《殺害》
3 《衰滅》
4 《最後の望み、リリアナ》

-呪文 (21)-
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《強迫》
2 《精神背信》
2 《闇の誓願》
1 《議事会の自然主義者》
1 《光り葉の選別者》
1 《無限の抹消》
1 《衰滅》
1 《過ぎ去った季節》
1 《死の重み》
1 《悪性の疫病》

-サイドボード (15)-
hareruya



 「昂揚」を活用した緑黒デッキはBant Companyに次いで今大会で最もポピュラーなアーキタイプで、カバレージによれば二日目進出率86.5%という驚異的なパフォーマンスを記録しています。チーム「Face to Face Games」が持ち込んだリストは 《残忍な剥ぎ取り》を採用したアグロコントロール寄りのバージョンで、チームの一員であるSamuel Pardeeはトップ4入賞という好成績を残しています。


☆ 注目ポイント

 今大会で大きく株を上げたクリーチャーの一体である《残忍な剥ぎ取り》は、序盤こそ2マナ2/2トランプルと最近のクリーチャーにしては派手さに欠けますが、一度攻撃を通すことに成功すればスペルの種類が多いこのデッキでは高確率で4/4トランプルとなります。2マナ4/4トランプルでダメージを通した際のライブラリー操作は《約束された終末、エムラクール》などのフィニッシャーを引き当てやすくします。《約束された終末、エムラクール》が1枚のみの採用となっている理由のひとつです。

 サーチ手段に関してはメインの《ウルヴェンワルド横断》、サイドの《闇の誓願》と豊富に用意されています。サーチスペルはサイドに1枚挿ししてある《議事会の自然主義者》《光り葉の選別者》といったクリーチャーを状況に応じて手札に運ぶシルバーバレット戦略も可能にしています。


議事会の自然主義者光り葉の選別者


 トップメタであるBant Companyとのマッチアップの備えもしっかりしており、《闇の掌握》《究極の価格》《殺害》《破滅の道》《衰滅》といった豊富な除去に加えて、小型クリーチャーを無力化する《最後の望み、リリアナ》が時間を稼ぎます。

 サイド後は《闇の誓願》《過ぎ去った季節》が投入され、アグロコントロールから本格的なコントロールにシフトします。《闇の誓願》は1枚挿しの《過ぎ去った季節》との組み合わせが強力で、他のコントロールデッキとのマッチアップで活躍します。


残忍な剥ぎ取りウルヴェンワルド横断過ぎ去った季節




Ken Yukuhiro「RG Ramp」
プロツアー『異界月』(6位)

7 《森》
5 《山》
2 《燃えがらの林間地》
4 《進化する未開地》
4 《獲物道》
2 《見捨てられた神々の神殿》

-土地 (24)-

4 《搭載歩行機械》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《世界を壊すもの》
3 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (11)-
4 《焦熱の衝動》
4 《ウルヴェンワルド横断》
4 《苦しめる声》
4 《集団的抵抗》
4 《ニッサの巡礼》
3 《コジレックの帰還》
2 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (25)-
3 《不屈の追跡者》
3 《稲妻織り》
3 《ゴブリンの闇住まい》
2 《龍王アタルカ》
2 《龍詞の咆哮》
1 《世界を壊すもの》
1 《面晶体の記録庫》

-サイドボード (15)-
hareruya



 今大会で厳しいラウンドを勝ち抜き、見事にゴールドレベル獲得を果たした行弘 賢選手。【プロツアー『アヴァシンの帰還』】でもトップ4入賞を収めている強豪プレイヤーである行弘選手も「昂揚」を活用したRGを使用していました。《集団的抵抗》《苦しめる声》といったルーター系ドロースペルで墓地を肥やしていきます。


☆ 注目ポイント

 《集団的抵抗》は「昂揚」の条件を満たすために墓地を肥やす以外にも、除去としても直接火力としても使える点が強みです。プレインズウォーカー対策にもなり、マナ加速を利用すれば「増呪」コストを支払うのも容易です。

 メインから除去を多めに積んでいるため、他のRampと比べるとアグロデッキに対して耐性があり、コントロールデッキなど除去が無駄になりやすいマッチアップでもルーター系スペルでハンドを整えることができるので、それほど問題になることはなさそうです。

 スイーパー兼フィニッシャーの《炎呼び、チャンドラ》も「±0」能力により「昂揚」の条件を満たすことに貢献します。「昂揚」達成後は《約束された終末、エムラクール》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》がゲームを決めます。

 サイドの《ゴブリンの闇住まい》はブロックされづらく《呪文捕らえ》に引っかからないクリーチャーで、《ウルヴェンワルド横断》などを再利用することでアドバンテージを稼ぎ出します。


苦しめる声集団的抵抗炎呼び、チャンドラ




Reid Duke「RG Delirium」
プロツアー『異界月』(7位)

10 《森》
2 《山》
1 《燃えがらの林間地》
1 《進化する未開地》
4 《獲物道》
2 《溺墓の寺院》
2 《見捨てられた神々の神殿》

-土地 (22)-

2 《面晶体の這行器》
1 《森の代言者》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《ウルヴェンワルドのハイドラ》
2 《龍王アタルカ》
2 《世界を壊すもの》
2 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (13)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
2 《焦熱の衝動》
4 《過去との取り組み》
2 《群れの結集》
4 《ニッサの巡礼》
3 《コジレックの帰還》
4 《発生の器》
2 《面晶体の記録庫》

-呪文 (25)-
3 《引き裂く流弾》
2 《節くれ木のドライアド》
2 《不屈の追跡者》
2 《ムラーサの緑守り》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《失われた業の巫師》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《焦熱の衝動》
1 《焙り焼き》
1 《コジレックの帰還》

-サイドボード (15)-
hareruya



 チーム「ChannelFireball: The Pantheon」に所属するアメリカのプロプレイヤー・Reid Dukeは「昂揚」を活用したRampデッキを持ち込み、見事にプレイオフ進出を果たしました。マナ加速の《面晶体の記録庫》《ニッサの巡礼》、墓地を肥やしつつキーカードを探す《過去との取り組み》《発生の器》といったカードが見られ、「昂揚」+Rampのハイブリットといったところです。


☆ 注目ポイント

 今や環境の様々なデッキで見られるようになった《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は、序盤をマナ加速や墓地肥やしに費やすことになるこのデッキにとって中盤以降の守りの要となり、《約束された終末、エムラクール》に辿り着くまでの時間を稼ぎます。

 《コジレックの帰還》はBant CompanyやGW Tokens、Humansなどとのマッチアップで必須となるスイーパーで、《過去との取り組み》などの効果で墓地に落ちていることも多く、相手の戦場をスイープした後に戦場に残るフィニッシャーがゲームを終わらせます。

 クリーチャーを散らしてあるのは《無限の抹消》対策で、例え《約束された終末、エムラクール》を追放されたとしても勝ち手段を多く残せるようになっています。

 《溺墓の寺院》《過去との取り組み》《発生の器》などで墓地に落ちた場合に能力を起動することで、地味ながらマナ加速になります。


墓後家蜘蛛、イシュカナコジレックの帰還溺墓の寺院




総括

 プロツアーの結果は《最後の望み、リリアナ》《約束された終末、エムラクール》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》《老いたる深海鬼》といった新カード、「昂揚」と「現出」を活用したデッキが活躍するなど、メタが大きく動きました。

 「昂揚」や「現出」デッキの影響で、Bant Companyはプロツアー前と比べると支配力は低下したものの衰退とはほど遠く、環境に留まり続けそうです。

 プロツアーも終了し、おもしろくなってきたスタンダード。まだまだ研究の余地がありそうな環境なので次の大会が楽しみです。

 以上USA Standard Express vol.78でした。

 それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!



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