週刊デッキウォッチング vol.126 -馬の行進-

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: ローグ


Tsuchido Kouji「ローグ」
FNM20時の部(3-0)

7 《島》
4 《平地》
4 《大草原の川》
4 《灌漑農地》
4 《港町》
1 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (24)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《聖なる猫》
4 《選定の司祭》
4 《機知の勇者》
4 《陽光鞭の勇者》
2 《多面相の侍臣》
3 《冠毛の陽馬》

-クリーチャー (25)-
4 《巧みな軍略》
3 《永遠の刻》
4 《選定された行進》

-呪文 (11)-
4 《否認》
4 《俗物の放棄》
2 《賞罰の天使》
2 《燻蒸》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《厳粛》

-サイドボード (15)-
hareruya

選定された行進永遠の刻冠毛の陽馬

 『破滅の刻』では《削剥》の登場により、タフネス3以下のクリーチャーとアーティファクトの価値が低下する結果となった。となればエンチャントを主軸に据えたデッキは、今こそ狙い目と言えるかもしれない。

 トークンの生成量を倍にする《選定された行進》《秘密の備蓄品》との組み合わせも確かに強力だが、新たなキーワード「永遠」とも相性が良い。《機知の勇者》《王神の贈り物》デッキなどでも使われており、「永遠」すれば4ドロー2ディスカードでアドバンテージがとれるので、そこに《選定された行進》があれば一気にリカバリーが可能だ。

 さらに究極の「永遠」カードとも言える《永遠の刻》は「永遠」を持たないクリーチャーすらトークンにしてしまえるので、《選定された行進》がある状況で《冠毛の陽馬》《陽光鞭の勇者》《永遠の刻》すると、馬祭りが開催となる。

 プロツアーを目前に控えて赤単が大暴れしていると噂のスタンダードでは、ライフをコントロールできるデッキが文字通りの対抗馬となる可能性がある。つまりプロツアーは1枠1番《冠毛の陽馬》を軸に、3連単を流しで買って決まり (?) だ!

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■ モダン: ローグ


Tenshi「ローグ」
Modern Challenge(8位)

11 《沼》
2 《血の墓所》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《黒割れの崖》

-土地 (21)-

4 《墓所破り》
4 《無情な狙撃手》
4 《大物狙い》
4 《ゴブリンの太守スクイー》
4 《墓を掻き回すもの》
3 《ヴォルダーレンの下層民》

-クリーチャー (23)-
1 《暗黒破》
1 《致命的な一押し》
2 《未練ある魂》
1 《悪戦+苦闘》
4 《血統の呼び出し》
4 《ゾンビの横行》
3 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (16)-
4 《思考囲い》
2 《暗黒破》
2 《集団的蛮行》
2 《血染めの月》
2 《墓掘りの檻》
2 《虚無の呪文爆弾》
1 《未練ある魂》

-サイドボード (15)-
hareruya

血統の呼び出しゴブリンの太守スクイーヴォルダーレンの下層民

 墓地から毎ターン回収できる《ゴブリンの太守スクイー》の能力はモダン環境でも唯一無二であり、エクステンデッドでも活躍した《ゾンビの横行》とのシナジーはやはり驚異的と言える。そして《ゾンビの横行》のように能動的に手札を捨てるアクションと相性が良いカードといえば、もちろん「マッドネス」だ。

 《大物狙い》《死の影》だろうと《タルモゴイフ》だろうとパワーが4以上ならETBで屠れる強力なスペックを有しており、しかも「マッドネス」コストが軽いのも魅力だ。「マッドネス」した《墓を掻き回すもの》で墓地から回収することで使いまわせるほか、《ヴォルダーレンの下層民》の「変身」の種にもちょうど良い。

 《血統の呼び出し》《ゾンビの横行》の追加的なスロットだが、《ゴブリンの太守スクイー》1枚だけで安定稼働させられるし、絆魂が《墓所破り》のライフロスを補填する。サイドボードの《血染めの月》も予想外の角度から突き刺さりそうだ。

 モダンで墓地を使うデッキといえば「発掘」が挙げられるが、サイドからの墓地対策で機能不全になってしまうのが難点だった。その点、トークンや《ヴォルダーレンの下層民》などで盤面の掌握を図るこの「ゾンビ・マッドネス」なら、サイドボード後も墓地対策をあまり気にすることなく戦うことができそうだ。

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■ レガシー: 白青コントロール


Ozaki Keita「白青コントロール」
晴れる屋レガシー杯(6-0)

4 《島》
1 《平地》
4 《Tundra》
4 《溢れかえる岸辺》
3 《霧深い雨林》
3 《古えの墳墓》

-土地 (19)-

2 《瞬唱の魔道士》
4 《僧院の導師》

-クリーチャー (6)-
4 《祖先の幻視》
2 《均衡の復元》
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《定業》
4 《剣を鍬に》
1 《対抗呪文》
1 《議会の採決》
4 《意志の力》
4 《予言により》
3 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (35)-
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《外科的摘出》
2 《狼狽の嵐》
2 《解呪》
1 《エーテル宣誓会の法学者》
1 《翻弄する魔道士》
1 《オケチラ最後の慈悲》
1 《至高の評決》
1 《安らかなる眠り》
1 《基本に帰れ》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード (15)-
hareruya

予言により僧院の導師祖先の幻視

 レガシーで《予言により》を使ったデッキはvol.123でも紹介したが、その構成はどちらかといえば《血染めの月》《罠の橋》を使ったプリズンに近かった。それに対して今回紹介するのは、ヴィンテージの「メンター」を彷彿とさせるコンセプトの白青コントロールだ。

 《予言により》を設置した状態では、《祖先の幻視》《均衡の復元》といった「待機」スペルを手札から直接唱えることができる。それに加え、《渦まく知識》《思案》《定業》といった強力な1マナドロー呪文をフル搭載したこの構成ならば、ドロー呪文がドロー呪文を呼び、途切れることなくスペルをチェインさせることが可能となる。

 先に《意志の力》を構えたまま《僧院の導師》を設置しておけば、トークン生成と果敢が無数に誘発して、対戦相手のライフは一瞬で消し飛んでしまうだろう。

 サイドボードには《オケチラ最後の慈悲》も採用されており、土地が起きないデメリットを《予言により》でカバーするアイデアも素晴らしい。レガシーの白青コントロールといえば奇跡型がつい先週末の日本レガシー選手権で優勝したばかりだが、こちらの《予言により》型も検討してみる価値がありそうだ。

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 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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