週刊デッキウォッチング vol.130 -厳粛無限不死-

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: ローグ


Miyata Kentarou「ローグ」
平日スタンダード17時の部(3-0)

5 《島》
5 《平地》
4 《灌漑農地》
4 《まばらな木立ち》
4 《植物の聖域》
1 《要塞化した村》
4 《霊気拠点》

-土地 (27)-


-クリーチャー (0)-
4 《検閲》
1 《予期》
1 《神聖な協力》
4 《至高の意志》
4 《燻蒸》
2 《農場+市場》
3 《副陽の接近》
4 《霊気溶融》
2 《奇妙な森》
4 《ルクサの恵み》
4 《排斥》

-呪文 (33)-
4 《威厳あるカラカル》
2 《否認》
2 《即時却下》
2 《領事の権限》
1 《優雅な鷺、シガルダ》
1 《終止符のスフィンクス》
1 《石の宣告》
1 《慮外な押収》
1 《サンドワームの収斂》

-サイドボード (15)-
hareruya

ルクサの恵み副陽の接近燻蒸

 最近トップメタの一角であるゾンビに対して非常に強いデッキとして、ノンクリーチャーの青白《副陽の接近》コントロールがにわかに注目を集めており、先日のRPTQでも活躍を見せていたが、やはり《副陽の接近》の7マナという重さは気にかかるところではある。そこにきてこのデッキは、緑のマナブーストと組み合わせるという画期的なアイデアを示してくれた。

 《ルクサの恵み》は2ターンに1回ドローできるので、単純なマナブーストにとどまらずアドバンテージ源としても機能するため、ターンを引き延ばす戦略をとるコントロールとも相性が良い。《農場+市場》は除去と手札の整理を兼ねており、ダブついたスペルや引きすぎた土地を変換するのに最適だ。

 サイドボードからは《失われた遺産》による敗北を防ぐため、《優雅な鷺、シガルダ》にとどまらず何と《サンドワームの収斂》を投入する。

 いよいよ混迷の度合いを増してきたスタンダード。今週末、8月27日(日)に開催となる第9期スタンダード神挑戦者決定戦ではどのようなデッキが勝利するのか、デッキビルダーたちのアイデアに注目だ。

「ローグ」でデッキを検索

■ モダン: ローグ


Nakano Yoshihito「ローグ」
平日モダン17時の部(3-0)

12 《沼》
2 《血の墓所》
1 《聖なる鋳造所》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》

-土地 (23)-

2 《臓物の予見者》
4 《才気ある霊基体》
3 《マラキールの門番》
1 《恐血鬼》
4 《ゲラルフの伝書使》
3 《ファイレクシアの抹消者》
2 《残忍なレッドキャップ》
2 《復讐の亜神》
3 《大いなるガルガドン》

-クリーチャー (24)-
3 《致命的な一押し》
4 《夜の犠牲》
4 《厳粛》
1 《ファイレクシアの非生》

-呪文 (12)-
3 《恐血鬼》
3 《血染めの月》
2 《吸血鬼の夜鷲》
1 《復讐の亜神》
1 《思考囲い》
1 《ラクドスの魔除け》
1 《失われた遺産》
1 《もぎとり》
1 《鞭打ち悶え》
1 《ヴェールのリリアナ》

-サイドボード (15)-
hareruya

厳粛大いなるガルガドンゲラルフの伝書使

 昨日ヴィンテージでの活躍をお伝えしたばかりの《厳粛》だが、なんとモダンでも新たなデッキの礎となっていた。

 「不死」は+1/+1カウンターが乗っていると誘発しなくなるため、-1/-1カウンターを軸とする「頑強」とは違って《療治の侍臣》《シルヴォクののけ者、メリーラ》で無限「不死」というわけにはいかなかった。だがカウンターそのものがクリーチャーの上に乗らなくなる《厳粛》ならば、《ゲラルフの伝書使》はまさしく不死の兵隊となる。あとは《大いなるガルガドン》《臓物の予見者》といったサクり台があれば、3枚コンボで相手のライフをゼロにできるという寸法だ。

 《ファイレクシアの非生》も搭載されており、《厳粛》とセットで設置すればダメージで負けることはなくなる。《厳粛》単品でもナチュラルに《献身のドルイド》コンボへの対策になるので、カウンターカンパニー系のデッキが存在するモダンではメタカードとしても機能しそうだ。

 デッキもコンボ一辺倒というわけではなく、《ファイレクシアの抹消者》など黒単色の太いクリーチャーたちによるビートダウンもできる。サイドボードからの《血染めの月》や、除去を多用するデッキに対する《恐血鬼》《復讐の亜神》も奇襲性が高く、引き出しに満ちた非常に面白そうなデッキだ。

「ローグ」でデッキを検索

■ レガシー: 複合コンボ


Yoshida Yuuta「複合コンボ」
The Last Sun 2017予選 – コミかる桐生店(1位)

1 《森》
2 《Savannah》
2 《Taiga》
1 《Tropical Island》
1 《ドライアドの東屋》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《樹木茂る山麓》
1 《カラカス》
1 《ガイアの揺籃の地》
2 《演劇の舞台》
2 《不毛の大地》
1 《古えの墳墓》
2 《暗黒の深部》
1 《イス卿の迷路》

-土地 (24)-

4 《極楽鳥》
4 《貴族の教主》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
2 《聖遺の騎士》
1 《龍王アタルカ》
1 《女王スズメバチ》
1 《大祖始》
2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (16)-
4 《輪作》
2 《緑の太陽の頂点》
1 《壌土からの生命》
4 《実物提示教育》
4 《自然の秩序》
3 《厳粛》
1 《騙し討ち》
1 《モックス・ダイアモンド》

-呪文 (20)-
4 《剣を鍬に》
3 《稲妻》
2 《クローサの掌握》
2 《血染めの月》
2 《騙し討ち》
2 《真髄の針》

-サイドボード (15)-
hareruya

実物提示教育自然の秩序厳粛

 レガシーには《実物提示教育》《自然の秩序》《暗黒の深部》コンボなど、巨大なクリーチャーを早いターンに降臨させる手段が山ほど存在しているが、まさかそれらを全部入れようなどとはいったい誰が考え付くだろうか?

 ありとあらゆる角度でコンボを決められるこのデッキは、1発目のコンボが凌がれたなら2発目を、2発目が凌がれたなら3発目をという風に、次から次へと必殺の2枚コンボを繰り出していく構造となっている。

 それぞれのコンボは《意志の力》があればどうにかなるとはいえ、マナクリーチャーを経て2ターン目から毎ターン必殺技を放たれては防ぎきれるはずもない。

 一見コンセプト同士の雑なハイブリッドに見えて、サイド後は《狼狽の嵐》を潜り抜ける《血染めの月》からの《騙し討ち》で決めるという高い戦略性も有している。コンボが好きという方は、一度試してみると良いだろう。

「複合コンボ」でデッキを検索

 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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