皆さんこんにちは。
先週末にはホノルルで【プロツアー『カラデシュ』】が開催されました。日本勢からはHareruya Prosの一員で殿堂顕彰者である八十岡 翔太選手が優勝を果たしました。
【プロツアー・チャールストン06】でのチーム戦優勝経験はあったものの、個人戦は【プロツアー『タルキール龍紀伝』】で準優勝、【プロツアー『イニストラードを覆う影』】ではトップ4と、あと一歩のところで優勝を逃しており、今大会が念願のプロツアー個人戦初タイトル獲得です。
今年度のプロツアー殿堂には、日本勢からは【Team Cygames】所属の渡辺 雄也選手が選出されました。2006-2007シーズンでルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得して以来、現役で活躍し続けているトップレベルの強豪プレイヤーであり、今後の動向からも目が離せません。
さて、今回の連載ではプロツアー『カラデシュ』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
プロツアー『カラデシュ』
~八十岡選手が自作のGrixis Controlでプロツアーを制する~
2016年10月14-16日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 Grixis Control
2位 Jeskai Control
3位 WR Tokens
4位 WR Vehicles
5位 UR Dynavolt
6位 Temur Aetherworks
7位 Mardu Vehicles
8位 UW Flash
トップ8のデッキリストは【こちら】
プロツアー『カラデシュ』はコントロールにとっては厳しいメタとされていましたが、決勝戦は青いコントロールのマッチアップとなりました。これは今大会2週間前の【SCG Indianapolis】の結果とは大きく異なるものとなります。しかし、プレイオフ入賞デッキの半数がコントロールとなる一方で、Vehicles系のアグロもしっかりと入賞を収めているあたり、デッキとしての完成度の高さがうかがえます。
プロツアー『カラデシュ』 デッキ紹介
「Grixis Control」「Jeskai Control」「WR Tokens」「WR Vehicles」「Temur Aetherworks」「Mardu Vehicles」「UW Flash」
5 《島》 2 《山》 2 《沼》 4 《窪み渓谷》 3 《燻る湿地》 4 《進化する未開地》 4 《尖塔断の運河》 2 《さまよう噴気孔》 -土地 (26)- 4 《氷の中の存在》 2 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー (6)- |
4 《流電砲撃》 1 《儀礼的拒否》 3 《予期》 3 《蓄霊稲妻》 2 《否認》 1 《精神背信》 3 《苦い真理》 3 《虚空の粉砕》 2 《光輝の炎》 2 《無許可の分解》 1 《本質の摘出》 2 《天才の片鱗》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -呪文 (28)- |
3 《稲妻織り》 2 《儀礼的拒否》 2 《餌食》 2 《即時却下》 2 《慮外な押収》 1 《否認》 1 《精神背信》 1 《光輝の炎》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -サイドボード (15)- |
コントロールマスターの八十岡選手は、今大会でも自作のGrixis Controlを持ち込み、見事に優勝を果たしました。WR Vehiclesを始めとして、現環境のスタンダードは《密輸人の回転翼機》を活用したアグロデッキの多さからコントロールにとっては厳しい環境だと予想されていましたが、軽いインスタント除去やスイーパーに加え、打ち消しやハンデスも多数搭載したGrixisは《密輸人の回転翼機》デッキや今大会で人気のあった《霊気池の驚異》に強いデッキです。
☆注目ポイント
現環境の多色コントロールを組む際に一番難しいとされたマナ基盤の調整については、Grixisというカラーリングの都合上バトルランドのアンタップインを安定させる目的から9枚の基本地形を採用しています。バトルランドとの相性の関係で、青赤のミシュラランド《さまよう噴気孔》も2枚のみの採用となっています。
メインに採用されているクリーチャーは《奔流の機械巨人》と《氷の中の存在》のわずか2種類で、残りはコントロールらしくドロー、除去、妨害スペルで構成されています。
《奔流の機械巨人》は今大会で大きく株を上げたクリーチャーです。その高いポテンシャルとは裏腹にあまり評価されていなかった理由としては、現環境で使えるインスタントがあまり多くないと考えられていたことが挙げられます。しかし、《天才の片鱗》を再利用することでアドバンテージを得たり、アグロ相手には《蓄霊稲妻》などのインスタント除去を再利用しつつ、瞬速のブロッカー兼フィニッシャーとしてを隙を作ることなく展開できる動きは、想像以上に強力でした。
《氷の中の存在》もあまり見かけないクリーチャーでしたが、軽いスペルを多用するこのデッキで「変身」させることは容易です。序盤は0/4のブロッカーとして時間を稼ぎ、「変身」すれば相手のクリーチャーをすべてバウンスすることでテンポアドバンテージを稼ぎつつ7/8クラーケン・ホラーがゲームを速やかに終わらせます。
《霊気池の驚異》や《密輸人の回転翼機》といった無色のスペルが多用される環境であるため、《儀礼的拒否》はメインでも腐ることが少なくコントロールとのマッチアップでも《虚空の粉砕》をカウンターします。《否認》も各種機体や《霊気池の驚異》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》など、アグロデッキ相手でも対象に困ることが少なく現環境では使いやすいカウンターです。
除去はWR Vehiclesのクロックに対抗するために、全体的に軽いスペルでまとめられています。《無許可の分解》は環境に数少ないインスタントの確定除去で、機体に対する回答となります。《蓄霊稲妻》も軽く使いやすいインスタント除去で、エネルギーカウンターを提供するドロースペルの《天才の片鱗》の恩恵によって中盤以降も事実上の確定除去として扱えます。
スイーパーの《光輝の炎》はソーサリーであるため機体を対処しづらいのが難点ですが、序盤を凌ぐことでこのデッキが得意とする中盤以降のゲームに持ち込むことに貢献します。
コントロールとのマッチアップも《秘密の解明者、ジェイス》や《苦い真理》といったカードアドバンテージ獲得手段を始め、ハンデスやカウンターも多数採用されていることから充分に対応できます。アグロに対してもサイドから《密輸人の回転翼機》をブロックしつつ小型クリーチャーを除去する《稲妻織り》が投入されます。
強いデッキであることは疑いがありませんが、八十岡選手のプレイヤーとしての実力の高さによるところも大きく、非常に難易度の高いデッキなので今後流行るかは未知数です。
6 《平地》 4 《島》 4 《霊気拠点》 4 《港町》 4 《さまよう噴気孔》 3 《感動的な眺望所》 1 《尖塔断の運河》 -土地 (26)- 2 《大天使アヴァシン》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー (5)- |
4 《蓄霊稲妻》 3 《予期》 3 《鑽火の輝き》 1 《神聖な協力》 3 《光輝の炎》 3 《虚空の粉砕》 4 《天才の片鱗》 2 《即時却下》 2 《燻蒸》 1 《隔離の場》 1 《停滞の罠》 2 《ドビン・バーン》 -呪文 (29)- |
3 《呪文捕らえ》 3 《儀礼的拒否》 3 《否認》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《神聖な協力》 1 《燻蒸》 -サイドボード (15)- |
2002年度世界チャンピオンであるブラジルの古豪プレイヤー・Carlos Romaoは今年に入ってから【グランプリ・サンパウロ2016】と【グランプリ・アトランタ2016】のふたつのグランプリで優勝を収めており、今大会でも準優勝と好調なスタートを切っています。今大会で彼が使用したデッキはJeskaiカラーのコントロールデッキで、軽い除去、カウンター、スイーパーの組み合わせによってWR Vehiclesや今大会で注目を集めていた《霊気池の驚異》デッキに強いデッキです。
☆注目ポイント
Grixis Controlでもご説明したように《奔流の機械巨人》は青いコントロールのフィニッシャーとして最適のクリーチャーです。Jeskaiは強力な瞬速クリーチャーである《大天使アヴァシン》にもアクセスできるのが強みで、4/4飛行というサイズは《密輸人の回転翼機》を止めることも容易です。
アグロデッキを強く意識していたことはスイーパーの《光輝の炎》がメインから3枚採用されていることからも明確で、準決勝戦で当たったWR Tokensとの対戦でも大活躍でした。
《神聖な協力》はマナさえあればライフゲインしつつ相手の攻撃クリーチャーを除去することが可能で、機体に対して有力なアンサーとなります。《奔流の機械巨人》との組み合わせは特に強力です。
《霊気池の驚異》デッキが流行ることをしっかりと想定していたようで、《約束された終末、エムラクール》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といったエルドラージ呪文への対策になり、確定カウンターとしても機能する《即時却下》がメインから採用されています。
カラデシュからの新カードである《ドビン・バーン》は、「+1」能力によって対象のクリーチャーのパワーを下げることで自身を守り、相手もクリーチャーを展開せざる得なくなったところに《光輝の炎》が刺さります。「+1」能力はスイーパー対策の《無私の霊魂》の起動型能力も封じます。
サイド後は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《呪文捕らえ》が投入されてミッドレンジ寄りにシフトします。《呪文捕らえ》は軽く赤い除去スペルが多用される現環境ではあまり強くない印象がありますが、今大会で流行ったコンボデッキのキーカードである《霊気池の驚異》対策になります。
軽い除去とスイーパー、Emergeやエルドラージ対策としての《即時却下》も含まれているので今大会でも最高のデッキのひとつだったと言えます。決勝戦ではコントロールマスターの八十岡選手が操る相性の悪いGrixis Controlとのマッチアップで惜しくも準優勝となりましたが、比較的使いやすいデッキなので人気の出そうなアーキタイプです。
7 《森》 3 《島》 1 《山》 4 《霊気拠点》 4 《植物の聖域》 3 《尖塔断の運河》 -土地 (22)- 4 《光り物集めの鶴》 4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 4 《約束された終末、エムラクール》 -クリーチャー (12)- |
4 《霊気との調和》 3 《有事対策》 3 《コジレックの帰還》 2 《発生の器》 2 《霊気溶融》 4 《ガラス吹き工の組細工》 4 《織木師の組細工》 4 《霊気池の驚異》 -呪文 (26)- |
4 《儀礼的拒否》 4 《払拭》 4 《天才の片鱗》 1 《否認》 1 《コジレックの帰還》 1 《霊気溶融》 -サイドボード (15)- |
《霊気池の驚異》を使ったコンボデッキは今大会前から有力な戦略として注目を集めていました。【Team ChannelFireball】所属プロ・Matthew Nassは洗練されたTemurカラーの《霊気池の驚異》デッキでプレイオフ進出を果たしました。このデッキに強いGrixis ControlやJeskai Controlの人気が出そうな現在では勝ち切るのは難しそうですが、対策の緩い戦略に対しては無類の強さを見せます。
☆注目ポイント
《霊気池の驚異》のエネルギーを6つ消費することで 《約束された終末、エムラクール》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といったエルドラージクリーチャーのコストを踏み倒してキャストすることがゴールとなります。《ガラス吹き工の組細工》や《織木師の組細工》、《霊気との調和》といったカードはエネルギー・カウンターを可能な限り早く溜めることを重視して採用されています。
《霊気溶融》はエネルギーを溜めつつ《密輸人の回転翼機》などの機体やクリーチャーを対策する効率的なカードです。
《霊気池の驚異》を引かないと回らないため、《有事対策》《光り物集めの鶴》《発生の器》といったカードで探し出します。《発生の器》と《有事対策》はキーカードを探しつつ 《コジレックの帰還》を墓地に送る手段にもなるので、エルドラージクリーチャーのキャストと同時に相手の戦場を更地にするセットアップをします。
コンボデッキの弱点としてカウンターなどの妨害に弱く、特にコントロールの《即時却下》は劇的に刺さるため、コンボを守る手段として《払拭》や《否認》がサイドに積まれています。コントロールに対しては手数を増やすことも重要となるため、ドローを進めつつエネルギーを溜める《天才の片鱗》もサイドに4積みされています。
7 《平地》 6 《山》 2 《霊気拠点》 4 《感動的な眺望所》 3 《鋭い突端》 -土地 (22)- 4 《発明者の見習い》 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《無謀な奇襲隊》 3 《ピア・ナラー》 -クリーチャー (19)- |
4 《多勢》 4 《石の宣告》 4 《霊気装置の展示》 1 《蓄霊稲妻》 4 《密輸人の回転翼機》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (19)- |
2 《ランタンの斥候》 2 《異端聖戦士、サリア》 2 《断片化》 2 《蓄霊稲妻》 2 《抗戦》 2 《停滞の罠》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《鋭い突端》 -サイドボード (15)- |
10 《平地》 6 《山》 4 《感動的な眺望所》 4 《鋭い突端》 -土地 (24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《経験豊富な操縦者》 3 《無私の霊魂》 3 《模範操縦士、デパラ》 2 《ピア・ナラー》 -クリーチャー (20)- |
4 《石の宣告》 3 《蓄霊稲妻》 4 《密輸人の回転翼機》 2 《高速警備車》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (16)- |
4 《流電砲撃》 3 《稲妻織り》 2 《断片化》 2 《空鯨捕りの一撃》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《蓄霊稲妻》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード (15)- |
3 《山》 3 《平地》 4 《霊気拠点》 4 《秘密の中庭》 4 《感動的な眺望所》 4 《尖塔断の運河》 -土地 (22)- 4 《発明者の見習い》 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 3 《模範操縦士、デパラ》 -クリーチャー (23)- |
4 《蓄霊稲妻》 2 《無許可の分解》 4 《密輸人の回転翼機》 3 《耕作者の荷馬車》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (15)- |
4 《儀礼的拒否》 4 《流電砲撃》 2 《断片化》 2 《空鯨捕りの一撃》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード (15)- |
直前に開催されたSCGO Indianapolisでも多数の入賞者を輩出した《密輸人の回転翼機》を活用したアグロデッキは、プロツアーでも3名のプレイヤーをプレイオフに送り込む強さを見せました。3名とも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がメインから採用されており、ロングゲームも意識していたことがうかがえます。
☆注目ポイント(Makis Matsoukas)
WR Vehiclesをより広範囲にしたバージョンで、《ピア・ナラー》《霊気装置の展示》といったトークン戦略にフォーカスしており、《無謀な奇襲隊》による一撃必殺もあることから単体除去に耐性があります。単純にクリーチャーの数が多いので《密輸人の回転翼機》を活用しやすくなっています。
しかし、クリーチャーを並べる戦略に特化しているため《光輝の炎》のようなスイーパーには弱くなっています。コントロールデッキがメインから《光輝の炎》を積んでいる現在のメタでは厳しくなりそうですが、《光輝の炎》で対処できない《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や機体を駆使したり、《無謀な奇襲隊》を「怒濤」でキャストして一気にライフを削っていきたいところです。
☆注目ポイント(Ben Hull)
基本的にはSCG Indianapolisを制したWR Vehiclesをベースにメイン、サイドともにメタに合わせた微調整が加えられています。《領事の旗艦、スカイソブリン》や《高速警備車》の枚数が削られた分は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がメインから採用されており、サイドの《反逆の先導者、チャンドラ》からもロングゲームを視野に入れていることが分かります。
☆注目ポイント(Lee Shi Tian)
今大会で通算5回目のプロツアーサンデー進出を果たした【Team MTG Mint Card】所属プロのLee Shi Tian。今大会で入賞を収めた機体アグロの中でも、多色のバージョンを使用しています。齋藤 友晴選手も同じコンセプトのデッキを使用しており、スタンダード部門で8-2という優秀な成績を残しているように、完成度の高いリストのようです。
BR Vehiclesの使い回しが可能なクリーチャーの《屑鉄場のたかり屋》と確定除去である《無許可の分解》に《模範操縦士、デパラ》や《経験豊富な操縦者》など、RW Vehiclesの白い優秀なクリーチャーを一つのデッキにハイブリットしたバージョンでこのタイプのデッキが苦手とする《霊気池の驚異》コンボデッキに対しても《儀礼的拒否》のために青をタッチすることで改善しています。
非常に欲張りなマナベースに見えますが、《霊気拠点》や《耕作者の荷馬車》が必要な色マナを確保します。
9 《平地》 6 《島》 4 《大草原の川》 4 《港町》 2 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《無私の霊魂》 3 《鎖鳴らし》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (23)- |
1 《石の宣告》 3 《停滞の罠》 4 《密輸人の回転翼機》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (12)- |
2 《儀礼的拒否》 2 《断片化》 2 《神聖な協力》 2 《否認》 2 《即時却下》 2 《秘密の解明者、ジェイス》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《石の宣告》 1 《燻蒸》 -サイドボード (15)- |
惜しくも優勝は逃しましたが4名のプレイヤーがスタンダード部門で9-1という好成績を収めていたこのUW Flashは、注目に値します。
今大会プレイオフ進出を果たしたJoey Mannerのリストはスピリットクリーチャーを多数採用したミッドレンジ寄りの構成で、《呪文捕らえ》や《停滞の罠》、サイド後は《否認》や《即時却下》といったカウンターで相手のアクションを捌き、それを恐れて相手が何もしてこなかった際も瞬速クリーチャーを展開することでターンを無駄にすることなく効率的な動きができるのが強みです。
☆注目ポイント
《鎖鳴らし》は2マナ瞬速、飛行2/1というスペックに加え、自軍のスピリットクリーチャーを対象とする単体除去に対してカウンターのように使用可能であり、《無私の霊魂》をインスタントタイミングで展開できるようになるという高性能なクリーチャーで、相手にとって脅威となります。
《呪文捕らえ》は除去の薄い《霊気池の驚異》デッキに対して特に有効です。《払拭》されないカウンターとしてコンボを妨害しつつ、2/3飛行を展開します。
除去耐性がないのが欠点ですが、そこを《無私の霊魂》と《大天使アヴァシン》でカバーしていきます。特に《衰滅》のようなマイナス修正のスイーパーの退場は、このタイプのデッキにとって追い風です。
また、スピリットクリーチャーだけでなく《スレイベンの検査官》や《反射魔道士》といった青白系アグロコントロールの定番であるクリーチャーも採用されているため《密輸人の回転翼機》を活用しやすい構成となっています。Joey MannerはFlashという戦略に拘らずにカードパワーを重視しており、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》もフル搭載されています。
惜しくもトップ8敗退となりましたが、今大会で優秀な成績を収めていた《奔流の機械巨人》コントロールとの相性も悪くなく、《霊気池の驚異》デッキに対して無類の強さであり、プロツアーのスタンダード部門でも最も優秀な成績を収めていたアーキタイプなので、お勧めのデッキです。
総括
コントロールにとっては厳しいと思われた新環境でしたが、プロツアー『カラデシュ』のプレイオフの半数が青いコントロールでした。
各種Vehiclesアグロに強いとされていた《霊気池の驚異》コンボデッキが二日目に多く勝ち残っていたこともあって、コントロールにとっては非常に勝ちやすいメタだったようです。
Bant Company一強だった旧環境と異なり、『カラデシュ』のスタンダードは各種機体アグロ、各種青コントロール、《霊気池の驚異》コンボ、プレイオフ進出は逃しましたがBG「昂揚」など、多数の異なるアーキタイプが存在します。【グランプリ・プロビデンス2016】や【BMO Vol.8】など、今後の大会でどのようにメタが移行していくのか楽しみです。
以上USA Standard Express vol.83でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
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