皆さんこんにちは。
もうご存知の方も多いと思いますが、スタンダードのローテーション制度が変わりました。
詳しい内容は【公式サイト】でも説明されていますが、年2回のローテーションが年1回に戻ります。
AbzanやBant Companyなどのように支配的なデッキの寿命が延びてしまう、という不安もありますが、個人的には年2回のローテーションは変化を楽しむことができた半面、目まぐるしく変化する環境に付いていくのが難しく、筆者の周りでも結果的にスタンダードフォーマットを敬遠するプレイヤーの増加を招いていたので、年1回のローテーションに戻すことには賛成です。
さて、今回の連載では【プロツアー『カラデシュ』】直後に開催された大規模なスタンダードのイベント、【GP Kuala Lumpur 2016】と【GP Providence 2016】、【BMO Vol.8】、【GP Santiago 2016】、【GP Warsaw 2016】の結果を見ていきたいと思います。
GP Kuala Lumpur
~UW Flash祭り、優勝はMardu Veicles~
2016年10月22-23日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 Mardu Veicles
2位 WU Flash
3位 WU Flash
4位 WU Flash
5位 WU Flash
6位 WU Flash
7位 WU Flash
8位 Mardu Vehicles
トップ8のデッキリストは【こちら】
プロツアー直後に開催されたGP Kuala Lumpurは、プロツアー『カラデシュ』のスタンダード部門で優秀な成績を収めていたWU Flashが予想どおり猛威を振るいました。優勝こそは逃したもののプレイオフに6名、トップ64まで見渡しても半数以上を占めるという驚異的なパフォーマンスでした。
GP Kuala Lumpur デッキ紹介
「UW Flash」
10 《平地》 6 《島》 4 《大草原の川》 4 《港町》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《無私の霊魂》 2 《鎖鳴らし》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (22)- |
1 《石の宣告》 4 《停滞の罠》 4 《密輸人の回転翼機》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (13)- |
4 《折れた刃、ギセラ》 4 《呪文萎れ》 2 《石の宣告》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《消えゆく光、ブルーナ》 1 《断片化》 1 《否認》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -サイドボード (15)- |
10 《平地》 6 《島》 4 《大草原の川》 4 《港町》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《無私の霊魂》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (20)- |
2 《石の宣告》 2 《呪文萎れ》 3 《停滞の罠》 4 《密輸人の回転翼機》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (15)- |
3 《折れた刃、ギセラ》 3 《否認》 2 《儀礼的拒否》 2 《断片化》 2 《神聖な協力》 1 《サリアの槍騎兵》 1 《消えゆく光、ブルーナ》 1 《呪文萎れ》 -サイドボード (15)- |
4 《島》 8 《平地》 3 《窪み渓谷》 2 《大草原の川》 4 《秘密の中庭》 4 《港町》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《無私の霊魂》 2 《屑鉄場のたかり屋》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (22)- |
1 《空鯨捕りの一撃》 4 《停滞の罠》 4 《密輸人の回転翼機》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (13)- |
3 《否認》 2 《屑鉄場のたかり屋》 2 《折れた刃、ギセラ》 2 《鑽火の輝き》 2 《呪文萎れ》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《石の宣告》 1 《神聖な協力》 -サイドボード (15)- |
多数の入賞者を輩出したWU Flashですが、プレイヤーによって微妙な調整の跡が見られ、リストを見比べてみるのが面白いアーキタイプです。
WU Flashは古典的なアグロコントロールデッキです。FaeriesやDelverといったデッキと似た構成であり、青白の優秀なクリーチャーが豊富に採用されています。特に、カウンターとしても使える《呪文捕らえ》の存在によって、プロツアー『カラデシュ』で人気のあった《霊気池の驚異》コンボやコントロールに強くなっており、クリーチャーが豊富に採用されているので《密輸人の回転翼機》を活かしやすくなっています。
瞬速クリーチャーの恩恵で隙も少なく、アドバンテージを提供する《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と、相手の除去をカウンターしつつ4/4、飛行、警戒という高スペックの《大天使アヴァシン》も採用されているのでカードパワーも十分です。オールラウンドな戦略が可能で、人気が出るのも頷けます。
このデッキのライバルになり得るデッキは、BG Deliriumです。小型クリーチャーの多いこのデッキにとって《最後の望み、リリアナ》は天敵で、《呪文捕らえ》でカウンターできない《墓後家蜘蛛、イシュカナ》も脅威となるでしょう。
☆注目ポイント (市川 ユウキ)
市川選手のリストはメインは比較的オーソドックスな構成で、Joey Mannerのトップ8のリストと細かい点を除いて変化はありませんが、サイドボードに調整が加えられています。同型とのマッチアップでキーとなる《大天使アヴァシン》の他にも、追加のフィニッシャー級のクリーチャーとして他のリストでもサイドに数枚採られている《折れた刃、ギセラ》を、市川選手はフル搭載しています。
また、《儀礼的拒否》、《否認》、《即時却下》などのカウンターが削られ《呪文萎れ》4枚に差し替えられています。確定カウンターではありませんが対象が限定されず、プロツアー『カラデシュ』の影響でコントロールが増え、WR Vehiclesなども《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をメインから採用するなどしてミッドレンジ寄りにシフトしてきている現在、信頼性のあるカウンターと言えるでしょう。シングルシンボルで3マナなので、構えやすいのも強みです。
☆注目ポイント (高橋 優太)
高橋選手のリストは《鎖鳴らし》がメイン、サイドと共に不採用です。《鎖鳴らし》はサイドアウト率が高いので、「それならばメインでも不要」という判断だと思われます。代わりに、市川選手がサイドに採っていた《呪文萎れ》がメインから採用されています。
サイドには《儀礼的拒否》や《否認》といった多数のパーミッションスペルが採用されているのも特徴です。そして、伝説のクリーチャーをサーチする《サリアの槍騎兵》も面白いアプローチです。《折れた刃、ギセラ》やその片割れの《消えゆく光、ブルーナ》をサーチすることで、合体がしやすくなっています。
☆注目ポイント (Anthony Lee)
墓地から再利用可能なクリーチャーである《屑鉄場のたかり屋》のために、黒をタッチしています。メイン、サイドに2枚ずつ採用されており、《密輸人の回転翼機》や 《領事の旗艦、スカイソブリン》の「搭乗」に困ることも少なくなり、コントロールとのマッチアップで相手の追放系以外の除去に耐性を付けています。《屑鉄場のたかり屋》の能力起動まで黒マナを必要としないので、黒マナの出るソースは《窪み渓谷》と《秘密の中庭》のみです。
GP Providence
~BG Deliriumがプレイオフの半数を占める~
2016年10月22-23日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 BG Delirium
2位 BG Delirium
3位 BR Zombies
4位 WR Vehicles
5位 WU Flash
6位 BG Delirium
7位 WR Vehicles
8位 BG Delirium
トップ8のデッキリストは【こちら】
GP Kuala Lumpurと同週末にアメリカで開催されたGP Providenceは、WU Flash一強状態のGP Kuala Lumpurの結果と大きく異なり、BG Deliriumが上位を支配しました。BG Deliriumはプロツアーでも見られましたが、一番人気のあった《霊気池の驚異》コンボと相性が悪く、プレイオフには残らなかったので、大きな大会で入賞を収めたのは今大会が初です。WU FlashはアメリカのGPでも当然人気があったので、BG DeliriumはWU Flashに強い戦略として間違いなさそうです。
GP Providence デッキ紹介
「BG Delirium」「BR Zombies」
8 《沼》 7 《森》 4 《花盛りの湿地》 4 《風切る泥沼》 1 《荒廃した湿原》 -土地 (24)- 4 《森の代言者》 3 《不屈の追跡者》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《害悪の機械巨人》 1 《約束された終末、エムラクール》 -クリーチャー (13)- |
4 《ウルヴェンワルド横断》 4 《過去との取り組み》 4 《闇の掌握》 2 《精神背信》 2 《殺害》 1 《餌食》 2 《発生の器》 1 《死の重み》 3 《最後の望み、リリアナ》 -呪文 (23)- |
3 《人工物への興味》 2 《鞭打つ触手》 2 《知恵の拝借》 1 《約束された終末、エムラクール》 1 《精神背信》 1 《本質の摘出》 1 《餌食》 1 《失われた遺産》 1 《死の重み》 1 《生命の力、ニッサ》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
今大会で見事に優勝を収めたYichen Wangのリストは、《森の代言者》と《不屈の追跡者》を採用したアグロ寄りの構成です。WR Vehiclesなどに対してそれほど強いとは言えませんが、クリーチャーのサイズで勝るのでWU Flashに対して相性の良い型でしょう。
前環境から存在する 《発生の器》や《過去との取り組み》によるDeliriumエンジンによって、早い段階で《約束された終末、エムラクール》をキャストしたり、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》のETB能力を誘発させたりすることが可能です。
☆注目ポイント
Yichen Wangのリストで特徴的なのは、BG Deliriumでは必ずと言ってよいほど採用されている《残忍な剥ぎ取り》が不採用なことです。
2マナ枠のクリーチャーとして代わりに採用されているのは《森の代言者》です。環境が少し遅くなっていることもあり、《不屈の追跡者》と共に序盤を凌ぎつつ、中盤から後半にアドバンテージをもたらすクリーチャーが再評価されています。
また、《最後の望み、リリアナ》、《約束された終末、エムラクール》といった青いコントロールやミッドレンジに強いカードが多く、《精神背信》がメインから採用されていることなどからも、プロツアー『カラデシュ』後のメタをしっかりと考えたカード選択と言えるでしょう。このデッキが最も強さを発揮するのはロングゲームで、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》はWR VehiclesやWU Flashとのマッチアップで最高の1枚となります。
7 《森》 7 《沼》 1 《進化する未開地》 4 《花盛りの湿地》 4 《風切る泥沼》 -土地 (23)- 4 《残忍な剥ぎ取り》 2 《巡礼者の目》 1 《不屈の追跡者》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《精神壊しの悪魔》 3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《害悪の機械巨人》 1 《約束された終末、エムラクール》 -クリーチャー (16)- |
4 《ウルヴェンワルド横断》 4 《闇の掌握》 2 《過去との取り組み》 2 《殺害》 1 《破滅の道》 3 《発生の器》 1 《死の重み》 4 《最後の望み、リリアナ》 -呪文 (21)- |
3 《精神背信》 2 《自然のままに》 2 《鞭打つ触手》 2 《知恵の拝借》 1 《不屈の追跡者》 1 《約束された終末、エムラクール》 1 《人工物への興味》 1 《餌食》 1 《死の重み》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
2015年度世界王者のSeth ManfieldもBG Deliriumを選択して、準優勝という好績を残しています。同じBG DeliriumでもYichen Wangのリストとは異なり、《不屈の追跡者》は僅か1枚。代わりに《残忍な剥ぎ取り》や《精神壊しの悪魔》が主力のクリーチャーとして採用されています。
☆注目ポイント
SethはコントロールやWU Flashに強い《最後の望み、リリアナ》をフル搭載しています。 忠誠度を上げつつ《無私の霊魂》や《鎖鳴らし》といったクリーチャーを除去できるので、特にメイン戦に強いカードです。
《精神壊しの悪魔》はタフネスが高いので火力系の除去耐性は高めですが、《反射魔道士》のバウンスなどには無力です。しかし、自身のETB能力で墓地を肥やし、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》や《約束された終末、エムラクール》に繋げやすくなります。4/5、飛行というサイズを活かして《密輸人の回転翼機》をしっかりと止めてくれるのも高評価です。
《巡礼者の目》は他と比べると地味なクリーチャーですが、確実にアドバンテージが取れるカードです。4枚目以降の土地を確保しつつ、アーティファクト・クリーチャーであるため、Deliriumの達成を容易にしてくれます。
《害悪の機械巨人》は相手のクリーチャーを除去しつつ、序盤に損失したライフを回復させるETB能力が強力です。戦況をコントロールをしやすくなり、Deliriumデッキの新たなフィニッシャーとして活躍しています。
《霊気池の驚異》コンボ以外のデッキには不利なデッキが少ないため、WU Flashと同様に安定したチョイスとして今後もよく見かけることになりそうです。
10 《沼》 5 《山》 4 《燻る湿地》 4 《凶兆の廃墟》 -土地 (23)- 4 《墓所破り》 2 《傲慢な新生子》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《憑依された死体》 4 《ヴォルダーレンの下層民》 -クリーチャー (22)- |
2 《稲妻の斧》 4 《安堵の再会》 4 《癇しゃく》 1 《無許可の分解》 4 《密輸人の回転翼機》 -呪文 (15)- |
3 《膨らんだ意識曲げ》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《集団的蛮行》 2 《精神背信》 2 《無許可の分解》 2 《最後の望み、リリアナ》 1 《稲妻の斧》 1 《街の鍵》 -サイドボード (15)- |
個性的なデッキが、TOP8入賞を収めました。こちらのデッキは、マッドネス要素にフォーカスするために赤黒の2色でまとめられています。
《安堵の再会》など、カードを捨てる手段がメインに20枚も採用されているこのデッキでは、マッドネスを誘発させるのは容易です。クリーチャーが多く、トークンも生み出せるので《密輸人の回転翼機》の「搭乗」要員に困ることも少なくなっており、コントロールやWU Flashといったデッキに強い構成になっています。
☆注目ポイント
《墓所破り》は手札を捨てることでゾンビトークンを生成し、そのゾンビを利用してドローすることで損失を取り戻します。《秘蔵の縫合体》マッドネススペルとの相性も良好です。
《憑依された死体》はETB能力で1/1、飛行のスピリットトークンを産み出すので、単体除去に対して耐性があり、手札を捨てて墓地から復活させる際もアドバンテージの損失が少なくなっています。《墓所破り》と同様に《秘蔵の縫合体》やマッドネススペルと相性が良く、スピリットトークンは流行りのWU Flashのクリーチャーをブロックできるので、メタゲーム内の立ち位置的にも強いクリーチャーです。
《ヴォルダーレンの下層民》は手札を捨てる手段が豊富なこのデッキでは非常にキャストしやすく、クリーチャーの回収が容易なこのデッキにフィットしたクリーチャーと言えるでしょう。変身した際に誘発する対戦相手にクリーチャーを3体サクリファイスさせる能力は《無私の霊魂》で対処されず、5マナなので《呪文捕らえ》でカウンターされることもないので、WU Flashに強いクリーチャーであることも評価点です。
また、サイドの《最後の望み、リリアナ》も小型クリーチャーの多いWU Flashに強く、今後WU Flashが流行るようならお勧めのデッキです。
BMO Vol.8
~WU Flashが優勝、トップ8の半数を占める
2016年10月22-23日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 WU Flash
2位 Bant Aggro
3位 WU Flash
4位 WU Flash
5位 UB Control
6位 WU Flash
7位 WR Vehicles
8位 BG Delirium
トップ8のデッキリストは【こちら】
GP Kuala Lumpurほどではありませんでしたが、WU Flashが猛威を振るった大会でした。優勝も含めて、プレイオフの半数がWU Flashでした。他にもGP Providenceでも多数の入賞者を出していたBG Deliriumや、定番のWR Vehiclesの姿が見られます。
Team Cygames所属の渡辺 雄也選手が殿堂入りを果たしたことを記念して「渡辺雄也杯」として開催され、渡辺選手とのエキシビジョンマッチが行われるなど、スペシャルなイベントでした。
GP Warsaw
~BG Delirium祭り~
2016年10月29-30日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 WU Flash
2位 BG Delirium
3位 BR Aggro
4位 BG Delirium
5位 BG Delirium
6位 BG Delirium
7位 BG Delirium
8位 BG Delirium
トップ8のデッキリストは【こちら】
GP Providenceでもトップ8の半数を占めたBG Deliriumは、優勝こそWU Flashに譲ったものの、GP Warsawでもトップ8に6名、2日目のメタでも100名を超える使用者がいました。現環境のTier 1と見て間違いありません。
GP Santiago
~WU Flash強し~
2016年10月29-30日
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。 |
1位 WU Flash
2位 UR Burn
3位 BG Delirium
4位 BG Delirium
5位 BG Delirium
6位 BG Delirium
7位 4C Vehicles
8位 UR Colossus
トップ8のデッキリストは【こちら】
GP Warsawと同週に開催されたGP SantiagoでもWU Flashが優勝しています。BG Deliriumがプレイオフの半数を占めましたが、UR BurnやUR Colossusといった異なるデッキも見られます。WU Flash、BG Deliriumなどのミッドレンジやコントロールが中心で、環境が低速化傾向にあるため、今大会で準優勝を収めたUR Burnは要注目です。
GP Santiago デッキ紹介
「UR Burn」「UR Colossus」
9 《山》 3 《島》 4 《尖塔断の運河》 4 《さまよう噴気孔》 3 《高地の湖》 1 《ガイアー岬の療養所》 -土地 (24)- 4 《嵐追いの魔道士》 4 《熱錬金術師》 -クリーチャー (8)- |
4 《流電砲撃》 2 《稲妻の斧》 2 《非実体化》 2 《苦しめる声》 4 《焼夷流》 4 《癇しゃく》 4 《集団的抵抗》 4 《熱病の幻視》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文 (28)- |
4 《否認》 3 《騒乱の歓楽者》 2 《儀礼的拒否》 2 《稲妻の斧》 2 《ナヒリの怒り》 1 《即時却下》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -サイドボード (15)- |
前環境から存在した《熱病の幻視》を活用したUR Burnです。デッキの性質上、毎ターン手札を消費することが難しい遅いコントロールやミッドレンジに強く、逆に赤いアグロデッキを苦手とします。環境の低速化によって評価されたアーキタイプで、前環境では軽いながらも優秀な効果を持ち、エンチャント対策にもなる《ドロモカの命令》をメインから採用したBant CompanyやGW Tokensがトップメタだったこともあってあまり評価はされていませんでしたが、《ドロモカの命令》が退場し、環境が遅めの現環境ではデッキ本来の強さが発揮できそうです。
☆注目ポイント
《反逆の先導者、チャンドラ》はアドバンテージを稼ぎつつ、自身がフィニッシャーになることもできます。《苦しめる声》や《熱病の幻視》といったドロー手段が多数採用されているため、枚数は2枚にまで抑えられています。
《嵐追いの魔道士》は2マナという軽さもあって、スペルが中心となるこのデッキのアタッカーとしては最適です。飛行はダメージをとおしやすく、早いターンからプレッシャーをかけることを可能にするので、火力スペルをより一層活かすことができます。
《集団的抵抗》は除去としても本体火力としても使えて、余分な土地などを有効碑に変換する非常にフレキシブルなスペルです。「増呪」コストもそれほど掛からず、マナがある状態でマッドネススペルの《癇しゃく》と組み合わせれば、非常に強力です。
《非実体化》は《墓後家蜘蛛、イシュカナ》や《大天使アヴァシン》、そして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》などのWU FlashやBG Deliriumの驚異的な展開を遅れさせ、疑似的な《Time Walk》のように使うことが可能です。相手のライフを削り切るまでの時間を十分に稼いでくれるでしょう。
アグロデッキやエンチャント対策を多数投入してきそうな相手に対しては、サイドから《熱病の幻視》と入れ替わって《騒乱の歓楽者》が投入されます。マッドネススペルとのシナジーもあり、スペルを多用するこのデッキではコストパフォーマンスも高く、消耗戦にも強いクリーチャーです。
クリーチャー、エンチャント、プレインズウォーカーという3種類の異なるカードを同時に対処することは困難です。BR系やWRアグロのような速度で勝負をしてくる戦略以外に対しては、非常に強いデッキです。
5 《島》 4 《山》 4 《霊気拠点》 4 《尖塔断の運河》 4 《ウギンの聖域》 2 《発明博覧会》 -土地 (23)- 4 《光り物集めの鶴》 4 《鋳造所の検査官》 2 《老いたる深海鬼》 4 《金属製の巨像》 -クリーチャー (14)- |
4 《蓄霊稲妻》 4 《予言のプリズム》 3 《金属紡績工の組細工》 4 《耕作者の荷馬車》 3 《行き詰まりの罠》 2 《面晶体の記録庫》 3 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文 (23)- |
3 《否認》 3 《焼夷式破壊工作》 3 《織木師の組細工》 2 《儀礼的拒否》 2 《ヴァラクートの涙》 1 《発明の領事、パディーム》 1 《老いたる深海鬼》 -サイドボード (15)- |
『カラデシュ』から加入した大型クリーチャー、《金属製の巨像》で圧倒する、というロマンのあるデッキです。
11マナと重いクリーチャーですが、自身のコスト軽減能力を利用することで4, 5ターン目に展開することが可能です。そのため、クリーチャーでないアーティファクトを多数採用しており、《老いたる深海鬼》などのEmerge要素も搭載されています。各種「機体」やマナアーティファクトなど、『カラデシュ』から加入したカードを有効活用することで実現に至ったアーキタイプです。
☆注目ポイント
《金属製の巨像》の10/10というサイズは火力系の除去に強く、墓地から手札に戻る能力を持つため、破壊系の除去に対しても強いクリーチャーです。確実な対処法は《停滞の罠》や《石の宣告》といった追放系の除去のみでしょう。
コストを軽減する条件が「クリーチャーでないアーティファクトをコントロールしていること」ですが、『カラデシュ』から多数収録された《領事の旗艦、スカイソブリン》などの「機体」が大きな助けになります。
序盤は《金属紡績工の組細工》や《予言のプリズム》といった軽いアーティファクトを展開してデッキを掘り進め、「機体」や《面晶体の記録庫》に繋げます。マナ加速の《面晶体の記録庫》は《金属製の巨像》を圧倒的な早さで着地させることに貢献するだけでなく、カードアドバンテージを得ることも可能となっています。
《領事の旗艦、スカイソブリン》はクリーチャー除去にもなり、「搭乗」させない場合は《金属製の巨像》を墓地から回収するためのコストにすることも可能です。《耕作者の荷馬車》はマナ加速にもなり、《金属製の巨像》のコスト軽減にも貢献します。「機体」は《金属製の巨像》を展開したそのターンに「搭乗」させてアタックすることが可能であり、除去されなければその次のターンにはゲームを終わらせることができるでしょう。
《鋳造所の検査官》はアーティファクト・クリーチャーなので《金属製の巨像》のコスト軽減に直接は貢献しないものの、アーティファクトスペルのコストを軽減する能力が、結果的に《金属製の巨像》を展開するのに一役買ってくれます。
《光り物集めの鶴》は序盤を凌ぐブロッカーでありながら、必要なアーティファクトを引き当てる助けになります。
《老いたる深海鬼》は回避能力を持たない《金属製の巨像》の攻撃を通しやすくすると同時に、自身も十分な勝ち手段として使えるでしょう。《ウギンの聖域》が戦場にある状態で展開できれば、《金属製の巨像》をサーチしてくることも可能です。
総括
2つのGPを制したWU Flashは《密輸人の回転翼機》を活用したアグロデッキであり、《反射魔道士》や《呪文捕らえ》といった妨害要素を持ち、《大天使アヴァシン》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といったパワーカードにも恵まれています。
そのWU Flashにとって対策が困難な《最後の望み、リリアナ》にアクセスが可能で、《呪文捕らえ》や《反射魔道士》に強い《墓後家蜘蛛、イシュカナ》も使えるBG Deliriumは、《霊気池の驚異》コンボ以外は特に苦手とするマッチアップが見当たりません。この2つのデッキが、現環境のTier 1と見て間違いありません。
プロツアー『カラデシュ』以前は《密輸人の回転翼機》を使ったアグロデッキや《霊気池の驚異》コンボの影響で、ミッドレンジの数は減少していましたが、今後はクリーチャーだけでなく《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《最後の望み、リリアナ》といったプレインズウォーカーにも対処していくことが重要となりそうです。
以上USA Standard Express vol. 84でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
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