USA Standard Express vol.85 -白青フラッシュ vs 緑黒昂揚-

Kenta Hiroki


 みなさんこんにちは。

 スタンダードのローテーションの変更のアナウンスがされ、スタンダードショーダウンという新たなイベントが告知されました。




 11月26日~12月17日の期間中毎週土曜日に世界中の店舗で開催されるスタンダードのイベントで、このイベント限定の賞品用のブースターも出るので楽しみですね。

 さて、今回の連載では【SCG Classics Baltimore】【SCG Classics Columbus】の入賞デッキを見ていきたいと思います。



SCG Classics Baltimore トップ8
~プロプレイヤーReid DukeがWR Vehiclesで優勝~


2016年11月6日

Reid Duke
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。


1位 WR Vehicles
2位 Bant Walker
3位 BG Delirium
4位 Bant Aggro
5位 WU Flash
6位 WU Flash
7位 Temur Emerge
8位 WU Flash

トップ8のデッキリストは【こちら】



 強豪プレイヤーが集う東海岸で開催された【SCGO Baltimore】。併催されたSCG Classicsもレベルの高いイベントだったようです。グランプリを中心にスタンダードの大きな大会で常に上位を支配していたWU FlashやBG Deliriumが勝ち残り、特にWU Flashが多数見られます。

 優勝を収めたのは環境初期のトップメタであったWR Vehiclesでした。



SCG Classics Baltimore デッキ紹介

「WR Vehicles」「Bant Walker」



Reid Duke「WR Vehicles」
SCG Classics Baltimore(1位)

10 《平地》
6 《山》
4 《感動的な眺望所》
4 《鋭い突端》

-土地 (24)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《模範的な造り手》
3 《無私の霊魂》
4 《経験豊富な操縦者》
4 《模範操縦士、デパラ》
2 《ピア・ナラー》
1 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (22)-
2 《蓄霊稲妻》
2 《永遠の見守り》
3 《停滞の罠》
4 《密輸人の回転翼機》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (14)-
4 《流電砲撃》
2 《無謀な奇襲隊》
2 《断片化》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《停滞の罠》
1 《神聖な協力》
1 《空鯨捕りの一撃》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード (15)-
hareruya



 環境初期から活躍しているWR Vehicles。現在でこそ《密輸人の回転翼機》を使ったアグロデッキといえばWU Flashが主流となっていますが、そのポテンシャルを最初に見出したと言えるWR Vehiclesは【SCGO Indianapolis】で新環境突入直後の大会とは思えないほどに洗練されており、新メカニズムである機体を活かした戦略として『カラデシュ』リリース直後から注目を集めていました。


密輸人の回転翼機


 初期のバージョンと比べるとわずかに構成に変化が見られ、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》メイン採用などミッドレンジ寄りの構成となっています。


☆注目ポイント

 メインから採用されている《大天使アヴァシン》は環境初期のリストには不採用でしたが、4/4瞬速飛行は他の《密輸人の回転翼機》デッキに対して強く、《無私の霊魂》の存在もあって「変身」させやすいです。

 単体のカードパワーも申し分ないため、白を使ったミッドレンジ寄りのデッキでは採用しない理由はありません。


大天使アヴァシン


 初登場時はサイドに忍ばせてあった《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》もメインに昇格しロングゲームを意識した構成です。

 採用されている機体も《領事の旗艦、スカイソブリン》はサイドに落とされており、WR Vehiclesと言うよりもWU Flashの青の代わりに赤を足したバージョンといった印象です。WU Flashがコントロール寄りのデッキなら、WRはサイドの《無謀な奇襲隊》からも分かるようによりアグレッシブなデッキと言えるでしょう。


領事の旗艦、スカイソブリン無謀な奇襲隊





Ted Felicetti「Bant Walker」
SCG Classics Baltimore(2位)

5 《平地》
3 《森》
1 《島》
4 《進化する未開地》
4 《植物の聖域》
4 《要塞化した村》
4 《大草原の川》
1 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《無私の霊魂》
4 《導路の召使い》
3 《薄暮見の徴募兵》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
4 《不屈の追跡者》
3 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (26)-
2 《停滞の罠》
4 《実地研究者、タミヨウ》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (8)-
3 《自然のままに》
2 《折れた刃、ギセラ》
2 《保護者、リンヴァーラ》
2 《否認》
2 《石の宣告》
2 《生命の力、ニッサ》
1 《消えゆく光、ブルーナ》
1 《顕在的防御》

-サイドボード (15)-
hareruya



 前環境を支配していたBant Companyと同様のクリーチャー構成を受け継いだミッドレンジで、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《実地研究者、タミヨウ》、サイドには《生命の力、ニッサ》の3種類のプレインズウォーカーが搭載されています。


☆注目ポイント

 《導路の召使い》は限りがあるもののマナ加速として使用できる2マナ2/2と中々の性能のクリーチャーで、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《実地研究者、タミヨウ》といったプレインズウォーカーを3ターン目に展開することでテンポアドバンテージを取ることができます。


導路の召使いゼンディカーの同盟者、ギデオン


 《実地研究者、タミヨウ》の「-2」能力は機体対策として最適のプレインズウォーカーで、4枚と多めに採用されています。「-2」能力を使う機会が多いので2枚目以降も無駄になることが少なく、環境のベストカードの1枚とされている《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》よりも優先的にフル搭載されていることからこのデッキのキーカードと見て間違いありません。


実地研究者、タミヨウ


 WU Flash、主に《密輸人の回転翼機》を意識しており《新緑の機械巨人》《大天使アヴァシン》に差し替えられています。他のデッキと同様に《無私の霊魂》とのシナジーを活用しやすく、瞬速を持つため《停滞の罠》《呪文捕らえ》も構えやすくなります。


大天使アヴァシン無私の霊魂呪文捕らえ




SCG Classics Columbus トップ8
~WU Flashの快進撃は続く~


2016年11月13日

Jack Kiefer
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。


1位 WU Flash
2位 WU Flash
3位 BG Delirium
4位 BU Zombies
5位 Abzan Delirium
6位 WU Flash
7位 GR Energy
8位 UR Control

トップ8のデッキリストは【こちら】



 【プロツアー『イニストラードを覆う影』】チャンピオンのSteve Rubin、【プロツアー『アヴァシンの帰還』】トップ4入賞経験のあるJoshua Cho、SCG Tourを中心にコンスタントに上位入賞し続けている強豪プレイヤーであるChris Andersonといったプレイヤーも見られ併催イベントながら中々のタレント揃いのプレイオフとなりました。



SCG Classics Columbus デッキ紹介

「WU Flash」「UR Control」



Jack Kiefer「WU Flash」
SCG Classics Columbus(1位)

10 《平地》
7 《島》
4 《港町》
4 《大草原の川》

-土地 (25)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《無私の霊魂》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
4 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (20)-
2 《革命的拒絶》
1 《石の宣告》
4 《停滞の罠》
4 《密輸人の回転翼機》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (15)-
2 《保護者、リンヴァーラ》
2 《断片化》
2 《石の宣告》
2 《神聖な協力》
2 《風への散乱》
2 《呪文萎れ》
2 《秘密の解明者、ジェイス》
1 《否認》

-サイドボード (15)-
hareruya



 今大会でも入賞を収めたChris Andersonをリーダーとして多くのSCG Tourの強豪プレイヤーが所属するチームCardhoarderの一員のJack Kieferは14歳という若手プレイヤーで、その知的で静かなプレイスタイルから【チームリーダーのChris Andersonも絶賛】しています。

 Steve Rubin、Joshua Choといったプロツアーサンデーも経験している強豪プレイヤーに勝利してトロフィーを獲得していることからも彼の実力は本物です。

 WU Flashはプロツアー『カラデシュ』以来必ずと言っていいほどいいほどスタンダードの大会の上位に入賞しており、その安定した勝率と圧倒的な不利なマッチの少なさから人気で、チームリーダーのChris Andersonはかつてスタンダード環境を支配したCaw Bladeのようだと評しています。


☆注目ポイント

 【プロツアー『カラデシュ』】で入賞していたリストからもいくつか変更点が見られメタのシフトに応じてカスタマイズしていけるのもこのタイプのデッキの強みです。Jack Kieferのリストではカードパワーが低めでサイドアウト率が高かった《鎖鳴らし》が解雇されており、インスタントスピードでキャスト可能な除去の《停滞の罠》がフル搭載されています。

 メインのカウンターは《呪文萎れ》よりも《革命的拒絶》が優先されています。《密輸人の回転翼機》を打ち消せないのが難点ですが、2マナと軽いので後手でも有効に働く場合が多く、序盤のアクションに乏しいこのデッキにとってはメインに扱いやすいカウンターです。


停滞の罠革命的拒絶


 サイドには《否認》《風への散乱》《呪文萎れ》といった追加のカウンターが多数採用されており、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》など高コストのパワフルなスペルを擁する緑黒系のデッキに対して特に有効です。対戦相手の重要な呪文をカウンターしつつ《秘密の解明者、ジェイス》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》でアドバンテージを稼ぎコントロールしていくという青白コントロール戦略が取りやすくなります。


否認風への散乱呪文萎れ


 また、サイドボードには他にもソーサリーながら1マナと軽く他の機体デッキ全般に有効な《断片化》や、赤黒や白赤のアグロに有効で中盤以降も腐り難い《神聖な協力》も見られます。

 《保護者、リンヴァーラ》は緑黒をはじめとしてこのデッキよりも展開力のある相手に対してサイドインされるクリーチャーで、ライフゲインと3/3飛行トークンによるアドバンテージは十分にマナコスト分以上の働きをしてくれます。


断片化神聖な協力保護者、リンヴァーラ





Andy Huynh「UR Control」
SCG Classics Columbus(8位)

8 《島》
6 《山》
4 《霊気拠点》
4 《尖塔断の運河》
3 《さまよう噴気孔》

-土地 (25)-

3 《氷の中の存在》
2 《つむじ風の巨匠》
4 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー (9)-
4 《流電砲撃》
1 《本質の変転》
4 《蓄霊稲妻》
2 《否認》
2 《予期》
3 《風への散乱》
4 《天才の片鱗》
3 《即時却下》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (23)-
4 《村の伝書士》
4 《儀礼的拒否》
2 《稲妻織り》
2 《否認》
1 《払拭》
1 《光輝の炎》
1 《即時却下》

-サイドボード (15)-
hareruya



 インスタントスピードの火力除去で小型クリーチャーを捌き、重いスペルはカウンターで対処していくパーミッションスタイルのコントロールです。《氷の中の存在》《奔流の機械巨人》なども採用されており、プロツアーを制した八十岡選手のGrixis Controlを彷彿させますが、今大会入賞を収めたAndy Huynhは青赤の2色の構成となっています。

 相手の先手2ターン目の《密輸人の回転翼機》や着地してしまったプレインズウォーカーを処理するのは苦手としていますが、カードパワーの高さからミッドレンジには強いデッキです。


☆注目ポイント

 メインから採用された《風への散乱》などのカウンターは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》といった脅威を処理していきます。《密輸人の回転翼機》をわずか2マナで打ち消す《否認》はメインでも腐りにくく、相手がカウンターを警戒してアクションを起こさなかった場合は《天才の片鱗》などのドロースペルで手札を整えつつエネルギーカウンターを補充します。

 アドバンテージを稼ぎつつ攻守において活躍する《奔流の機械巨人》は瞬速持ちなので隙のないフィニッシャーとして機能し、現環境で青いコントロールを使う理由となるクリーチャーです。

 《つむじ風の巨匠》はエネルギーを支払うことでトークンを精製するクリーチャーで、《天才の片鱗》《蓄霊稲妻》などのエネルギースペルとのシナジーもあります。


風への散乱奔流の機械巨人つむじ風の巨匠


 《炎呼び、チャンドラ》《反逆の先導者、チャンドラ》の2種類のチャンドラはそれぞれ異なるシチュエーションで活躍するプレインズウォーカーで、アドバンテージを提供しつつフィニッシャーにもなります。


炎呼び、チャンドラ反逆の先導者、チャンドラ




◆ Interview With Bryan Carey

 WU Flashと並んで現環境のトップメタに位置するBG Deliriumを使用し、今大会で見事にトップ4入賞を収めたBryan Careyにデッキについてお話を聞くことができました。


墓後家蜘蛛、イシュカナ約束された終末、エムラクール過去との取り組み


 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》や墓地にあるカードタイプの数だけコストダウン可能な《約束された終末、エムラクール》といったパワーカードを多用する緑黒のミッドレンジで、《過去との取り組み》《発生の器》といったスペルで墓地を肥やすことで「昂揚」を達成します。

 コンボ以外の多くのデッキに対して互角以上に渡り合えるのが魅力です。



Bryan Carey「BG Delirium」
SCG Classics Columbus(3位)

7 《沼》
6 《森》
2 《進化する未開地》
4 《花盛りの湿地》
4 《風切る泥沼》

-土地 (23)-

4 《残忍な剥ぎ取り》
2 《巡礼者の目》
2 《不屈の追跡者》
2 《精神壊しの悪魔》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《害悪の機械巨人》
1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (16)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
4 《闇の掌握》
3 《過去との取り組み》
2 《殺害》
1 《破滅の道》
3 《発生の器》
4 《最後の望み、リリアナ》

-呪文 (21)-
3 《精神背信》
2 《自然のままに》
2 《知恵の拝借》
1 《不屈の追跡者》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《約束された終末、エムラクール》
1 《人工物への興味》
1 《鞭打つ触手》
1 《餌食》
1 《死の重み》
1 《生命の力、ニッサ》

-サイドボード (15)-
hareruya



--BG Deliriumを選択して理由は?

Bryan: 「緑系のミッドレンジが好きで、モダンではJundをよく使用しているんだよ。BG DeliriumはそんなJundによく似ていて、僕のスタイルに合っていると思ったから使うことに決めた」

--BG Deliriumのリストの中では今回のように《精神壊しの悪魔》を採用したリストとそうでないリストが見られるけど《精神壊しの悪魔》の使い勝手はどうだった?

Bryan: 「4/5飛行を展開しつつ「昂揚」の条件を満たすために墓地を肥やすことができて、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も対策しやすくなるから強いね。今週末のSCGO Knoxvilleに参加することも考えているけど、もし同じデッキで参加するならもう1枚メインに追加することも考えているよ」


精神壊しの悪魔


Bryan: 《反射魔道士》でテンポを取られやすいのが欠点だけど、《大天使アヴァシン》《密輸人の回転翼機》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といった3種類のカードに対して強いから採用する価値はある」

--1枚挿しの《ゲトの裏切り者、カリタス》《害悪の機械巨人》はどう?

Bryan: 《害悪の機械巨人》はアーティファクト・クリーチャーだから『昂揚』の条件を満たすことに貢献してくれて、《ウルヴェンワルド横断》でサーチできる除去スペルとしても扱うことができるし、同型では《約束された終末、エムラクール》を除去しつつ13点ゲインもできる。ただ、コストが重いしサーチできるから採用しているのは1枚だけだね」


害悪の機械巨人ゲトの裏切り者、カリタス


Bryan: 《ゲトの裏切り者、カリタス》は主に《屑鉄場のたかり屋》《秘蔵の縫合体》など墓地から復活してくるクリーチャー対策として入っていて、絆魂はアグレッシブなデッキ全般に対して強い。WU Flashや同型に対してはそれほど強くないからメインでは1枚だけ採用しているよ」

--BG Deliriumは現環境のトップメタのWU Flashに強いデッキとされているけど、実際大会を通してみてどうだった?

Bryan: 「確かにメインは《最後の望み、リリアナ》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》がある分有利だけど、WU Flash側もサイド後はカウンターが増えるからやや不利に感じられる。実際、プレイオフでも準々決勝ではWU Flashに勝ったけど準決勝では負けているから、トータルでは50/50に感じられたね」


最後の望み、リリアナ墓後家蜘蛛、イシュカナ


Bryan: 「マッチアップでキーとなるカードは《墓後家蜘蛛、イシュカナ》で、いかにこのクリーチャーを着地させるかで勝敗が分かれる。WU Flash側も《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を対処する手段を持ち合わせているけど、《約束された終末、エムラクール》をキャストするのに十分な時間を稼げるからね。《約束された終末、エムラクール》にさえ辿り着ければ相手の戦場を壊滅させて1-2ターン後にはゲームを終わらせられるし、『昂揚』の条件を満たした《残忍な剥ぎ取り》も4/4トランプルとして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》にプレッシャーをかけてくれる」

--WU Flashに対するサイドプランも教えてもらえる?


vs. WU Flash


In

精神背信 精神背信 精神背信
自然のままに 自然のままに
餌食


Out

不屈の追跡者 不屈の追跡者
ゲトの裏切り者、カリタス
最後の望み、リリアナ
過去との取り組み
害悪の機械巨人


Bryan: 《精神背信》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や3マナ以上のカウンター、《大天使アヴァシン》を落とせるハンデスで、《餌食》は『昂揚』を満たした状態で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も除去できる。《自然のままに》《停滞の罠》《密輸人の回転翼機》対策としてサイドインする」


精神背信餌食自然のままに


Bryan: 《害悪の機械巨人》は少し遅い。《不屈の追跡者》 も平凡で、相手も小型クリーチャーを減らしてくるからこちらも《最後の望み、リリアナ》 を減らす」


害悪の機械巨人最後の望み、リリアナ


Bryan: 《自然のままに》は軽い置物対策として要所で活躍したよ。印象的だったのは相手の攻撃に対応して《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を追放していた《停滞の罠》を割って、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》と蜘蛛トークンでブロックして相手クリーチャーのチームを打ち取ることができたゲームだ。《自然のままに》はコストの軽いインスタントだからWU FlashやWR Vehicles相手にも隙が少なくて使いやすそうだね」

--最後にメインとサイドで変更したい点があったら教えて。

Bryan: 「サイドの 《餌食》をもう1枚追加することを検討しているよ。実際に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に対するアンサーとして多くのマッチアップで活躍したから、不要に感じることの多かったサイドの2枚目の《ゲトの裏切り者、カリタス》と入れ替えられそうだ。あと《鞭打つ触手》も使わなかったからもう1枚の《死の重み》と入れ替えようと考えているよ。エンチャントだから『昂揚』も達成しやすくなる」

--今回はインタビューに協力してくれてありがとう。SCGO Knoxvilleでも頑張って!



総括

 相変わらずWU Flashの安定した強さが目立ち、環境はWU FlashとBG Deliriumが頭一つ抜けています。どちらもミッドレンジに分類されるデッキですが、WU Flashがテンポ寄りなのに対してBG Deliriumはコントロール寄りです。

 《密輸人の回転翼機》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で序盤からプレッシャーをかけながら相手の重いスペルをカウンターで対処するWU Flash。除去が豊富で《墓後家蜘蛛、イシュカナ》で数ターン稼ぎながら《約束された終末、エムラクール》で止めを刺すという明確な勝ちパターンを持ったBG Delirium。どちらのデッキも異なる強さを持つため、どちらがベストなデッキなのかは判断が難しい所です。

 今週末に開催されるSCGO Knoxvilleはプロツアー以来の久々のスタンダードオープンであり、要注目と言えるでしょう。

 以上USA Standard Express vol.85でした。

 それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!



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