週刊デッキウォッチング vol.133 -ターボ・ルクサ・フォグ-

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: ローグ


YamiJoey「ローグ」
Competitive Standard Constructed League(5-0)

2 《森》
2 《島》
2 《平地》
1 《山》
2 《梢の眺望》
2 《燃えがらの林間地》
1 《灌漑農地》
1 《まばらな木立ち》
1 《隠れた茂み》
1 《進化する未開地》
3 《植物の聖域》
4 《霊気拠点》
1 《ガイアー岬の療養所》

-土地 (23)-


-クリーチャー (0)-
3 《霊気との調和》
4 《祝祭の開幕》
4 《花粉のもや》
3 《本質の散乱》
2 《予期》
2 《取り囲む地割れ》
3 《燻蒸》
1 《ニッサの復興》
1 《副陽の接近》
3 《暗記+記憶》
4 《熱病の幻視》
4 《ルクサの恵み》
2 《排斥》
1 《ギデオンの介入》

-呪文 (37)-
3 《陽光鞭の勇者》
3 《払拭》
3 《否認》
2 《即時却下》
1 《燻蒸》
1 《排斥》
1 《ギデオンの介入》
1 《機械医学的召喚》

-サイドボード (15)-
hareruya

熱病の幻視ルクサの恵み花粉のもや

 スタンダードは『イクサラン』発売≒ローテーションを間近に控え、この『破滅の刻』環境を名残惜しむ声も聞こえてきている。『カラデシュ』~『アモンケット』では数年ぶりとなる禁止カードを何枚も出したことを考えると、一部のカードのデザインには問題があったのかもしれないが、しかしともあれ禁止改定を経た後、ここ2か月ほどのスタンダード環境は、毎週のようにトップメタが入れ替わる上に新しいデッキも次々と登場する、本当に魅力的なものだった。それを証するかのように、環境最終盤のこのタイミングになっても、まだこの記事で取り上げるべき斬新なアイデアに満ち溢れたデッキが登場してきたのだ。

 《熱病の幻視》《ルクサの恵み》のようにカードを引き増しできるカードを設置しながら《濃霧》系のスペルを毎ターン連打する「ターボフォグ」は、コンボデッキ不在のミッドレンジ環境においてはソリューションともなりうるコンセプトだ。タフなクリーチャーと小回りの利くクリーチャー除去でアドバンテージを取りにくるミッドレンジの場合、勝ち手段はあくまでクリーチャーによる攻撃が中心であり、しかもどうしても大ぶりな動きが多くなってしまうため、結果として攻撃を《濃霧》系スペルに軽くあしらわれてしまうからだ。

 とはいえ《濃霧》系スペルだけだと《スカラベの神》のように直接ライフを攻められるシステムクリーチャーや、《反逆の先導者、チャンドラ》などの奥義が強力なプレインズウォーカーの対処が問題となるが、そこは《暗記+記憶》《排斥》が対処手段としてしっかりと確保されている。

 ローテーション後はキーカードの一つである《熱病の幻視》が落ちてしまうものの、その他のカードの多くは依然として使用可能なため、代替パーツが見つかれば引き続きスタンダードで通用する可能性もある。「ターボフォグ」というコンセプトの存在は、頭の片隅に置いておくと良いだろう。

「ローグ」でデッキを検索

■ モダン: スワンアサルト


axel_foley「スワンアサルト」
Modern Constructed League(5-0)

11 《山》
5 《島》
4 《蒸気孔》
4 《尖塔断の運河》
4 《天啓の神殿》
4 《滝の断崖》
2 《急流の崖》
2 《シヴの浅瀬》
2 《さまよう噴気孔》
4 《宝石の洞窟》

-土地 (42)-

4 《ブリン・アーゴルの白鳥》

-クリーチャー (4)-
2 《白鳥の歌》
4 《宝物探し》
1 《一日のやり直し》
3 《溶鉄の渦》
4 《突撃の地鳴り》

-呪文 (14)-
3 《虚空の力線》
2 《儀礼的拒否》
2 《神々の憤怒》
1 《研究室の偏執狂》
1 《呪文貫き》
1 《破壊放題》
1 《白鳥の歌》
1 《マナ漏出》
1 《残響する真実》
1 《溶鉄の渦》

-サイドボード (14)-
hareruya

ブリン・アーゴルの白鳥突撃の地鳴り宝石の洞窟

 《ブリン・アーゴルの白鳥》《突撃の地鳴り》のコンボを利用した「スワンアサルト」についてはvol.73でも紹介したが、そのときのデッキはどちらかといえばコントロール的なコンセプトであった。他方、今回紹介するのはコンボに特化させたバージョンだ。

 といっても、《溶鉄の渦》《突撃の地鳴り》を設置すればそれ自体が単体でコントロールの材料となる。レガシーの土地単以上に42枚もの土地が入ったこのデッキなら、半端なサイズのクリーチャーが生き残ることはまずないし、もし土地が足りなくなれば《宝物探し》が補充してくれる。

 あとは機を見て《ブリン・アーゴルの白鳥》を設置し、《突撃の地鳴り》で2点を《ブリン・アーゴルの白鳥》に打ち込み続ければ、確率上2ドローにつき1.4枚は土地のため、手札に10枚の土地を溜めることは難しくないだろう。

 後攻なら《宝石の洞窟》を絡めて3キルもありうる。シンプルだが極めがいのありそうなデッキだ。

「スワンアサルト」でデッキを検索

■ レガシー: 青黒赤コントロール


qbturtle15「青黒赤コントロール」
Legacy Constructed League(5-0)

2 《島》
1 《山》
1 《平地》
1 《沼》
2 《Tundra》
2 《Underground Sea》
2 《Volcanic Island》
3 《溢れかえる岸辺》
3 《汚染された三角州》
3 《沸騰する小湖》

-土地 (20)-

4 《悪意の大梟》
4 《瞬唱の魔道士》
3 《エーテリウム造物師、ブレイヤ》

-クリーチャー (11)-
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《思考囲い》
4 《稲妻》
4 《剣を鍬に》
3 《コラガンの命令》
4 《意志の力》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (29)-
3 《外科的摘出》
2 《強迫》
2 《紅蓮破》
2 《狼狽の嵐》
2 《集団的蛮行》
2 《盲信的迫害》
2 《未練ある魂》

-サイドボード (15)-
hareruya

エーテリウム造物師、ブレイヤ瞬唱の魔道士コラガンの命令

 現在レガシー環境のコントロールといえば「4Cレオヴォルド」が主流だが、コントロールとは環境に存在するデッキに対する解答であり、環境が変われば最適となる解答も当然変わりうる。この点に関して面白いアプローチを試しているのが本日紹介する「4Cブレイヤ」だ。

 このデッキでは《死儀礼のシャーマン》《トーラックへの賛歌》という「4Cレオヴォルド」の中核を担う部分をばっさりとカットし、《瞬唱の魔道士》《コラガンの命令》を増量したほか、《思考囲い》を採用している点に特徴がある。

 中途半端な《不毛の大地》も抜き去って4色の基本地形をしっかりと確保した上で、黒一辺倒だったスペルを白/青/赤に分散させることで、《Underground Sea》に負荷がかかり過ぎるのを避け、フェッチ先があまり難しくならないようにしている部分からもデッキ構築の巧さが見てとれる。

 《エーテリウム造物師、ブレイヤ》のポテンシャルは未知数だが、《瞬唱の魔道士》《コラガンの命令》と合わせて盤面の支配力がかなり高いこのデッキにおいては、一気にゲームを決められるクロックの高さがかなり頼もしそうだ。

「青黒赤コントロール」でデッキを検索

 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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