週刊デッキウォッチング vol.134 -変身マントル訓練場-

伊藤 敦

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ モダン: 変身


ShzockChan「変身」
Competitive Modern Constructed League(5-0)

11 《島》
3 《フェアリーの集会場》
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《墨蛾の生息地》

-土地 (22)-

1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (1)-
4 《血清の幻視》
4 《手練》
3 《呪文貫き》
2 《蒸気の絡みつき》
1 《払拭》
3 《マナ漏出》
3 《差し戻し》
2 《撹乱する群れ》
3 《知識の渇望》
1 《至高の意志》
3 《変身》
4 《訓練場》
4 《暗黒のマントル》

-呪文 (37)-
4 《広がりゆく海》
2 《儀礼的拒否》
2 《溶接の壺》
1 《払拭》
1 《蒸気の絡みつき》
1 《マナ漏出》
1 《乱動への突入》
1 《残響する真実》
1 《明日からの引き寄せ》
1 《貪欲な罠》

-サイドボード (15)-
hareruya

暗黒のマントル訓練場変身

 デッキ内のクリーチャーを《引き裂かれし永劫、エムラクール》のみにした上でクリーチャー・トークンなどに打つことで4マナで《引き裂かれし永劫、エムラクール》を戦場に出せる《変身》だが、ソーサリータイミングでしかもスタックで対象が除去られたらおしまいというのはコンボとしてはいささか心許ない。だがこのデッキは新たなアイデアの投入によって、その問題を解決する可能性を示してくれた。

 《訓練場》が設置してある状態で《暗黒のマントル》をマナクリーチャーに装備させると、タップでマナ→「1マナ+アンタップ」で+2/+2修正→タップでマナ→……の繰り返しで、そのクリーチャーを無限にパンプアップさせることができる。これを応用すれば、クリーチャー化する土地=いわゆる「ミシュラランド」に《暗黒のマントル》を装備させての一撃死が可能になる。

 このデッキでは回避能力がある《ちらつき蛾の生息地》《墨蛾の生息地》《フェアリーの集会場》の3種のミシュラランドを採用している。《暗黒のマントル》は装備コストが0なので、クリーチャー化してアタックできる状態なら残りのマナは自由に使えるところ、これらの土地は起動コストも軽いので、《呪文貫き》《マナ漏出》によるバックアップも容易だ。ミシュラランドと《暗黒のマントル》だけ先置きしておいて、なんだかわからずフルタップしたら《訓練場》を置かれて即死した、なんていうわからん殺しも発生しそうである。

 クリーチャー除去を構えてさえいればいいとはいえ、先置きしてあるミシュラランドが起点となっていつでもコンボスタートできるのと、ピッチカウンターの《撹乱する群れ》やサイドからは《広がりゆく海》が入ることもあり、戦う相手からすれば見た目以上に対戦しづらそうだ。

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■ モダン: ローグ


Hano Yuusuke「ローグ」
大阪店休日モダン17時の部(3-0)

2 《森》
2 《島》
1 《沼》
2 《繁殖池》
2 《草むした墓》
1 《湿った墓》
4 《汚染された三角州》
2 《樹木茂る山麓》
1 《霧深い雨林》
1 《新緑の地下墓地》
1 《内陸の湾港》
1 《水没した地下墓地》
1 《森林の墓地》

-土地 (21)-

4 《森の女人像》
3 《マイアの回収者》
1 《獣相のシャーマン》
2 《セルホフの密教信者》
4 《熟考漂い》
1 《影武者》
4 《ワームとぐろエンジン》
1 《グリセルブランド》

-クリーチャー (20)-
4 《血清の幻視》
3 《手練》
4 《ジャラドの命令》
4 《楽園の拡散》
4 《心なき召喚》

-呪文 (19)-
4 《集団的蛮行》
3 《自然の要求》
2 《思考囲い》
2 《虚無の呪文爆弾》
1 《スラーグ牙》
1 《エメリアの盾、イオナ》
1 《ハーキルの召還術》
1 《失われた遺産》

-サイドボード (15)-
hareruya

心なき召喚マイアの回収者ジャラドの命令

 「個人的にいつかモダンで大きな活躍を見せそうなカードランキング」第1位は先ほど紹介した《訓練場》だが、第2位は《心なき召喚》だ。カード1枚で3ターン目に5マナクリーチャー、4ターン目に6マナクリーチャーが出せるようになるこのカードのポテンシャルは凄まじい。というわけで、そんな《心なき召喚》を使った一風変わったコンボデッキを紹介しよう。

 《心なき召喚》を貼っていると、《マイアの回収者》は0マナでプレイできてしかも戦場に出た瞬間に死亡するため、手札と墓地にそれぞれ《マイアの回収者》がいる状態なら、プレイと回収を延々とループさせることができる。この状態で脇に《セルホフの密教信者》がいれば相手のライブラリーは一瞬にして消え去るという寸法だ。

 4枚コンボはハードルが高いと思われるかもしれないが、《ジャラドの命令》が1枚で2枚分を担当する。マナクリーチャーは《心なき召喚》で死んでしまうため、《心なき召喚》を引かないときのマナブーストがネックになるが、そこは《森の女人像》《楽園の拡散》でうまくカバーしている。

 《グリセルブランド》《影武者》することで手札を一気に補充することもできるほか、墓地を対策されてもストレートに《ワームとぐろエンジン》を連打して殴り勝つプランもあり、《心なき召喚》の可能性を感じさせる素晴らしいデッキだ。

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■ レガシー: ローグ・コントロール


Asmussen「ローグ・コントロール」
Legacy Constructed League(5-0)

2 《森》
2 《島》
1 《沼》
2 《Tropical Island》
1 《Bayou》
1 《Underground Sea》
1 《ドライアドの東屋》
4 《霧深い雨林》
4 《新緑の地下墓地》
2 《不毛の大地》

-土地 (20)-

3 《老練の探険者》
1 《死儀礼のシャーマン》
3 《悪意の大梟》
1 《漁る軟泥》
2 《トレストの使者、レオヴォルド》
1 《不屈の追跡者》
1 《永遠の証人》
1 《ネル・トース族のメーレン》
1 《アルゴスの庇護者、ティタニア》
1 《大祖始》

-クリーチャー (15)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《渦まく知識》
4 《陰謀団式療法》
4 《緑の太陽の頂点》
2 《突然の衰微》
3 《自然の秩序》
2 《破滅的な行為》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (25)-
4 《意志の力》
3 《狼狽の嵐》
2 《外科的摘出》
2 《餌食》
1 《再利用の賢者》
1 《突然の衰微》
1 《毒の濁流》
1 《真髄の針》

-サイドボード (15)-
hareruya

老練の探険者トレストの使者、レオヴォルド自然の秩序

 《自然の秩序》採用型のNic-Fitはvol.83でも紹介したが、そちらは黒緑純正2色で、《自然の秩序》のコストもケアして《エルフの幻想家》まで採用していた。そこで今回は、通常のBUG Nic-Fitに《自然の秩序》だけそのままぶち込んだ、一見暴挙にも見えるデッキを紹介しよう。

 《ギタクシア派の調査》からの《陰謀団式療法》、さらに《老練の探険者》を生け贄に捧げての「フラッシュバック」、《緑の太陽の頂点》《ドライアドの東屋》をサーチして2ターン目《トレストの使者、レオヴォルド》など、あらゆる「レガシーにおける強い動き」を混ぜ込んだようなこのデッキは、しかし逆に言えば相手からすると嫌らしいカードの塊なのであり、フェアな対決においては有利に立ち回れそうだ。

 その分コンボに対しては干渉できるのが《陰謀団式療法》くらいとなっているが、サイドからは4枚の《意志の力》と3枚の《狼狽の嵐》でしっかりとケアしている。

 《終末》が環境から減った今、《自然の秩序》からの《大祖始》を対処できるカードは限られている。いまいちメタゲームの主役になりきれない感のあったNic-Fitだが、先日のレガシー神決定戦では挑戦者の折茂 悠人の使用候補にもあったというのであり、フェア寄りになりつつあるレガシー環境を切り拓くための切り札に今後なっていくのかもしれない。

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■ ヴィンテージ: 実物提示教育


i_b_TRUE「実物提示教育」
Vintage Challenge(優勝)

2 《島》
3 《Underground Sea》
2 《Tundra》
3 《汚染された三角州》
2 《溢れかえる岸辺》
1 《霧深い雨林》
1 《沸騰する小湖》
1 《古えの墳墓》
1 《Library of Alexandria》

-土地 (16)-

1 《僧院の導師》
3 《アカデミーの学長》
1 《グリセルブランド》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (6)-

1 《Ancestral Recall》
1 《Time Walk》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》

-パワー9 (8)-
3 《陰謀団式療法》
2 《定業》
1 《ギタクシア派の調査》
1 《渦まく知識》
1 《思案》
1 《狼狽の嵐》
1 《精神的つまづき》
1 《神秘の教示者》
1 《吸血の教示者》
1 《商人の巻物》
1 《ハーキルの召還術》
1 《閃光》
1 《Demonic Tutor》
3 《実物提示教育》
4 《意志の力》
1 《噴出》
1 《時を越えた探索》
1 《ヨーグモスの取り引き》
1 《全知》
1 《魔力の墓所》
1 《太陽の指輪》
1 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (30)-
4 《虚空の力線》
2 《配分の領事、カンバール》
2 《ハーキルの召還術》
2 《墓掘りの檻》
1 《荒廃鋼の巨像》
1 《天秤》
1 《修繕》
1 《精神壊しの罠》
1 《カラカス》

-サイドボード (15)-
hareruya

アカデミーの学長実物提示教育ヨーグモスの取り引き

 《僧院の導師》《アメジストのとげ》制限となってひと月ほど経ったが、これまでの結果を見ると青系コントロールとMUDの2強は揺らいでいないように思える。だが先日のVintage Challengeでは、かなり面白いデッキが優勝していた。

 同じタイミングで制限解除となった《ヨーグモスの取り引き》は、一旦着地すればヴィンテージ界でも最高クラスのドロー効率を誇る。継続的にカードを引き続けることで強力な制限カードへとアクセスすることが重要なヴィンテージでこの性能は頼もしく、さらに6マナと素プレイもそこそこ現実的なのもありがたい。

 だがもちろんその本領はマナコストの踏み倒しにある。《アカデミーの学長》《閃光》《陰謀団式療法》の「フラッシュバック」で生け贄に捧げればお手軽に《ヨーグモスの取り引き》《全知》を着地させられる。あとは《僧院の導師》で死ぬほどトークンを出すなり《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出すなりで勝利できることだろう。

 サイド後に墓地対策を食らっても《実物提示教育》やサイドの《修繕》でかわせるのも強みと言える。はたしてヴィンテージ界にこれから新たにコンボの風が吹くのか、10月のEternal Weekendの結果に注目だ。

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 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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