週刊デッキウォッチング vol.137 -先手必勝ダイナソー-

伊藤 敦

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: ローグ


Yamakawa Hiroaki「ローグ」
平日スタンダード14時の部(3-0)

6 《森》
1 《島》
1 《山》
1 《平地》
4 《植物の聖域》
4 《尖塔断の運河》
4 《霊気拠点》

-土地 (21)-

4 《殺戮の暴君》

-クリーチャー (4)-
4 《選択》
4 《霊気との調和》
3 《恐竜との融和》
4 《検閲》
4 《削剥》
4 《蓄霊稲妻》
4 《至高の意志》
4 《海賊の獲物》
4 《先手+必勝》

-呪文 (35)-
4 《否認》
3 《貪る死肉あさり》
3 《破滅の刻》
2 《宝物の地図》
2 《生命の力、ニッサ》
1 《つむじ風の巨匠》

-サイドボード (15)-
hareruya

殺戮の暴君先手+必勝海賊の獲物

 『イクサラン』のカードリストから《殺戮の暴君》を最初に見たとき、何を思っただろうか?「普通に強いね」「青メタもここまで来たか」「ミッドレンジのフィニッシャーとして採用されるかも」「サイドカードじゃない?」……様々な感想があったかもしれない。だが、《先手+必勝》でパワーを14にしてから二段攻撃で28点パンチをぶち込もう」などという狂気の発想を思いついたプレイヤーは、はたして存在していただろうか。いたとしても、実際にこうして形にするレベルにまでは、きっと至らなかったに違いない。

 このデッキはティムールエネルギーと同様、エネルギー主体のマナベースと《蓄霊稲妻》《削剥》という優秀な除去を採用してはいるものの、そのコンセプトとしては全く真逆である。

 ティムールエネルギーが《牙長獣の仔》《ならず者の精製屋》《つむじ風の巨匠》といったタフでしかも極めて損をしづらいアクションを毎ターン少しずつ積み重ねて有利をとっていくのに対し、このデッキはただ一つのプランに特化している。すなわち、《殺戮の暴君》を探してプレイする。次に《先手+必勝》を『余波』込み6マナでぶち込む。=You win!」ただそれだけ。つまりあるのはただ、研ぎ澄まされた殺意のみということだ。だからこそ《恐竜との融和》が入っていても、外すリスクを恐れて他の恐竜を採用したりはしていない。

 「ある作りたいコンセプトが定まったとき、そのコンセプトにとって必要/不要なカードを選別し、デッキをそのコンセプトに特化させる」ことができるというのも、デッキビルダーに必要不可欠な能力と言える。アイデアそのものの奇抜さもさることながら、6マナの恐竜にすべてを懸けたリストに仕上げた構築力には敬服するばかりだ。

「ローグ」でデッキを検索

■ モダン: 白青黒コントロール


Takano Masato「白青黒コントロール」
平日モダン17時の部(3-0)

2 《沼》
1 《島》
1 《平地》
2 《神無き祭殿》
2 《神聖なる泉》
1 《湿った墓》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《忍び寄るタール坑》
2 《闇滑りの岸》
1 《氷河の城砦》

-土地 (23)-

3 《瞬唱の魔道士》

-クリーチャー (3)-
4 《思考囲い》
3 《致命的な一押し》
3 《流刑への道》
2 《コジレックの審問》
4 《未練ある魂》
2 《エスパーの魔除け》
1 《スフィンクスの啓示》
2 《至高の評決》
1 《残骸の漂着》
2 《アズカンタの探索》
1 《拘留の宝球》
2 《試練に臨むギデオン》
2 《ヴェールのリリアナ》
1 《悪夢の織り手、アショク》
1 《思考を築く者、ジェイス》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《卓絶のナーセット》
2 《ギデオン・ジュラ》

-呪文 (35)-
4 《神聖の力線》
3 《聖トラフトの霊》
2 《天界の粛清》
2 《苦花》
1 《墓所のタイタン》
1 《残骸の漂着》
1 《拘留の宝球》
1 《最後の望み、リリアナ》

-サイドボード (15)-
hareruya

アズカンタの探索残骸の漂着試練に臨むギデオン

 『イクサラン』のカードのモダンでの可能性については、まだまだ試されていない部分が多い。特にスタンダードで青系コントロールの地位が上昇するきっかけとなった《アズカンタの探索》については、多数のフェッチランドが使える環境だけに、モダンでも活躍が見込めそうな1枚と言える。

 このデッキではエスパーコントロールに《アズカンタの探索》を採用することで、墓地を使ったいくつかのシナジーを生むことに成功している。墓地に送ったスペルも《瞬唱の魔道士》がいれば「フラッシュバック」が可能だし、《未練ある魂》は墓地に落ちても大して支障がないカードの代表だ。

 また、『イクサラン』発売後の「プレインズウォーカーの唯一性ルール」の廃止も有効に活用し、《試練に臨むギデオン》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《ギデオン・ジュラ》と3種の「ギデオン」を併用している。《スフィンクスの啓示》などと合わせ、変身した《水没遺跡、アズカンタ》で1枚差しの非クリーチャー呪文は探しにいけるので、61枚なのにもそれなりの理由があるというわけだ。

 1枚のみだが《残骸の漂着》も採用されており、《至高の評決》とは異なりマーフォークの《変わり谷》や親和の《ちらつき蛾の生息地》《墨蛾の生息地》ごとクロックを根こそぎ追放できるメリットがある。はたして『イクサラン』はモダンのコントロールが復権するきっかけとなるのか、今後もメタゲームを注視しておく必要がありそうだ。

「白青黒コントロール」でデッキを検索

■ レガシー: 青赤デルバー


Hoppelars「青赤デルバー」
Competitive Legacy Constructed League(5-0)

1 《島》
1 《山》
3 《Volcanic Island》
2 《Underground Sea》
4 《汚染された三角州》
4 《沸騰する小湖》
1 《血染めのぬかるみ》

-土地 (16)-

4 《秘密を掘り下げる者》
4 《僧院の速槍》
1 《損魂魔道士》
4 《若き紅蓮術士》

-クリーチャー (13)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《渦まく知識》
4 《稲妻》
3 《稲妻の連鎖》
2 《思案》
4 《目くらまし》
4 《航路の作成》
2 《発展の代価》
4 《意志の力》

-呪文 (31)-
4 《陰謀団式療法》
2 《外科的摘出》
2 《紅蓮破》
2 《唐突なる死》
2 《粉々》
1 《四肢切断》
1 《硫黄の渦》
1 《真髄の針》

-サイドボード (15)-
hareruya

僧院の速槍稲妻航路の作成

 新セットが出たとき、レガシーでの採用について真っ先に注目されるのは青いカードである。というのも、多少カードパワーに疑問符がついたとしても「《意志の力》のコストにあてればいい」という免罪符があるからだ。『イクサラン』で注目されている《航路の作成》についても、そのパワーレベルについてはまだ様々なデッキで検討されている最中と思われるが、少なくとも1つ、4枚採用を試みた上で成果を残したアーキタイプが現れたことはポジティブな評価材料に加えて良いだろう。

 「青赤デルバー」はより攻撃的なデルバーデッキで、《稲妻》に加えて《稲妻の連鎖》《発展の代価》など火力呪文を多めに搭載している点に特徴がある。《航路の作成》を「2マナ2ドロー」にするためにはクリーチャーでの攻撃が必要なところ、《秘密を掘り下げる者》《僧院の速槍》で常に攻撃的に振る舞うこのデッキにおいては、高速で消耗する手札を回復する手段として合っている。

 削れているのは《思案》のほか、《不毛の大地》《呪文貫き》《もみ消し》などがとられていることが多いスロットで、特に土地1枚でのキープを可能にする《思案》を減らすのには何となく抵抗を感じるが、それを補うだけの強さがあるということなのだろう。

 何せレガシーにおける手札1枚の差は、そのまま《渦まく知識》がスペルに変換できるリソースの差となる。攻撃的なデルバーデッキにおける《航路の作成》は、待ち望んでいた福音と言えるのかもしれない。

「青赤デルバー」でデッキを検索

■ フロンティア: ローグ


Asahina Takuya「ローグ」
晴れる屋フロンティア杯(トップ8)

2 《森》
2 《島》
2 《山》
4 《植物の聖域》
4 《尖塔断の運河》
2 《シヴの浅瀬》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》

-土地 (18)-

4 《僧院の速槍》
2 《セイレーンの嵐鎮め》
3 《深根の勇者》
2 《奇怪なドレイク》

-クリーチャー (11)-
4 《選択》
4 《ウルヴェンワルド横断》
4 《顕在的防御》
2 《ショック》
2 《空間の擦り抜け》
4 《検閲》
4 《稲妻の一撃》
1 《宝船の巡航》
4 《謎変化》
2 《アズカンタの探索》

-呪文 (31)-
2 《セイレーンの嵐鎮め》
2 《暴れ回るフェロキドン》
2 《稲妻織り》
2 《チャンドラの敗北》
2 《呪文貫き》
2 《否認》
2 《粉々》
1 《焙り焼き》

-サイドボード (15)-
hareruya

深根の勇者謎変化アズカンタの探索

 《クウィリーオンのドライアド》を主軸にした「ミラクルグロウ」はデッキ構築理論に革命を起こしたデッキだったと言えるだろう。ところで、『イクサラン』では《クウィリーオンのドライアド》によく似た《深根の勇者》と、当時も採用されていた《選択》が収録されている。ならば「ミラクルグロウ」を復活させようというのはごく自然な発想だ。

 当時ほど土地を切り詰めることはできないものの、《ウルヴェンワルド横断》《選択》はデッキの動きを安定させるのに一役買っている。《謎変化》はクリーチャー化するかどうかを選べるので、相手が除去を構えていると思ったらクリーチャー化させないことも重要となる。

 ここでも採用されている《アズカンタの探索》は、《ウルヴェンワルド横断》の「昂揚」に貢献したり、《奇怪なドレイク》のパワーを上げにいくことができる。《セイレーンの嵐鎮め》は単体でクロックとなりつつ相手の除去に対するカウンター呪文の代わりになる得難い戦力と言える。

 《クウィリーオンのドライアド》と違って色のないアーティファクトでも成長したり、マーフォークという強力なクリーチャータイプを獲得するなど、現代的なスペックとなっている《深根の勇者》には、まだまだたくさんの活躍の可能性が眠っていそうだ。

「ローグ」でデッキを検索

 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

晴れる屋でデッキを検索する

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