週刊デッキウォッチング vol.140 -旗幟鮮明ビートダウン-

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: 白緑ビートダウン


Eduardo Viera「白緑ビートダウン」
Pro Tour Ixalan 2017(7-3)

7 《平地》
5 《森》
1 《まばらな木立ち》
4 《陽花弁の木立ち》
3 《シェフェトの砂丘》
3 《ハシェプのオアシス》

-土地 (23)-

3 《聖なる猫》
2 《造命の賢者、オビア・パースリー》
4 《典雅な襲撃者》
4 《アダントの先兵》
4 《立て直しのケンラ》
4 《マーフォークの枝渡り》
2 《キンジャーリの陽光翼》
1 《ピーマの改革派、リシュカー》
2 《信義の神オケチラ》

-クリーチャー (26)-
3 《顕在的防御》
4 《旗幟+鮮明》
2 《軍団の上陸》
2 《霊気圏の収集艇》

-呪文 (11)-
3 《英雄的介入》
3 《燻蒸》
2 《陽光鞭の勇者》
2 《啓示の刻》
2 《排斥》
2 《試練に臨むギデオン》
1 《空鯨捕りの一撃》

-サイドボード (15)-
hareruya

典雅な襲撃者アダントの先兵旗幟+鮮明

 私がプロツアー『イクサラン』のリストの中で最も「やられた!」と思ったのがこのデッキだ。私がどうしても《アジャニの誓い》を使いたくてゴミみたいなアブザン「紛争」アグロを組んでいた際に、《旗幟+鮮明》の可能性にはたどり着いていたからだ。

 それぞれは大したことないクリーチャーの集まりだが、《アダントの先兵》の進軍を止めるのは困難だし、《立て直しのケンラ》がブロックの算段をずらして打点を稼ぐ。

 最後は《典雅な襲撃者》《顕在的防御》で守りながら、もしくは「永遠」してからの《旗幟+鮮明》を決めることができれば、一撃10点以上の大ダメージも期待できる。

 地上を《信義の神オケチラ》で、空を《霊気圏の収集艇》で止めつつ戦士・トークンを生成して《シェフェトの砂丘》で押し潰すプランもあり、見た目以上にタフなデッキと言えそうだ。

「白緑ビートダウン」でデッキを検索

■ モダン: ローグ


Katou Kazumasa「ローグ」
休日モダン17時の部(3-0)

1 《森》
1 《平地》
1 《沼》
4 《神無き祭殿》
1 《草むした墓》
1 《寺院の庭》
4 《汚染された三角州》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《乱脈な気孔》
3 《廃墟の地》

-土地 (23)-

4 《極楽鳥》
3 《復活の声》

-クリーチャー (7)-
4 《コジレックの審問》
4 《流刑への道》
2 《突然の衰微》
4 《未練ある魂》
2 《軍団の上陸》
4 《無形の美徳》
3 《苦花》
1 《融合する武具》
3 《真面目な訪問者、ソリン》
2 《イニストラードの君主、ソリン》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (30)-
3 《エイヴンの思考検閲者》
3 《内にいる獣》
2 《思考囲い》
2 《安らかなる眠り》
2 《石のような静寂》
1 《根生まれの防衛》
1 《精神染み》
1 《法の定め》

-サイドボード (15)-
hareruya

軍団の上陸復活の声真面目な訪問者、ソリン

 モダンGPを制したこともある「白黒トークン」だが、モダン環境は年々高速化し、2ターン目に《苦花》を設置することのリスクは高まっていた。そこで緑を足し、1~2ターン目の動きを強化したのがこちらのデッキだ。

 《極楽鳥》は2ターン目《未練ある魂》から3ターン目プレインズウォーカー着地というぶん回りも作れる上に、《軍団の上陸》の変身条件もサポートできる噛み合いを見せる。

 《復活の声》はチャンプブロックで時間を稼ぎつつトークンを生成できるし、《突然の衰微》《罠の橋》《頭蓋囲い》など危険な置き物に触れる対応力が魅力だ。

 3色にすることでライフ水準は下がるが、《真面目な訪問者、ソリン》がいればライフを心配する必要はない。ルール変更で《イニストラードの君主、ソリン》も同時に設置できるので、「白黒トークン」は『イクサラン』で地味に強化されたアーキタイプと言えるかもしれない。

「ローグ」でデッキを検索

■ レガシー: ウーズシュート


DNSolver「ウーズシュート」
Legacy Challenge(2位)

1 《島》
1 《沼》
3 《Underground Sea》
1 《Scrubland》
1 《Tundra》
4 《汚染された三角州》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《湿地の干潟》

-土地 (15)-

3 《壊死のウーズ》
1 《Phyrexian Devourer》
1 《トリスケリオン》
2 《グリセルブランド》

-クリーチャー (7)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《思案》
4 《渦まく知識》
4 《暗黒の儀式》
4 《納墓》
4 《陰謀団式療法》
2 《再活性》
4 《浅すぎる墓穴》
2 《集団的蛮行》
2 《死体発掘》
4 《水蓮の花びら》

-呪文 (38)-
4 《僧院の導師》
4 《剣を鍬に》
3 《残響する真実》
2 《狼狽の嵐》
2 《外科的摘出》

-サイドボード (15)-
hareruya

浅すぎる墓穴壊死のウーズ納墓

 《渦まく知識》ほどではないにせよ、《死儀礼のシャーマン》が幅を利かせているレガシー環境では、「リアニメイト」はナチュラルにメタられていると言っても過言ではない。しかしそんな環境においても抜け穴は存在する。それが《死体発掘》をはじめとした「対象をとらないリアニメイト呪文」の活用だ。

 《浅すぎる墓穴》は対象をとらない上に《暗黒の儀式》《納墓》とともにインスタントなので、相手からすれば「隙を見せればいつでも7枚ドローされてしまうかもしれない」というプレッシャーがあり、《死儀礼のシャーマン》の起動を制限できるのが強みだ。釣り上げたクリーチャーは《陰謀団式療法》の「フラッシュバック」のコストにあててしまえば終了ステップの開始時に効果で追放されることもなくなる。

 また《壊死のウーズ》《暗黒の儀式》を使えばすぐに出せる程度に軽いマナである上に、先に戦場に着地させておけば釣り竿だけでなく《納墓》自体がマストカウンターになるのが心強い。

 サイドボードからは墓地対策を無視できる《僧院の導師》から軽量スペルを連打し、一気に勝負を決める。フェアデッキが優勢になってきたレガシー環境において、コンボの反撃開始を告げる嚆矢となるか。今週末の第10期レガシー神挑戦者決定戦の結果から目が離せなくなりそうだ。

「ウーズシュート」でデッキを検索

 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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