週刊デッキウォッチング vol.142 -神話実現スティル-

伊藤 敦

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: 白単

上級建設官、スラム平和歩きの巨像スラムの巧技

 前環境では常にトップメタの一角に食い込んでいた「機体」デッキも、《スレイベンの検査官》がローテーション落ちしたことで《模範的な造り手》の使い勝手が下がり、《キランの真意号》の安定稼働も難しくなったことで、Tier 2~3デッキへの後退を余儀なくされた。だが《キランの真意号》を動かしたければ、何もパワー3のクリーチャーを集める必要はない。プレインズウォーカーの忠誠度を使えばいいことはもちろん、我々には「機体」の心強い味方、《平和歩きの巨像》がいるのだ。

 確かに安定して「搭乗」できるなら「機体」のマナレシオは凄まじいものがある。「搭乗」要員は《模範的な造り手》だけでなく《聖なる猫》《霊気装置の展示》《スラムの巧技》で並べた大量の霊気装置・トークンが担う。

 また、《上級建設官、スラム》がいれば「機体」をプレイするたびにカードが引けるので、「搭乗」要員が途切れることもないだろう。

 最後は並んだ霊気装置・トークンや「機体」を《シェフェトの砂丘》で強化して大量ダメージを叩き込む。はたして《平和歩きの巨像》は弱体化した「機体」デッキの救世主となるのか、今後の展開に注目だ。

「白単」でデッキを検索

■ モダン: トロン

サリアの槍騎兵流刑への道解放された者、カーン

 モダンの「トロン」(ウルザ土地3種を揃えて膨大なマナで勝つことを目的とする) デッキといえば《古きものの活性》《森の占術》を使った緑ベースの形と《卑下》《知識の渇望》を使った青ベースの形があるが、ならばウルザ土地へのアクセスがしにくい他の色で組めないのかというと別にそんなことはない。現にこのデッキはウルザ土地へのアクセスは《探検の地図》に任せ、代わりに《団結のタリスマン》《真面目な身代わり》による単純なマナブーストを2軸目に据えた白単コントロールの形となっている。

 白ベースのメリットはモダン環境最強の除去である《流刑への道》が使用できることや、サイドカードが強くなることなどが挙げられるが、このデッキではさらに《サリアの槍騎兵》を4枚も搭載している点が特徴的だ。

 『イクサラン』から「プレインズウォーカーの唯一性ルール」の廃止によってレジェンド・ルールが適用されるようになったので、《大修道士、エリシュ・ノーン》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といった伝説のクリーチャーはもちろん、《解放された者、カーン》《太陽の勇者、エルズペス》《精霊龍、ウギン》といったプレインズウォーカーもサーチできるようになっている。もちろんマナが足りなければ《永岩城》《ガイアー岬の療養所》をサーチしてきても良い。

 サイドボードからは《保護者、リンヴァーラ》《静寂の守り手、リンヴァーラ》だけでなく《タミヨウの日誌》もサーチできる。このように既存のコンセプトでも色を変えてみることで新しいデッキが生まれるかもしれないので、色々と試してみると良いだろう。

「トロン」でデッキを検索

■ レガシー: 白青奇跡

神話実現行き詰まり終末

 《師範の占い独楽》の禁止以降、「奇跡」デッキのプレイヤーたちは何とかしてその穴を埋めようと努力してきた。その中で、最近では元からサイドプランとして採用されることの多かった《僧院の導師》をメインコンセプトに据えた形や《アズカンタの探索》を搭載した形が主流となってきているが、今日紹介するのはそれらとはまた違ったアプローチの「奇跡」デッキだ。

 《行き詰まり》は五分以上の盤面で設置すれば相手から先に動かざるをえなくなるため2マナ3ドローという驚異のパフォーマンスを発揮するが、《死儀礼のシャーマン》に先行されてしまう確率が高い現在のレガシー環境では、《ミシュラの工廠》《不毛の大地》されてしまうかもしれず、クリーチャーも除去の的になってしまうため、そもそも「五分以上の盤面を作りだす」こと自体がなかなか難しい。

 しかしそこで《神話実現》なら、先置き可能な上に単体除去も当たらない。《行き詰まり》も設置し、あとはマナを払って《神話実現》のカウンターを増やしつつ適当なところで殴っていけば、相手も何らかのアクションをせざるをえなくなるので、しっかり《行き詰まり》でカードを引けるという寸法である。

 《神話実現》からの《行き詰まり》という流れは、往年の《師範の占い独楽》《相殺》という流れを彷彿とさせる。禁止後の「奇跡」の形はまだ固まりきっていないので、《神話実現》以外にも様々なカードに採用の可能性がありそうだ。

「白青奇跡」でデッキを検索

 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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