USA Standard Express vol.89 -『霊気紛争』の注目カードとサンプルデッキ紹介-

Kenta Hiroki

 みなさんこんにちは。先週末には『霊気紛争』のプレリリースがありましたが、みなさんは楽しい週末を過ごせましたか?

 スタンダードの環境も『霊気紛争』からの新カードの加入とともに大きな変化が訪れます。環境を定義していた《約束された終末、エムラクール》《密輸人の回転翼機》《反射魔道士》【禁止カードに指定】されました。ローテーションのあるスタンダードで禁止カードが出たのはCaw Bladeが猛威を振るった2011年の夏以来です。

 今回の連載では禁止カードによる影響と新環境のスタンダードで見られそうなデッキを新カードと一緒にご紹介していきたいと思います。

禁止カードの影響

約束された終末、エムラクール

 《約束された終末、エムラクール》明らかに強すぎたため、禁止になることを予想されていた方も多かったと思われます。

 この13/13クリーチャーのカードパワーに勝るフィニッシャーを用意することは難しい注文で、コントロールが消耗戦の末カードアドバンテージを生かしロングゲームに持ち込んでも、《約束された終末、エムラクール》の誘発能力によってターンをコントロールされ築き上げたプランが崩壊してしまうので、コントロールデッキにとって不遇な環境でした。

 今回の禁止改定により、プロツアー後は勝ちきれなかった《奔流の機械巨人》を使ったコントロールデッキにもチャンスが巡ってきそうです。

 一方、《約束された終末、エムラクール》を失った《霊気池の驚異》系のコンボデッキは弱体化は免れないものの、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》などフィニッシャーを変えることで、これまでのようなアンフェアな強さはなくなるものの環境に留まり続けそうです。また、BG Deliriumもミッドレンジからアグロ寄りにシフトしていくことが予想されます。

密輸人の回転翼機

 ほぼ全てのクリーチャーデッキで採用され、その効率性と柔軟性により他の2マナ域のカードの価値が損なわれるためデッキ構築の自由度を狭めていた《密輸人の回転翼機》

 この2マナの「機体」の退場により、《森の代言者》《ラムホルトの平和主義者》といった2マナクリーチャーを再び目にすることが多くなりそうです。《模範操縦士、デパラ》《経験豊富な操縦者》といった「機体」とのシナジーのあるクリーチャーの価値も下がり、《模範的な造り手》を強化する手段も減るので、各種アグロデッキは構成の変更を強いられそうです。

ゼンディカーの代弁者、ニッサ

 また、序盤から展開される3/3飛行によるプレッシャーから解放されることで、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》などプレインズウォーカーも本来の強さを発揮しそうです。GW Tokensなども復権することが予想できます。コントロールも、相手の先手2ターン目の《密輸人の回転翼機》に対抗するためにインスタントスピードの除去をメインから過剰に採用する必要が今までよりは減りそうです。

 これにより除去スペルの評価も変わります。《密輸人の回転翼機》の存在した環境では除去のカードとしての性能よりもインスタントスピードであることが重視され、《焼夷流》《石の宣告》《破滅の道》といったカードはあまり見られませんでした。

 しかし、禁止改定後の環境ではプレインズウォーカーを使ったミッドレンジやコントロールも復権してくることが考えられるので、《焼夷流》《破滅の道》といったソーサリースピードのスペルの評価も上がります。

反射魔道士

これもある程度予想していた方も多かったと思われます。個人的にはBant Companyがトップメタだった『イニストラードを覆う影』リリース後のスタンダードから禁止でも良かったと思えたほど、強力な能力を持ったクリーチャーでした。

 この3マナの青白のクリーチャーの提供するアドバンテージは思いのほか大きく、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》など一部のクリーチャーを除いた4マナ以上のクリーチャーの多くが環境から締め出される原因となり、WU Flashの支配的な強さもあり環境を歪めていたので妥当な変更だったと言えます。

ゲトの裏切り者、カリタス折れた刃、ギセラ

 今回の禁止により《ゲトの裏切り者、カリタス》《折れた刃、ギセラ》といった4マナ以上のクリーチャーの使用率も上がりそうです。

霊気紛争の注目カード

アジャニの誓い不撓のアジャニ

 禁止カードによる変更と緑白の優秀なカードの加入は、GW Tokensが復権するのに十分な条件が揃っていると言えます。《アジャニの誓い》はトークンを生み出す《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》と相性が良く、プレインズウォーカー限定ですがマナ加速にもなるので、コストが重い《不撓のアジャニ》も展開しやすくなります。

 《不撓のアジャニ》は「+2」能力がカードアドバンテージ獲得手段となるだけでなく、《剣を鍬に》と同様の効果の「-2」能力も除去が薄くなりがちな緑白にとってはありがたく、「-9」能力もGW Tokensの方向性にフィットしています。


サンプルデッキ「GW Tokens」

7 《森》
7 《平地》
4 《梢の眺望》
4 《要塞化した村》
3 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (25)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《森の代言者》
2 《ラムホルトの平和主義者》
3 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (13)-
4 《石の宣告》
4 《ニッサの誓い》
4 《アジャニの誓い》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《不撓のアジャニ》

-呪文 (22)-
2 《ラムホルトの平和主義者》
2 《異端聖戦士、サリア》
2 《神聖な協力》
2 《天使の粛清》
2 《燻蒸》
2 《領事の権限》
2 《停滞の罠》
1 《保護者、リンヴァーラ》

-サイドボード (15)-
hareruya


致命的な一押しヤヘンニの巧技

 《致命的な一押し》は久々に登場した効率的な除去スペルです。Grixis ControlやUB Controlが最も欲しかったインスタントで低コストの除去で、アグロデッキとの相性が改善されそうです。

 《ヤヘンニの巧技》はタフネスの高いクリーチャーが除去できないのが難点ですが、《氷の中の存在》とも相性が良く、こちらもコントロール念願の4マナスイーパーです。


サンプルデッキ「UB Control」

7 《島》
7 《沼》
4 《窪み渓谷》
4 《進化する未開地》
4 《詰まった河口》

-土地 (26)-

4 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー (4)-
4 《致命的な一押し》
4 《予期》
4 《闇の掌握》
2 《精神背信》
2 《否認》
4 《不許可》
3 《破滅の道》
4 《天才の片鱗》
2 《ヤヘンニの巧技》
1 《秘密の解明者、ジェイス》

-呪文 (30)-
4 《氷の中の存在》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《否認》
2 《精神背信》
2 《失われた遺産》
2 《鞭打つ触手》
1 《秘密の解明者、ジェイス》

-サイドボード (15)-
hareruya


守護フェリダー

 《サヒーリ・ライ》の「-2」能力で《守護フェリダー》のコピートークンを生み出し、コピーが出たときの能力で《サヒーリ・ライ》を明滅させて能力を使い回すことによって、あの《欠片の双子》を彷彿とさせる無限コンボが実現可能で、スタンダードでなんと最速4ターンキルが成立します。

 デッキとして考えられるのは《奔流の機械巨人》を使ったJeskai Controlとのハイブリットで、《反逆の先導者、チャンドラ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といったコンボ以外の勝ち手段も採用出来るので、《欠片の双子》デッキのようにコンボをちらつかせつつコントロールデッキのように振る舞うことも可能になります。

領事の権限

 一方、コンボに対する有力なアンサーとしては《領事の権限》が挙げられます。


サンプルデッキ「Jeskai Combo Control」

6 《平地》
4 《島》
4 《霊気拠点》
4 《港町》
4 《さまよう噴気孔》
3 《感動的な眺望所》
1 《尖塔断の運河》

-土地 (26)-

4 《守護フェリダー》
3 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー (7)-
4 《ショック》
4 《蓄霊稲妻》
3 《予期》
2 《否認》
3 《不許可》
2 《光輝の炎》
4 《天才の片鱗》
1 《燻蒸》
4 《サヒーリ・ライ》

-呪文 (27)-
3 《呪文捕らえ》
2 《払拭》
2 《否認》
2 《領事の権限》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《神聖な協力》
1 《光輝の炎》

-サイドボード (15)-
hareruya


総括

 近年稀に見る大規模なスタンダードの禁止改定と新セットの『霊気紛争』により、停滞気味だった環境がシェイクアップされ未知の環境となりました。アメリカではリリース直後にスタンダードの大規模なイベントであるSCGOが開催されるので、強豪プレイヤーがどのような戦略を持ち込むのか要注目です。

  以上USA Standard Express vol.89でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!

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