皆さんこんにちは。
プロツアー『破滅の刻』が終了しローテーションも迫っていますが、グランプリー・デンバー2017など現環境のスタンダードはまだまだ続きます。
今回の連載ではプロツアーの翌週に開催されたグランプリ・ミネアポリス2017の入賞デッキを見ていきます。赤単の圧勝で終わったプロツアーでしたがどのようにメタが変化したのでしょうか。
グランプリ・ミネアポリス2017
Zombie apocalypse 再び
2017年8月5日
- 1位 Zombies
- 2位 Black-Green Constrictor
- 3位 Mardu Vehicles
- 4位 Ramunap Red
- 5位 Mardu Vehicles
- 6位 B/G Constrictor
- 7位 B/G Constrictor
- 8位 B/R Control
Steve Locke
トップ8のデッキリストはこちら
プロツアーからわずか一週間後に開催されたグランプリ・ミネアポリス2017ではプロツアーを支配したRamunap Redをどのように倒すかに焦点が当てられました。
今大会で上位入賞を果たしたデッキは優勝したZombiesを含めてB/G Constrictor、トップ16入賞を果たしたMono Black EldraziなどRamunap Redに強いデッキが中心でした。
今大会でZombiesを使用していたSteve Lockeは、スイスラウンドを無敗でプレイオフ進出を決めその勢いのままに優勝を飾りました。ZombiesはRamunap Red に強いデッキとしてプロツアーでも好成績を残していたデッキの一つでした。
グランプリ・ミネアポリス2017デッキ紹介
「Zombies」「Black-Green Constrictor」「UW Control」「Mono Black Eldrazi」「Mardu Vehicles」
Zombies
19 《沼》 4 《イフニルの死界》 2 《屍肉あさりの地》 -土地 (25)- 4 《墓所破り》 4 《戦慄の放浪者》 4 《無情な死者》 4 《呪われた者の王》 4 《戦墓の巨人》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 -クリーチャー (21)- |
3 《致命的な一押し》 3 《闇の掌握》 4 《闇の救済》 4 《リリアナの支配》 -呪文 (14)- |
4 《精神背信》 2 《屑鉄場のたかり屋》 2 《不帰+回帰》 2 《最後の望み、リリアナ》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《闇の掌握》 1 《殺害》 1 《霊気圏の収集艇》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード (15)- |
Ramunap Red と相性が良いデッキということでプロツアーでも注目を集めたデッキです。
Steve Locke は今大会、0Byeからスイスラウンドを無敗でプレイオフに勝ち進むというすさまじいパフォーマンスで、その勢いのままに優勝を果たしました。
メインから《ゲトの裏切り者、カリタス》や4枚の《リリアナの支配》が見られるなどRamunap Red とRamunap Red をメタったデッキの両方に有利が付くように調整されています。メインはZombiesを主体にした部族アグロデッキですが、サイド後は《領事の旗艦、スカイソブリン》や《最後の望み、リリアナ》が入りミッドレンジ寄りにシフトしていきます。
☆注目ポイント
《リリアナの支配》はZombiesの全体強化とトークン生成を同時に行うカードで、ミラーマッチやRamunap Red とのマッチアップで特に強さを発揮するので、5マナとコストは重くなりますが、現在はほぼメイン4枚採用確定です。
《ゲトの裏切り者、カリタス》はゾンビクリーチャーではないものの、ゾンビトークンを生み出す置換能力を持ち合わせたこのクリーチャーは除去を多用するこのデッキにフィットしており、Ramunap Red 側も《集団的抵抗》や《反逆の先導者、チャンドラ》で対処可能ではあるものの、それでも3/4絆魂という性能はRamunap Red に対して強いことに変わりはなく、メインから1-2枚採用したいところです。
サイドの《霊気圏の収集艇》はミラーマッチやRamunap Red とのマッチアップでのダメージレースを有利にし、《領事の旗艦、スカイソブリン》も特にミラーマッチでは対処されにくく、有効な追加の勝ち手段となります。
《最後の望み、リリアナ》はアドバンテージを取りつつRamunap Redの多くのクリーチャーを除去し、ゲームが長引くことで「-2」能力も活きてきます。《殺害》はこのデッキにとって対処が困難なクリーチャー化した《領事の旗艦、スカイソブリン》にも効くインスタント除去です。このデッキが苦手とするMardu Vehiclesとのマッチアップでは特に重要です。
Black-Green Constrictor
9 《森》 7 《沼》 4 《花盛りの湿地》 4 《風切る泥沼》 -土地 (24)- 4 《歩行バリスタ》 4 《森の代言者》 4 《巻きつき蛇》 4 《地下墓地の選別者》 2 《ピーマの改革派、リシュカー》 3 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー (21)- |
4 《致命的な一押し》 3 《闇の掌握》 4 《ニッサの誓い》 1 《霊気圏の収集艇》 3 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 -呪文 (15)- |
3 《精神背信》 2 《豪華の王、ゴンティ》 2 《失われた遺産》 2 《不帰+回帰》 2 《ヤヘンニの巧技》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《没収》 1 《没収の曲杖》 -サイドボード (15)- |
毎シーズンコンスタントに入賞を続けている緑黒は、エネルギーや「昂揚」などバリエーションが豊富ですが今大会のファイナリストのCorey Baumeister のリストは《ニッサの誓い》と《地下墓地の選別者》をフル搭載したミッドレンジ寄りです。
メタによってカスタマイズできるのもこのデッキの魅力で、《歩行バリスタ》や2/3の《地下墓地の選別者》や《森の代言者》は、2/1クリーチャーを主力とする赤いデッキに有効です。Ramunap Red を相当意識していたようで《霊気圏の収集艇》もメインから採用されています。
Zombies以外で Ramunap Red に有利を取れるデッキを使いたいという方にもお勧めです。
☆注目ポイント
《地下墓地の選別者》は自身が2/3というサイズに加えて、戦場に1/1のEldrazi Scionトークンを引き連れてくるのでブロッカーを制限してくるRamunap Red とのマッチアップで有効なクリーチャーです。
《森の代言者》は2/3なので《ショック》に耐性があり2/1クリーチャーが中心のRamunap Redに強く攻守に渡って活躍します。中盤以降はサイズが上がり《風切る泥沼》も強化されるのでフィニッシャーとしても十分な性能です。
《ニッサの誓い》は墓地を肥やす必要があり赤いデッキに対してはやや悠長な《ウルヴェンワルド横断》と比べて汎用性が高く、墓地を肥やすために《進化する未開地》などを採用する必要がなくなったので、Ramunap Red やZombiesといったアグロデッキとのマッチアップで序盤に遅れを取ることが減りました。
現環境のベストデッキの一つであり今大会を制したZombiesはメインではやや不利なマッチアップとなるため、サイドには《ヤヘンニの巧技》 や《領事の旗艦、スカイソブリン》といったカードが見られます。
UW Control
9 《島》 6 《平地》 4 《灌漑農地》 4 《大草原の川》 2 《荒廃した瀑布》 -土地 (25)- -クリーチャー (0)- |
2 《送還》 4 《神聖な協力》 4 《検閲》 4 《至高の意志》 4 《天才の片鱗》 3 《ヒエログリフの輝き》 4 《燻蒸》 3 《副陽の接近》 4 《霊気溶融》 3 《排斥》 -呪文 (35)- |
4 《領事の権限》 2 《保護者、リンヴァーラ》 2 《威厳あるカラカル》 2 《奔流の機械巨人》 2 《否認》 2 《啓示の刻》 1 《罪人への急襲》 -サイドボード (15)- |
惜しくもトップ8進出は逃したものの安定した成績を残し続けているDaniel Ward は《副陽の接近》を使った興味深いUW Controlでトップ16という好成績を残していました。
《霊気溶融》、《排斥》、《燻蒸》、《至高の意志》など除去やカウンターで凌ぎつつドロースペルを駆使してキーカードである《副陽の接近》を探しだし勝利を目指します。
《領事の権限》、《保護者、リンヴァーラ》 、《威厳あるカラカル》などサイドにはRamunap Red に有効なカードが多く採用されており、対策が徹底しています。
☆注目ポイント
メインは《副陽の接近》を2度キャストすることが勝ち手段です。クリーチャーを一切採用していないため相手の除去が無駄になるのでアドバンテージとなります。サイド後は《奔流の機械巨人》などクリーチャーが投入され伝統的なコントロールとしても振舞う選択肢があり、《天才の片鱗》、《ヒエログリフの輝き》、《至高の意志》といったドロースペルが豊富なのでゲーム中に引き当てることも比較的容易です。特に《至高の意志》はカウンターとしても機能するフレキシブルさが魅力で、サイドの《奔流の機械巨人》との組み合わせも強力です。
サイドの《領事の権限》は、コストが軽くエンチャントなのでRamunap Red には対処されず、相手の攻勢をスローダウンさせることで《副陽の接近》をキャストするまでの時間を稼ぎます。《威厳あるカラカル》はETBで絆魂を持つ白の1/1の猫クリーチャー・トークンを2体生成するのでブロッカー制限にも耐性があり、ライフゲインは赤いデッキに対して特に有効で追加のフィニッシャーとしても活躍します。
Mono Black Eldrazi
13 《沼》 4 《霊気拠点》 4 《イフニルの死界》 2 《海門の残骸》 1 《荒廃した湿原》 -土地 (24)- 4 《才気ある霊基体》 4 《光袖会の収集者》 4 《作り変えるもの》 2 《マラキールの解放者、ドラーナ》 3 《難題の予見者》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 4 《現実を砕くもの》 -クリーチャー (23)- |
4 《致命的な一押し》 4 《闇の掌握》 2 《集団的蛮行》 3 《最後の望み、リリアナ》 -呪文 (13)- |
2 《豪華の王、ゴンティ》 2 《心臓露呈》 2 《バントゥ最後の算段》 2 《ヤヘンニの巧技》 2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 1 《荒廃した湿原》 1 《難題の予見者》 1 《精神背信》 1 《失われた遺産》 1 《大災厄》 -サイドボード (15)- |
プロツアー直後に開催されたMOのPTQでトップ8に入賞していた黒単のエルドラージアグロで、Ramunap Redに有効とされる2体のクリーチャーである《才気ある霊基体》と《ゲトの裏切り者、カリタス》、それと《マラキールの解放者、ドラーナ》がVampireであることからEldrazi Vampiresとも呼ばれています
《集団的蛮行》を含めた多数の除去に《最後の望み、リリアナ》とRamunap Redに強い要素を多数搭載しており、今大会でも上位に入賞していたことからも有効なチョイスであったことが分かります。
☆注目ポイント
《作り変えるもの》、《現実を砕くもの》、《難題の予見者》はモダンやレガシーでも通用する性能のEldraziクリーチャーです。《作り変えるもの》は除去や戦闘で死亡してもアドバンテージが取れるデッキの主力の一体です。《難題の予見者》は相手のキーカードを追放しつつ4マナ 4/4が着地する規格外のスペックです。《現実を砕くもの》はこのデッキのフィニッシャーで《致命的な一押し》や 《闇の掌握》に耐性があるのも強みです。
《才気ある霊基体》は2マナ接死、絆魂2/3とコストに反して高性能なクリーチャーで、Ramunap Red とのマッチアップで特に強さを発揮するクリーチャーです。ブロッカーを無力化する手段の多いRamunap Red 相手にはブロッカーとしての活躍は期待できないものの、絆魂によるライフゲインと接死は相手に除去を使わせるのに十分で、後続が生き残りやすくなります。
《マラキールの解放者、ドラーナ》は一度攻撃が通り始めれば元々のサイズで勝るEldrazi軍を更に強化し、速やかにゲームを終わらせるほどのインパクトがあります。2ターン目《才気ある霊基体》、3ターン目《マラキールの解放者、ドラーナ》という動きは相手を選ばずに強力です。
無色マナがでる土地としても追加の除去としても使える《イフニルの死界》は黒単Eldraziの復権に貢献しました。各種除去、《最後の望み、リリアナ》、《ゲトの裏切り者、カリタス》、《才気ある霊基体》といったRamunap Red に強いカードが多数採用されているのでRamunap Red が多いメタではお勧めのデッキです。
Mardu Vehicles
3 《平地》 3 《山》 1 《泥濘の峡谷》 4 《秘密の中庭》 4 《感動的な眺望所》 4 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 2 《乱脈な気孔》 -土地 (25)- 3 《歩行バリスタ》 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《ピア・ナラー》 2 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (19)- |
3 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 1 《木端+微塵》 3 《霊気圏の収集艇》 3 《キランの真意号》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (16)- |
3 《反逆の先導者、チャンドラ》 2 《石の宣告》 2 《削剥》 2 《大災厄》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《致命的な一押し》 1 《キランの真意号》 -サイドボード (15)- |
新環境になってあまり目立った活躍はしていなかったMardu Vehiclesも相性の良いZombiesの増加からMOのPTQでも優勝するなど復権の兆しを見せています。
《削剥》をメインから採用したデッキが減少したことにより「機体」の地位も向上しました。
サイド後はプレインズウォーカーが増量されミッドレンジ寄りにシフトしていく構成で、B/G Constrictorやコントロールとのマッチアップに備えます。
☆注目ポイント
5マナのフィニッシャーとして《栄光をもたらすもの》が採用されていた時期もありましたが、《歩行バリスタ》とのシナジーがありインスタントスピードで展開可能な 《大天使アヴァシン》が優先されています。
「機体」のチョイスにも少し変化があり、以前はメインは《キランの真意号》4枚が主流でしたが、Ramunap Red やZombiesなどアグロデッキの増加により枚数が減らされ、《霊気圏の収集艇》がメインから3枚採用されています。特にRamunap Red とのマッチアップでは、絆魂によってダメージレースを有利に持ち込むことがキーとなります。「搭乗」させるクリーチャーにも《ピア・ナラー》のようにトークンを生成するクリーチャーのおかげで困ることは少なくなります。
環境最高のカードとされていた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の枚数も減らされており、ミッドレンジやコントロールよりもアグロデッキを意識していたことが分かります。しかし、サイド後は《領事の旗艦、スカイソブリン》、《反逆の先導者、チャンドラ》だけでなく追加の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が加わり、ミッドレンジ寄りに変形していきます。特に《領事の旗艦、スカイソブリン》は赤単に強いZombiesに対して特に有効なカードとなります。
総括
前回の連載でも予想したようにRamunap Redの天下では終わらず、B/G ConstrictorやZombiesといったRamunap Redに強いデッキが勝ち組となりました。
Zombiesの優勝で幕を閉じたグランプリ・ミネアポリス2017の翌週に行われたMOのPTQではMardu Vehiclesが優勝しているなど、現在のスタンダードの環境は目まぐるしく変化をしています。
今週末にはスタンダードのGPがアメリカ、デンバーで開催されますが果たしてどのようなデッキが勝ち残るのでしょうか?
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
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