USA Standard Express vol.97 -蔓延るゾンビ、暴走する驚異-

Kenta Hiroki

 皆さんこんにちは。

 プロツアー『アモンケット』は日本勢からは渡辺 雄也選手が準優勝、行弘 賢選手が3位に入賞を果たし、筆者とも交流のあるChristian Calcanoの念願の初のトップ8入賞、そして長い間競技マジックシーンで活躍しているプレイヤーであるGerry Thompsonの初のプロツアータイトルなど、とてもエキサイティングな週末でした。

 さて、今回の連載ではプロツアー『アモンケット』で優秀な成績を収めたデッキとその一週間後に開催されたグランプリ・モントリオール2017の結果を見ていきたいと思います。

プロツアー『アモンケット』
~ゾンビ黙示録~

5月14日

Gerry Thompson
※画像はM:tG-JPより引用させていただきました。


1位 Mono Black Zombies
2位 Temur Aetherworks Marvel
3位 BG Energy
4位 Temur Aetherworks Marvel
5位 BW Zombies
6位 Temur Aetherworks Marvel
7位 Mono Black Zombies
8位 Temur Aetherworks Marvel

トップ8のデッキリストは【こちら】

 直前に開催されたSCGO Atlantaで多数の入賞者を出した、前環境から存在するトップメタであるMardu Vehiclesが中心となると予想されていたプロツアー『アモンケット』。ですが蓋を開けてみるとAetherworks Marvelコンボが定義する環境であることが証明され、『アモンケット』からの新戦力が多数導入された環境の新たなアグロデッキであるZombieの登場、そして優勝という結果で幕を閉じました。

 緊急に追加された禁止カード、MOの『アモンケット』先行リリースなど今までとは異なる状況でありましたが、プロツアーを経て環境の全貌が明らかになってきました。

プロツアー 『アモンケット』 デッキ紹介

「Temur Aetherworks」「Jund Gods」「Temur Energy」「Mono Black Zombies」


Martin Muller「Temur Aetherworks」
プロツアー『アモンケット』(4位)

6 《森》
2 《山》
1 《島》
1 《隠れた茂み》
4 《霊気拠点》
4 《尖塔断の運河》
2 《伐採地の滝》
2 《獲物道》
1 《植物の聖域》

-土地(23)-

4 《導路の召使い》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
3 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー(15)-
4 《霊気との調和》
4 《蓄霊稲妻》
2 《霊気溶融》
4 《織木師の組細工》
4 《霊気池の驚異》
4 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文(22)-
4 《不屈の追跡者》
3 《否認》
2 《刻み角》
2 《終止符のスフィンクス》
2 《焼けつく双陽》
2 《慮外な押収》

-サイドボード(15)-
hareruya



 優勝こそ逃したもののプレイオフに4名、スタンダード部門でも優秀な成績を残していたTemur Aetherworks。各チーム、プレイヤーによってリストには差があるものの、今大会でMardu Vehiclesと並ぶ最大勢力でした。今大会やその後のGPのパフォーマンスから現環境のベストデッキの一つであることは間違いなく、見事にプレイオフ進出を決めたMartin Mullerのプロツアー所属チームであるTeam Genesisは、《炎呼び、チャンドラ》を採用するなど他と異なるアプローチを施していました。

☆注目ポイント

炎呼び、チャンドラ

 《天才の片鱗》やカウンター、除去を採用したスペル重視型と異なり、クリーチャーも多く全体的にプロアクティブな構成です。《炎呼び、チャンドラ》は今大会を制したZombiesに強く、追加の勝ち手段としてサイド後のコンボ対策にも耐性ができます。Zombiesに対しては、サイド後は《炎呼び、チャンドラ》《焼けつく双陽》の2種類のスイーパーによってかなり有利に戦える構成です。

不屈の追跡者刻み角慮外な押収

 サイドの《不屈の追跡者》は、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》に対する妨害要素が増えるサイド後のゲームにおいて、追加の勝ち手段とアドバンテージ獲得手段として活躍します。サイド後は相手も除去を減らしてくることが多いので、ほとんどのマッチアップでサイドインされます。

 同じ3マナの《つむじ風の巨匠》数体と入れ替わることが多く、ミラーマッチでは除去されずに数ターン《不屈の追跡者》が生き残ればそれ一体でゲームを終わらせるほどのインパクトがあります。《刻み角》《慮外な押収》も主にミラーマッチで相手の《霊気池の驚異》対策となります。


Patrick Dickmann「Jund Gods」
プロツアー『アモンケット』(7-2-1)

4 《森》
3 《山》
1 《沼》
1 《隠れた茂み》
4 《霊気拠点》
4 《花盛りの湿地》
4 《獲物道》

-土地(21)-

4 《緑地帯の暴れ者》
4 《通電の喧嘩屋》
4 《屑鉄場のたかり屋》
2 《牙長獣の仔》
2 《不屈の神ロナス》
3 《熱烈の神ハゾレト》
2 《逆毛ハイドラ》
2 《栄光をもたらすもの》

-クリーチャー(23)-
4 《霊気との調和》
2 《顕在的防御》
2 《致命的な一押し》
4 《無許可の分解》
4 《キランの真意号》

-呪文(16)-
3 《光輝の炎》
2 《うろつく蛇豹》
2 《グレムリン解放》
2 《精神背信》
2 《領事の旗艦、スカイソブリン》
1 《致命的な一押し》
1 《没収》
1 《生命の力、ニッサ》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード(15)-
hareruya


 ヨーロッパのプロで、過去のモダンのプロツアーでは無限コンボのSplinter Twinの名人として入賞経験もあるPatrick Dickmanは、今大会でとても興味深いデッキを持ち込みスタンダード部門で7-2-1という好成績を残していました。《熱烈の神ハゾレト》《不屈の神ロナス》という赤と緑のGodをフィーチャーしたエネルギーデッキで、《無許可の分解》《致命的な一押し》《精神背信》といった除去と妨害スペルのために黒をタッチしています。先週末に開催されたMOCS Playopffでも入賞している要注目のデッキです。

☆注目ポイント

緑地帯の暴れ者不屈の神ロナス

 《緑地帯の暴れ者》は最速2ターン目に展開することが可能なクリーチャーで、3/4というサイズは《蓄霊稲妻》など火力系の除去で処理され難く優秀です。

 《不屈の神ロナス》はクリーチャーとして機能するためには他のパワー4以上のクリーチャーをコントロールしているという条件が存在しますが、自身の起動能力によってクリーチャーを強化することにより容易に条件を満たすことが可能で、トランプルも付くのでチャンプブロックすら許しません。

熱烈の神ハゾレト栄光をもたらすもの

 もう一体のGodである《熱烈の神ハゾレト》は素で5/4というサイズなので《不屈の神ロナス》の攻撃・ブロック参加条件を達成することができ、3ターン目《不屈の神ロナス》、4ターン目《熱烈の神ハゾレト》という流れは相手にとって脅威的です。手札の少なくなる中盤以降には、速攻のパワー5とフィニッシャーとしても頼りになります。他の速攻持ちのクリーチャーに《栄光をもたらすもの》もいるので、ソーサリー系のスイーパーに耐性があります。

逆毛ハイドラ

 《逆毛ハイドラ》もエネルギーカウンターの使い道として最適で、除去耐性もあり頼りになるフィニッシャーとなります。

顕在的防御

 もしも《不屈の神ロナス》によって強化したクリーチャーをアタックに行く前に除去されそうになっても、《顕在的防御》で守れば除去を無効化しつつ、より多くのダメージを与えることが可能です。


Michael Brierley「Temur Energy」
プロツアー『アモンケット』(8-2)

5 《森》
2 《山》
1 《島》
4 《霊気拠点》
4 《植物の聖域》
2 《獲物道》
2 《伐採地の滝》
1 《尖塔断の運河》

-土地(21)-

4 《媒介者の修練者》
4 《導路の召使い》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
4 《逆毛ハイドラ》
4 《栄光をもたらすもの》
4 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー(28)-
4 《霊気との調和》
3 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》

-呪文(11)-
4 《否認》
3 《コジレックの帰還》
2 《造命師の動物記》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《刻み角》
1 《マグマのしぶき》
1 《グレムリン解放》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-サイドボード(15)-
hareruya


 《媒介者の修練者》の登場により、緑のミッドレンジは《導路の召使い》と合わせてマナ加速クリーチャーを合計8枚採用可能になり、安定してマナを伸ばすことが可能になりました。惜しくもプレイオフ進出は叶いませんでしたが、スタンダード部門を8-2という好成績で終えたMichael BrierleyのTemur Eneregyは、マナ加速とエネルギーカウンターを利用したEmerge要素も含まれているマナランプ型のミッドレンジです。

☆注目ポイント

つむじ風の巨匠媒介者の修練者ならず者の精製屋

 今やスタンダードの定番クリーチャーとなった《ならず者の精製屋》《つむじ風の巨匠》でアドバンテージとエネルギーを稼ぎ、《逆毛ハイドラ》《栄光をもたらすもの》といった強力なクリーチャーを素早く展開してビートダウンしていきます。

 《ならず者の精製屋》《つむじ風の巨匠》《媒介者の修練者》《導路の召使い》といったクリーチャーは《老いたる深海鬼》のEmergeのコストとしても最適で、マナ加速を利用することによってフィニッシャーを高速展開しつつ相手をタップアウトさせることによって、ブロックやソーサリースペルによる除去のチャンスも与えません。

否認造命師の動物記反逆の先導者、チャンドラ

 メインは単調なマナランプ型のミッドレンジアグロですが、サイドにはカウンターの《否認》が4枚に《造命師の動物記》《反逆の先導者、チャンドラ》といったカードも見られ、コントロールなどとのロングゲームにも備えがあります。

 《否認》はAetherworksコンボや最近使用率が上昇傾向にある《炎呼び、チャンドラ》をわずか2マナでカウンターし、《造命師の動物記》は中盤以降引いてきた《媒介者の修練者》《導路の召使い》といったマナクリーチャーも有効に使うことを可能にします。

領事の旗艦、スカイソブリン

 《領事の旗艦、スカイソブリン》はアーティファクトに触る手段に乏しいZombiesに有効な「機体」で、パワー3が多めのこのデッキにフィットしています。MOでの勝率も高めなので、Jund Godsと同様に今後のスタンダードにおいて要注目のデッキの一つです。

Interview with Gerry Thompson

 今大会でZombiesを使用し、見事に優勝を果たしたGerry。プロとしてのキャリアも長く、筆者とも交流のあるプレイヤーなので、今回の彼のプロツアー初優勝は感動的でした。今回彼が使用したZombiesは、ローウィン・ブロックのKithkinを彷彿とさせる単色の部族アグロで、《墓所破り》《戦墓の巨人》といったアドバンテージが取れるクリーチャーや、《闇の救済》《リリアナの支配》といった手数の多さ、さらには《無情な死者》《戦慄の放浪者》などの墓地から復活してくるクリーチャーにより、単色のアグロとは思えないほどの粘り強さがあります。

戦墓の巨人リリアナの支配戦慄の放浪者

 BWバージョンも含めるとプレイオフに3名送り込んでおり、あまりマークされていなかったというアドバンテージを考慮しても凄まじいパフォーマンスです。念願のプロツアーのトロフィーを持ち帰ったGerryですが、なんとトロフィーも含め彼がプロツアーで入手したグッズ、使用していたデッキをEbayに出店しています。そこから得た利益は、アメリカの非営利の婦人科であるPlanned Parenthoodに寄付されるようです。

 今回の連載のために、Gerryにお話を聞くことができました。

--「プロツアー優勝おめでとう!プロツアータイトルを獲得した今の気持ちを聞かせて!」

Gerry「マジックを長いことプレイしていて、プロツアーの優勝は長い間達成不可能な目標だったから実感が湧かないね。手短に答えると良い気分だね。まだ信じられないけどね。」

--「プロツアーのトロフィーも含めて使っていたデッキ、プロツアーの参加者に配られるシャツなどグッズをオークションに出品していることはすでにソーシャルメディアを通して世界中に拡散しているけど、もしよかったらPlanned Parenthoodに寄付することに至った経緯も教えて欲しい。」

Gerry「プロツアーから帰りのフライトで多くの友人から寄せられたメッセージを読んで、自分がどんなに恵まれた環境にあるのかが分かって今までサポートしてくれたコミュニティに対して何かお返しができないか考えたんだ。数日間色々と調べてみた結果今回の決断に至った。これからも大きな大会で勝ったら寄付をしていこうと思うし、これをきっかけにコミュニティ全体で助け合っていけるようにしていきたい。

--「今大会に向けてどういった準備をしてきたのかな。」

Gerry「主にMOで調整をしたんだ。Nashvilleに着いてからはチームメイト(CFB Fireとその仲間)との練習をしたことが今大会で成功する原動力になったよ。Zombiesは警戒されていなかったこともあって、練習中に今大会でベストなチョイスになるポテンシャルを持っていることに気が付いた。すでにMOで結果を残していたリストを参考に、主にサイドボードをしっかりとしたプランの下に調整をしたんだ。」

--「各デッキとのマッチアップについて(Aetherworksコンボ、Mardu、UR Controlなど)教えて欲しい。」

Gerry「Marduに強くて、他のマッチアップはほぼ互角だったけど、それはメタられていなかった時の話で現在ではかなり違ってきているね。先週末(プロツアーの翌週)に開催されたGPではZombiesは当然だけどかなり意識されていて、ほとんどのAetherworksコンボが《炎呼び、チャンドラ》をメインから積んでいるし、Marduまでも《光輝の炎》を採用している環境はZombiesにとってかなり厳しいね。」

炎呼び、チャンドラ光輝の炎

Gerry「それでもまだ上位で見かけるくらいだから、ほとんどメタられていなかったプロツアーの時点ではMarduとURも含めた多くのマッチアップは有利で、結果的にベストなチョイスだった。Aetherworksコンボはバージョンにもよるけど《炎呼び、チャンドラ》を採用したバージョンに対しては少し不利が付いて、《検閲》《天才の片鱗》を採用したバージョンとの相性は少しマシになる。」

--「今後Zombiesを使うとしたら変更したい点はある?」

Gerry「正直言うと今の環境では黒単のままでは少し厳しいかな。メタがシフトしていってAetherworksコンボがミラーマッチを意識するようになり、Zombies対策が減ったときこそ再び黒単が真価を発揮できるときだ。今もしZombiesをプレイするなら、白を足して《苦渋の破棄》を採用するのが良さそうだね。」

苦渋の破棄

--「今回も忙しい中質問に答えてくれてありがとう。改めてプロツアー優勝おめでとう!」

 Tier1(特にアグロデッキ)の宿命として、プロツアーという大舞台で勝ってしまったことで追われる立場になったZombies。グランプリ・モントリオール2017やMOの結果を見るからにかなりメタられていますが、逆に先週末のGPのように極端に対策をしなくてはならないほどの強さだということです。今後もスタンダードのTier1として人気が出そうなアーキタイプになりそうなので、くれぐれも対策は忘れずに。

グランプリ・モントリオール2017
強力なアーティファクトAetherworks Marvelが本領を発揮

5月22日

Kevin Jones
※画像はMAGIC: THE GATHERINGより引用させていただきました。


1位 Temur Aetherworks Marvel
2位 Temur Aetherworks Marvel
3位 UR Control
4位 Mardu Vehicles
5位 Mono Black Zombies
6位 BG Aggro
7位 Temur Aetherworks Marvel
8位 Mardu Vehicles

トップ8のデッキリストは【こちら】

 プロツアーでも人気があったTemur Aetherworks Marvelは今大会でも勝ち組で、決勝戦はTemur Aetherworks Marvelミラーでした。プロツアーの結果を受けて各プレイヤーはかなりZombiesを意識しており、それゆえにZombiesはプロツアーほどの活躍はできなかったようですが、そのようなメタゲームでもプレイオフに残っているのは流石です。また仮想敵が定まりつつある現在は、コントロールデッキにとっても良い環境のようです。

グランプリ・モントリオール2017デッキ紹介

「UR Control」



MAaxime Aubin「UR Control」
Ground Prix Montreal(3位)

10 《島》
4 《山》
4 《霊気拠点》
4 《尖塔断の運河》
4 《さまよう噴気孔》

-土地(26)-

4 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(4)-
4 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》
4 《検閲》
3 《否認》
2 《予期》
1 《本質の散乱》
1 《明日からの引き寄せ》
3 《不許可》
2 《焼けつく双陽》
1 《虚空の粉砕》
4 《天才の片鱗》
1 《暗記+記憶》

-呪文(30)-
3 《氷の中の存在》
2 《竜使いののけ者》
2 《払拭》
2 《力ずく》
2 《本質の散乱》
1 《終止符のスフィンクス》
1 《否認》
1 《即時却下》
1 《粗暴な排除》

-サイドボード(15)-
hareruya


 メインのクリーチャーは《奔流の機械巨人》のみで、残りはカウンター、除去、ドロースペルでまとめられている青赤の2色のコントロールデッキです。プロツアーが終了し、メタも固まってきている現在では良い選択肢の一つです。

 旧環境では《屑鉄場のたかり屋》擁するMarduを始めとしたアグロデッキに苦戦を強いられましたが、《マグマのしぶき》の再録により以前よりも容易に対処できるようになっています。

☆注目ポイント

焼けつく双陽

 ゾンビの群れを一掃する《焼けつく双陽》は現在は極めて重要で、このカードが役に立たないコントロールミラーやAetherworksコンボとのマッチアップでも「サイクリング」することができるので3枚目を採用しても良いかもしれません。

検閲

 《検閲》は4ターン目の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《霊気池の驚異》、アグロのZombiesも《リリアナの支配》などヘイメイカー(決定的となるスペルやアクション)を最速で展開するためにタップアウトすることが多く、相手が警戒して追加のマナを支払うためにそれらの脅威の展開を遅らせれることがあれば、ゲームが長引きコントロールにとって有利な展開に持ち込みやすくなります。

 このタイプのスペルにありがちな、マナの余る中盤以降に腐るという弱点も「サイクリング」によって補われており、現環境最高のカウンターの一枚としてTemur Aetherworksコンボにも採用されています。

本質の散乱不許可明日からの引き寄せ

 《不許可》はプレインズウォーカーの奥義や《霊気池の驚異》の起動もカウンターできる汎用性の高いカウンターです。《本質の散乱》《否認》といったカウンターもメインから採用されており、相手がカウンターを警戒してアクションを起こさなかったターンも《天才の片鱗》《明日からの引き寄せ》といったドロースペルでアドバンテージに差を付けていくといったパーミッションコントロールスタイルのプレイングが可能で、この手のタイプの戦略が好きなプレイヤーにお勧めのデッキです。

竜使いののけ者

 メインはほぼノンクリーチャーですが、サイドには数種類のクリーチャーが見られます。《竜使いののけ者》はミッドレンジやコントロールミラーで追加の勝ち手段として活躍が期待できます。1マナと軽いため、カウンター用のマナを残しつつ展開することができるのが強みです。

終止符のスフィンクス氷の中の存在

 《終止符のスフィンクス》はコントロールミラーにおける最終兵器で、全体除去も打ち消されなくなった《否認》などでバックアップしていくことで対策できます。《氷の中の存在》はZombiesなどアグロデッキ相手に序盤を凌ぐブロッカーとなり、このデッキにとって触りにくい《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に対しても、「変身」することで相手のクリーチャーを全てバウンスした後にアタックし処理することも可能になります。メインに採用されていないのは相手の手札で腐っているであろう除去スペルを有効札に変えてしまうことが理由で、サイド後は多くのマッチアップで投入されます。

粗暴な排除

 《粗暴な排除》はMardu VehiclesやZombiesとのマッチアップでサイドインされるスペルで、《屑鉄場のたかり屋》など墓地から復活してくる系のクリーチャーに対する追加の回答となります。

総括

 Mardu Vehiclesの天下になると思われていたスタンダード環境でしたが、プロツアー『アモンケット』やその後に開催されたGPではMono Black Zombies、Temur Aetherworks、UR Controlなど様々なデッキが活躍をしています。

 その中でもAetherworksコンボはGPでワンツーフィニッシュを果たし、MOでもダントツのトップメタであり頭一つ抜けている印象です。来月もGP OmahaやAmsterdam、Manilaと世界中でスタンダードのイベントが開催されるので、他のデッキがAetherworksコンボにどのように対抗していくのか楽しみです。

 以上、USA Standard Express vol.97でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。

 楽しいスタンダードライフを!

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