皆さんこんにちは。
先週の禁止制限告知により《霊気池の驚異》が禁止カードに指定されました。
プロツアー『アモンケット』以降の大会結果から予想されていた方も多いと思われます。フォーマット、カードのデザインの難しさが改めて証明された形となりましたが、もう一つ重要な要素として年に2度行われていたローテーションの評判が著しくなかったことで、昨年10月に急遽、年に一度のローテーションに変更されたことが挙げられます。
『戦乱のゼンディカー』ブロックが残ることを想定されておらず、本来ならば春に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》はローテーション落ちしているはずでした。『アモンケット』のカードの多くも『戦乱のゼンディカー』がローテーション落ちしていたことを前提に考えられてデザインされていたため、2種類のギデオンなど開発側が意図しなかった現象を生み出す原因となっています。
さて、前置きが長くなりましたが今回の連載では《霊気池の驚異》禁止後の環境で活躍が予想されるデッキを見ていきたいと思います。
《霊気池の驚異》禁止後の環境
Mardu Vehicle
4 《平地》 2 《沼》 1 《山》 2 《泥濘の峡谷》 4 《秘密の中庭》 4 《感動的な眺望所》 4 《産業の塔》 2 《乱脈な気孔》 2 《霊気拠点》 -土地 (25)- 2 《歩行バリスタ》 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《異端聖戦士、サリア》 2 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (18)- |
4 《致命的な一押し》 1 《木端+微塵》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (17)- |
2 《グレムリン解放》 2 《精神背信》 2 《リリアナの誓い》 2 《先駆ける者、ナヒリ》 2 《死の宿敵、ソリン》 1 《マグマのしぶき》 1 《木端+微塵》 1 《苦渋の破棄》 1 《苦い真理》 1 《燻蒸》 -サイドボード (15)- |
旧環境からトップクラスのカードパワーであった《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と《キランの真意号》を搭載したMardu Vehiclesは能動的な戦略を採れることもあり、《霊気池の驚異》禁止後の環境におけるデッキ選択として有力とされています。
しかしながら、ZombiesやBGが復権してくることを考えると、新環境での立ち位置は未知数です。サイドに《燻蒸》や《光輝の炎》、《マグマのしぶき》といったカードを採用する必要が出てきそうです。
Mono Black Zombies
22 《沼》 2 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (24)- 4 《墓所破り》 4 《戦慄の放浪者》 4 《金属ミミック》 4 《無情な死者》 4 《戦墓の巨人》 4 《呪われた者の王》 -クリーチャー (24)- |
4 《闇の救済》 2 《致命的な一押し》 3 《闇の掌握》 3 《リリアナの支配》 -呪文 (12)- |
3 《屑鉄場のたかり屋》 3 《最後の望み、リリアナ》 2 《豪華の王、ゴンティ》 2 《精神背信》 2 《失われた遺産》 2 《霊気圏の収集艇》 1 《闇の掌握》 -サイドボード (15)- |
プロツアー『アモンケット』で優勝したことも記憶に新しいZombiesは、その後元々相性がやや不利であったMarvelが《炎呼び、チャンドラ》をメインから採用するなど対策が激しくなり、苦戦を強いられました。
しかし、《霊気池の驚異》が退場したことで、除去、カードアドバンテージ獲得手段などが一通り揃っているミッドレンジアグロのMono Black Zombiesはクリーチャーデッキ全般に強いこともあり、新環境のベストデッキ候補の一つです。
《霊気池の驚異》が退場したことによりサイドボードに変更を加える必要が出てきますが、基本的にメインは前環境から変更は加える必要がなさそうです。また、新環境では白を足したバージョンよりも黒単色バージョンの方が流行りそうです。
Black Green
ConstrictorやDelirium(昂揚)などバリエーションがあり、《霊気池の驚異》禁止後の環境で勢力を増しそうなアーキタイプです。
6 《森》 4 《沼》 4 《霊気拠点》 4 《花盛りの湿地》 3 《風切る泥沼》 -土地 (21)- 4 《歩行バリスタ》 4 《光袖会の収集者》 4 《牙長獣の仔》 4 《巻きつき蛇》 3 《ピーマの改革派、リシュカー》 2 《不屈の追跡者》 3 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー (24)- |
4 《霊気との調和》 3 《顕在的防御》 3 《致命的な一押し》 2 《闇の掌握》 3 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 -呪文 (15)- |
3 《刻み角》 2 《逆毛ハイドラ》 2 《豪華の王、ゴンティ》 2 《精神背信》 2 《ヤヘンニの巧技》 2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 1 《不屈の追跡者》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード (15)- |
アグレッシブな構成のConstrictorは、新環境でも有力な選択肢の一つとなりそうであり、《栄光をもたらすもの》などに対抗するために《致命的な一押し》よりも《闇の掌握》や《不帰+回帰》といった除去が優先されそうです。
6 《沼》 5 《森》 3 《進化する未開地》 4 《花盛りの湿地》 4 《風切る泥沼》 -土地 (22)- 4 《歩行バリスタ》 4 《残忍な剥ぎ取り》 4 《巻きつき蛇》 4 《不屈の追跡者》 2 《ピーマの改革派、リシュカー》 2 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー (20)- |
4 《致命的な一押し》 4 《ウルヴェンワルド横断》 2 《造反者の解放》 2 《闇の掌握》 1 《殺害》 1 《不帰+回帰》 2 《最後の望み、リリアナ》 2 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 -呪文 (18)- |
4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《豪華の王、ゴンティ》 2 《ヤヘンニの巧技》 1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《害悪の機械巨人》 1 《闇の掌握》 1 《不帰+回帰》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《死の権威、リリアナ》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
コントロール寄りのDeliriumバージョンは《霊気池の驚異》コンボ相手にはタップアウトするとそのまま負ける可能性が高かったため旧環境では不利でしたが、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》はMardu Vehiclesなどのフェアデッキに対しては無類の強さを見せるため、新環境では価値が上がりそうです。
Temur Energy
5 《森》 2 《山》 1 《島》 4 《霊気拠点》 4 《植物の聖域》 3 《尖塔断の運河》 2 《獲物道》 -土地 (21)- 4 《牙長獣の仔》 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 4 《つむじ風の巨匠》 4 《逆毛ハイドラ》 4 《栄光をもたらすもの》 3 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー (27)- |
4 《霊気との調和》 2 《マグマのしぶき》 4 《蓄霊稲妻》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文 (12)- |
3 《不屈の追跡者》 2 《否認》 2 《光輝の炎》 2 《バラルの巧技》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《炎呼び、チャンドラ》 1 《不屈の神ロナス》 1 《マグマのしぶき》 -サイドボード (15)- |
MOでは、先週のメンテ明けから新環境のスタンダードがリアルよりも先行してプレイできるようになっており、既に新環境向けに調整されたリストが結果を残しています。その中でもTemur Energyはカード資産的にも《霊気池の驚異》デッキのカードが多数運用できることも手伝い、最もポピュラーなデッキです。
エネルギーを使うクリーチャーでビートダウンしていく戦略で、マナ加速から展開される《栄光をもたらすもの》やエネルギークリーチャーなどをサクリファイスすることで《老いたる深海鬼》に繋げていきます。《霊気池の驚異》の退場により環境に対策必須のコンボが存在しないため《否認》がサイドに落とされており、Zombiesや《屑鉄場のたかり屋》対策になる《マグマのしぶき》がメインから採用されているなど、環境の変化に合わせて調整されています。
《儀礼的拒否》もMarvelの退場により価値が下がったため、採用を見送られています。《残忍な剥ぎ取り》《不屈の追跡者》、そして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》などのプレインズウォーカーが多く見られそうな環境では《栄光をもたらすもの》の地位が向上します。UR Controlなどに有効なフィニッシャーで速攻持ちなので《燻蒸》といったスイーパーにも強いクリーチャーです。
GW Tokens
5 《平地》 4 《森》 4 《梢の眺望》 4 《まばらな木立ち》 4 《要塞化した村》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (24)- 2 《歩行バリスタ》 4 《スレイベンの検査官》 3 《栄光半ばの修練者》 2 《異端聖戦士、サリア》 3 《大天使アヴァシン》 1 《賞罰の天使》 -クリーチャー (15)- |
4 《ニッサの誓い》 3 《停滞の罠》 2 《排斥》 4 《キランの真意号》 4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (21)- |
3 《燻蒸》 2 《折れた刃、ギセラ》 2 《サリアの槍騎兵》 2 《断片化》 1 《不屈の追跡者》 1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《消えゆく光、ブルーナ》 1 《造反者の解放》 1 《停滞の罠》 1 《排斥》 -サイドボード (15)- |
コンボデッキの退場により4ターン目以降にタップアウトするリスクが減少し、GW Tokensのようなミッドレンジも復権してきています。
《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》によってクリーチャーを強化することで、《キランの真意号》に乗せることが可能になります。プレインズウォーカーを多数採用しているので、乗り手に困ることは少なくなります。
除去の薄さは気になりましたが、《停滞の罠》や《排斥》といったインスタントスピードでキャスト可能な除去エンチャントや《歩行バリスタ》によって、ある程度まではカバーできるようになっています。このタイプのデッキにとって脅威となる《栄光をもたらすもの》対策は必須なので、サイドにも追加の《停滞の罠》と《排斥》が採用されています。
総括
《霊気池の驚異》コンボによって不利な立場にあったデッキの復権と、コンボの存在により構築を歪めざる得なかった既存のデッキも本来の形に戻ることが予想されます。
新環境ではZombiesやTemur Energyといったプロアクティブなデッキが活躍しそうです。仮想敵が定まっておらず、BGやMardu Vehiclesはプレインズウォーカーを多数搭載しているため、コントロールにとっては厳しいメタとなりそうです。
以上USA Standard Express vol.99でした。
次回の連載では新環境のスタンダードの大規模なイベントであるSCG Invitationalの結果を見ていく予定です。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
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