皆さんこんにちは。
今週末には『破滅の刻』のプレリリースが開催されますが皆さんは参加されますか?
新セットのリリース前後は新しいデッキを考えるのが楽しい時期です。
今回の連載では禁止改定後、初のスタンダードの大規模なイベントであるSCG Invitational Season Oneの入賞デッキを見ていきたいと思います。おまけとして『破滅の刻』の注目カードもご紹介させていただきます。
本題に入る前に、今回でめでたく連載100回目を迎えることができたことをご報告させていただきます。編集スタッフや読者の皆さんの支えでここまで続けることができました。皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。今後もアメリカのスタンダードの情報をお届けしていけるよう精進していきたいと思います。
SCG Invitational Season One
新たなコンボデッキがSCG Invitationalを制する
2017年7月1日
- 1位 Grixis Colossus
- 2位 Mardu Vehicles
- 3位 Temur Pummeler
- 4位 WU Monument
- 5位 Temur Energy
- 6位 Temur Energy
- 7位 Temur Control
- 8位 BG Energy
Brian Coval
トップ8のデッキリストはこちら
スタンダードとモダンの混成で行われたSCG Invitational Season Oneは、禁止改定後のスタンダードの大規模なイベントとして注目を集めました。
新環境ということでTemur Energy 、BG Energy、Mardu Vehiclesといったアグロデッキが中心で、他には今回入賞を果たしたSCGの強豪プレイヤーのTodd Andersonやプロツアーアモンケットを制したGerry Thompsonも使用していたWU Monumentも見られました。
結果優勝を果たしたのは《金属製の巨像》を高速展開するローグコンボデッキでした。
SCG Invitational Season Oneデッキ紹介
「Grixis Colossus」「BG Aggro」「WU Monument」「Temur Energy」
Grixis Colossus
2 《島》 2 《沼》 1 《山》 4 《霊気拠点》 4 《ウギンの聖域》 4 《産業の塔》 2 《尖塔断の運河》 2 《発明博覧会》 -土地 (21)- 4 《光り物集めの鶴》 2 《艱苦の伝令》 1 《老いたる深海鬼》 4 《金属製の巨像》 -クリーチャー (11)- |
3 《致命的な一押し》 3 《コジレックの帰還》 1 《橋上の戦い》 4 《改革派の地図》 4 《予言のプリズム》 3 《金属紡績工の組細工》 4 《耕作者の荷馬車》 4 《面晶体の記録庫》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文 (28)- |
3 《作り変えるもの》 3 《金属の叱責》 2 《バラルの巧技》 2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 1 《歩行バリスタ》 1 《世界を壊すもの》 1 《儀礼的拒否》 1 《致命的な一押し》 1 《没収》 -サイドボード (15)- |
マナアーティファクトや《予言のプリズム》などキャントリップアーティファクトを利用し、数体の《金属製の巨像》を5ターン目に展開する多色ランプデッキ。
4ターンコンボの退場により注目されるようになりました。ローグデッキのアドバンテージで特にマークされていなかったことも勝因の一つです。
SCG Invitationalという大規模なイベントを優勝したことで、今後は多くのデッキがアーティファクト対策をすることで厳しくなりそうですが、デッキパワーの高さは証明済みです。
☆注目ポイント
《ウギンの聖域》は《金属製の巨像》をキャストすることで、追加の《金属製の巨像》をサーチでき、1ターンに10/10を数体展開するという動きを可能にします。
《老いたる深海鬼》は《ウギンの聖域》のサーチ先の選択肢の一つです。相手のマナをタップアウトさせて時間を稼いだり、《金属製の巨像》の攻撃を通すために相手のブロッカーをタップしたりと攻守に渡って活躍します。
《艱苦の伝令》 は《致命的な一押し》 や《闇の掌握》といった環境の代表的な除去に耐性があり、5/5飛行とクロックとしても優秀で、アーティファクト対策にも引っかかりません。手札を捨てさせる能力により相手に迅速な対策を要求し、除去能力は多くのクリーチャーデッキに有効です。
《光り物集めの鶴》は1/3でブロッカーとして機能しつつ《金属製の巨像》やマナアーティファクト、キャントリップアーティファクトをサーチします。
サイド後は《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》や《金属の叱責》、《作り変えるもの》が投入され、アグロコントロール寄りにシフトすることで、相手がサイドインしてくるであろうアーティファクト対策に対抗します。
BG Aggro
6 《森》 4 《沼》 4 《霊気拠点》 4 《花盛りの湿地》 3 《風切る泥沼》 -土地 (21)- 4 《歩行バリスタ》 4 《光袖会の収集者》 4 《牙長獣の仔》 4 《巻きつき蛇》 3 《ピーマの改革派、リシュカー》 2 《不屈の追跡者》 3 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー (24)- |
4 《霊気との調和》 3 《致命的な一押し》 3 《顕在的防御》 2 《闇の掌握》 3 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 -呪文 (15)- |
3 《ヤヘンニの巧技》 2 《精神背信》 2 《不帰+回帰》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《刻み角》 1 《豪華の王、ゴンティ》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《造命師の動物記》 1 《英雄的介入》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
緑黒は新環境のスタンダードで毎回結果を残しており、今回も例外ではありません。MOでもコンスタントに5-0しているデッキです。
Saheeliコンボや《霊気池の驚異》 といった4ターンコンボの退場により、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》などプレインズウォーカーの価値も増しました。
『破滅の刻』から《バントゥ最後の算段》、《破滅の刻》、《啓示の刻》といった3種類のスイーパーとカウンターを乗せる戦略に対するアンチカードである《厳粛》が加入することから、『破滅の刻』加入後の環境でのポジションは未知数です。
☆注目ポイント
4ターン目にコンボを決めてくるデッキの退場により、《緑地帯の暴れ者》が抜けて《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》が採用されるなどミッドレンジ寄りに調整されています。
《霊気池の驚異》を割る必要がなくなったことで、《造反者の解放》をメインから採用する必要がなくなりました。
《不屈の追跡者》はスイーパーが増加する『破滅の刻』加入後の環境では、「調査」によってアドバンテージが稼げるので評価が上がりそうです。
《ヤヘンニの巧技》はZombiesに対して有効なスイーパーです。相手の戦場を更地にしつつ《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》を展開するという動きも可能で、クリーチャーのサイズの調整がしやすい緑黒にとって便利なスイーパーです。
WU Monument
8 《平地》 3 《島》 3 《灌漑農地》 4 《港町》 4 《大草原の川》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《ハンウィアーの民兵隊長》 4 《無私の霊魂》 4 《往時の主教》 4 《呪文捕らえ》 4 《雲先案内人》 -クリーチャー (24)- |
2 《停滞の罠》 2 《金属の叱責》 3 《黄昏+払暁》 4 《オケチラの碑》 -呪文 (11)- |
3 《本質の散乱》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《賞罰の天使》 2 《石の宣告》 2 《断片化》 1 《払拭》 1 《金属の叱責》 1 《黄昏+払暁》 -サイドボード (15)- |
緑黒、Mardu、Temur Energy、Zombiesといったクリーチャーデッキが中心の現在では、幅広い脅威に対して対策が難しくコントロールにとっては厳しい環境となります。
《霊気池の驚異》の退場によりミッドレンジにもチャンスが巡って来ました。
スイーパーを搭載したコントロールが少なく、クリーチャーデッキが多くを占めた今大会ではUW Monumentのように戦場をトークンで固めてアドバンテージを取るミッドレンジにとって有利なメタでした。
☆注目ポイント
《雲先案内人》、《スレイベンの検査官》、《往時の主教》などデッキ内のクリーチャーの多くがETB能力持ちで、クリーチャーを高速展開してビートダウンするよりも、アドバンテージを取りつつコントロールしていき回避能力を活かしてじっくりと勝利を目指していきます。
このデッキは《金属の叱責》やインスタントスピードのパーマネント除去、相手の除去などを妨害する瞬速クリーチャーの《呪文捕らえ》や《大天使アヴァシン》、スイーパーなどから自軍のクリーチャーを守る《無私の霊魂》などWU Flashの要素も持ち合わせています。
《オケチラの碑》はこのデッキの白いクリーチャースペルのコストを軽減します。《往時の主教》と相性が良く、クリーチャーをキャストする度にトークンを生み出すため、瞬速クリーチャーと組み合わせることでブロッカーを生成し、除去のように振舞うことも可能です。トークンが自然と並ぶため《ハンウィアーの民兵隊長》を変身させることも比較的容易です。
多くのクリーチャーのパワーが3未満なので、多くの場合《黄昏》は相手サイドのみの一方的なスイーパーとして機能し、中盤以降は《払暁》でアドバンテージを取ることも可能なので、このタイプのデッキと相性が良いスペルです。
Temur Energy
4 《森》 2 《山》 1 《島》 2 《獲物道》 4 《霊気拠点》 4 《植物の聖域》 3 《尖塔断の運河》 1 《さまよう噴気孔》 -土地 (21)- 4 《導路の召使い》 3 《牙長獣の仔》 2 《媒介者の修練者》 4 《ならず者の精製屋》 2 《不屈の追跡者》 2 《つむじ風の巨匠》 3 《逆毛ハイドラ》 2 《栄光をもたらすもの》 3 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー (25)- |
4 《霊気との調和》 2 《顕在的防御》 4 《蓄霊稲妻》 1 《ニッサの誓い》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文 (14)- |
2 《マグマのしぶき》 2 《否認》 2 《本質の散乱》 2 《コジレックの帰還》 2 《バラルの巧技》 1 《刻み角》 1 《不屈の追跡者》 1 《木端+微塵》 1 《人工物への興味》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード (15)- |
エネルギーを利用したミッドレンジアグロで公式でも《霊気池の驚異》の後釜候補として紹介されていたTemur Energy。
環境から去ったSaheeliコンボと《霊気池の驚異》コンボに共通することは、『カラデシュ』のメカニックの一つであるエネルギーカウンターというメカニックを活用していることで、エネルギーカウンターはその強さを物語っています。
『破滅の刻』リリース後の環境では、露骨な対策カードである《厳粛》が加入することもあり、同様にエネルギーカウンターを持つクリーチャーやカードを活用する緑黒と同様にデッキの立ち位置は未知数です。
☆注目ポイント
エネルギーカウンターは《ならず者の精製屋》や《つむじ風の巨匠》などを除いて、それ自体に直接アドバンテージを得る手段にはなりませんが、エネルギーカウンターがある状態では《逆毛ハイドラ》に対して単体除去を2枚以上使うことになり、潜在的なアドバンテージとなります。
《媒介者の修練者》と《導路の召使い》の2種類のエネルギー、マナクリーチャーを利用することで《逆毛ハイドラ》や《栄光をもたらすもの》、《反逆の先導者、チャンドラ》などを高速展開していきます。
相手のターンを実質飛ばし、相手のブロッカーをタップすることでエンドカードにもなる《老いたる深海鬼》のEmergeのコストも、マナクリーチャーや各種エネルギークリーチャーを利用することで、容易に確保することが可能です。サイドの《コジレックの帰還》とのシナジーもあり、全体除去しつつ5/6を展開するという動きは脅威となります。
コンボが消滅したことにより《否認》の他にもクリーチャーデッキが多くなることを見越して《本質の散乱》も採用されています。
コンボデッキの消滅により、プレインズウォーカーを採用したミッドレンジの増加を想定し、多くのデッキが採用している《領事の旗艦、スカイソブリン》がこのデッキでもメイン、サイドに採用されています。Mardu VehiclesやZombiesなどに有効で、「搭乗3」というコストもパワーが高めのクリーチャーが多目のこのデッキでは問題にはあまりなりません。
『破滅の刻』注目カード
プレリリースが今週末に迫りスポイラーも公開されているので、今回の連載では新環境で活躍しそうなカードを見ていきたいと思います。
《破滅の刻》
セット名にもなっているコントロール待望の赤いスイーパー。破壊不能を無効にするので《大天使アヴァシン》 や《無私の霊魂》で妨害されることもなくUR系のコントロールにとって対処が困難であった《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》もクリーチャーと共に除去できるのが強みです。UR ControlやGrixis Controlにとって大きな収穫となりそうです。
《削剥》
インスタントスピードの除去としても使える《粉砕》は、メインからでも無理なく採用できるレベルのカードです。SCG Invitational Season Oneでも活躍し、新環境でも人気が出ることが予想される《金属製の巨像》や《オケチラの碑》、Mardu Vehiclesの《キランの真意号》、各種Gearhulkなど、環境には対策必須のアーティファクトが多く、『破滅の刻』加入後のスタンダードに大きな影響を与えそうです。
《至高の意志》
《削剥》と同シリーズで《マナ漏出》 か《衝動》の効果を選択するスペルです。タップアウトすることが多い現環境では信頼性が高く、相手にマナが十分ある場合でも最悪ドロースペルとしても使えるので、無駄になりにくいスペルです。しかし、優秀な2マナ「サイクリング」カウンターの《検閲》が既に環境に存在するので、追加のカウンター兼ドロースペルとして1-2枚採用となりそうです。
《バントゥ最後の算段》
3マナという低コストで《審判の日》と同様の効果のスペル。次のターンに土地がアンタップできないということは、3ターン目にスイープしたとしてもその返しのターンに無防備になることを意味しており、相手に再度展開することを許してしまうので決して無視できないデメリットです。しかし、3マナのスイーパーが環境に存在するということは、今後の環境に影響を与えることは明らかで、緑黒やTemur Energyといったミッドレンジ寄りのクリーチャーデッキとのマッチアップで使えそうです。
《王神、ニコル・ボーラス》
セットの目玉であるプレインズウォーカー、《王神、ニコル・ボーラス》はGrixis系の(コントロール、ランプ)フィニッシャーとして、そのカードパワーの高さもあり人気が出そうなカードです。相手のライブラリーを削りつつライブラリーからスペルを奪う+2、ハンデスの+1、除去、プレインズウォーカー対策、直接火力の-4、と7マナに見合う強さです。コスト以外ではGODなど破壊不能のクリーチャーに触れないのが数少ない弱点となりますが、幸い同セットには《破滅の刻》という強いパートナーが存在します。《破滅の刻》と共にGrixis Controlの新戦力として活躍が期待できそうです。
総括
新セット、『破滅の刻』のフルスポイラーも公開され、プレリリースも今週末に開催されることもあり、一番エキサイティングな時期です
『破滅の刻』のリリースに伴い環境がまた変わりますが、セットリリース直後にアメリカでは恒例のSCGOが開催されます。
次回の連載では、『破滅の刻』解禁後のスタンダードのイベントであるSCGO Cincinnatiの入賞デッキを見ていく予定です。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする