みなさんこんにちは。
すでにご存知の方も多いと思われますが【禁止制限リストが更新】され《宝船の巡航》禁止後の環境を支配し続けていた《時を越えた探索》が禁止カードに指定されました。
また、レガシーというフォーマットが設立されて以来禁止カードに指定されていた《黒の万力》が解禁されました。
【GP京都】(トップ8中6人が《時を越えた探索》デッキ)や【GP Lill】(《時を越えた探索》を使ったMiraclesのワンツーフィニッシュ)、【レガシー選手権2015】の結果からも分かる通り、《時を越えた探索》はコンボ、コントロール、テンポと環境のほとんどの青いデッキに採用されていました。
Landsなどの一部を除いては《時を越えた探索》を採用していないデッキの方が珍しく、青いフェアデッキ対それに有利なデッキという図式が成り立っていた状況で、多様性が失われ、環境の停滞を招いていたので今回の変更には賛成です。
さて、今回の記事では禁止改定後初のSCG関連のレガシーのイベントである【SCG Premier IQ Indianapolis】の結果を見ていきたいと思います。
SCG Premier IQ Indianapolis トップ8
~決勝は『タルキール覇王譚』以前の環境で見られたデッキ同士のマッチ~
2015年10月4日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Shardless Sultai/続唱青黒緑
2位 Sneak and Show/スニーク・ショー
3位 Eureka Tell/実物提示教育
4位 Grixis Delver/青黒赤ジャンク
5位 Lands/土地単
6位 Goblins/ゴブリン
7位 Moggcatcher/ドラゴンストンピィ
8位 Temur Delver/カナディアン・スレッショルド
大方の予想通り《時を越えた探索》の退場によりShardless Sultai、Sneak and Show、Temur Delverといった『タルキール覇王譚』以前の環境で活躍していたアーキタイプが復権を果たしました。
トップ8入賞アーキタイプが全て異なっており、中にはGoblinsなども勝ち残っているなどフォーマットにも多様性が戻ってきた印象です。
SCG Premier IQ Indianapolis デッキ紹介
「Shardless Sultai」「Eureka Tell」「Grixis Delver」「Sneak and Show」「Moggcatcher」
1 《沼》 1 《森》 4 《Underground Sea》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《新緑の地下墓地》 1 《霧深い雨林》 1 《忍び寄るタール坑》 3 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 3 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 -クリーチャー(15)- |
4 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 4 《突然の衰微》 2 《Hymn to Tourach》 1 《毒の濁流》 1 《大渦の脈動》 4 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(23)- |
3 《翻弄する魔道士》 3 《思考囲い》 2 《見栄え損ない》 2 《無のロッド》 1 《Scrubland》 1 《Hymn to Tourach》 1 《毒の濁流》 1 《魂の裏切りの夜》 1 《墓掘りの檻》 -サイドボード(15)- |
禁止改定直後の大会を制したのは、大方の予想通り『タルキール覇王譚』以前の環境でトップメタの一角として上位で多く見られたShardless Sultaiでした。
中速寄りのアグロコントロールで「続唱」から継続的にアドバンテージを稼ぐことに長けています。
☆注目ポイント
「探査」ドロースペルが加入する『タルキール覇王譚』以前の環境では《断片無き工作員》の「続唱」からの《祖先の幻視》によるカードアドバンテージと物量で、環境最強のフェアデッキの一つとして上位で多く見られたデッキでした。
今回の《時を越えた探索》の退場により《Hymn to Tourach》や《ヴェールのリリアナ》といったハンデスも相対的に強さを増し、復権してくることは明らかでした。
サイドの《翻弄する魔道士》のために白をタッチしているなど追加のハンデスも含めてコンボ対策に多くのスペースを割いています。《時を越えた探索》が禁止になったとはいえ環境が落ち着くまでGrixis Delverもある程度いると予想していたのか、《若き紅蓮術士》や《真の名の宿敵》対策になる《魂の裏切りの夜》も見られます。
2 《島》 4 《Tropical Island》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 2 《古えの墳墓》 2 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《裏切り者の都》 -土地(19)- 3 《グリセルブランド》 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(5)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 2 《目くらまし》 4 《実物提示教育》 4 《Eureka》 4 《Force of Will》 4 《全知》 4 《水蓮の花びら》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(36)- |
4 《神聖の力線》 2 《ザンティッドの大群》 2 《灰燼の乗り手》 2 《狼狽の嵐》 2 《残響する真実》 1 《花の絨毯》 1 《真髄の針》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
《時を越えた探索》を失って弱体化を強いられたOmni-tellでしたが、形を変えて上位入賞を収めていました。
☆注目ポイント
《Eureka》は《実物提示教育》と似た効果を持つスペルですが、お互いに手札から好きなだけパーマネントを出すことが可能で《実物提示教育》と異なりPWも出すことができます。そのため定番の《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》に加えて《精霊龍、ウギン》も採用されています。
相手の出してくる大抵のパーマネントは《精霊龍、ウギン》の「-X」能力で追放することが可能です。
サイドには緑を足していることを活かして、《呪文貫き》のようなソフトカウンターに耐性を付けると同時にマナ加速にもなる《花の絨毯》やカウンター対策の《ザンティッドの大群》が見られます。
《Eureka》の流通数が少ないためよく見かけるデッキではありませんが、《実物提示教育》系のバリエーションとして今後の動向に要注目です。
3 《島》 1 《沼》 1 《山》 2 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 1 《血染めのぬかるみ》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《瞬唱の魔道士》 4 《若き紅蓮術士》 3 《真の名の宿敵》 2 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(17)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《呪文貫き》 2 《二股の稲妻》 4 《Force of Will》 -呪文(25)- |
3 《陰謀団式療法》 2 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 2 《外科的摘出》 2 《粉々》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《悪魔の布告》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
《時を越えた探索》の退場により環境から姿を消すかと思われていたGrixis Delverですが、「探査」クリーチャーや《真の名の宿敵》を増量することで環境に適応しています。
☆注目ポイント
《グルマグのアンコウ》や《真の名の宿敵》などフィニッシャーを増量することで中盤以降のゲームにも備えてありますが、リソースを補充する《時を越えた探索》を失ったことでコントロールに対してロングゲームで息切れしやすくなっています。
カードアドバンテージ源としては《瞬唱の魔道士》が4枚採用されており、どちらかというとモダンのGrixis Delverに近い形となっているようです。
◆Interview With Scott Bunnell
《時を越えた探索》が禁止されたことにより復権を果たしたデッキはShardless Sultaiだけではありませんでした。
【赤いエンチャント】から速攻を付与された【ファッティを走らせる】あのデッキも、惜しくも優勝は逃したものの準優勝を収めました。
今回の記事のためにファイナリストのScott Bunnellにお話を聞くことができました。
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 3 《汚染された三角州》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(19)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《ギタクシア派の調査》 3 《呪文貫き》 1 《定業》 4 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(33)- |
3 《紅蓮地獄》 2 《狼狽の嵐》 2 《裂け目の突破》 2 《血染めの月》 2 《墓掘りの檻》 1 《白鳥の歌》 1 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《防御の光網》 -サイドボード(15)- |
■ Sneak and Showを使った理由
Scott: Sneak and Showを使った理由はこのデッキが妨害に強く、レガシーで最高のコンボデッキの一つだと思ったからだ。《時を越えた探索》が禁止になってOmni-tellが弱体化し、他の青いデッキもコンボに対する妨害手段を探す手段が減って以前よりもいいポジションだと思った。
それに、ファッティでアタックするのが好きなこともこのデッキを使う理由の一つだね(笑)
--《精神を刻む者、ジェイス》が特徴的だけど、使用感はどうだった?
Scott: メインに2枚採用した《精神を刻む者、ジェイス》は他のSneak and Showのメインではあまり見られないカードだけど、相手が妨害スペルを多めに持っていたときでもリソースを補充しつつコンボ以外の勝ち手段として活躍してくれたよ。
■ 新マリガンルールの影響
Scott: 新マリガンルールは素晴らしかったね。占術のおかげでリスキーなハンドをキープする代わりに積極的にマリガンができて、コンボデッキのSneak and Showにとって有効に働いた。
--《時を越えた探索》の禁止についてはどう思う?
Scott: 禁止には賛成だね。去年の【GP New Jersey】では《時を越えた探索》を4枚採用したJeskai Stonebladeを使っていたんだけど、普段は負けているような多くのゲームに《時を越えた探索》のおかげで勝てたし、Omni-tellを使っていたときは《実物提示教育》から《全知》を設置して《時を越えた探索》を連打して勝ったりして、これは強すぎると思ったよ。
--なるほど。今回はいろいろと質問に答えてくれてありがとう。決勝は惜しかったけど、準優勝おめでとう!
◆Interview With Hunter Briggs
最後に紹介するデッキは赤単色のGoblinsです。しかし、みなさんのよく知っている《ゴブリンの従僕》や《ゴブリンの首謀者》などを採用したGoblinsではなく《虚空の杯》や《三なる宝球》といった相手の行動を制限させるカードを積んだプリズンデッキにゴブリンクリーチャーをクロックとして採用したデッキです。
つい最近までスタンダードでも猛威を振るっていた《ゴブリンの熟練扇動者》も見られます。
デッキの使用者であるHunter Briggsはミシガン州アナーバー出身のレガシープレイヤーです。筆者の友人でもあり、今回の記事のためにお話を聞くことができました。
9 《山》 4 《鋭き砂岩》 4 《魂の洞窟》 4 《古えの墳墓》 -土地(21)- 4 《猿人の指導霊》 4 《ゴブリンの女看守》 2 《ゴブリンの熟練扇動者》 1 《月の大魔術師》 4 《モグ捕り人》 2 《群衆の親分、クレンコ》 1 《Goblin Settler》 1 《タクタクの潰し屋》 1 《残忍なレッドキャップ》 3 《包囲攻撃の司令官》 1 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(24)- |
4 《血染めの月》 3 《金属モックス》 3 《虚空の杯》 3 《三なる宝球》 1 《梅澤の十手》 1 《紅蓮の達人チャンドラ》 -呪文(15)- |
4 《赤霊破》 2 《トーモッドの墓所》 1 《棘鞭使い》 1 《難問の鎮め屋》 1 《宝石の手の焼却者》 1 《ゴブリンの名手》 1 《沸騰》 1 《沸き立つ海》 1 《粉砕の嵐》 1 《抵抗の宝球》 1 《罠の橋》 -サイドボード(15)- |
■ デッキの動きについて
--見慣れないデッキリストだけど、このデッキはどんな挙動をするのかな?
Hunter: 基本的に《虚空の杯》や《三なる宝球》、《血染めの月》のようなカードをマナ加速からプレイして相手をシャットダウンしつつクロックを展開していく、ストンピィのように機能するデッキだ。
ドラゴンストンピィのようなデッキとの違いはチューター能力持ちの《ゴブリンの女看守》や《モグ捕り人》のようなリクルーターを採用できることで、これによってコンスタントに回るんだ。
あとはETB能力持ちのクリーチャーが多いから《鏡割りのキキジキ》をアドバンテージエンジンとして採用しているよ。
■ 相性のいいマッチと悪いマッチ
Hunter: 《血染めの月》と《月の大魔術師》のおかげで特殊地形に頼った3色以上のデッキには大抵相性がいいね。《虚空の杯》や《三なる宝球》のおかげでInfectも悪くないマッチアップだ。
相性の悪いマッチはReanimatorやElves。《血染めの月》があまり効かなくて、特にReanimatorには《大修道士、エリシュ・ノーン》がある。
--変更したい点、改善したい点とか何かある?
Hunter: メインは《紅蓮の達人チャンドラ》を4枚目の 《虚空の杯》に変更しようと考えている。《紅蓮の達人チャンドラ》は悪くないカードだけど少し遅い。4枚目の《鋭き砂岩》を《裏切り者の都》に変更することも考えている。2マナランドを増やすことによって速いターンに《虚空の杯》を設置しやすくなる。
--なるほど。Shardlessのような3色のDelver系が復権してきた環境では、メインから4積みの《血染めの月》は強そうだね。個性的なデッキだったからいろいろと話が聞けてよかった。ありがとう!改めてトップ8入賞おめでとう!
総括
《時を越えた探索》はモダンでは《宝船の巡航》と共に禁止カードに指定されていましたが、レガシーでは禁止を免れ続けていました。
コンボデッキやコントロールデッキ、果てはDelverにまで《宝船の巡航》に代わるアドバンテージ源として採用され、環境の青いデッキのほとんどがこの青い「探査」ドローを採用するという事態になり、《紅蓮破》が当たり前のようにメインから採用されていた環境はお世辞にも健全とは言えなかったので、禁止はやむを得なかったと思います。
禁止改定直後の大会の【SCG Premier IQ Indianapolis】では懐かしいアーキタイプが多数見られ、《Eureka》や《モグ捕り人》のような個性的なカードを使ったデッキも見られるようになりました。 解禁された《黒の万力》を使ったデッキは今大会の上位では見られませんでしたが、まだ新環境初の大会なので今後に期待です。
次回の記事ではSCG Premier IQ AtlantaとBIG MAGIC Sunday レガシーの入賞デッキをカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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