みなさんこんにちは!
今月は日本国内でも【BIGMAGIC Sunday レガシー】や【第5期レガシー神挑戦者決定戦】があり、レガシー的にも充実してましたね。
さて、今回の記事では【BIGMAGIC Sunday レガシー】、【SCG Premier IQ Atlanta】、【第5期レガシー神挑戦者決定戦】の結果を見ていきたいと思います。
BIGMAGIC Sunday レガシー トップ8
~コンボの隆盛、トップ8の半数がANT~
2015年10月11日
※画像は【BIGWEB】より引用させていただきました。 |
1位 Miracles
2位 ANT
3位 Reanimator
4位 Painter
5位 ANT
6位 ANT
7位 Sultai Delver
8位 ANT
トップ8のデッキリストは【こちら】
今大会で最も印象に残ったのはコンボの多さでした。トップ8中6人がコンボデッキで、レガシーを代表するストーム系コンボであるANTに至ってはトップ8の半数を占めました。
そんな中、優勝を飾ったのは禁止改定の影響をあまり受けなかったMiraclesでした。
BIGMAGIC Sunday レガシー デッキ紹介
「Miracles」
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《沸騰する小湖》 2 《汚染された三角州》 2 《乾燥台地》 1 《Karakas》 -土地(22)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(4)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 3 《剣を鍬に》 1 《呪文嵌め》 1 《紅蓮破》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 3 《Force of Will》 3 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《僧院の導師》 2 《狼狽の嵐》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《摩耗+損耗》 1 《対抗呪文》 1 《安らかなる眠り》 1 《至高の評決》 1 《Force of Will》 -サイドボード(15)- |
今大会見事に優勝を収めた斉藤 伸夫選手は日本国内屈指の実力者で、Miracles以外にもGrixisやOmni-tellなど様々なアーキタイプを使いこなします。この翌日に開催された【第5期神挑戦者決定戦】でも同様のリストでトップ8に入賞を収めるというパフォーマンスを見せました。
《時を越えた探索》の禁止の影響をそれほど受けず、このデッキよりも《時を越えた探索》をより有効に使用していたGrixis DelverやOmni-tellが弱体化したことにより以前よりも優位なポジションにあるようです。
☆注目ポイント
基本的に《思案》型をベースにしていますが、コンボやミラーマッチが多くなることを予想していたのか《ヴェンディリオン三人衆》がメイン、サイド合わせて3枚と多めに採られています。
多くのリストは《終末》を4枚採用していますが、斉藤選手は4枚目の《終末》の代わりに《至高の評決》を採用しています。青いカードなため《Force of Will》のコストにもなり、同様に復権してくるであろうTemur Delverなどにも有効なカードです。サイドにも追加でもう1枚採っていることからDelver系も意識していたことが分かります。
《呪文嵌め》は現在のレガシーの環境ではSneak and Showなど一部のデッキを除けば対象になるスペルが多く、不要碑になることが少ない優秀なカウンターです。
SCG Premier IQ Atlanta トップ8
~《時を越えた探索》禁止を受けて優勝を掴んだANT~
2015年10月11日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 ANT
2位 Shardless Sultai
3位 Esper Deathblade
4位 Miracles
5位 Infect
6位 ANT
7位 Elves
8位 Infect
トップ8のデッキリストは【こちら】
《時を越えた探索》の禁止により環境に大きな変化があったレガシー。ElvesやShardless Sultaiといったデッキが復権を果たし、禁止改定の影響をあまり受けなかったMiraclesやInfectも健在です。
特にGrixis系のデッキが弱体化したことでMiraclesやShardless Sultaiが勝ち残り、それらのデッキに五分からやや有利なInfectは以前よりもメタ的に良いポジションのようです。
そんな中、優勝を収めたのは【BIGMAGIC Sunday レガシー】でもトップ8の半数を占めるというパフォーマンスを見せたANTでした。
SCG Premier IQ Atlanta デッキ紹介
「ANT」「Esper Deathblade」
■ Interview With Caleb Scherer
今大会ANTで見事に優勝を収めたCaleb SchererはANTを使い続けているプレイヤーで、過去のSCG Premier IQでも優勝経験のある強豪プレイヤーです。今回の記事のためにお話を聞くことができました。
2 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 3 《溢れかえる岸辺》 1 《血染めのぬかるみ》 -土地(14)- -クリーチャー(0)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 4 《渦まく知識》 4 《暗黒の儀式》 3 《強迫》 3 《陰謀団式療法》 2 《定業》 4 《陰謀団の儀式》 4 《冥府の教示者》 1 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 2 《闇の誓願》 1 《むかつき》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 1 《師範の占い独楽》 -呪文(46)- |
3 《突然の衰微》 3 《巣穴からの総出》 2 《花の絨毯》 2 《夜の戦慄》 2 《蒸気の連鎖》 1 《見栄え損ない》 1 《陰謀団式療法》 1 《Tropical Island》 -サイドボード(15)- |
■ ANTを使い続けている理由
Caleb: 駆け引きの要素が充実していることと、障害となるものも大抵はプレイングでカバーできることがこのデッキを使い続けている理由かな。レガシーで最も強いデッキだと思っているよ。ストーム系のコンボは、「ストーム」というメカニックができて以来ずっと使っているんだ。
--《時を越えた探索》の禁止の影響は?
Caleb: 《時を越えた探索》の禁止は、このデッキのメタゲーム的な立ち位置を大きく改善させたね。他の青いデッキが「探査」ドローを活用することによって、このデッキの長期戦における強さが損なわれていたんだ。
速度で対抗するためにTESに乗り換えることも考えていたけど、今は《時を越えた探索》が禁止になったことでこのデッキにとって厄介な青いデッキが弱体化したから、その必要もなくなったかな。
--なるほど。Grixis系が減ってElvesや遅いミッドレンジのShardless Sultaiが復権してきたことは、たしかにANTにとっては勝ちやすいメタになっているみたいだね。
Caleb: その通り!
--リストを見ていたら『マジック・オリジン』の《闇の誓願》がメインに2枚採用されていたけど実際に使ってみてどうだった?
Caleb: 《闇の誓願》は素晴らしいカードで、これからは《Grim Tutor》に代わってANTの必須カードになると思うよ。「魔巧」の条件を満たすのもキャントリップが大量に入っているこのデッキなら簡単だし、実質《冥府の教示者》が6枚入っていることになる。
■ サイドボードについて
Caleb: サイドボードはほとんど【BIGMAGIC Sunday レガシー】で佐渡 海さんが使っていたトップ8のリストのコピー(【参考】)で、《巣穴からの総出》はMiraclesやDeath and Taxesとのマッチアップを改善するのに貢献してくれるね。
多めに《巣穴からの総出》を採っていることによってゴブリントークンによるクロックと元の勝ち手段である《苦悶の触手》によるコンボによる脅威で相手にプレッシャーをかけられるんだ。さらにDeath and Taxesに対してはTESのように速い段階でコンボを決めやすくなるね。
--なるほど。ストーム系のコンボはよく見かけるけど使いこなせているプレイヤーは少数で、君のようにコンスタントに結果を残しているプレイヤーから話が聞くことができてよかった。今日はインタビューに付き合ってくれてありがとう。改めて優勝おめでとう!
【BIGMAGIC Sunday レガシー】でもトップ8の半分がANTでアメリカのSCGのイベントでも優勝と、ストームコンボにとってはとてもいい週末になったようです。
1 《沼》 3 《Underground Sea》 3 《Tundra》 1 《Scrubland》 1 《Savannah》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《湿地の干潟》 1 《霧深い雨林》 1 《Karakas》 3 《不毛の大地》 -土地(24)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《闇の腹心》 4 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(16)- |
4 《渦まく知識》 4 《思考囲い》 4 《剣を鍬に》 3 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(20)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《闇の腹心》 2 《翻弄する魔道士》 2 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 2 《突然の衰微》 1 《真髄の針》 1 《森の知恵》 1 《Force of Will》 -サイドボード(15)- |
《闇の腹心》などクリーチャーを多めに積んだDeathblade。
Shardless Sultaiなどと同様に「探査」ドロースペルの退場により再び上位で見かけることが多くなった復権組の一つです。
☆注目ポイント
スタンダードでもベストカードの1枚として活躍している《ヴリンの神童、ジェイス》はレガシーでも通用するようです。このデッキでは《死儀礼のシャーマン》の燃料を補給するといった役割を持てるほか、軽いスペルとフェッチランド、《不毛の大地》のおかげで「変身」も容易で、《渦まく知識》や《思考囲い》、「変身」後は《突然の衰微》といったスペルを再利用すればアドバンテージを得ることが可能です。
《精神を刻む者、ジェイス》の方もメインに3枚と多めに採用されておりこのタイプのデッキでは珍しく《ヴェールのリリアナ》は不採用です。
第5期レガシー神挑戦者決定戦 トップ8
~神への挑戦権を獲得したのはDelverマスターの土屋 洋紀選手~
2015年10月11日
1位 Sultai Delver
2位 Grixis Delver
3位 Temur Delver
4位 Aggro Loam
5位 Sneak and Show
6位 Tin Fin
7位 UR Delver
8位 Miracles
トップ8のデッキリストは【こちら】
【BIGMAGIC Sunday レガシー】 の後日に開催された【第5期レガシー神挑戦者決定戦】。
コンボが勝ち組だった【BIGMAGIC Sunday レガシー】の結果と大きく異なり、色の組み合わせは異なるもののDelver系がトップ8の半数を占め、優勝もDelver系のバリエーションの一つであるSultai Delverでした。
第5期神挑戦者決定戦 デッキ紹介
「Sultai Delver」「Temur Delver」
4 《Underground Sea》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《タルモゴイフ》 2 《闇の腹心》 -クリーチャー(13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《思考囲い》 1 《見栄え損ない》 4 《目くらまし》 4 《Hymn to Tourach》 4 《突然の衰微》 3 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(28)- |
2 《被覆》 2 《見栄え損ない》 2 《湿地での被災》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《グルマグのアンコウ》 1 《Force of Will》 1 《死の投下》 1 《森の知恵》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
土屋 洋紀選手は【Delver系のエキスパート】で【BIGMAGIC Sunday レガシー】からの連続入賞でした。
【BIGMAGIC Sunday レガシー】では惜しくも優勝は逃しましたが、今大会では見事に優勝を収め神への挑戦権を獲得しました。
☆注目ポイント
《Hymn to Tourach》によるハメパターンがあり、コンボに強いのが特徴です。《時を越えた探索》の禁止に伴いハンデスの支配力が増し、PWの《ヴェールのリリアナ》も本来の強さを取り戻しました。
《闇の腹心》、《Hymn to Tourach》、《ヴェールのリリアナ》と黒が濃く、メインのブルーカウントは最低限にまで絞られているのと《闇の腹心》によるライフロスのケアも兼ねて《Force of Will》はメインでは3枚です。
ハンデスがメインから6枚と多めに採用されており、カウンターよりもハンデスによる妨害にフォーカスしています。1マナの優れた除去がないことがSultai Delverの不安要素の一つだったため《見栄え損ない》をメインに1枚、サイドに2枚採っているようです。さすがに《稲妻》と《剣を鍬に》には劣りますが、それでも環境の多くの1-2マナのクリーチャーを効率的に除去することが可能です。
サイドには2枚の《精神を刻む者、ジェイス》が見られるなど、他のSultai Delverと比べるとロングゲームも見据えた調整をしているようです。《被覆》や《森の知恵》も採用されているのでMiraclesのようなコントロールに強い構成です。
4 《Volcanic Island》 3 《Tropical Island》 1 《Taiga》 4 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 4 《大歓楽の幻霊》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《蒸気の絡みつき》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 2 《火炎破》 2 《森の知恵》 2 《硫黄の渦》 -呪文(29)- |
2 《渋面の溶岩使い》 2 《封じ込める僧侶》 2 《紅蓮破》 2 《誤った指図》 2 《クローサの掌握》 2 《安らかなる眠り》 1 《Tundra》 1 《唐突なる死》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
Temur Delverですが一般的なリストと大きく異なり「スレッショルド」要素は皆無で、その枠に《大歓楽の幻霊》などが見られサイドボードも含めて個性的なリストに仕上がっています。
☆注目ポイント
《もみ消し》は不採用で《不毛の大地》もわずか2枚というところから土地を縛るよりも軽いクロックと《火炎破》など多めに採用されたバーンスペルと《硫黄の渦》や《大歓楽の幻霊》の組み合わせでライフを攻めるバーン寄りの構成のようです。
《大歓楽の幻霊》が戦場に存在する限り、相手もスペルをキャストしにくくなり、結果として行動を著しく制限させることができます。除去スペルも、多くの場合このクリーチャーに向けられることになることになるので《タルモゴイフ》も生き残りやすくなりそうです。
《蒸気の絡みつき》はこのタイプのデッキにとって対処の難しい《タルモゴイフ》や《グルマグのアンコウ》をバウンスしつつわずかながらライフを削り、1マナと軽くこのデッキの方向性にもマッチしています。
サイドの《封じ込める僧侶》と《安らかなる眠り》のために白もタッチしており《封じ込める僧侶》は復権してきたSneak and ShowやReanimator、Elvesなど多くのマッチアップで投入されるクリーチャーで、相手の戦略を対策しつつクロックにもなるのが強みです。
《誤った指図》も興味深いアプローチです。同様に復権してきたShardless Sultaiなどの《Hymn to Tourach》を跳ね返したり、《祖先の幻視》のドローを奪い取ったり、他の(対象が存在すれば)《突然の衰微》も対象を変更することで実質的に対策が可能となり、どのケースでも決まればアドバンテージを稼ぐことができます。
総括
《時を越えた探索》禁止後の環境はGrixis系を含めた「探査」ドローを活用した青いデッキの弱体化が目立ち、メタが混沌としていることもあってコンボデッキにとっては勝ちやすい環境になったようです。KTK以前の環境のように青いフェアデッキはMiracles、Shardless Sultai、Temur、Sultai Delverが中心で、Elvesのような非青デッキも復権しつつあります。
また、今週末にはレガシーのSCGOがアメリカ・ミズーリ州ST. Louisで開催されます。禁止改定後初の2日制の大規模なレガシーの大会なので楽しみですね。
次回の記事ではSCGO ST. Louisの結果を中心にカバーしていく予定です。
以上USA Legacy Express vol.89でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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