週刊デッキウォッチング vol.153 -昇殿土地コントロール-

伊藤 敦

伊藤 敦

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: ローグ

ラムナプの採掘者むら気な長剣歯約束の刻

 『イクサランの相克』の中でも個人的に最もトキメキ度が高かったカードが《むら気な長剣歯》だ。何といってもスタンダードには《世界のるつぼ》こと《ラムナプの採掘者》《幽霊街》こと《廃墟の地》が存在するので、この生まれ変わった《踏査》と組み合わせればどんな素敵なことが起こるのか、発売前からワクワクが止まらなかったものである。

 残念ながらデッキ構築力が足りずに自分ではスタンダードの土地単を組むことはかなわなかったが、代わりにデッキビルダーがその夢を実現してくれた。闇雲に土地の枚数を増やさずに2マナ域を《マーフォークの枝渡り》《探求者の従者》にして初動を「探検」に揃えることで、盤面を支えつつも手札に土地を確保しやすくなっている。

 先週の黒緑コントロールでも採用されていた《約束の刻》《むら気な長剣歯》《オラーズカの拱門》の「昇殿」も一瞬で達成するいぶし銀のカードだ。《ラムナプの採掘者》で墓地から戦場に戻す特殊地形も、《約束の刻》のおかげでその多くが1枚差しにできている。

 墓地と土地を活用しつつもそれに完全には依存しないボードコントロールということで、相手からすればやりづらいことこの上ない。スタンダードにはまだまだ研究しがいのあるアプローチが眠っていそうだ。

「ローグ」でデッキを検索

■ スタンダード: 備蓄品トークン

秘密の備蓄品恐竜変化炎鎖のアングラス

 前環境では《暴れ回るフェロキドン》《川の叱責》が乗り越えられずにいまいちメタゲーム上のポジションを掴み切れなかった「備蓄品トークン」だが、環境の変化を受け、今再びじわじわと勢力を伸ばし始めている。その中でもこのデッキは通常白黒+緑のところを3色目に赤を足して個性的なカード採用が光るリストだ。

 とりわけ《選定の司祭》《選定された行進》を思い切って抜き去り、《秘密の備蓄品》の有無に依存しないボードコントロールになっている点が特徴的である。《試練に臨むギデオン》《反逆の先導者、チャンドラ》《炎鎖のアングラス》という強力なプレインズウォーカーのラインナップを揃え、相手の単体除去を腐らせつつも攻撃的に振る舞うことが可能となっている。

 また、《恐竜変化》《雲遊+萍寄》とのコンボも搭載されており、《アルゲールの断血》などですり減ったライフを何度も取り戻すことができる。

 《熱烈の神ハゾレト》《スカラベの神》さえ対処できれば、ミッドレンジに対しては古典的なボードコントロール戦略が有効であることに変わりはない。追放除去をデッキに的確に織り込むことができればこうしたコンセプトでも成立するという事実が示されたことで、これからますます様々なカードに光が当たっていきそうだ。

「備蓄品トークン」でデッキを検索

■ モダン: ライブラリー破壊

暗黒催眠の宝珠正気減らし

 《墓所への乱入》《罠の橋》《精神の葬送》《正気減らし》……モダンのライブラリーアウトデッキの課題は3マナ過多にあった。ただでさえ《殻船着の島》を採用しているデッキで3マナのカードが多いとなると、長期戦ならともかく最速で対戦相手を倒すにはあまりにも動きが鈍重となってしまうからだ。ならばどうするか?3マナのカードを減らせばいい。そんな思想を実現したのがこちらの新型ライブラリーアウトだ。

 5色人間の台頭でコンボが勢力を減らし、青赤系も《向こう見ずな実験》が主流になってきたことで環境全体の《引き裂かれし永劫、エムラクール》の採用率が減ったタイミングを見越して、《外科的摘出》をサイドボードに落として代わりに5色人間や《虚ろな者》などの高速アグロをケアした《致命的な一押し》と、それだけでなく黒い《濃霧》こと《暗黒》をメインから採用している点に特徴がある。《罠の橋》と違って相手に一旦攻撃をさせるので、《催眠の宝珠》の威力を上げることができるのだ。

 サイドボードには青黒というカラーリングでもエンチャントやアーティファクトに触れる《漂流》を採用し、《神聖の力線》《魔女封じの宝珠》をしっかりとケアしている。流行のトロンに対しても、《引き裂かれし永劫、エムラクール》が採用されていない今ならトロンランドを《外科的摘出》してしまえば問題にならない。

 《精神を刻む者、ジェイス》の解禁によってモダン環境は大激変が予想される。そんな中で青系コントロールに対して相性が良いライブラリーアウトは、《廃墟の地》のサーチが強制で《書庫の罠》を確実に機能させられる点で強化されていることもあり、復権が期待されるアーキタイプの一つと言えるだろう。

「ライブラリー破壊」でデッキを検索

 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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