みなさんこんにちは。
今月は日本国内でも【The Last Sun 2015】に【Eternal Festival Tokyo 2015】、【Eternal Party’2015】とレガシーの大規模なイベントが充実していますね。
さて、今回の記事では【SCG Premier IQ Kansas City】と【SCGO New Jersey】の入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCG Premier IQ Kansas City
~Sneak and Showが久々に栄冠~
2015年11月22日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Sneak and Show
2位 Miracles
3位 Sultai Delver
4位 ANT
5位 Esper Stoneblade
6位 Punishing Jund
7位 Miracles
8位 ANT
トップ8のデッキリストは【こちら】
MiraclesとANTが安定した結果を残す中、優勝はSneak And Showでした。禁止改定後はOmni-tellに代わり、《実物提示教育》デッキの代表格として環境を支配すると予想されていましたが、環境が変化した直後はマークが厳しかったためか思ったほどの結果は残せていませんでした。
しかし、アメリカで開催された【SCGO St. Louis】と【GP Seattle-Tacoma】の2つのレガシーの大規模な大会の上位で見られなかったため、以前ほど強烈に意識されることはなくなってきており、元々のデッキパワーが高いので、対策が薄くなってくれば勝ち上がるのも納得です。
SCG Premier IQ Kansas City デッキ紹介
「Sultai Delver」「Punishing Jund」
4 《Underground Sea》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 3 《新緑の地下墓地》 2 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 2 《闇の腹心》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《思考囲い》 4 《目くらまし》 4 《突然の衰微》 3 《Hymn to Tourach》 3 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(26)- |
2 《呪文嵌め》 2 《見栄え損ない》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《狼狽の嵐》 1 《外科的摘出》 1 《毒の濁流》 1 《Force of Will》 1 《誤った指図》 1 《森の知恵》 1 《墓掘りの檻》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
Delver系の中でもハンデスがある分コンボに有利なSultai Delver。Delverの中でも遅いバージョンですが、その分デッキパワーが高いためロングゲームにも強く、《突然の衰微》という万能除去のおかげで、Miraclesに対しても一番強い型です。
☆注目ポイント
《闇の腹心》はMiraclesやコンボに対してアドバンテージを提供するクロックです。カウンターやハンデスなど妨害要素を多数採用しているため、《闇の腹心》を守るのも容易で、生き残ればカードアドバンテージを提供し続けます。この《闇の腹心》と《相殺》に触る手段である《突然の衰微》のおかげで人気があり、安定したMiraclesに対しても耐性があります。
豊富な妨害手段によって環境の様々なデッキに対して互角以上に戦えるのがこのデッキを使う理由になります。このデッキが苦戦する相手はLandsのような全く異なるアングルから攻めてくるデッキやShardless Sultaiのように消耗戦に強いデッキですが、Landsに対してはサイドの《外科的摘出》、Shardlessに対しては《誤った指図》といったカードがサイドに忍ばせてあります。
《誤った指図》は《Hymn to Tourach》や《祖先の幻視》を妨害しつつアドバンテージを得たり、《突然の衰微》の対象を(他に対象となるパーマネントがあれば)変更することが可能です。
1 《沼》 1 《森》 2 《Badlands》 2 《Bayou》 1 《Underground Sea》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《新緑の地下墓地》 4 《燃え柳の木立ち》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 3 《血編み髪のエルフ》 -クリーチャー(15)- |
3 《思考囲い》 3 《稲妻》 4 《突然の衰微》 3 《Hymn to Tourach》 3 《罰する火》 1 《毒の濁流》 1 《森の知恵》 4 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(22)- |
2 《強迫》 2 《外科的摘出》 2 《破滅的な行為》 2 《墓掘りの檻》 1 《概念泥棒》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《クローサの掌握》 1 《無のロッド》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
《時を越えた探索》が禁止カードに指定されたことで《Hymn to Tourach》や《ヴェールのリリアナ》といったハンデスは従来の威力を取り戻し、Shardless Sultaiのような中速デッキが再び見られるようになりました。
ただし、「続唱」によるアドバンテージを活かした物量で相手を圧倒する戦略はSultaiだけのものではありません。
今大会で上位に入賞した「Jund」はスタンダードやモダンで支配的な強さを見せ、モダンではその強さゆえに禁止カードに指定された《血編み髪のエルフ》の提供するアドバンテージを活かした元祖「続唱」デッキと言えます。コンボに対しては不利ですが、Miraclesなど青いデッキに対して比較的有利なのがこのデッキの魅力です。
☆注目ポイント
《罰する火》と《燃え柳の木立ち》、《突然の衰微》など豊富な除去のおかげでクリーチャーデッキとのマッチアップにおいては無類の強さを見せます。 Grixis DelverやElvesといったクリーチャーを並べるデッキも意識していたようで《毒の濁流》もメインから見られます。
《罰する火》は手札に戻せるため《ヴェールのリリアナ》の「+1」能力とも相性が良く、《血編み髪のエルフ》《Hymn to Tourach》《森の知恵》から提供されるアドバンテージは環境のフェアデッキを圧倒します。Miraclesに対しては《破滅的な行為》《無のロッド》《クローサの掌握》《紅蓮破》と対策が多めに積んであります。
また、特におもしろいのは1枚挿しの《概念泥棒》です。Jundから出てくると想定している相手は少なかったと思うので、奇襲性もあり各種青いデッキに刺さったことが予想されます。
SCGO New Jersey
~優勝は《罰する火》エンジンを搭載した4C Loam~
2015年11月29日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
1位 Punishing Abzan
2位 ANT
3位 Miracles
4位 ANT
5位 Lands
6位 Elves
7位 Grixis Delver
8位 Miracles
トップ8のデッキリストは【こちら】
【SCGO New Jersey】は500人以上の参加者が集まる大盛況でした。今大会を見事に制したのはAbzanカラーのLoamデッキに《罰する火》エンジンを搭載したPunishing Abzanでした。
人気があり、コンスタントに結果を残し続けているMiraclesはトップ16まで見渡せば5人と多数の入賞者を出しており、【今大会2日目の最大勢力】でした。優勝こそ逃したものの、アメリカでは特に根強い人気のANTも準優勝とトップ4入賞という好成績を残しています。また、【GP Seattle-Tacoma】でも結果を残していたLandsやGrixis Delverも見られます。
SCGO New Jersey デッキ紹介
「Punishing Abzan」「ANT」「Miracles」
1 《森》 2 《Bayou》 1 《Badlands》 1 《Savannah》 1 《Scrubland》 1 《Taiga》 1 《ドライアドの東屋》 4 《新緑の地下墓地》 2 《吹きさらしの荒野》 3 《燃え柳の木立ち》 2 《やせた原野》 1 《平穏な茂み》 1 《Karakas》 4 《不毛の大地》 1 《Maze of Ith》 -土地(26)- 4 《闇の腹心》 1 《漁る軟泥》 1 《ガドック・ティーグ》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(10)- |
2 《緑の太陽の頂点》 4 《突然の衰微》 3 《罰する火》 2 《壌土からの生命》 2 《森の知恵》 4 《虚空の杯》 4 《モックス・ダイアモンド》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(24)- |
3 《虚空の力線》 2 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《思考囲い》 1 《封じ込める僧侶》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《再利用の賢者》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《毒の濁流》 1 《大渦の脈動》 1 《仕組まれた疫病》 1 《情け知らずのガラク》 -サイドボード(15)- |
Tom Keatingはタイブレーカー争いに勝利し、スイスラウンドを8位で通過した後にLandsと2人のANTプレイヤーに勝利し、今大会見事に優勝を飾りました。
【GP Lille】でも入賞を収めていた4色のLoamデッキと同タイプで、《罰する火》エンジンをタッチしています。そのためPunishing Jundと同様にクリーチャーデッキに対して強く、《壌土からの生命》エンジンによるアドバンテージで消耗戦にも強いデッキです。しかし、コンボデッキに対しては不利が付くため、サイドボードには対コンボ用のカードが多めに積まれています。
☆注目ポイント
準決勝、決勝戦のANTはPunishing Abzanにとっては有利なマッチとは言い難いものでしたが、Tom Keatingはサイドの多くをコンボ対策に割いています。
メインから採用されている《虚空の杯》は《モックス・ダイアモンド》経由で1ターン目に「X=1」で出すことができ、コンボデッキやDelverを初めとした多くのデッキをシャットアウトします。
レガシーの多くの青いデッキは《渦まく知識》や《思案》といった軽いライブラリー操作スペルに依存した構成となっているため、「X=1」で設置するだけでも機能不全を引き起こします。また、「X=1」の《虚空の杯》は《闇の腹心》や《聖遺の騎士》といったクロックを《剣を鍬に》などの1マナの除去スペルから守る働きもします。
サイドボードの追加のハンデスや3種類のヘイトベアーはメインの《虚空の杯》と《ガドック・ティーグ》共にコンボとのマッチアップにおいて重要な役割を果たします。Grixis Delverの《若き紅蓮術士》を意識していたようで《毒の濁流》《ゴルガリの魔除け》といったスイーパー系のスペルも多く見られます。
2 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 3 《沸騰する小湖》 1 《血染めのぬかるみ》 -土地(14)- -クリーチャー(0)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《暗黒の儀式》 3 《陰謀団式療法》 3 《強迫》 2 《定業》 1 《汚物の雨》 4 《陰謀団の儀式》 4 《冥府の教示者》 1 《苦悶の触手》 1 《炎の中の過去》 2 《闇の誓願》 1 《むかつき》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(46)- |
4 《突然の衰微》 2 《ザンティッドの大群》 2 《蒸気の連鎖》 2 《見栄え損ない》 2 《巣穴からの総出》 1 《Tropical Island》 1 《再建》 1 《陰謀団式療法》 -サイドボード(15)- |
今大会で2度目のオープン入賞となるCaleb Scherer。今大会で使用していた同様のANTで、過去2度に渡るSCG Premier IQ優勝経験のある強豪プレイヤーです。
準々決勝ではGrixis Delver、準決勝戦ではMiraclesとANTにとっては決して楽とは言えないマッチが続きましたが、順調に勝ち進み(惜しくも優勝は逃したものの)準優勝という好成績を残しました。コンスタントに勝ち続けている彼の今後の動向に注目です。
☆注目ポイント
「マジック・オリジン」から加入したサーチスペルの《闇の誓願》はこのデッキの追加の《冥府の教示者》として定着しています。Caleb Schererは追加の儀式スペルとして《汚物の雨》も採用しており、コンボの高速化に力をいれているようです。儀式スペルの追加は5マナを調達しやすくすると同時に、「魔巧」も達成しやすくします。
サイドも以前のリストから若干変更点が見られます。《巣穴からの総出》の枚数が減量され、4枚目の《突然の衰微》が採用されています。Delver系やヘイトベアーを意識しているようです。また、青対策として《花の絨毯》に代わり《ザンティッドの大群》が採用されています。ソフトカウンターを対策するよりも相手のカウンターその物を封じるという手段を採っているようです。
《再建》は《エーテル宣誓会の法学者》や《虚空の杯》といった妨害アーティファクトをまとめてバウンスしつつ、すでに戦場に設置してある《ライオンの瞳のダイアモンド》《水蓮の花びら》を再キャストし、ストームを稼ぐことも可能です。
4 《島》 2 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 -土地(21)- 3 《瞬唱の魔道士》 2 《僧院の導師》 -クリーチャー(5)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 3 《思案》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 2 《対抗呪文》 4 《Force of Will》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
3 《狼狽の嵐》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《安らかなる眠り》 1 《イゼットの静電術師》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《紅蓮地獄》 1 《議会の採決》 1 《天使への願い》 1 《摩耗+損耗》 1 《血染めの月》 -サイドボード(15)- |
今大会でもトップ8に2人、トップ16まで見渡すと5人の入賞者を出したMiracles。9,10位のMiraclesを使ったプレイヤーはタイブレーカー争いに敗れた結果のトップ16で、今大会の勝ち組デッキの一つと言えます。
《師範の占い独楽》の恩恵でデッキの回りが安定しているため、プレイング次第でどんな相手にも互角以上に戦えることがこのデッキの人気の理由の一つです。
☆注目ポイント
《僧院の導師》は近年Miraclesの勝ち手段としてメインからも良く見られるようになりました。代わりに長年デッキの勝ち手段として採用されていた《天使への願い》はサイドに落とされています。
《僧院の導師》ならば早い段階で引いてきても完全な無駄碑にはならず、特に4-5ターン目にキャストすることで除去されたとしてもトークンを1-2体残すことでアドバンテージを取ることができます。また、《僧院の導師》が戦場に居る状態で《師範の占い独楽》を2枚出すことができれば速やかにゲームを終わらせることができます。
また、コンボが多くなることを予想していたようで、サイドには《狼狽の嵐》が3枚とやや多めに採られています。
《イゼットの静電術師》はElvesやDeath and Taxes、Infect対策だけでなく、《僧院の導師》のトークンや《ヴェンディリオン三人衆》《瞬唱の魔道士》を牽制するため、同系でも使えます。ANTに対しても《巣穴からの総出》のゴブリントークンや《ザンティッドの大群》対策になり、青いカードなので《Force of Will》のコストにもなります。
総括
Landsの優勝で幕を閉じた【GP Seattle-Tacoma】から2週間後に開催された【SCGO New Jersey】の決勝戦はANTとPunishing Abzanのマッチアップで、トップ8にはElvesも入賞しているなど、ほぼ青いデッキ1色だった「探査」ドロー禁止前の環境と比べると、上位入賞デッキの多様化が見られるようになってきました。Landsや4C Loamといった《壌土からの生命》エンジンを搭載したデッキは青いデッキに強いため、今後も上位で頻繁に見られそうです。
以上USA Legacy Express vol.92でした。次回の記事ではSCG Premier IQ Denverと今年最後のSCGのイベントとなるSCG Premier IQ Las Vegasの入賞デッキを見ていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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