週刊デッキウォッチング vol.165 -復活のSuper Crazy Zoo-

大久保 寛

 『マジックの華は、デッキリストだ』

 これはある人の言葉ですが、『デッキリストに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる』のだと。

 であればデッキリストを見るという行為は。

 単なる”知識の探求”を超えて、より深い意味合いを伴った行いと言えるのかもしれません。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週おもしろそうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものです。

 気になるデッキがあれば実際に組んで遊んでみるもよし。Magic Online用のtxtフォーマットもダウンロードしていただけます。

 さっそく、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介していきましょう。

スタンダード: 「恐竜」

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大物群れの操り手レギサウルスの頭目原初の飢え、ガルタ

 今回ご紹介するこちらのデッキコンセプトは『イクサラン』でフィーチャーされた「恐竜」の部族デッキ。発表当初は非常に注目されていた部族でしたが、一部のカードが活躍するのみで、これまで部族デッキとしてメタゲーム上に躍り出ることはありませんでした。

 さて、こちらのリストはパッと見やや重そうなビートダウンデッキに見えますが、《大物群れの操り手》《オテペクの猟匠》の2種7枚のマナクリーチャーがデッキの潤滑油となります。この構成であれば3ターン目に4マナ域の恐竜にアクセスできることも少なくないでしょうし、ターンが進めば《レギサウルスの頭目》《原初の飢え、ガルタ》の突然死プランも狙えそうです。

 クリーチャー中心のデッキでありながら《焼けつく双陽》のような全体火力が採用されているのもおもしろいですね。アグロデッキに対して有効な1枚であることはもちろんですが、《切り裂き顎の猛竜》の「激昂」能力を能動的に達成できるのもポイントです。

 地味に『ドミナリア』と『基本セット2019』でも追加されていますし、今後恐竜は緑の中~大型クリーチャーの枠に収まっていくのかもしれません。カードが増えればモダンやレガシーでも見られる機会があるかも……? 今後に注目したい部族です。

「恐竜」でデッキを検索

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モダン: 「スーパークレイジーズー」

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死の影ティムールの激闘強大化

 先週スーパークレイジーズーが久しぶりにMOの5-0デッキリストに掲載され、続いてMOの強豪プレイヤーであるkanister氏も同デッキに調整を加えたリストで5-0していました。これについてはデッキ製作者のまつがん(伊藤 敦)さんもツイートしていましたね(スーパークレイジーズーって何?という方はこちらの記事をご覧ください)

 《ギタクシア派の調査》がモダンで禁止されてしまったことやメタゲームの変化により「グリクシス《死の影》」デッキは弱体化を余儀なくされていましたが、一周してコンボ特化のスーパークレイジーズーが輝ける土壌になっていたようです。

 「5色人間」や「ホロウワン」のような横並びデッキに対しては《ティムールの激闘》コンボが効果的で、マルドゥ・パイロマンサーのようなデッキに対してもコンボ特化型の本リストであれば比較的有利に戦えます。コントロールデッキとのマッチアップはやや不安が残るものの、マジックを3ターンしかプレイしないこのデッキならば、デッキの回り方次第で多少の不利を覆すこともありそうです。

 こうして少し懐かしいデッキが突然勝ち星を挙げるのも、多様なデッキが存在するモダン環境の最大の魅力の一つと言えますね。

「スーパークレイジーズー」でデッキを検索

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レガシー: 「ポックス」

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小悪疫陥没孔トーラックへの賛歌

 《死儀礼のシャーマン》が禁止され、古き良きレガシーのマナ否定戦略が再び日の目を浴びるときがきました! そう、今回ご紹介するのは「ポックス」です!

 ややマイナーなデッキなのでご存知でない方のためにご紹介すると、このデッキは手札破壊と土地破壊で対戦相手のリソースを締め上げ、《冥界のスピリット》でライフを削りながら《ヴェールのリリアナ》《Nether Void》で蓋をするコントロールデッキです。そしてマナ基盤を攻めるデッキのご多分に漏れず、《死儀礼のシャーマン》には辛酸を舐めさせられてきました。

 今回の禁止改定によってドレッジやカナディアン・スレッショルド、リアニメイトなど様々なデッキに注目が集まっています(詳しく知りたい方はこの記事この動画をご覧ください)が、こういったローグな立ち位置のデッキにとっても変化がありそうです。今後のレガシー環境がどうなっていくのかますます楽しみですね。

 ちなみにこの「ポックス」というデッキ、《Nether Void》《Chains of Mephistopheles》《The Tabernacle at Pendrell Vale》(リストによっては《The Abyss》も)などなど貴重なカードがふんだんに採用される傾向にあるので単色デッキのくせにめちゃくちゃ組みにくいデッキです。勝つときは対戦相手に何もさせずにハメ勝つことができるので、そういうのがお好きな方にはたまらないデッキなんですけどね。

「ポックス」でデッキを検索

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 いかがだったでしょうか。

 ある人は「すべてのデッキリストには意思が込められている」と言いました。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つことでしょう。

 読者の皆さんも、ぜひいろいろとおもしろいデッキを探してみてください。

 また来週!

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