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みなさん明けましておめでとうございます。
今年もアメリカの大会を中心に、レガシーの最新の情報をお届けしていくのでよろしくお願いいたします。
さて、今回の記事では昨年末に行われた【The Last Sun 2015】、【Eternal Party 2015】、そして年明け早々にアメリカ、Cincinattiで開催された【SCG Classic Cincinatti】の結果を見ていきたいと思います。
The Last Sun 2015
~殿堂プレイヤー八十岡 翔太選手が優勝を収める~
2015年12月20日
2位 Miracles
3位 ANT
4位 Sneak and Show
5位 Shardless Sultai
6位 Jeskai Control
7位 Lands
8位 Sneak and Show
トップ8のデッキは【こちら】
スタンダードとレガシーの2種類のフォーマットで競われた【The Last Sun 2015】を制したのは、2015年度に殿堂プレイヤーに選出された八十岡選手でした。八十岡選手も含めて普段からあまりレガシーに触っていなかったプレイヤーは、能動的に勝ちを狙えるANTやSneak and Showといったコンボデッキを選択していました。
The Last Sun 2015 デッキ紹介
「Sneak and Show」「Jeskai Control」
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 3 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(20)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 2 《ギタクシア派の調査》 2 《定業》 1 《狼狽の嵐》 4 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(32)- |
3 《紅蓮地獄》 2 《血染めの月》 2 《全知》 2 《墓掘りの檻》 1 《イゼットの静電術師》 1 《業火のタイタン》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -サイドボード(15)- |
《時を越えた探索》が禁止カードに指定されたことから一線を退いたOmni-tellに代わって、《実物提示教育》系の代表的なデッキとしての地位を取り戻しているSneak and Show。
森選手は普段からレガシーに触れていなかったということで、回れば他のデッキを圧倒するほどのデッキパワーを持つこのデッキを選択したようです。
打ち消しやドロースペルを多めに積んでいるので相手の妨害にも強く、プレイング難易度も他のレガシーのデッキと比べると低めなのでレガシー初心者にもお勧めできるデッキです。
☆注目ポイント
デッキの構成上ある程度までは固定パーツが決まっているSneak and Showですが、使用者の方向性によってメインに入るカード選択が変動します。追加の勝ち手段の 《精神を刻む者、ジェイス》や、相手によってはほぼ勝ちが確定する《血染めの月》をメインから採用しているリストも見かけますが、森選手はそれらをサイドに落としメインではコンボにフォーカスしています。
サイド後は追加の勝ち手段や青対策の《すべてを護るもの、母聖樹》、全体除去の《紅蓮地獄》の他にもヘイトベアーをはじめとした小型のクリーチャーを並べてくるDeath and Taxesなどに効きそうな《業火のタイタン》や《イゼットの静電術師》も見られます。《業火のタイタン》は 《実物提示教育》から出すことで相手の場を一掃することが可能です。
《全知》は《ファイレクシアの破棄者》や《封じ込める僧侶》、《真髄の針》といった《騙し討ち》対策を出されてもファッティを戦場に出すことを可能にし、《Karakas》にも耐性が付きます。
1 《島》 1 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 1 《霧深い雨林》 1 《汚染された三角州》 -土地(20)- 4 《瞬唱の魔道士》 4 《僧院の導師》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 2 《ギタクシア派の調査》 2 《紅蓮破》 2 《呪文嵌め》 2 《対抗呪文》 4 《Force of Will》 2 《ダク・フェイデン》 2 《卓絶のナーセット》 -呪文(32)- |
3 《封じ込める僧侶》 2 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 2 《機を見た援軍》 2 《大祖始の遺産》 1 《外科的摘出》 1 《紅蓮地獄》 1 《摩耗+損耗》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
BIGMAGIC所属プロの松本選手は、スタンダードでも【オリジナルのMardu Midrange】を持ち込んでいましたが、レガシーでもオリジナル色の強いJeskaiを持ち込んでいます。JeskaiというとMiraclesが主流ですが、松本選手のJeskaiは《僧院の導師》を軸にしたレガシー版のJeskai Mentorのようです。
レガシーで最も効率的な除去スペルである《稲妻》と《剣を鍬に》を《瞬唱の魔道士》で再利用することもできるので、クリーチャーデッキに強そうです。逆に除去が腐りやすいコンボに対してはメインでは苦戦を強いられそうですが、《僧院の導師》というクロックが存在するので従来のJeskai Controlと比べると相性も改善されているようです。
☆注目ポイント
青いコントロール、中速デッキでは定番のPWの《精神を刻む者、ジェイス》は不採用で、代わりに採用されているのが《ダク・フェイデン》と《卓絶のナーセット》です。
《卓絶のナーセット》はレガシーではあまり見かけないカードですが、忠誠度が高く戦闘で倒されづらく、スペルを多く採っているため「+1」能力で高確率で手札が増えます。守り切れば奥義で相手をほぼロックすることができ、除去の多いこのデッキならば守り切ることも比較的容易です。《ダク・フェイデン》の「+1」能力は墓地を肥やすため、《瞬唱の魔道士》と相性の良い能力となります。
1マナのスペルがメインから22枚採用されているので、《僧院の導師》の果敢を誘発しやすくなっています。また、Sneak and Showを意識していたのか、サイドには《封じ込める僧侶》が3枚と多めに採られています。ElvesやDeath and Taxes等に対してもサイドインされ、単純に追加のクロックとしても使える優秀なクリーチャーです。
《機を見た援軍》はレガシーでも時折見かけるカードで、バーンやDelver系対策です。ライフを火力射程圏外へ回復すると同時にブロッカーを生産し、《至高の評決》などで場を一掃するまでの時間を稼ぎます。
Eternal Party 2015
~ANTが年末のレガシーの祭典を制する~
2015年12月27日
※画像は【KMC】より引用させていただきました。 |
2位 Miracles
3位 Grixis
4位 Miracles
5位 UR Control
6位 Jund
7位 Lands
8位 Lands
トップ8デッキは【こちら】
関西で開催された大規模なレガシーの大会のEternal Party 2015。決勝は奇しくもThe Last Sun 2015と同様に、ANT VS Miraclesで行われていました。ANTとMiraclesのマッチアップはMiracles側が《師範の占い独楽》《相殺》がある分有利に見えますが、実際は両者のスキルによるところが大きく、このフォーマットをよく理解しているプレイヤー同士の対戦は非常に見応えがあります。
Eternal Party 2015 デッキ紹介
「ANT」
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 1 《Bayou》 4 《汚染された三角州》 4 《霧深い雨林》 -土地(15)- -クリーチャー(0)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《暗黒の儀式》 4 《強迫》 3 《陰謀団式療法》 2 《定業》 4 《陰謀団の儀式》 4 《冥府の教示者》 1 《苦悶の触手》 1 《炎の中の過去》 1 《むかつき》 1 《闇の誓願》 4 《水蓮の花びら》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 -呪文(45)- |
4 《僧院の導師》 3 《夜の戦慄》 3 《突然の衰微》 2 《蒸気の連鎖》 1 《陰謀団式療法》 1 《巣穴からの総出》 1 《Tundra》 -サイドボード(15)- |
環境のコンボの中でも最も安定した結果を残しているANT。ハンデスもあるので相手のカウンターなどの妨害に強く、メタを問わずコンスタントに入賞し続けているのでコンボデッキが好きなプレイヤーには間違いなくお勧めできるデッキです。
☆注目ポイント
今大会見事に優勝を飾った馬場選手のリストは、メインこそ他のリストと大きな違いは見られませんが、サイドの一部のカード選択に今までのANTでは見られなかったイノベーションが見受けられます。
追加の勝ち手段として《僧院の導師》が採用され、そのために白がタッチされています。ハンデスやドロースペルをはじめとした軽いスペルが多いのでデッキにマッチしており、サイド後は対戦相手も除去を減らしてくることが予想されるので生き残りやすいです。
《闇の腹心》や《若き紅蓮術士》と異なり、果敢によりタフネスを上げることができるので、最近Miraclesなどのサイドボードでよく見かける《イゼットの静電術師》に対してもある程度は耐性があります。
SCG Classics Cincinatti
~アメリカのDelverの名手がGrixis Delverで優勝~
2016年1月3日
※画像は【StarCityGames.com】より引用させていただきました。 |
2位 ANT
3位 Miracles
4位 Temur Delver
5位 Sneak and Show
6位 Death and Taxes
7位 Miracles
8位 Elves
トップ8デッキは【こちら】
年明け早々にSCGO Cincinattiの併催イベントとして開催されたSCG Classic Cincinattiでは、コンボ、フェアと様々なタイプのデッキが勝ち残っていました。優勝はGrixis Delverでしたが日本国内の大会でも上位で良く見かけるMiracles、ANT、Sneak and Showも結果を残しています。
SCG Classics Cincinatti デッキ紹介
「Grixis Delver」「Miracles」
3 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 1 《Tropical Island》 2 《沸騰する小湖》 2 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 2 《溢れかえる岸辺》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《若き紅蓮術士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(14)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 2 《二股の稲妻》 2 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 -呪文(28)- |
4 《陰謀団式療法》 2 《外科的摘出》 2 《汚損破》 2 《冬の宝珠》 1 《真髄の針》 1 《紅蓮破》 1 《狼狽の嵐》 1 《苦い真理》 1 《コラガンの命令》 -サイドボード(15)- |
「探査」ドロー禁止以前からGrixis Delverを使い続けているDylan Donegan。
《時を越えた探索》が禁止カードに指定され、衰退されることが予想されていたGrixis Delverですが、【SCG InvitationalをDelverで制した経験のある】アメリカのDelverマスターのDylanは諦めることなくGrixis Delverを調整し続け、同デッキをシェアされていたChristian Calcanoが【GP Seattle-Tacoma-で準優勝】という好成績を残しています。
その後はTemur DelverやSultai Delverと共にDelver系のバリエーションとしてトップメタに留まっています。
☆注目ポイント
GP Seattle-Tacomaのリストから大きく異なる点は《もみ消し》の不採用です。
相手のフェッチ起動や「奇跡」の誘発など、ハマれば圧倒的な強さを見せる《もみ消し》ですが、受動的で《若き紅蓮術士》と相性があまり良くないため、積極的に使えてアドバンテージも取れる《二股の稲妻》や、コンボに対して強い《呪文貫き》が優先されています。《ヴェンディリオン三人衆》をメインから採っていることからも、コンボやMiraclesを意識しているのは明確です。
サイドの《冬の宝珠》は《師範の占い独楽》の起動のために毎ターンマナを使うMiraclesや、Jundなどのデッキに刺さり、逆に軽いスペルで構成されていて《死儀礼のシャーマン》も使えるGrixis Delver側にとっては、土地が1枚しかアンタップしないというデメリットも問題になりません。
《コラガンの命令》やスタンダードでも様々なデッキに採用されている《苦い真理》は、ロングゲームになりやすいサイド後のゲームをケアした構成です。《苦い真理》は「探査」ドロースペルに代わるドロースペルとして、レガシーでも十分通用するスペルのようです。
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《沸騰する小湖》 2 《Karakas》 1 《秘教の門》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《僧院の導師》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(5)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 1 《呪文貫き》 1 《対抗呪文》 2 《議会の採決》 1 《天使への願い》 1 《至高の評決》 4 《Force of Will》 3 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 1 《世界のるつぼ》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(33)- |
3 《安らかなる眠り》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《悟りの教示者》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《摩耗+損耗》 1 《赤の防御円》 1 《謙虚》 1 《Moat》 1 《Helm of Obedience》 1 《終末》 -サイドボード(15)- |
根強い人気を誇るMiracles。構築の自由度も高く、使用者の個性が反映されやすいデッキの一つです。今回入賞を収めたDavid Schnayerのリストは、最近定番となりつつある《僧院の導師》型をベースに、かつてLandstillで見られた《世界のるつぼ》+《不毛の大地》も採用されています。特殊地形に頼ったLandsなどによく効きそうな戦略です。
☆注目ポイント
《世界のるつぼ》+《不毛の大地》によって相手のマナを縛る手段も搭載していますが、そのスペース確保のために《思案》が抜けています。《不毛の大地》がある分土地を多めに採っていますが、軽いスペルが少なくなっているため多少《僧院の導師》を生かしづらくなっている印象です。
サイド後は《安らかなる眠り》+《Helm of Obedience》に変形する選択肢もあり、特に《安らかなる眠り》は《死儀礼のシャーマン》や《タルモゴイフ》を無力化させ、《壌土からの生命》エンジンやANTの《炎の中の過去》経由のコンボを妨害するので、単体でも十分な活躍が期待できるカードです。
《Moat》は久々に見かけるカードですが、現在は《僧院の導師》、《タルモゴイフ》《若き紅蓮術士》+エレメンタルトークン、《グルマグのアンコウ》といった地上クリーチャーが中心で、それら全てをシャットアウトすることが可能です。
総括
昨年『運命再編』から加入した《僧院の導師》は今やレガシーでも定番のクリーチャーとして、Miraclesをはじめとして様々なデッキで採用されています。軽い呪文を多用するデッキが多いレガシーに適したクリーチャーで、今後も良く見かけることになりそうです。
Sneak and Showも時間は少しかかったものの、徐々に復権の兆しを見せています。《時を越えた探索》禁止直後はOmni-tellに代わる《実物提示教育》デッキとして注目されていたため対策が厳しく苦戦を強いられていましたが、サイドの《全知》やコンボとは別の追加の勝ち手段など、各自が対策を乗り越える手段を用意しています。
以上USA Legacy Express vol.94でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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